狂宴〜接待させられる美少年〜

【続編②】マリーゴールド②

クヌギの出した条件のひとつはこうだった。

『外出は一切禁止。買いたいものがあれば俺が手配する。スマートフォンも没収する。悪いが、友達や恋人との連絡は今後一切遮断させてもらうよ。今日から新しい生活が始まると思って、今までのものは捨ててほしい。一応伝えておくが、ここのセキュリティはデータセンター並だ。逃げ出そうなどと考えない事だよ。』

それを聞いた空は言った。

『それって監禁ですよね…！結局、今までと変わらない！僕は贅沢な暮らしなんていらない。お願いだから、僕を解放して下さい！』

『空。俺は君を買ったんだ。君に選択肢はないよ。逃げ出すことも出来ない。君は俺に従うしかないんだ。頭のいい君ならわかると思うけど。』

『そんな…』

絶望に打ちひしがれた空は目に涙を浮かべる。

すると、あろうことか、クヌギは空の泣き顔を写真に撮ったのだ。

『な、なに…？』

空は慌てて涙を拭い、聞き返す。

『空の泣き顔がとても可愛らしいからさ。是非1枚撮っておきたかったんだよ。俺は写真家だ。と言っても数ある職業のうちのひとつだけどね。そして、それが2つ目の条件に関連する。』

クヌギの2つ目の条件はこうだった。

『俺は、美少年を被写体に写真や動画を撮影している。そして、それを会員制のSNS"フェアリーブラック"に投稿している。写真や動画の閲覧には課金が必要だ。単純に少年の裸体やセックスの動画を載せる人は沢山いるが、俺はそういう露骨で芸術性の欠けらも無いものは載せない。写真家として、少年の肉体美を芸術的に撮影し、それを載せている。更に質のいい少年を集めるために、オークションに足を運び、買った少年を被写体とする。』

クヌギは窓際へゆっくりと歩を進めると、タバコに火をつけた。

『美少年であればある程、露出が多ければ多いほど、閲覧数が多くなるのは想像に難くないだろう。つまり、そうであればある程、収益になるんだ。俺は、高額で美しい少年を手に入れ、その美とエロを極限に引き出すように撮影をし、"フェアリーブラック"に投稿する。そのお陰で、この闇のSNS上で、俺の作品の閲覧数はトップクラスだ。ユーザーもオークションに足を運ぶような、金だけはある孤独な変態共さ。金額を吊り上げれば、彼らは美少年達の淫靡な姿見たさに、高額を積んでくれる。ただ、最近は少々頭打ちになっていたんだ。そこで、見つけたのが空だったという事だ。』

クヌギはタバコの煙をゆっくりと吐き出して続けた。

『長くなったけど、つまるところ、君はここに住む。そして、俺の作品の被写体になる。勿論拒否権はない。空を見た時に、鳥肌が立ったよ。この子だ。俺の最高傑作を作り上げるには、この子しかいない、ってね。1億などという大金を投げ打ってでも手に入れたかった。今までの被写体だった少年達も美しかったが、空の比ではないよ。空には美しさだけでない神秘的な魅力がある。だから、今までの被写体であった少年達はオークションに売る事にした。これからは、空。君だけが俺の作品になるんだ。』