86 / 103
勝負〇〇〇? その2
しおりを挟む
全力疾走してきた怪力ゴリ子さんは勝負パンツを引ったくりながら、勢い止まらず、私とカイルにぶつかってきた。
空高く飛ばされてゆく私とカイル。
さすがに悪いと思ったのか、ゴリ子さんは空中から落ちてくる私とカイルを地上で待ってキャッチしてくれた。
「ごめんね~~!走ってきた勢いで突然止まれなくて飛ばしちゃって!」
ゴリ子さんは平身低頭だ。
「大丈夫よ、これくらい」
こんなことは異世界では日常茶飯事だし。
「勝負パ〇ツだから、ちょっと恥ずかしかったのよ」
「わかるわ」
丁寧に勝負パ〇ツを畳み始めるゴリ子さん。
でも、クッションカバー並みの45㎝くらいはありそうだし、勝負パ〇ツにしては大きめ?
いやでも、ゴリ子さんは身長3m以上はありそうだし、異世界のアイスゴリラ女子の間では最近は大きめが流行っているのかも?
そして、椅子の背にくくりつける紐かと思ってたけど…もしかして、紐パン?
あっ、想像しちゃだめよ私。
「ねぇ、勝負パ〇ツって、何?」
カイルが天使のような無垢な表情で訊いてくる。
カイル…なんて答えにくいことを訊くの。
6歳児はまだ知らなくていいことなのよ?
「カイルくん、ルカちゃんが教えてくれると思うわよ。じゃあね~。拾ってくれて、ありがとうね~」
ゴリ子さんは頬を染め、そそくさと退散していった。
丸投げか~い!
カイルが期待でキラキラした瞳で私を見つめているわ。
どうしましょう。
「勝負パ〇ツって言うくらいだから、履くと勝負に強くなるのかな?」
と、カイルが言うので、
「そうね。そうなんじゃない?」
ということにしておいた。
帰宅後。
元気よく玄関の扉を開けるカイル。
「ただいま~!」
笑顔で出迎えてくれるカイル父母。
「おかえり~! カイル、ルカ」
カイル父のイケメンレオンさんが、私たちをぎゅ~っと愛情一杯に抱きしめてくれる。
「可愛い子供たちよ~! 今日も楽しかったか?」
「うんっ! パパ、僕も勝負パンツ欲しい!」
無邪気なカイルのおねだりに、カイル父母は盛大にズッコケた!
「な…なんでそんな物が欲しいんだ?」
なんとかよろよろと立ち上がり、とりあえず理由を訊くカイル父。
「実はですね、今日、ゴリ子さんの勝負パ〇ツを拾ってしまい、なぜか、カイルは勝負パ〇ツを履けば強くなれると思い込んでしまったんです」
代わりに私が言い訳すると、
「えっ? そうだって、ルカ言ってたよね? 本当は違うの?」
カイルの無垢な視線が痛いわ。
「うん。実は違うの。ごめんね、詳しく言えなくて」
状況をだいたい察したレオンさんが、カイルを説得する。
「カイル。勝負パ〇ツの力に頼って、勝負に強くなったとしても、それは本当の実力ではない。勝負パ〇ツになど頼らず、己の努力と根性で強くなってほしいと、パパは思うぞ」
「…パパ! そうだね。僕が間違ってたよ。勝負パ〇ツで強くなってルカにカッコイイと思われたいだなんて、そんな楽しちゃダメだよね。僕、地道に頑張るよ!」
「カイル!」
「パパ~!」
ひしっと抱きしめ合う、溺愛親子。
とても美しい光景なのだけど、ひとつだけ腑に落ちないことが…。
私は勝負パ〇ツ姿のカイルをカッコイイと思う特殊な趣味は無いのよ~!(汗)
空高く飛ばされてゆく私とカイル。
さすがに悪いと思ったのか、ゴリ子さんは空中から落ちてくる私とカイルを地上で待ってキャッチしてくれた。
「ごめんね~~!走ってきた勢いで突然止まれなくて飛ばしちゃって!」
ゴリ子さんは平身低頭だ。
「大丈夫よ、これくらい」
こんなことは異世界では日常茶飯事だし。
「勝負パ〇ツだから、ちょっと恥ずかしかったのよ」
「わかるわ」
丁寧に勝負パ〇ツを畳み始めるゴリ子さん。
でも、クッションカバー並みの45㎝くらいはありそうだし、勝負パ〇ツにしては大きめ?
いやでも、ゴリ子さんは身長3m以上はありそうだし、異世界のアイスゴリラ女子の間では最近は大きめが流行っているのかも?
そして、椅子の背にくくりつける紐かと思ってたけど…もしかして、紐パン?
あっ、想像しちゃだめよ私。
「ねぇ、勝負パ〇ツって、何?」
カイルが天使のような無垢な表情で訊いてくる。
カイル…なんて答えにくいことを訊くの。
6歳児はまだ知らなくていいことなのよ?
「カイルくん、ルカちゃんが教えてくれると思うわよ。じゃあね~。拾ってくれて、ありがとうね~」
ゴリ子さんは頬を染め、そそくさと退散していった。
丸投げか~い!
カイルが期待でキラキラした瞳で私を見つめているわ。
どうしましょう。
「勝負パ〇ツって言うくらいだから、履くと勝負に強くなるのかな?」
と、カイルが言うので、
「そうね。そうなんじゃない?」
ということにしておいた。
帰宅後。
元気よく玄関の扉を開けるカイル。
「ただいま~!」
笑顔で出迎えてくれるカイル父母。
「おかえり~! カイル、ルカ」
カイル父のイケメンレオンさんが、私たちをぎゅ~っと愛情一杯に抱きしめてくれる。
「可愛い子供たちよ~! 今日も楽しかったか?」
「うんっ! パパ、僕も勝負パンツ欲しい!」
無邪気なカイルのおねだりに、カイル父母は盛大にズッコケた!
「な…なんでそんな物が欲しいんだ?」
なんとかよろよろと立ち上がり、とりあえず理由を訊くカイル父。
「実はですね、今日、ゴリ子さんの勝負パ〇ツを拾ってしまい、なぜか、カイルは勝負パ〇ツを履けば強くなれると思い込んでしまったんです」
代わりに私が言い訳すると、
「えっ? そうだって、ルカ言ってたよね? 本当は違うの?」
カイルの無垢な視線が痛いわ。
「うん。実は違うの。ごめんね、詳しく言えなくて」
状況をだいたい察したレオンさんが、カイルを説得する。
「カイル。勝負パ〇ツの力に頼って、勝負に強くなったとしても、それは本当の実力ではない。勝負パ〇ツになど頼らず、己の努力と根性で強くなってほしいと、パパは思うぞ」
「…パパ! そうだね。僕が間違ってたよ。勝負パ〇ツで強くなってルカにカッコイイと思われたいだなんて、そんな楽しちゃダメだよね。僕、地道に頑張るよ!」
「カイル!」
「パパ~!」
ひしっと抱きしめ合う、溺愛親子。
とても美しい光景なのだけど、ひとつだけ腑に落ちないことが…。
私は勝負パ〇ツ姿のカイルをカッコイイと思う特殊な趣味は無いのよ~!(汗)
0
お気に入りに追加
757
あなたにおすすめの小説
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
〈とりあえずまた〆〉婚約破棄? ちょうどいいですわ、断罪の場には。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
辺境伯令嬢バルバラ・ザクセットは、第一王子セインの誕生パーティの場で婚約破棄を言い渡された。
だがその途端周囲がざわめき、空気が変わる。
父王も王妃も絶望にへたりこみ、セインの母第三側妃は彼の頬を打ち叱責した後、毒をもって自害する。
そしてバルバラは皇帝の代理人として、パーティ自体をチェイルト王家自体に対する裁判の場に変えるのだった。
番外編1……裁判となった事件の裏側を、その首謀者三人のうちの一人カイシャル・セルーメ視点であちこち移動しながら30年くらいのスパンで描いています。シリアス。
番外編2……マリウラ視点のその後。もう絶対に関わりにならないと思っていたはずの人々が何故か自分のところに相談しにやってくるという。お気楽話。
番外編3……辺境伯令嬢バルバラの動きを、彼女の本当の婚約者で護衛騎士のシェイデンの視点から見た話。番外1の少し後の部分も入ってます。
*カテゴリが恋愛にしてありますが本編においては恋愛要素は薄いです。
*むしろ恋愛は番外編の方に集中しました。
3/31
番外の番外「円盤太陽杯優勝者の供述」短期連載です。
恋愛大賞にひっかからなかったこともあり、カテゴリを変更しました。
転生王女は現代知識で無双する
紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。
突然異世界に転生してしまった。
定番になった異世界転生のお話。
仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。
見た目は子供、頭脳は大人。
現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。
魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。
伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。
読んでくれる皆さまに心から感謝です。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる