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第3章~魔物の口~
27話「血濡れの赤帽子2」
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・・・ん?よく見てみるとこちらへ向かってくる子供がおかしい。人数は二人なのだが、その二人が両手で一本の鎖を一緒に持っていたのだ。
しかもその鎖の先端には鎌が、反対側の端にはメイスのようなものがくっついておる。しかも相当鎖は長いようで、腕や腹に何重か巻きつけていても長すぎる鎖を引きずっている。
分銅鎖とやらに似ているな。二人で一つの武器を使っているのだろうか?いや子供が武器を持ってる時点でおかしいのだが。
どう対応したものか・・・我がうーむと唸っていると、耳に子供らの話し声が聞こえてくる。
「見ろカタワレ。醜い塊があるぞ。」
「然り。おそらくグロブスター。汚らわしい。」
「大地に宿るための力。不浄な腐肉ごときに扱えるはずもないだろうに。」
「それよりカタワレ。何者かがグロブスターを倒している。」
「素晴らしい。早急に向かわなければ。」
「然り。」
「ウム。」
なんだか独特な話し方をしているのぅ。しかし声が全く同じなのは一体どういうことだ?ますますただの子供ではない気がしてきた。
「やっぱりこっちに来ますね」
「とりあえず・・・我は黙るぞ」
我はシオンに抱えられているペットなドラゴンを装う。アホらしく舌を垂らして視線をいろんな方向へ向ける。
ふっふっふ、正体がばれないように考えたのだ。お馬鹿そうな表情をしていれば我が理性的なドラゴンだとバレることもないだろう。これでカモフラージュである!
・・・いや、我が喋れるとバレるのは我のドジが原因だったなそういえば。
あんまり表情は関係ない。
あと変な顔をしていると顔の筋肉がすごい疲れてきたのでやめにする。と、ちょうどそのタイミングで二人の子供が到着した。
シオンはその二人を見て笑顔を向けてしゃがみ、二人に視線を合わす。必然的に我も二人に近づく。
「こんにち・・・こんばんわ?」
夕方だしこんばんわでいいのではないか?我は空を見上げながらそう思った。
「えっと、お嬢ちゃん?ですか?お二人のお名前を聞かせてもらいませんか?」
「む。我らを子供扱いとは。」
「しかしカタワレ。相手はエルフだ。我らより生きている可能性は否定できない。」
「盲点。確かにエルフから見れば我らは小童・・・っ!。」
「すいませんわたし16歳です」
「「なんと。」」
なんだこのコント。
おそらく女性・・・いや、幼女コンビであろうとんがり帽子二人組は影のせいで表情が見えない不気味な顔をしていた。
おそらく影操作に似た魔法で素顔を隠しているのだろう。わずかに見える目はまぶたがないのでは思うほど大きく、カメレオンのようにギョロギョロと動かしている。
そして見た目はただの子供だが、実力はあるようだ。
「ガゥゥ」
見た目だけで強さを判断してはならないな。その身に纏う魔力を感じ取ると、一人ではガルムほどではないものの二人合わせればそれを軽く超える力を宿している。
すると幼女二人は抱えられている我の存在に気づいたのか、トテトテと寄ってくると鎖を持ってない方の手で我の顔を触り始めた。
な、何をするか!
「何だ。この生き物は。」
「かわいいぞ。」
「えっと、もしかしてお二人が血塗れの赤帽子でしょうか?」
我をなでなでするのをやめない幼女たちに、シオンが遠慮がちに尋ねると二人の幼女は「ウム。」と「然り。」と言って頷く。これまた濃いキャラが現れたものだな。
「我が名はベタ。」
「我が名はガマ。」
「「人々は我らを。血塗れの赤帽子とよぶ。・・・む?」」
自己紹介を終えると、二人が顔を見合わせて不思議そうに首をかしげた。打ち合わせとかなしにお互いのセリフがかぶって不思議らしい。
似ている二人だが言動も似ている。区別がつきにくいのだ。一応「然り」と言ったのがベタで、「ウム。」と言った方がガマ。
我わかんない。
「・・・それで、二人は何しに来た?」
未だに肉塊・・・グロブスターだったか?を丸太で叩きのめしているサエラがレッド・キャップに声をかける。サエラは我のように魔力=力と感じ取ることはできないが、外見的な特徴からレッド・キャップと信じたようだ。
レッド・キャップはサエラの質問に両方とも全く同じタイミングでうなずき、武器を構えながらグロブスターに近づいていく。
「無論。グロブスターを駆除するため。」
「アンデットはこの世に存在してはならない。奴らの居場所は冥界。」
「故に駆除する。」
「駆逐する。」
「輪廻の竜の名の下に。」
「不浄な魂をあるべき場所に。」
「「エルフよ。あとは我らに任せよ。」」
今にもグロブスターに走って行きそうなレッド・キャップに、シオンが慌ててその肩を掴んだ。おそらく、えっとー・・・ガマの方。
まぁいくらSランカーといえど膨大な魔力を溜め込んでいるあのグロブスターを消滅させるのは至難の技だろう。事情を話して協力してもらうのが得策である。
下手に突っ込まれてグロブスターが暴れても困るしのぅ。
「ちょ、ちょっと待ってください!あれは笛の力で再生力がすごいことになってて・・・」
シオンよ。笛のことを知らん者たちに言ってもわからんだろうに。
我が呆れていると、シオンが言い終わる寸前にレッド・キャップの二人は人形のようにグリンと顔を180度回転させて振り返り、大きな目の中にある瞳を豆粒のように小さくした。
「「貴殿、なぜ笛のことを知っている?」」
その問いかけには強い感情が込もっているようにも感じた。
しかもその鎖の先端には鎌が、反対側の端にはメイスのようなものがくっついておる。しかも相当鎖は長いようで、腕や腹に何重か巻きつけていても長すぎる鎖を引きずっている。
分銅鎖とやらに似ているな。二人で一つの武器を使っているのだろうか?いや子供が武器を持ってる時点でおかしいのだが。
どう対応したものか・・・我がうーむと唸っていると、耳に子供らの話し声が聞こえてくる。
「見ろカタワレ。醜い塊があるぞ。」
「然り。おそらくグロブスター。汚らわしい。」
「大地に宿るための力。不浄な腐肉ごときに扱えるはずもないだろうに。」
「それよりカタワレ。何者かがグロブスターを倒している。」
「素晴らしい。早急に向かわなければ。」
「然り。」
「ウム。」
なんだか独特な話し方をしているのぅ。しかし声が全く同じなのは一体どういうことだ?ますますただの子供ではない気がしてきた。
「やっぱりこっちに来ますね」
「とりあえず・・・我は黙るぞ」
我はシオンに抱えられているペットなドラゴンを装う。アホらしく舌を垂らして視線をいろんな方向へ向ける。
ふっふっふ、正体がばれないように考えたのだ。お馬鹿そうな表情をしていれば我が理性的なドラゴンだとバレることもないだろう。これでカモフラージュである!
・・・いや、我が喋れるとバレるのは我のドジが原因だったなそういえば。
あんまり表情は関係ない。
あと変な顔をしていると顔の筋肉がすごい疲れてきたのでやめにする。と、ちょうどそのタイミングで二人の子供が到着した。
シオンはその二人を見て笑顔を向けてしゃがみ、二人に視線を合わす。必然的に我も二人に近づく。
「こんにち・・・こんばんわ?」
夕方だしこんばんわでいいのではないか?我は空を見上げながらそう思った。
「えっと、お嬢ちゃん?ですか?お二人のお名前を聞かせてもらいませんか?」
「む。我らを子供扱いとは。」
「しかしカタワレ。相手はエルフだ。我らより生きている可能性は否定できない。」
「盲点。確かにエルフから見れば我らは小童・・・っ!。」
「すいませんわたし16歳です」
「「なんと。」」
なんだこのコント。
おそらく女性・・・いや、幼女コンビであろうとんがり帽子二人組は影のせいで表情が見えない不気味な顔をしていた。
おそらく影操作に似た魔法で素顔を隠しているのだろう。わずかに見える目はまぶたがないのでは思うほど大きく、カメレオンのようにギョロギョロと動かしている。
そして見た目はただの子供だが、実力はあるようだ。
「ガゥゥ」
見た目だけで強さを判断してはならないな。その身に纏う魔力を感じ取ると、一人ではガルムほどではないものの二人合わせればそれを軽く超える力を宿している。
すると幼女二人は抱えられている我の存在に気づいたのか、トテトテと寄ってくると鎖を持ってない方の手で我の顔を触り始めた。
な、何をするか!
「何だ。この生き物は。」
「かわいいぞ。」
「えっと、もしかしてお二人が血塗れの赤帽子でしょうか?」
我をなでなでするのをやめない幼女たちに、シオンが遠慮がちに尋ねると二人の幼女は「ウム。」と「然り。」と言って頷く。これまた濃いキャラが現れたものだな。
「我が名はベタ。」
「我が名はガマ。」
「「人々は我らを。血塗れの赤帽子とよぶ。・・・む?」」
自己紹介を終えると、二人が顔を見合わせて不思議そうに首をかしげた。打ち合わせとかなしにお互いのセリフがかぶって不思議らしい。
似ている二人だが言動も似ている。区別がつきにくいのだ。一応「然り」と言ったのがベタで、「ウム。」と言った方がガマ。
我わかんない。
「・・・それで、二人は何しに来た?」
未だに肉塊・・・グロブスターだったか?を丸太で叩きのめしているサエラがレッド・キャップに声をかける。サエラは我のように魔力=力と感じ取ることはできないが、外見的な特徴からレッド・キャップと信じたようだ。
レッド・キャップはサエラの質問に両方とも全く同じタイミングでうなずき、武器を構えながらグロブスターに近づいていく。
「無論。グロブスターを駆除するため。」
「アンデットはこの世に存在してはならない。奴らの居場所は冥界。」
「故に駆除する。」
「駆逐する。」
「輪廻の竜の名の下に。」
「不浄な魂をあるべき場所に。」
「「エルフよ。あとは我らに任せよ。」」
今にもグロブスターに走って行きそうなレッド・キャップに、シオンが慌ててその肩を掴んだ。おそらく、えっとー・・・ガマの方。
まぁいくらSランカーといえど膨大な魔力を溜め込んでいるあのグロブスターを消滅させるのは至難の技だろう。事情を話して協力してもらうのが得策である。
下手に突っ込まれてグロブスターが暴れても困るしのぅ。
「ちょ、ちょっと待ってください!あれは笛の力で再生力がすごいことになってて・・・」
シオンよ。笛のことを知らん者たちに言ってもわからんだろうに。
我が呆れていると、シオンが言い終わる寸前にレッド・キャップの二人は人形のようにグリンと顔を180度回転させて振り返り、大きな目の中にある瞳を豆粒のように小さくした。
「「貴殿、なぜ笛のことを知っている?」」
その問いかけには強い感情が込もっているようにも感じた。
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