上 下
87 / 103

さすらいの必殺○○!

しおりを挟む



 ルンタッタ♪ ルンタッタ♪

 くるくるくるりん♪と子リスちゃんたちが輪になって踊っているわ。

 なんて可愛いのかしら♪

 美味しい木の実がたくさん実りそうなので嬉しいのね。

 カイル父のレオンさんが開発した年中木の実が実る新種の木を、泉の森に植えたら皆大喜び。

 木の周りでコロコロ太った子リスちゃんたちがくるくる踊っていると、それを狙っているようなハイエナ軍団が現れたの。

 子リスちゃんたちはまだ気付いていないわ。

 ハイエナ軍団がじりじりと距離を詰めていったとき、


 ヒュン! ヒュン! ヒュン!!

 細長く黄色いものが、ハイエナたち目掛けて飛んできたの。


「「「だっ、誰だ!?」」」
 なんとかよけたハイエナ軍団が振り返ると、

 チャララ~、チャッチャッチャッチャッチャッチャッ、チャララ~!
 ジャカジャ~ン! 

 という、どこかで聞いた渋いBGMと共に現れた──

「可愛い子リスちゃんたちを食っちまおうなんて、許さねぇぜ!」
 と、啖呵を切る1本の木。
 渋い着物と草履姿。頭部の枝はちょんまげの形になってるし、さては時代劇マニアね?

「おっ、お前はもしかして、あの、噂の──」
「夏場、大人気で引っ張りだこというお手軽メニューの──」
 ハイエナたちが後ずさっているわ。

「ふふふ。俺は夏場だけは大人気! ゴマダレ味とレモン醤油味、どちらにするんだ!」

 とうっ!
 麺の木は高くジャンプすると、黄色く細長い麺を魔法で茹で始めた!

「さっきの細長い黄色いものは、中華麺だったのか! 
 くそぅ、当たっても痛くなかったのに思いっきり逃げちゃったじゃないか!」
 くやしがるハイエナ軍団たち。

 麺の木は茹でた麺を魔法で水もみ、氷で絞めて、大皿に盛ると、
 宙を舞うように次々と、錦糸卵、刻みハム、刻みキュウリ、スライストマト、レタスたちがトッピング!

「必殺! 冷やし中華だ!」

 突如、森の中に燦然と現れた、出来立てホヤホヤの冷やし中華にハイエナ以外の森の皆も大喜び♪

 うぉぉぉぉぉぉ~!

「麺が伸びるまえに食べるんだっ!」
「子リスちゃんを狙っている場合ではないっ!」
「は、早く、ゴマダレをかけてくれ~~~っ!」
 早く食べたくて懇願するハイエナたち!

 麺の木が、ドヤ顔でゴマダレを振りかけると、

「「「わ~~い! いっただっきま~~す!!」」」
 大喜びで冷やし中華に群がるハイエナ&森の動物たちでした。

「「「麺の木さん、ありがとう~!」」」
 感謝の舞を踊るかわいい子リスちゃんたちに、爽やかな笑顔を向け、

「達者でな!」
 時代劇大好きな麺の木は、1杯の冷やし中華で森の平和を守ったのでした♪
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

〈とりあえずまた〆〉婚約破棄? ちょうどいいですわ、断罪の場には。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
辺境伯令嬢バルバラ・ザクセットは、第一王子セインの誕生パーティの場で婚約破棄を言い渡された。 だがその途端周囲がざわめき、空気が変わる。 父王も王妃も絶望にへたりこみ、セインの母第三側妃は彼の頬を打ち叱責した後、毒をもって自害する。 そしてバルバラは皇帝の代理人として、パーティ自体をチェイルト王家自体に対する裁判の場に変えるのだった。 番外編1……裁判となった事件の裏側を、その首謀者三人のうちの一人カイシャル・セルーメ視点であちこち移動しながら30年くらいのスパンで描いています。シリアス。 番外編2……マリウラ視点のその後。もう絶対に関わりにならないと思っていたはずの人々が何故か自分のところに相談しにやってくるという。お気楽話。 番外編3……辺境伯令嬢バルバラの動きを、彼女の本当の婚約者で護衛騎士のシェイデンの視点から見た話。番外1の少し後の部分も入ってます。 *カテゴリが恋愛にしてありますが本編においては恋愛要素は薄いです。 *むしろ恋愛は番外編の方に集中しました。 3/31 番外の番外「円盤太陽杯優勝者の供述」短期連載です。 恋愛大賞にひっかからなかったこともあり、カテゴリを変更しました。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!

幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23  女性向けホットランキング1位 2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位  ありがとうございます。 「うわ~ 私を捨てないでー!」 声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・ でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので 「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」 くらいにしか聞こえていないのね? と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~ 誰か拾って~ 私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。 将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。 塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。 私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・  ↑ここ冒頭 けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・ そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。 「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。 だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。 この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。 果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか? さあ! 物語が始まります。

処理中です...