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その12
しおりを挟む聞き覚えがあるけど色のついた声と
生々しい音が暗い部屋に充満していました。
AVの音声だけを聞かされているような状況ですが、その人物を知っているだけに
中村だけではなく小林さんもげんなりし
暗闇で増される想像力がそれを増加させているのでしょう
中村は録音機能のアプリを作動させ、スチールの棚に置くと
身動きしない段ボールの隙間へとゆっくり移動したのです
その気配は、2人のまぐわいに紛れ、段ボールをそぉーっと避けるまで小林さんに気付かれる事はありませんでした。
気配なく段ボールが避けられた事に驚きましたが、息を吸うようにハッとしたので、声は出さずに済みました。
ゆっくり隣に座る気配は、間違いなく中村さんなのでしょう
彼が身を落ち着かせると、暗闇に慣れた目が、それを確実に捉えます
いろんな気まずさで目を逸らすと、ゆっくり背後から回された中村さんの手で口を塞がれ、驚きと緊張で身を強張らせました
「声出すなよ」
大袈裟な喘ぎ声の中、耳元からボソボソと中村さんが言ったそれは、怒りでも脅迫でもなく、この状況でそうした方がいいというアドバイスのように思えたので、2度程頷きました
あれだけ避けようとした中村さんですが、この状況に陥りとても有り難い存在のように思えたのです。
サセコちゃんと人事部長は社内での行為に酔いしれ、興奮して没頭しているようでした
舐め合う音とわざとらしい声が止まる事はありません
中村さんもウンザリして来たのか、2人に気付かれないと判断したのか、小声で会話をする事にしたようでした。
会話と言っても私を信用していないのか、口を塞ぐ手が外される事はありません
耳元で中村さんが私に聞きたい事を聞くだけです
「オレから逃げたよな?」
頷くことはしませんでしたが、それは肯定に捉えられたようです
「何でだ?」
耳元にかかる息に、腰のあたりをモゾモゾさせられながら、自分でも“何故なのか”を考えてみましたが、“怒っている”と思ったけど、何故中村さんが“怒っている”と思ったのか分かりませんでした。
サセコちゃんと人事部長は最高潮に達しているようです
先程人事部長はサセコちゃんのお口で1回満足したはずなのに、年齢の割に元気なのか、サセコちゃんを満足させたいのか、本番まで続ける意欲を示しているようです
「土曜日も逃げるつもりじゃないよな?」
それには感情が込められていました。
ちょっとの怒りと私の行動は読めているんだと言うような僅かな釘刺し
そして1番はまだ続くであろう行為に対してでしょう
頷いていいのか首を振っていいのか分かりませんでしたが、もう土曜日の約束からは逃げられないと思ったのです
動かない私の疑いは晴れないまま
中村さんは空いてる右手で起用にネクタイを外していました。
その体勢で長いと思える時間を過ごしましたが、実際はどのくらいだったのか分かりません
棚が揺れる音とわざとらしい声が大きくなってゆき、それ以上したら棚に置かれた物が落ちてしまうのでは?と思ったのちに絶頂を告げる声が聞こえました。
室内に荒い息使いだけが残った時、中村さんの手に塞がれた口にさらに圧力をかけられたのは、訪れた静寂を予想していたからだと思います。
その1番音を立てられない状況の時、中村さんはゆっくり私の口から手を離すと
私の両手を後ろに回し、外したネクタイでゆっくりと纏めて縛ったのでした。
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