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(日常小話)イルミネーション②

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僕らは観覧車に乗り込んだ。

「観覧車なんて久しぶりに乗ったよ。そんなに混んでなくてよかったね…って、ひよしさん?」

ひよしさんは何故か向かい側のシートの端っこで小さくなっていた。

「な、なんだよ。空。」

え、なんか声震えてるけど…

「どうしたの?具合悪い?」

僕は心配になって聞いた。

「…なんでだよ」

「だって、様子がおかしいよ?」

「そ、そうか?」

少しの沈黙のあと、僕が言った。

「もしかして、高いところ怖いの?」

図星だったみたいだ。

ひよしさんがギクリという顔をした。

「チッ、バレたか…。おま、何笑ってんだよ!」

「ぷっ…くす、だって…っ」

いつも態度の大きいひよしさんが、ちっちゃくなって小刻みに震えてるのが可愛いすぎて、思わず笑っちゃった。

「お前、お仕置きすんぞ」

「あ、動くと観覧車揺れるよ?」

「チッ、空のくせに…」

ひよしさんの弱点を見つけた僕は、楽しくて仕方なかった。

逆にひよしさんはすっごく不服そうだったけど。

「ところで、さっきから気になってたけど、その紙袋、何が入ってるんだ?」

ひよしさんが、僕が持っている紙袋を指差して言った。

「あ、そうだった。はい、クリスマスプレゼント」

僕は、紙袋ごとひよしさんに渡した。

「おぉ、まじか!さんきゅ。開けていいか?」

「うん」

中を開けるとマフラーが出てきた。

ひよしさんに内緒で、バイト代を溜めて買ったんだ。

ひよしさんが好きそうな柄を選んだつもり。

喜んでくれるかなぁ。

「うわー…まじか…」

え、なにそのリアクション。

「…マフラー、いらなかった?」

不安になって僕が聞くと、ひよしさんが慌てたように言った。

「いや、わりぃ!マフラーはすげぇ嬉しいよ。ただ…」

ひよしさんは鞄の中をガサゴソとあさり始め、あるものを僕に手渡しながら言った。

「かぶっちまったなぁって思ってさ」

「え、これ…」

マフラーだった。

ひよしさんも僕の為に内緒でマフラーを選んでくれていたんだ。



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