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本のマモノ編
49色 新たな依り代 心の拠り所
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「おはよー」
わたしがゲンキよく教室にはいると、みんながレータの机を囲んでいた。
「あれ?みんなどうしたの?」
「あ、おはよういろのさん」
「おはようございます」
「おはよう」
「おはよ」
みんな個々に挨拶を返してくれて、わたしはみんなの元に行くと、どうしたのか聞く。
「マモくんにでてきてもらえないか、レータくんにおねがいしてたんだ」
「え?マモに?」
マモのことはあの後レータに説明したら、なんだかかなりあっさりと納得してくれたんだ。 レータいわく、なんとなくナニかいることは感じていて、乗っ取られている時もフシギな感じがしたのだとか、それでマモは今は本の中に戻って大人しくしているみたいなんだ。
「あの後、マモさんの様子はどうですの?」
フラウムがレータに聞くと、本を鞄から取り出しながら答える。
「ああ、あの後彼と一応話をしてみたよ」
「え? 話せるんですの!?」
フラウムは驚く。
「ああ、別に人のカラダを乗っ取らなくても、テレパシーの様な感じで話すことが可能らしいんだ」
「へえー魔法って便利ですのね」
フラウムは感心していう。
「で、クウタ、彼にはなんの用だい?」
レータはクロロンに聞く。
「えーっとね、魂だけじゃ不便だと思って、マモくんに依り代っていうのかな? かわりのカラダをもってきたからどうかなと思って」
「それはどんなだい?」
「ちょっとまっててね」
そういうと、クロロンは鞄から動物の人形を取り出した。 それは、茶色いカワウソの人形だった。
「なんだい? このカワウソの人形は?」
「カワサキチャチャだよ」
「え? なんて?」
「カワサキチャチャだよ」
聞き返すフラウムとレータにクロロンは満面の笑みで返す。
「もしかして、この人形のお名前ですか?」
「うん、そうだよ」
フラウムの質問にクロロンは首を傾げながら返すけど、すぐに手をポンッと叩いて答える。
「そうか! 名前の由来ってことだね! えーっとね、はじめは母さんが茶色いカラダだから、チャチャがいいっていったんだけど、ぼくはカワウソだからカワサキがいいっていったらね。 オニーがなら合わせてカワサキチャチャでいいだろってことでカワサキチャチャになったんだ」
「どこから突っ込めばいい?」
「え? どこもツッコムところはないと思うよ?」
「メガネ、クウタは一ミリもボケてないぞ」
レータのツッコミにクロロンは頭にハテナを浮かべ、シアンがフォローする。
「そ、そうか……それはすまなかった」
「緑風さんはところどころかましますわね」
「つまり、そのカワサキチャチャにマモがはいればいいってことだね」
わたしはクロロンの考えに気づいていう。
「うん、そうだね」
クロロンはゲンキに返事をした。
「今の説明でよく理解出来たね」
レータはメガネをクイッやりながらいう。
「え? わたしなんかにわかるから、レータならとっくにわかってると思ってたよ」
「それは煽っているのかい?」
「え? なんで?」
「メガネ、アカリは一ミリも煽ってないぞ」
なぜか今度はわたしがシアンにフォローされる。
「まあ、類は友を呼ぶですわね」
フラウムはクスリと笑いながらいう。
「というわけで、マモくんにカワサキチャチャにはいってみたら、すこしは生活しやすくなるんじゃないかなと思って」
「だそうだが、キミはどうするんだい?」
クロロンの問いをレータは本に語りかけると、本から赤い魂のようなものが出てきた。
「キサマラ、ワタシがマモノってことを解っているのか?」
マモは魂のまま語りかけてくる。
「うん、しってるよ。 でも、わるいマモノじゃないんだよね?」
わたしはマモにいうと表情は分からないけど、困っている感じがした。
「ぼくもいろのさんのいう通りだと思うよ」
クロロンは「だって」と言葉を続ける。
「乗っ取られた時にキミから『悪意』っていうのを感じなかったんだ」
「そんなことまで分かったのかい!?」
レータは驚いたように聞く。
「なんとなくだけどね」
「なんとなくか……」
レータはすこし落胆する。 クロロンは苦笑いで頬を掻きながらいう。
「でも、自分でいうのもなんだけど、『勘』っていうのは大切だと思うよ」
クロロンはすこし真剣な顔になって続ける。
「この人を信じてもいいのか。 この人は自分を裏切るのか。 この人は自分を信頼してくれるのか。 その人と深くまたは浅くても関わらないと、善か悪の区別って初見では分からないものだよね。 だから、最後に決めるのは自分であってそこにはこの人と関わってもいいっていう『勘』が働くんじゃないかな」
クロロンの言葉にみんなすこし驚きながら聞く。
「あくまでぼくの持論だけどね。 だから、否定してもらってもいいよ」
クロロンは手をブンブンと振りながらいう。 それをレータはメガネをクイッと上げながら答える。
「キミってかなり抜けているところがあるけど、自分の『意思』っていうのはしっかり持っているよね」
「まあ、緑風さんは他の人が思っている以上に『強い』御方ですからね」
「……しってる」
レータの言葉にフラウムは言葉を付け足すと、シアンはあくびをしながら返すけど、嬉しそうに笑っているようにみえた。
「そうそう、つまりクロロンはすごいんだね!」
「キミがいうと一気にIQが下がるね」
「えー!?」
レータの言葉にわたしは叫んでしまうけど、みんなはクスクスと笑っていた。
「ええ!? なんでみんな笑ってるの!? クロロンまで!?」
「ごめんね。 ちょっとおもしろくて」
「みんなひどいよー!」
「キサマラに付き合ってやるのも悪くないかもな」
そう呟いた? 語りかけてきたっていうのかな? マモはすこし楽しそうな感じがした。
なんというかうまくいえないけど、なんだかこれからも楽しくみんなで過ごせそうな気がしてわたしはうれしかった。 このちょっと変わってるけど楽しい時間が続くといいなと心の底から思った。
カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』 ~本のマモノ編~ おしまい?
わたしがゲンキよく教室にはいると、みんながレータの机を囲んでいた。
「あれ?みんなどうしたの?」
「あ、おはよういろのさん」
「おはようございます」
「おはよう」
「おはよ」
みんな個々に挨拶を返してくれて、わたしはみんなの元に行くと、どうしたのか聞く。
「マモくんにでてきてもらえないか、レータくんにおねがいしてたんだ」
「え?マモに?」
マモのことはあの後レータに説明したら、なんだかかなりあっさりと納得してくれたんだ。 レータいわく、なんとなくナニかいることは感じていて、乗っ取られている時もフシギな感じがしたのだとか、それでマモは今は本の中に戻って大人しくしているみたいなんだ。
「あの後、マモさんの様子はどうですの?」
フラウムがレータに聞くと、本を鞄から取り出しながら答える。
「ああ、あの後彼と一応話をしてみたよ」
「え? 話せるんですの!?」
フラウムは驚く。
「ああ、別に人のカラダを乗っ取らなくても、テレパシーの様な感じで話すことが可能らしいんだ」
「へえー魔法って便利ですのね」
フラウムは感心していう。
「で、クウタ、彼にはなんの用だい?」
レータはクロロンに聞く。
「えーっとね、魂だけじゃ不便だと思って、マモくんに依り代っていうのかな? かわりのカラダをもってきたからどうかなと思って」
「それはどんなだい?」
「ちょっとまっててね」
そういうと、クロロンは鞄から動物の人形を取り出した。 それは、茶色いカワウソの人形だった。
「なんだい? このカワウソの人形は?」
「カワサキチャチャだよ」
「え? なんて?」
「カワサキチャチャだよ」
聞き返すフラウムとレータにクロロンは満面の笑みで返す。
「もしかして、この人形のお名前ですか?」
「うん、そうだよ」
フラウムの質問にクロロンは首を傾げながら返すけど、すぐに手をポンッと叩いて答える。
「そうか! 名前の由来ってことだね! えーっとね、はじめは母さんが茶色いカラダだから、チャチャがいいっていったんだけど、ぼくはカワウソだからカワサキがいいっていったらね。 オニーがなら合わせてカワサキチャチャでいいだろってことでカワサキチャチャになったんだ」
「どこから突っ込めばいい?」
「え? どこもツッコムところはないと思うよ?」
「メガネ、クウタは一ミリもボケてないぞ」
レータのツッコミにクロロンは頭にハテナを浮かべ、シアンがフォローする。
「そ、そうか……それはすまなかった」
「緑風さんはところどころかましますわね」
「つまり、そのカワサキチャチャにマモがはいればいいってことだね」
わたしはクロロンの考えに気づいていう。
「うん、そうだね」
クロロンはゲンキに返事をした。
「今の説明でよく理解出来たね」
レータはメガネをクイッやりながらいう。
「え? わたしなんかにわかるから、レータならとっくにわかってると思ってたよ」
「それは煽っているのかい?」
「え? なんで?」
「メガネ、アカリは一ミリも煽ってないぞ」
なぜか今度はわたしがシアンにフォローされる。
「まあ、類は友を呼ぶですわね」
フラウムはクスリと笑いながらいう。
「というわけで、マモくんにカワサキチャチャにはいってみたら、すこしは生活しやすくなるんじゃないかなと思って」
「だそうだが、キミはどうするんだい?」
クロロンの問いをレータは本に語りかけると、本から赤い魂のようなものが出てきた。
「キサマラ、ワタシがマモノってことを解っているのか?」
マモは魂のまま語りかけてくる。
「うん、しってるよ。 でも、わるいマモノじゃないんだよね?」
わたしはマモにいうと表情は分からないけど、困っている感じがした。
「ぼくもいろのさんのいう通りだと思うよ」
クロロンは「だって」と言葉を続ける。
「乗っ取られた時にキミから『悪意』っていうのを感じなかったんだ」
「そんなことまで分かったのかい!?」
レータは驚いたように聞く。
「なんとなくだけどね」
「なんとなくか……」
レータはすこし落胆する。 クロロンは苦笑いで頬を掻きながらいう。
「でも、自分でいうのもなんだけど、『勘』っていうのは大切だと思うよ」
クロロンはすこし真剣な顔になって続ける。
「この人を信じてもいいのか。 この人は自分を裏切るのか。 この人は自分を信頼してくれるのか。 その人と深くまたは浅くても関わらないと、善か悪の区別って初見では分からないものだよね。 だから、最後に決めるのは自分であってそこにはこの人と関わってもいいっていう『勘』が働くんじゃないかな」
クロロンの言葉にみんなすこし驚きながら聞く。
「あくまでぼくの持論だけどね。 だから、否定してもらってもいいよ」
クロロンは手をブンブンと振りながらいう。 それをレータはメガネをクイッと上げながら答える。
「キミってかなり抜けているところがあるけど、自分の『意思』っていうのはしっかり持っているよね」
「まあ、緑風さんは他の人が思っている以上に『強い』御方ですからね」
「……しってる」
レータの言葉にフラウムは言葉を付け足すと、シアンはあくびをしながら返すけど、嬉しそうに笑っているようにみえた。
「そうそう、つまりクロロンはすごいんだね!」
「キミがいうと一気にIQが下がるね」
「えー!?」
レータの言葉にわたしは叫んでしまうけど、みんなはクスクスと笑っていた。
「ええ!? なんでみんな笑ってるの!? クロロンまで!?」
「ごめんね。 ちょっとおもしろくて」
「みんなひどいよー!」
「キサマラに付き合ってやるのも悪くないかもな」
そう呟いた? 語りかけてきたっていうのかな? マモはすこし楽しそうな感じがした。
なんというかうまくいえないけど、なんだかこれからも楽しくみんなで過ごせそうな気がしてわたしはうれしかった。 このちょっと変わってるけど楽しい時間が続くといいなと心の底から思った。
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