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バーゲンに来たはずだったのに? その3
しおりを挟む「ダチョウ子さん、ツルツルよ~~っ!」
「カンガルー美さんこそ、ツルツルツルリンじゃないの!」
「どうして床屋で、全身剃毛されてるのよ!」
「カニ彦さんの、チョッキンナ~♪の歌を聴いてたら、泡も温かいし気持ちよくて眠くなってきて、うたたねしちゃったのよ!
まさか全身ツルツルになってるなんて思わなかったわよ~~!!」
超熟睡系のダチョウ子さんとカンガルー美さんなのでした。
「北風が素肌に直撃して寒いわっ!
早く帰って温まらないと風邪ひいちゃう!」
「まぁ! なら私の上着を貸してあげるわ。外出時はポケットに色々入れてるのよ~。忘れてたわ~」
カンガルー美さんはお腹の大きなポケットから、暖かそうな上着を貸してくれました。
ついでにセーターを出して、カンガルー美さんも着ることにしました。
ポケットの中には、上着とセーターの他にも、お菓子や飲み物、折り畳み傘、割引切符なども入っていて、いつでも遠足に行けそうです。
「ダチョウ子さん。まるでこれから、鳥の丸焼きになる準備OKみたいに見えるわ」
「そぉね~。お惣菜屋さんの前を通ったら店主に捕獲されちゃうかも!」
ダチョウ子さんが笑いながら冗談を言うと、
カンガルー美さんは、お腹が空いたような表情で涎を垂らし、ダチョウ子さんを見つめるのでした。
うっすら身の危険を感じるダチョウ子さん。
「ちょっと! カンガルーは草食のはずでしょ? 目を覚ますのよ!」
ダチョウ子さんに激を飛ばされ、はっと我に返るカンガルー美さん。
「そういえばそうだったわ! すっかり忘れちゃってたわ!」
「そこは今、一番重要なとこよ!」
「そうね。私ったら、つい食欲に走って」
「暴走禁止よ」
危うく鳥の丸焼きの危機を免れたダチョウ子さん。
ホッとしたのも束の間。
「はっくしゅん!」
カンガルー美さんがくしゃみをしました。なんだか寒そうです。
「大丈夫? 風邪?」
優しいダチョウ子さんは、カンガルー美さんをおぶって家まで送り届けました。
カンガルー美さんの家は、森の奥にある可愛いレンガ造りの平屋のおうちでした。
ダチョウ子さんは、カンガルー美さんをベッドに寝かせ、濡れタオルを頭に乗せると、
しゃがみこんで卵を産み始めました。直径17㎝のとても大きな卵です。
「カンガルー美さん、この卵を食べて。
とても栄養があるし、風邪なんてすぐ治っちゃうわ!」
「ダチョウ子さん…ありがとう!」
ふたりは仲良く微笑み合いました。
バーゲンセールは空振りだったけど、ふたりの友情は深まったようです。
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