26 / 103
ダンジョン2階
しおりを挟む
「カイル、怖いっ!」
思わず、カイルの腕にしがみついてしまう私。
「可愛いなぁ、ルカは…」
さりげなく私を抱き寄せるカイル。
ゾンビの群れに囲まれているというのに、いちゃついてる場合ではない!
その時、1階の宝箱で高級焼肉食べ放題券をゲットした大会参加者が、鼻歌を歌いながら2階への階段を上がってきた。
ごきげんなのだが、おそろしく音痴だった。
『ううっ…』
『ぐおぉぉ…』
振り向くと、ゾンビたちが悶え苦しんでいる。
まるで、ジャイ〇ンの歌を聞かされたかのように、手で耳を塞いで震えている。倒れている。気絶している?
ゾンビの弱点は、音痴だったのか!
「ルカ、今のうちに行くぞ!」
「うん!」
私とカイルは、うずくまるゾンビを避けながら通路を素早く駆け抜けた。
「ふんふふんふふ~ん♪ボヘ~♪」
ご機嫌で2階に辿りついた超音痴の大会参加者は、悶えるゾンビの大群に腰を抜かす。
「ヒョエ~~~ッ!!」
音痴な歌が止んだことで、元気を取り戻したゾンビたちに恐れをなし、彼は1階へと逃げ戻っていったのだった。
その頃、2階の大きな扉の前に辿りついた私とカイルは、重厚な石の扉をゆっくりと押し開けていた。
部屋の中にはレッドカーペットが敷かれており、石の壁には小さな光が一列に並んで瞬き、薄暗い部屋の中を仄かに照らしていた。
レッドカーペットの先には、角を生やした仮面の男が豪華な椅子に腰かけていた。
軍服のような服装で、長い脚を組み、黒いマントを着けていて、腰には剣を佩いている。
まるで、魔王のような迫力のある黒いオーラを放っていた。
彼はやがて、厳かな声で話し始める。
「…よく、あのゾンビの群れをかわせたな」
音痴のおかげで、とも言えず黙っていると、
「では、私と戦って、私に勝てたら、3階への階段の場所を教えてやろう。勝負は何がよいかね?」
思わず、カイルの腕にしがみついてしまう私。
「可愛いなぁ、ルカは…」
さりげなく私を抱き寄せるカイル。
ゾンビの群れに囲まれているというのに、いちゃついてる場合ではない!
その時、1階の宝箱で高級焼肉食べ放題券をゲットした大会参加者が、鼻歌を歌いながら2階への階段を上がってきた。
ごきげんなのだが、おそろしく音痴だった。
『ううっ…』
『ぐおぉぉ…』
振り向くと、ゾンビたちが悶え苦しんでいる。
まるで、ジャイ〇ンの歌を聞かされたかのように、手で耳を塞いで震えている。倒れている。気絶している?
ゾンビの弱点は、音痴だったのか!
「ルカ、今のうちに行くぞ!」
「うん!」
私とカイルは、うずくまるゾンビを避けながら通路を素早く駆け抜けた。
「ふんふふんふふ~ん♪ボヘ~♪」
ご機嫌で2階に辿りついた超音痴の大会参加者は、悶えるゾンビの大群に腰を抜かす。
「ヒョエ~~~ッ!!」
音痴な歌が止んだことで、元気を取り戻したゾンビたちに恐れをなし、彼は1階へと逃げ戻っていったのだった。
その頃、2階の大きな扉の前に辿りついた私とカイルは、重厚な石の扉をゆっくりと押し開けていた。
部屋の中にはレッドカーペットが敷かれており、石の壁には小さな光が一列に並んで瞬き、薄暗い部屋の中を仄かに照らしていた。
レッドカーペットの先には、角を生やした仮面の男が豪華な椅子に腰かけていた。
軍服のような服装で、長い脚を組み、黒いマントを着けていて、腰には剣を佩いている。
まるで、魔王のような迫力のある黒いオーラを放っていた。
彼はやがて、厳かな声で話し始める。
「…よく、あのゾンビの群れをかわせたな」
音痴のおかげで、とも言えず黙っていると、
「では、私と戦って、私に勝てたら、3階への階段の場所を教えてやろう。勝負は何がよいかね?」
13
お気に入りに追加
751
あなたにおすすめの小説
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
〈とりあえずまた〆〉婚約破棄? ちょうどいいですわ、断罪の場には。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
辺境伯令嬢バルバラ・ザクセットは、第一王子セインの誕生パーティの場で婚約破棄を言い渡された。
だがその途端周囲がざわめき、空気が変わる。
父王も王妃も絶望にへたりこみ、セインの母第三側妃は彼の頬を打ち叱責した後、毒をもって自害する。
そしてバルバラは皇帝の代理人として、パーティ自体をチェイルト王家自体に対する裁判の場に変えるのだった。
番外編1……裁判となった事件の裏側を、その首謀者三人のうちの一人カイシャル・セルーメ視点であちこち移動しながら30年くらいのスパンで描いています。シリアス。
番外編2……マリウラ視点のその後。もう絶対に関わりにならないと思っていたはずの人々が何故か自分のところに相談しにやってくるという。お気楽話。
番外編3……辺境伯令嬢バルバラの動きを、彼女の本当の婚約者で護衛騎士のシェイデンの視点から見た話。番外1の少し後の部分も入ってます。
*カテゴリが恋愛にしてありますが本編においては恋愛要素は薄いです。
*むしろ恋愛は番外編の方に集中しました。
3/31
番外の番外「円盤太陽杯優勝者の供述」短期連載です。
恋愛大賞にひっかからなかったこともあり、カテゴリを変更しました。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
他人の人生押し付けられたけど自由に生きます
鳥類
ファンタジー
『辛い人生なんて冗談じゃ無いわ! 楽に生きたいの!』
開いた扉の向こうから聞こえた怒声、訳のわからないままに奪われた私のカード、そして押し付けられた黒いカード…。
よくわからないまま試練の多い人生を押し付けられた私が、うすらぼんやり残る前世の記憶とともに、それなりに努力しながら生きていく話。
※注意事項※
幼児虐待表現があります。ご不快に感じる方は開くのをおやめください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる