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第3章~魔物の口~
26話「死者の行進曲3」
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「い"い"あ"ぁぁぁぁぁ!!あぁあぐ!!おああ!!」
腐敗した巨体が地を蹴り、殴りながら、喚き声のような雄叫びをあげてこちらに走り寄ってくる。
ズシンズシンと派手な地響きを鳴らし、唾液と血を振りまくその姿は化け物と呼んでも責められまい。
ナックルウォークという歩行の仕方は奴にとって二足歩行よりも幅が広いのだろうか?それとも本能でそうしてるだけか?
いずれにせよとんでもないスピードでこちらに向かってくる。ベヒモスウォールのケイブ・スミロドンなんて目じゃない。
周囲には目もくれず、ただひたすらこちらに爆走してくる怪物。
その姿を見て、シオンの目が怯えたように揺れた。実際、怯えているのだろう、彼女はフレッシュマンを知っている。
どんな生態か、どんな能力を持っているのか、何を食べていきているのか。
シオンは知っている。賢い子だ。だからこそ、彼女はこう言うのだろう。
「逃げますよ!!早く!!」
シオンがそう言うと、サエラは何も言わず馬の腹を蹴る。我らの騎乗する馬が走り出したのはほぼ同時だった。
「ヒヒィィン!!」
走る合図に馬は「待ってました!」と言わんばかりに大きな鳴き声を上げ、魔女の家に向かった時では考えられないくらいの速さで足を動かした。
この穏やかな性格故に、フレッシュマンがどれほど脅威なのかを本能で感じ取れているのかもしれない。
それでも元は戦場を走った種族だ。肝が座れば、暴走せずに走れる意思はとても優れている。
二頭の馬は叩きつけるように蹄で大地に踏み込み、砂煙を上げながら草原を走る。
我は操縦に集中しているサエラの服を掴みながら、追ってきているであろうフレッシュマンを振り返って見た。
「・・・うぬ、不愉快な顔だ」
フレッシュマンはただひたすら笑みを浮かべでこちらを追っていたのだ。
元の顔つきは柔和な方だったのか?柔らかな笑みが逆に恐怖を掻き立てた。
走るたびに大きく肉体が振動し、その影響で腐った肉片が転げ落ちる。しかし高い代謝のお陰で失った肉体はすぐに再生した。
「くそっ!どこまで追ってくる!?」
普段より数倍大きな声でサエラがフレッシュマンを睨みつけた。
あの巨体だ。重量もかなりあるはず。なのにフレッシュマンには疲労の様子は見えない。
奴にスタミナという概念はないのか?
脅威的な回復力は肉体の疲労も回復させているのか、それとも神経がおかしくなっているだけなのか。
「何か・・・何か打開策は・・・!」
シオンは完全にどこを走るのかを馬に委ね、思考の海の中に浸っていた。
だが武器も強力な遠距離魔法もない。しかも馬では森に入ることもできないので障害物のない平原を疾走するしかない。
逆転できる材料が何一つないのは明白だった。
じわじわとだが、距離が詰められている。しかも馬はいつか走れなくなるのと違い、奴は疲れ知らず。このままではいずれ追いつかれてしまう。
ぐぬぅ、おのれ腐肉風情が・・・!
「シオン!何か策はないか!」
「今考えてます!」
我とシオンが言葉を交わしてる間、サエラが一瞬だけ振り返り懐から投擲用の小型ナイフを取り出すと、それをフレッシュマンに向かって投げつけた。
走っている馬の上に乗っているにもかかわらず、投ナイフは一寸のズレもなくフレッシュマンの片目に突き刺さる。が、痛覚すらないようでフレッシュマンのスピードが遅くなることはなかった。
「チッ!」
効いていないことにサエラが舌打ちする。
あ、そういえばサエラはゾンビ恐怖症であった。大丈夫なのだろうか。
「サエラ、ゾンビは平気か!?」
「あんなのモンスターと変わらない」
標準的なノーマルタイプのゾンビ以外なら平気らしい。わからん。
「しかしどうする!いずれ追いつかれるぞ!」
「そんな事言っても・・・!フレッシュマンはAランカーが数人がかりで討伐する怪物ですよ!逃げ切らないとっ!」
なるほど、だから練度の高いはずのリメットの衛兵隊が成す術もなく壊滅していたのか。強敵だな。
うむ、たとえ武器があったとしてもこの姉妹で討伐できるかと聞かれれば・・・無理だ。そこそこ技量は上がったが、それでもまだ成長段階である。
Aランクの魔物に太刀打ちできる実力ではないのだ。それこそSランカーのガルム、宿屋の店主ゴードン、魔女メアリー辺りの者たちでなければ討伐は無理である。
「・・・っ!姉さん!後ろっ!!!」
「えっ・・・あ!」
サエラの鋭い声で、シオンは馬を操り横へと避ける。
すると先ほどまでシオンと馬のいた場所に腐った拳が叩き込まれ、大地を大きく揺らした。
腐敗した巨人の手はすぐに引き抜かれると、なおもシオンを狙おうと振り回す。
「まずい!追いつかれたか!」
我は焦った声を隠さずに叫んだ。フレッシュマンが予想以上に素早い。
馬自身も必死になって襲いかかってくる手を回避していくが、これでは余計に馬のスタミナ消費が激しくなってしまう。
フレッシュマン自身はシオンと馬を食おうと考えているだけだろうが、結果的にそれは我らの持久戦をより不利に陥れるものであった。
「あはは・・・これ詰みましたかねー」
カラカラと笑ったシオン。よく見てみれば馬たちもわずかに息切れしている。
馬たちもそろそろ限界か。さらに手持ちの武器も限りがあり、そもそもあったとしても我らで対応できる相手でもない。
死ぬのか?こんなあっけなく?何が原因でこうなっているのかもわからずか?
我はいい。我が死んでも数百年後には蘇る。だが二人は違う。
やり直しのきかない、だった一度の人生。
「せめて武器があれば・・・あはは、無理っすね」
「・・・」
サエラも薄々そう思っていたのか、悔しそうに強く口を噤んでいる。
ただ、正面の一点を凝視せている様子は・・・死への覚悟を決めている最中にも見えた。
「二人とも、諦めるでない!」
また、我を一人にする気か!
「ウーロさん!来世とかって、ありますかね?」
シオンが目元に水玉を貯めながら、我に向かって尋ねてきた。やめろ!そんな顔をするな!
姉の言葉に同調したのか、サエラも悲観そうな表情を我に向けた。
「ウーロさん・・・わ、私・・・ウーロさんに謝らなきゃ・・・いけなく、て」
やめろ、そんな覚悟をするな。お主らのような若い奴らがそのような覚悟をする必要はない。
してほしくない。
我は振り落とされないようにしがみ付いていた衣類から手を離し、馬の腰から宙へと居場所を変えた。
我が、我が何とかしてやる!
「・・・えっ」
一瞬、呆気にとられたサエラの声が聞こえた。だが次の瞬間には爛れたような顔をしたフレッシュマンが大口を開けて我へと迫って来ていた。
自由落下する身体を捻じ曲げ、魔力を爪へと集中させる。丸みを帯びた爪は次第に鋭利な刃に変わり、青白く発光した。
捻じ曲げた身体の正面を瞬時にフレッシュマンへと向けて、魔力を集中させた一撃をフレッシュマンの口の中に叩き込む。
放たれた魔力は口内で分散し、結果大爆発を引き起こした。
「あぶぁあぁ!?」
ガクんっ!とバネで弾かれたようにフレッシュマンの顔が空に突き上げられ、空中でそのまま数回転すると顔面を削るように大地に激突する。
無論手加減するつもりはない。我はフレッシュマンにが地面に叩きつけられた直後に火炎放射のブレスを噴射した。
宙に浮いた状態で放った為か、火炎の反動で我も後ろに吹き飛ばされるが、ブレスは間違いなくフレッシュマンに直撃したのが見えた。
すると直後、空気を入れすぎた風船のように一回り大きくなると、そのまま破裂するように爆発した。
火炎放射の反動で飛ばされた我はさらに爆風で飛ばされる。とっさに目の前を両腕で隠すが、このままでは体のどこかを強く地面に打ってしまうことになる。
「ぐぬっ!」
我は安静しない視界の中、尻尾をなんとか杭のように地面に突き刺して飛ばされる体を固定した。
チリチリと熱い灰塵と熱風が頬を削るが、ドラゴンの我にのとって苦痛ではない。
次第にそれも収まり、我は薄く目を開いてフレッシュマンの残骸を確認する。
姿は見えんが、フレッシュマンがいたところには軽くクレーターのようなものができており、そこから不快な臭いのする黒煙がモクモクと立ち上がっていた。
周囲に散らばるのは黒い墨の塊。おそらくフレッシュマンの破片だろう。
粉微塵になったか?それとも顔だけ吹き飛んだか?・・・頼むから前者であってくれ。
「あ、あぁあ?」
・・・くそが。
腐敗した巨体が地を蹴り、殴りながら、喚き声のような雄叫びをあげてこちらに走り寄ってくる。
ズシンズシンと派手な地響きを鳴らし、唾液と血を振りまくその姿は化け物と呼んでも責められまい。
ナックルウォークという歩行の仕方は奴にとって二足歩行よりも幅が広いのだろうか?それとも本能でそうしてるだけか?
いずれにせよとんでもないスピードでこちらに向かってくる。ベヒモスウォールのケイブ・スミロドンなんて目じゃない。
周囲には目もくれず、ただひたすらこちらに爆走してくる怪物。
その姿を見て、シオンの目が怯えたように揺れた。実際、怯えているのだろう、彼女はフレッシュマンを知っている。
どんな生態か、どんな能力を持っているのか、何を食べていきているのか。
シオンは知っている。賢い子だ。だからこそ、彼女はこう言うのだろう。
「逃げますよ!!早く!!」
シオンがそう言うと、サエラは何も言わず馬の腹を蹴る。我らの騎乗する馬が走り出したのはほぼ同時だった。
「ヒヒィィン!!」
走る合図に馬は「待ってました!」と言わんばかりに大きな鳴き声を上げ、魔女の家に向かった時では考えられないくらいの速さで足を動かした。
この穏やかな性格故に、フレッシュマンがどれほど脅威なのかを本能で感じ取れているのかもしれない。
それでも元は戦場を走った種族だ。肝が座れば、暴走せずに走れる意思はとても優れている。
二頭の馬は叩きつけるように蹄で大地に踏み込み、砂煙を上げながら草原を走る。
我は操縦に集中しているサエラの服を掴みながら、追ってきているであろうフレッシュマンを振り返って見た。
「・・・うぬ、不愉快な顔だ」
フレッシュマンはただひたすら笑みを浮かべでこちらを追っていたのだ。
元の顔つきは柔和な方だったのか?柔らかな笑みが逆に恐怖を掻き立てた。
走るたびに大きく肉体が振動し、その影響で腐った肉片が転げ落ちる。しかし高い代謝のお陰で失った肉体はすぐに再生した。
「くそっ!どこまで追ってくる!?」
普段より数倍大きな声でサエラがフレッシュマンを睨みつけた。
あの巨体だ。重量もかなりあるはず。なのにフレッシュマンには疲労の様子は見えない。
奴にスタミナという概念はないのか?
脅威的な回復力は肉体の疲労も回復させているのか、それとも神経がおかしくなっているだけなのか。
「何か・・・何か打開策は・・・!」
シオンは完全にどこを走るのかを馬に委ね、思考の海の中に浸っていた。
だが武器も強力な遠距離魔法もない。しかも馬では森に入ることもできないので障害物のない平原を疾走するしかない。
逆転できる材料が何一つないのは明白だった。
じわじわとだが、距離が詰められている。しかも馬はいつか走れなくなるのと違い、奴は疲れ知らず。このままではいずれ追いつかれてしまう。
ぐぬぅ、おのれ腐肉風情が・・・!
「シオン!何か策はないか!」
「今考えてます!」
我とシオンが言葉を交わしてる間、サエラが一瞬だけ振り返り懐から投擲用の小型ナイフを取り出すと、それをフレッシュマンに向かって投げつけた。
走っている馬の上に乗っているにもかかわらず、投ナイフは一寸のズレもなくフレッシュマンの片目に突き刺さる。が、痛覚すらないようでフレッシュマンのスピードが遅くなることはなかった。
「チッ!」
効いていないことにサエラが舌打ちする。
あ、そういえばサエラはゾンビ恐怖症であった。大丈夫なのだろうか。
「サエラ、ゾンビは平気か!?」
「あんなのモンスターと変わらない」
標準的なノーマルタイプのゾンビ以外なら平気らしい。わからん。
「しかしどうする!いずれ追いつかれるぞ!」
「そんな事言っても・・・!フレッシュマンはAランカーが数人がかりで討伐する怪物ですよ!逃げ切らないとっ!」
なるほど、だから練度の高いはずのリメットの衛兵隊が成す術もなく壊滅していたのか。強敵だな。
うむ、たとえ武器があったとしてもこの姉妹で討伐できるかと聞かれれば・・・無理だ。そこそこ技量は上がったが、それでもまだ成長段階である。
Aランクの魔物に太刀打ちできる実力ではないのだ。それこそSランカーのガルム、宿屋の店主ゴードン、魔女メアリー辺りの者たちでなければ討伐は無理である。
「・・・っ!姉さん!後ろっ!!!」
「えっ・・・あ!」
サエラの鋭い声で、シオンは馬を操り横へと避ける。
すると先ほどまでシオンと馬のいた場所に腐った拳が叩き込まれ、大地を大きく揺らした。
腐敗した巨人の手はすぐに引き抜かれると、なおもシオンを狙おうと振り回す。
「まずい!追いつかれたか!」
我は焦った声を隠さずに叫んだ。フレッシュマンが予想以上に素早い。
馬自身も必死になって襲いかかってくる手を回避していくが、これでは余計に馬のスタミナ消費が激しくなってしまう。
フレッシュマン自身はシオンと馬を食おうと考えているだけだろうが、結果的にそれは我らの持久戦をより不利に陥れるものであった。
「あはは・・・これ詰みましたかねー」
カラカラと笑ったシオン。よく見てみれば馬たちもわずかに息切れしている。
馬たちもそろそろ限界か。さらに手持ちの武器も限りがあり、そもそもあったとしても我らで対応できる相手でもない。
死ぬのか?こんなあっけなく?何が原因でこうなっているのかもわからずか?
我はいい。我が死んでも数百年後には蘇る。だが二人は違う。
やり直しのきかない、だった一度の人生。
「せめて武器があれば・・・あはは、無理っすね」
「・・・」
サエラも薄々そう思っていたのか、悔しそうに強く口を噤んでいる。
ただ、正面の一点を凝視せている様子は・・・死への覚悟を決めている最中にも見えた。
「二人とも、諦めるでない!」
また、我を一人にする気か!
「ウーロさん!来世とかって、ありますかね?」
シオンが目元に水玉を貯めながら、我に向かって尋ねてきた。やめろ!そんな顔をするな!
姉の言葉に同調したのか、サエラも悲観そうな表情を我に向けた。
「ウーロさん・・・わ、私・・・ウーロさんに謝らなきゃ・・・いけなく、て」
やめろ、そんな覚悟をするな。お主らのような若い奴らがそのような覚悟をする必要はない。
してほしくない。
我は振り落とされないようにしがみ付いていた衣類から手を離し、馬の腰から宙へと居場所を変えた。
我が、我が何とかしてやる!
「・・・えっ」
一瞬、呆気にとられたサエラの声が聞こえた。だが次の瞬間には爛れたような顔をしたフレッシュマンが大口を開けて我へと迫って来ていた。
自由落下する身体を捻じ曲げ、魔力を爪へと集中させる。丸みを帯びた爪は次第に鋭利な刃に変わり、青白く発光した。
捻じ曲げた身体の正面を瞬時にフレッシュマンへと向けて、魔力を集中させた一撃をフレッシュマンの口の中に叩き込む。
放たれた魔力は口内で分散し、結果大爆発を引き起こした。
「あぶぁあぁ!?」
ガクんっ!とバネで弾かれたようにフレッシュマンの顔が空に突き上げられ、空中でそのまま数回転すると顔面を削るように大地に激突する。
無論手加減するつもりはない。我はフレッシュマンにが地面に叩きつけられた直後に火炎放射のブレスを噴射した。
宙に浮いた状態で放った為か、火炎の反動で我も後ろに吹き飛ばされるが、ブレスは間違いなくフレッシュマンに直撃したのが見えた。
すると直後、空気を入れすぎた風船のように一回り大きくなると、そのまま破裂するように爆発した。
火炎放射の反動で飛ばされた我はさらに爆風で飛ばされる。とっさに目の前を両腕で隠すが、このままでは体のどこかを強く地面に打ってしまうことになる。
「ぐぬっ!」
我は安静しない視界の中、尻尾をなんとか杭のように地面に突き刺して飛ばされる体を固定した。
チリチリと熱い灰塵と熱風が頬を削るが、ドラゴンの我にのとって苦痛ではない。
次第にそれも収まり、我は薄く目を開いてフレッシュマンの残骸を確認する。
姿は見えんが、フレッシュマンがいたところには軽くクレーターのようなものができており、そこから不快な臭いのする黒煙がモクモクと立ち上がっていた。
周囲に散らばるのは黒い墨の塊。おそらくフレッシュマンの破片だろう。
粉微塵になったか?それとも顔だけ吹き飛んだか?・・・頼むから前者であってくれ。
「あ、あぁあ?」
・・・くそが。
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