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【続編②】海③
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程なくして、目的地に辿り着いた。
「うわぁ、すごい。」
目の前に広がるエメラルドグリーンの海に空は目を輝かせた。
こんなに大きな砂浜なのに、人は一人もおらず、さざ波が寂しげに耳に響いた。
「ここの海は綺麗だろう。」
「こんなに綺麗な海、見た事ない。ここって日本なんですか?」
クヌギは少し考えてから答えた。
「日本ではないよ。あのオークションの日、そのまま自家用のヘリですぐに日本を出た。ここは富豪達が住む小さな島国さ。」
「…そっか…。」
空は俯いた。
薄々は感じていた。
遠いところに連れてこられていた事を。
レオやみんなと遠く離れてしまった事が決定的になり、寂しさに空の胸は締め付けられた。
「謝ってもどうにもならないが、すまないとは思っている。こんな事しても何にもならないが、これはほんのお詫びだ。」
「これって…?」
「見てごらん。」
言われて、俯いていた顔を上げた。
「…綺麗」
夕日が沈んで、水面がキラキラと黄金色に輝いていた。
クヌギが日が沈む時間を見計らって連れてきてくれたのだろう。
「そうだろ?ここの景色が気に入って、俺はここに住むことに…空?」
「…っ、ひっく…」
空は、溢れ出る涙を堪えられなかった。
目の前に広がる景色があまりにも綺麗なせいか、色々な思いが込み上げた。
ここから逃げ出すとか、元の生活に戻るとか、もう無理なんだと空は実感した。
自分は、こんなに遠くまで来てしまった。
もし逃げられたところで元の国には戻れないし、帰れたところで結局また捕まる。
悲しいけど、クヌギの言う通り、ここで暮らすのが良いのかもしれない。
「空、改めて言う。ここで一緒に暮らそう。昨日みたいに空に何かあったら必ず助ける。」
クヌギは、自分の胸元にある空の小さな頭をそっと撫でた。
「うぅ…ぐすっ…」
空は、何も言葉に出来ず、ただ涙を流していた。
「うわぁ、すごい。」
目の前に広がるエメラルドグリーンの海に空は目を輝かせた。
こんなに大きな砂浜なのに、人は一人もおらず、さざ波が寂しげに耳に響いた。
「ここの海は綺麗だろう。」
「こんなに綺麗な海、見た事ない。ここって日本なんですか?」
クヌギは少し考えてから答えた。
「日本ではないよ。あのオークションの日、そのまま自家用のヘリですぐに日本を出た。ここは富豪達が住む小さな島国さ。」
「…そっか…。」
空は俯いた。
薄々は感じていた。
遠いところに連れてこられていた事を。
レオやみんなと遠く離れてしまった事が決定的になり、寂しさに空の胸は締め付けられた。
「謝ってもどうにもならないが、すまないとは思っている。こんな事しても何にもならないが、これはほんのお詫びだ。」
「これって…?」
「見てごらん。」
言われて、俯いていた顔を上げた。
「…綺麗」
夕日が沈んで、水面がキラキラと黄金色に輝いていた。
クヌギが日が沈む時間を見計らって連れてきてくれたのだろう。
「そうだろ?ここの景色が気に入って、俺はここに住むことに…空?」
「…っ、ひっく…」
空は、溢れ出る涙を堪えられなかった。
目の前に広がる景色があまりにも綺麗なせいか、色々な思いが込み上げた。
ここから逃げ出すとか、元の生活に戻るとか、もう無理なんだと空は実感した。
自分は、こんなに遠くまで来てしまった。
もし逃げられたところで元の国には戻れないし、帰れたところで結局また捕まる。
悲しいけど、クヌギの言う通り、ここで暮らすのが良いのかもしれない。
「空、改めて言う。ここで一緒に暮らそう。昨日みたいに空に何かあったら必ず助ける。」
クヌギは、自分の胸元にある空の小さな頭をそっと撫でた。
「うぅ…ぐすっ…」
空は、何も言葉に出来ず、ただ涙を流していた。
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