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もふもふの銀猫

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「おはよぉ…………」

「おはよ、涙。」

最近涙が俺の名前を呼ぼうとしない。

それも、明らかに不自然な形でだ。

今まで、『君』なんて使わなかったのにそう呼び始めてしまった。

「なぁ、今日もまだ飲まなきゃいけないのか?」

「だ~め、これで最後だから
きちんと飲みなさい。」

「オカンみたい…。
わかったよ……んっ……ゴク…うぇっ……」

「しょっぱい?」

俺は静かに頷く。

「………………んっ、ちゅっ…」

「……ちょっ、しょっぱいよ~」

「ねぇ…………名前。
呼んでくんないの…なんで?」

「…………。
じゃあ、呼んだげる。」

耳元にかかる息。
息を吸うお音が聞こえる。

「………………水葵。」

「……んっ…………やっと、呼んだ。」

「ふふ、呼んで欲しかったのかぁ……
やっぱりデレさせるには、押してばかりじゃダメだね~」

「っ……計算してやがったのかぁ……」

「おぉ怒んないでよっ…」

いつものように、頬を掴んで伸ばしてやろうと思った俺の手を涙は制した。

制した手のひらには、マジックペンで落書き(?)のようなものがしてあった。

あんまり見えなかったため、何が書かれていたのかは全くわからなかった。

「ちょっと、涙。手のひらなんて書いてあるんだ?」

「えっ、ちょっ……ちょっと」

「…………俺の名前…しかも平仮名で……なんでこんな書いてあるんだ?キモイな」

「ひどぉ~い!僕は昨日水葵の名前を読み間違えたことがショックだったんだ…」

「そうかそうかぁ…手を洗ってこような?」

「…………。」

「洗ってこような!?」

「…………はい。」

何故そんなに俺の名前を手のひらから消したくないのか。

理由はよく分からんが、なんか…愛されてる感はするからいいや。

「あぁ、手を洗うついでに、これさっきのコップ洗面所に頼む。」

「………………はい。」

なにか、すごい気を落としている気がする

ガシャン。

(!?)

大きな音を立て涙が下に落としたコップは割れてしまった。

「涙!! 大丈夫か?破片とかで……怪我…とか…」

「…………………………。」

涙はキョロキョロと部屋を見回す。

破片を探しているのだろうか。

いや、違う。

何か…おかしい。


「………………ここは、一体…」


「え?」
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