18 / 24
王様の決断
しおりを挟む
宮殿内の全ての人に自白魔法をかけ、王様の殺害計画に関わっていた人を次々と捕まえた。
結局、宮殿内には30人もの共犯者が居たが、後は取調官たちに任せることにした。
…随分、魔力を使ったな…。ふらつく体で壁にもたれる。
こんなことが、毎日続くのかもしれない。
僕に王様を守り抜くことなんて出来るのだろうか…。
一抹の不安を感じながら、王の部屋へと戻った。
毒が抜け、すっかり元気になった王様は、シャルル、エミリー、モーリスと一緒にテーブルで紅茶とお菓子を楽しんでいた。すこぶる上機嫌だ。
「おおっ! ご苦労であった! そなたもここへ座れ!」
「はい」
殺される寸前だったとは思えないような明るさだ。
元気になってくれて、良かった。
「モーリスから、そなたの話を聞いていたのだが、そなたスターナ王国のペリゴール辺境伯爵の次男だそうだな?」
「はい」
「母の名は?」
「マーガレットです」
「そうか…」
にやりと王様が笑った。
な…なんだ? その不敵な笑いは?
「実はな、マーガレットは、私の父である前王の側室の娘。スターナ王国に遊学中に、そなたの父と恋に落ちたのだ。側室の子ではなく、貴族の娘として嫁ぎたいと言うので、結婚前にとある侯爵家に籍を移し、侯爵令嬢として嫁がせた。つまり、そなたには、わしと同じ王族の血が流れているのだよ」
えぇ~~~~~~~っ!?
「わしの後継者だった一人息子は事故死。王座を狙っているのは、わしに毒を盛るような輩だ。
そこでだ! サファーロ、そなたをこの国の王太子に擁立する。わしや妃を悪い輩から守りながら、いずれ王座を継いでほしい」
「僕が王太子…ですか?」
あまりの急展開に、茫然とする。
「我がスティファニー王国は実力主義の国じゃ! 王の危機を救わなかった王族らに、王座を譲るものか! 王族会議で必ずやそなたのことを認めさせてみせる! 前王の血を引いているのだ。弱気になることはない!」
僕は王太子になると承諾していないのに、どんどん話が進んでいる。
「心配するな! 分からないことは、わしが全て教える」
「ですが…」
「スティファニー王国はスターナ王国よりも領土も広い、資源にも恵まれた豊かな国じゃ。スティファニー王国の王太子となって、堂々と公爵令嬢シャルルに求婚したくはないか?」
この一言は効いた。
王太子になれば、次は僕が命を狙われるかもしれない。
でも…王太子になれば、堂々とシャルルに求婚できる…!
「…私でよければ、このお話、受けさせていただきます。全身全霊で、王様を守り続けることを誓います」
言ってしまった。
もう、後戻りは出来ない。
「よく言った、サファーロ! 可愛いわしの息子!」
王様は、全力で僕を抱きしめた。
シャルルやモーリス、エミリーも、僕が王太子になることを祝福してくれているようだ。
モーリスは感涙しながら「サファーロ様、おめでとうございます!」と叫んで万歳三唱を始めるし、シャルルとエミリー、侍女たちは拍手してくれた。
よし。これからもっと、がんばるぞ!
祝福ムードに流されていたが、それより、もっと急ぐことがあった!
「王様、白竜の宝玉を貸していただけませんか? シャルルのおばあさまに速く届けたいのです」
「おおっ、そうじゃった! これじゃ!」
王様のベッドの横に、立派な敷物に乗った宝玉が赤く輝いていた。
「では、お借りします。シャルル、行こう。モーリスとエミリーさんは王様を護衛してくれ」
扉の外には、10人の護衛騎士もいる。
それでも、なるべく速く宮殿へ戻ろうと思っていた。
瞬間移動で、おばあさまの家へ。
大急ぎで、おばあさまの部屋へと走った。
間に合ってくれ!!
結局、宮殿内には30人もの共犯者が居たが、後は取調官たちに任せることにした。
…随分、魔力を使ったな…。ふらつく体で壁にもたれる。
こんなことが、毎日続くのかもしれない。
僕に王様を守り抜くことなんて出来るのだろうか…。
一抹の不安を感じながら、王の部屋へと戻った。
毒が抜け、すっかり元気になった王様は、シャルル、エミリー、モーリスと一緒にテーブルで紅茶とお菓子を楽しんでいた。すこぶる上機嫌だ。
「おおっ! ご苦労であった! そなたもここへ座れ!」
「はい」
殺される寸前だったとは思えないような明るさだ。
元気になってくれて、良かった。
「モーリスから、そなたの話を聞いていたのだが、そなたスターナ王国のペリゴール辺境伯爵の次男だそうだな?」
「はい」
「母の名は?」
「マーガレットです」
「そうか…」
にやりと王様が笑った。
な…なんだ? その不敵な笑いは?
「実はな、マーガレットは、私の父である前王の側室の娘。スターナ王国に遊学中に、そなたの父と恋に落ちたのだ。側室の子ではなく、貴族の娘として嫁ぎたいと言うので、結婚前にとある侯爵家に籍を移し、侯爵令嬢として嫁がせた。つまり、そなたには、わしと同じ王族の血が流れているのだよ」
えぇ~~~~~~~っ!?
「わしの後継者だった一人息子は事故死。王座を狙っているのは、わしに毒を盛るような輩だ。
そこでだ! サファーロ、そなたをこの国の王太子に擁立する。わしや妃を悪い輩から守りながら、いずれ王座を継いでほしい」
「僕が王太子…ですか?」
あまりの急展開に、茫然とする。
「我がスティファニー王国は実力主義の国じゃ! 王の危機を救わなかった王族らに、王座を譲るものか! 王族会議で必ずやそなたのことを認めさせてみせる! 前王の血を引いているのだ。弱気になることはない!」
僕は王太子になると承諾していないのに、どんどん話が進んでいる。
「心配するな! 分からないことは、わしが全て教える」
「ですが…」
「スティファニー王国はスターナ王国よりも領土も広い、資源にも恵まれた豊かな国じゃ。スティファニー王国の王太子となって、堂々と公爵令嬢シャルルに求婚したくはないか?」
この一言は効いた。
王太子になれば、次は僕が命を狙われるかもしれない。
でも…王太子になれば、堂々とシャルルに求婚できる…!
「…私でよければ、このお話、受けさせていただきます。全身全霊で、王様を守り続けることを誓います」
言ってしまった。
もう、後戻りは出来ない。
「よく言った、サファーロ! 可愛いわしの息子!」
王様は、全力で僕を抱きしめた。
シャルルやモーリス、エミリーも、僕が王太子になることを祝福してくれているようだ。
モーリスは感涙しながら「サファーロ様、おめでとうございます!」と叫んで万歳三唱を始めるし、シャルルとエミリー、侍女たちは拍手してくれた。
よし。これからもっと、がんばるぞ!
祝福ムードに流されていたが、それより、もっと急ぐことがあった!
「王様、白竜の宝玉を貸していただけませんか? シャルルのおばあさまに速く届けたいのです」
「おおっ、そうじゃった! これじゃ!」
王様のベッドの横に、立派な敷物に乗った宝玉が赤く輝いていた。
「では、お借りします。シャルル、行こう。モーリスとエミリーさんは王様を護衛してくれ」
扉の外には、10人の護衛騎士もいる。
それでも、なるべく速く宮殿へ戻ろうと思っていた。
瞬間移動で、おばあさまの家へ。
大急ぎで、おばあさまの部屋へと走った。
間に合ってくれ!!
0
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜
みおな
恋愛
転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?
だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!
これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?
私ってモブですよね?
さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから
gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる