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救え! セーラン商店街編

97色 閃き! 繁盛させまっせご主人様!

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「いらっしゃいませ! ご主人様!」

 店内に活気溢れた声が響き渡る。

「二名様ご来店でーす」

 ご来店されたお客様を席に案内して注文を取り、私は厨房に向かった。

「13番席、ホットのコーヒーとミルクティー注文入りました」
「ええ、じゃあ、9番席にこれをお願い」

 私が注文を伝えると、スミレは注文の紙を受け取り、代わりに他の商品を持っていく様にいう。

「お待たせしました。 アイスコーヒー二つになります」
「どうも、すみませんが、この『ラブ注入サービス』お願いしてもいいでしょうか?」
「かしこまりました」

 お客様にサービスを頼まれ、私は気合を入れてラブを込める。

「モエモエキュンキュンデース(棒)」

 呪文を唱えながらフレッシュをコーヒーに注ぐ。

「雑っ!」
「いや、だがこれはこれでいいんじゃないか?」

 気合を入れてやったつもりでしたが、何故か突っ込まれてしまいました。 ですが、好評を頂けたみたいです。

「では、ごゆっくりしていってください」

 お客様にそう一言告げると、私は席を離れる。

 少し落ち着いたのを見計らって、私は店内を見回す。

「思った以上の繁盛ですね」

 私は自分の格好と従業員【友人達】の姿をみる。 女性達はメイド姿になり、男性は執事姿で接客をしている。 この計画を行動に移すまでにはそう時間は掛からなかった。 私が友人達と話し合って、纏まった意見を商店街の町内会議で提案すると、皆さん意外にも乗り気になってくれて協力してくれた。 問題であったショッピングモールとの協力関係ですが、これも意外なことにすんなりと協力関係を築けました。 その理由は、シーニの知り合いの方がショッピングモールの親会社の社長様だったそうで二つ返事で承諾して頂けたのです。

「シーニ様様ですね」
「役に立ててよかったよ」

 私の独り言が聞こえたのか、メイド姿のシーニが横に立つ。

「すみませんね、シーニ、協力関係を築くのを手伝ってくれただけでなく、仕事の方も忙しいはずなのに、わざわざ私達のお店の手伝いまでしてくれるなんて」
「気にしなくてもいいよ。 仕事の方は全然詰まってないし、むしろ、息抜きがてらおもしろいことができるしね」

 シーニは優しく微笑みながら返す。 私はそれに続きもうひとつ聞く。

「それとあのめんどく……ゲフンゲフン……個性豊かな社長様にお願いをされてしまいましたが、そちらは大丈夫ですか?」

 私の質問にシーニは目を反らし「あはは……」と乾いた笑い声を出す。

「……まあ、いきなり『結婚してくれ』よりはマシだから……それに、友人の為だからね」

 シーニは知り合いの社長様からかなり気に入られているらしく、今回の条件を飲む代わりに一日お付き合いすることをお願いされてしまったみたいです。

「本当にすみません。 シーニには『カレシーニさん』という立派な殿方がいるのに私達の為にカラダを売るなんて」
「いやいや、勘違いする言い方だね。 別に彼氏じゃないし、カラダも売るわけじゃないから、一日食事とかに付き合うだけだから、それに元々そういう『約束』をしてたっていうのもあるし」

 私の言葉にシーニは慌てて弁明する。

「すみませーん、注文いいですか?」
「はーい、お伺いしまーす。 じゃあ、マルまた後で」

 シーニは注文を取りにいってくれたので、私はもう一度店内の様子を確認する。

「ラブ注入お願いします」
「はーい、お任せください」

 最近よく聞く言葉が私の耳に入ってきたので、反射的にそちらをみると、抹消さんがラブの注入を施していた。

「アナタの記憶に愛を注入! アナタの記憶を消しちゃうよー」

 手でハートを作り、呪文の口上を口にすると手を前に突き出す。

「萌え燃えキュンキューン♡」
「ぐふっ……素晴らしいであります」
「はーい、ごゆっくりしていってくださいご主人様!」

 抹消さんはかなり様になっていますね。

 私は別の場所に目を移す。

「お待たせしました。 こちら当店一押しのショートケーキですわ。 お紅茶もご一緒に失礼いたしますわ」

 お嬢様は優雅に紅茶を淹れて、そのまま優雅に去って行く。

「今の子みた? すごいかっこよくなかった?」
「それに本物のお嬢様みたいでかわいいー」

 本物のお嬢様なんですけどね。

 なんて心の中で突っ込んでいると、歓声が沸き上がっていたので、そちらに顔を向ける。

「ご来店ありがとうございますお嬢様」

 その一言でご来店された女性の方が倒れそうになる。

 えーっと、あの執事さんは何て名前でしたっけ……まあ、お嬢様の付き添いの執事さんも手伝ってくれています。

「なにあの子、めちゃくちゃカッコイイ!」
「まるで、本物の執事みたい!」

 本物の執事なんですけどね。

 またも、心の中で突っ込みを入れる。

「えーっと、こちらが……アイスコーヒーです!」

 今度は覚束ない感じの声が聞こえてくる。

 そちらに目を向けると、アカリが一生懸命接客をしていた。

「ありがとう、慣れてないみたいだけどがんばってるね」
「はい! ありがとうございます!」

 アカリは声援を受けて元気に返事を返す。

「すみません、ラブちゅ……」
「やらないわよ」

 少し離れた場所に目を移すと、お客様の要望をとてもドライに切るスミレの姿があった。

「……え~と~……他の人みたいにフレッシュを入れては……」
「自分で入れなさい」

 あまりに冷たい態度だったので、お客様は呆気に取られてしまう。 私はフォローに向かおうとしましたが、先に近くにいたアカリと抹消さんが慌ててお客様の前に立つ。

「あわわっ! スミレ! そんなこといっちゃだめだよ!」
「申し訳ございませんお客様! わたしが代わりにラブを注入いたしますね」
「いえ、大丈夫です」
「!?」

 お客様が断られたのでやはり怒らせてしまったかと二人は身構えるが、返ってきたのは意外な反応だった。

「これはこれでいいかなと」

 何故かお客様は満足していた。 その反応に二人はきょとんとする。

「こういうプレイを楽しめるなんてなんだかゾクゾクしちゃいました」
「は? 気持ちわ……」
「では! ごゆっくりどうぞー!」

 何かを口走りそうになったスミレの口を抹消さんが慌てて塞いで、アカリはその背中を押しながら慌ててその場を去る。

「な、なんとかなったね……」
「スミちゃん! 失礼だよ」

 スミレを慌てて厨房に連れて行くと、アカリは胸を撫で下ろし抹消さんはスミレに注意をする。 私も厨房に入り隣に行く。

「ナニよ、ワタシは別にこのイベントを承諾した覚えはないわよ? それにこのカッコウをするのも認めたわけじゃないわ」

 スミレは自分の姿を見ながら、とても怪訝な顔で返す。

「ですが、私の口車に乗せられたのも事実ですよね?」
「うっ……」

 私の言葉にスミレは言葉を詰まらす。

「別に乗せられたわけじゃないわ、……その……センパイの……しつじ……すがた……のために……そう、センパイのために乗ってあげたのよ」
「それを乗せられたと云うと思うのですが、まあ、そういう事にしときましょうか」
 
 これ以上追求しても話が拗れそうなので、私は言葉を続ける。

「商店街存続の為なのはスミレも分かってますよね?」
「……ええ、わかってるわよ」
「なら、頑張りましょう」
「なんだい、君達サボりかい?」

 私の言葉に静かに頷いたスミレでしたが、割り込んできた声に顔を顰める。

「うるさいわよ、メガネ砕けなさい」
「相変わらずいきなりな挨拶だね」
「そうだよ! メガネ砕けちゃったら目にささっちゃうよ!」
「それはどっちの心配をしてるんだい?」

 アカリの言葉に突っ込みながらも「まあ、いいさ」と言葉を続ける。

「忙しいんだから、サッサと戻りなよ」
「アナタにいわれなくてもわかってるわよ、だから、さっさとワタシの視界から消えなさい」
「別に僕も君の不愛想なしかめっ面なんか一秒でもみたくないけどね。 幸が逃げそうだよ。 いや、今も逃げてるね、その顔をみてるから」
「なんですって?」
「まあまあ!」

 睨み合う二人の間に抹消さんは慌てて入る。

「落ち着いてスミちゃん! ごめんね。 メガネくんすぐに戻るから」

 今にもバチバチと喧嘩の火蓋が幕を開けようとしている二人を落ち着かせる。 メガネくんは溜息を吐き「早く戻りたまえよ」と一言残して去って行く。 スミレはそれに背を向けて何も云わずに厨房の仕事に戻る。

「なんとかなったね」

 あたふたしていたアカリは胸を撫で下ろす。

「あの二人顔を合わせる度にこれだからこっちもドキドキするよ」
「おや、恋ですか?」
「そっちじゃないね」

 私達もそろそろ戻らなければと思い、急いで厨房から出ると、丁度お客様からの呼び出しがかかりましたが、私達よりも先に元気な声が店内に響いた。

「空子空港急遽急行!」

 謎の掛け声がしてそちらを確認すると、笑顔の可愛らしいメイド姿の緑風くんがいた。

「あのラブ注入サービスをお願いします」
「かしこまりまりまりのすけ!」

 緑風くんは元気に返事をすると、深呼吸をして呪文を唱える。

「愛を注入! ラブを挿入! アイム導入! もえもえきゅんきゅーん!」

 その呪文を唱えた瞬間、店内に謎の波動が響き渡る(実際は響き渡ってませんが)。 そして、その波動に当てられた一部の人達(主に店員)が倒れ込む。 隣にいた抹消さんも膝を床について倒れていた。

「ありがとうございます」
「はい! ごゆっくりどうぞ!」

 緑風くんは頭を下げて元気にいうとその場を去る。

「ぐ……ふふ……いい攻撃だったよ……」

 倒れていた抹消さんはヨダレを拭きながらふらふらと立ち上がる。

「大丈夫? リーン」
「うん、大丈夫、むしろ、最高にハイだよ」

 本気で心配するアカリに抹消さんはまるでいいモノをみたと云わんばかりの笑顔を向ける。

「思ったよりもさまになってますね」

 私はそう呟くともう一度彼の方をみる。

 はじめはメイド姿に断然拒否の体制をみせていた緑風くんでしたが、報酬を弾ませたのとメイド服と執事服で半分の時間ずつで交互に着ていいと提案したところ渋々承諾してくれました。

 それに、彼は真面目なので、彼なりのメイドを研究して(少しズレてますが)一生懸命やってくれています。 

「ねえ、お嬢さん」

 お客様が彼に話掛けるが、一瞬自分の事を云っていることに気づかなかった彼は少し首を傾げましたが、自分の今の姿を思い出したのか直ぐにハッなって慌てて返事をする。

「はい! なんでしょうか? ご主人様さまサマータイム!」

 あのお客様は最近よくみえる方ですね。 彼を呼び付けてどうしたのでしょうか。 なんて考えているとお客様は口を開く。

「お嬢さん、この前、仮面戦士が好きって言っていたよね?」
「? はい」

 緑風くんは真面目なので、日常会話をされたら知らない人でも付き合ってしまうので、この前もそういう話になったみたいですね。

「ボクも好きでね。 全部とはいわないけど、グッズが出る度に買っていてね。 それでうちにこれがあったんだよ」
「!?」

 お客様が出されたモノをみて緑風くんは驚き目を輝やかせる。

「それは! 仮面戦士鎧亜武者かめんせんしがいあむしゃ桃姫ももひめに変身するためのアイテム、桃姫鎧ピーチプリンセスアーマー!」
「桃姫といえば、物語の終盤に仲間の不意打ちでやられそうになった黄栄おうろんを庇って殺されてしまったライバル側のヒロインだね」

 話を聞きつけたのか、突然トウマくんが緑風くんの隣に現れる。

「あ、でた、オタクくん」

 それを遠目でみていた私の隣に抹消さんが立って一言呟く。 彼女の中ではトウマくんはオタクくん呼びみたいです。

「その後の桃姫の死を乗り越えての鎧亜武がいあむとの最終決戦は熱いよね!」 
「あれは涙なくしてはみれないよね」

 三人の仮面戦士オタクは熱く語りあっている。

「で、なんですけど、これを持ってきたんですよ」
「それは! 鎧亜武と黄栄の最終決戦に使われた禁断のアーマー
「これで出来ちゃうじゃないっすか?」
「やっちゃいますか!」

 三人はテンションがマックスになり、アイテムを握ると高らかに叫ぶ。

「禁・断・解……」
「……アナタたちナニやってるの?」
「!?」

 突然、割り込んできた冷たい声に二人は冷や汗を流しながら固まり、ガクガクとしながら振り返る。

 彼らの振り返った先にはドス黒いオーラがドバドバ出ているスミレが立っていた。

「……あ……その……ごめんなさい……」

 緑風くんは怒られるのを察知したのかすぐに謝る。

「こ……これは……遊んでたわけじゃ……」

 トウマくんは弁解しようとしますが、有無をいわさず、スミレはトウマくんを睨み付け彼はビクリと震える。

「……あそんでるいがいのナニにみえたらいいのかしら?」
「……ごめんなさい」
「……えーっと……なんだろうね」

 二人の言葉を聞いたスミレは冷たく威圧的に言い放つ。

「さっさと持ち場に戻りなさい」
「ハァイエッサー!!」

 ドス黒いオーラを放ちながら云われた二人は何故か敬礼をすると、お客様に一礼して慌てて仕事に戻った。

「…………」

 二人を見送ったスミレは溜息を付き厨房に戻って行く。

「少し言い過ぎじゃないスミちゃん」
「まあ、気持ちは分かりますが、リラックスですよ」
「!?」

 厨房に入ったスミレを私と抹消さんは呼び止める。

「何だかんだいって、スミレが一番このお店の事を考えていることは分かっていますが、たまにはスミレも休憩してみてはどうですか?」
「そうそう、人間ムリをしちゃうとカラダに悪いからね。 それに倒れちゃったら大変だし」
「…………」
 
 スミレは何も云わず、私達の隣を過ぎて行く。 しかし、直ぐに足を止めた。

「……気をつけるわ」

 背を向けたままそう一言いうとまた歩みを進めて戻っていった。



 その日の商店街は大盛況のまま日が沈んでいった。


 次の日、商店街組の私とスミレ、トウマくん、ノワル、メガネくんの五人は開店準備を進めていた。 すると、ガシャンッ! とドアを強引に開いてベルが激しく揺れる音がして、私達は反射的にそちらに目を向けると、抹消さんが息を荒くしながら顔を青ざめながら入ってきた。

「どうしたんですか?」

 何か様子が可笑しい事に気づいた私は準備の手を止めて抹消さんに駆け寄る。

「マルちゃん! 大変! 大変だよぉ!」
「落ち着いてください。 様子をみれば分かります。 何があったんですか?」

 私は落ち着く様にいうと息を整えてながらいう。

「クウくんが!!」

 その一言に私達は戦慄した。


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