45 / 237
第3章~魔物の口~
21話「サエラの武器4」
しおりを挟む
リメットの外壁の外には、簡易的に土を盛り上げてできた塀の作られた地域が存在する。
そこは農園としての役割を果たし、広大な土地を利用して多種多様な農作物を生産しているらしい。
土で作った壁と言ってもただの土ではなく、動物の糞と藁などを混ぜた日干しレンガで、さらに石でコーティングされていることもあり最低限の防御力は備えているとのこと。
しかし中には塀を登って農園に侵入し、作物を盗む魔物が出ることもあるという。
今回、その問題を引き起こしているのはスプリガンであった。幻惑魔法と身軽な身体を使い、衛兵たちの追跡をことごとく躱した強敵である。
「スプリガンは基本的におとなしい魔物なんです。近づかなければ攻撃してきませんし、中にはドワーフに使役されて採掘の護衛をしたりと、人との関わりも強いんです」
実りに実った・・・とは言い難い、あまり作物の育っていない農園を眺めながら、シオンがスプリガンについての解説をしてくれる。
スプリガンか。我も見たことがない。おそらくベヒモスウォールには生息しない魔物なのだろう。
シオンの解説を聞いていたマーシーは、背中に重そうな機材を背負いつつも、その重さを感じさせないような涼しい顔でシオンの説明に補足を入れた。
「良くも悪くもね。人に協力的な印象とは反対に、中には物を盗んだり、風魔法を使って作物をダメにしたりっていう悪戯者の一面もあるわ」
なんというか・・・随分と善悪が極端な魔物だのぅ。
「ということは、今この農園の作物の育ちが悪いのも・・・・スプリガンのせい?」
風魔法を使って土地を合わすと聞き、サエラが普通より半分くらいしか大きさのない野菜を指差して尋ねるが、マーシーはそれを首を振って否定した。
「それはないと思うわ。風魔法だから、枯らすっていうよりいうより破壊する感じだから。今作物の育ちが悪いのとは関係ないわ」
「・・・破壊の方が嫌」
台風が通った後のような悲惨な状態を想像したのか、サエラは眉毛を八の字に曲げ、不快そうに呟く。サエラの言葉に同調したのか、シオンもプンプンと怒りを露わした。
「そうですよ!美味しいご飯が食べられなくなっちゃうじゃないですか!」
飯のことしか考えてないのかこやつは。
無邪気なシオンの言い方に、マーシーが笑いながら肯定した。
「あははっ!そうね、そうなったら困るわね」
完全に子供を相手にしてるお姉ちゃんみたいな言い方である。シオンよ、これが年上というものだぞ?サエラという妹がいるのだから見習え。
するとシオンの子供っぽい発想にマーシーが一つ疑問を浮かべたのか、二人にこんなことを尋ねてきた。
「そういえば、二人とも年はいくつなの?エルフだからわかんないのよね」
エルフは長寿であると同時に、その外見も長い間変わることがない。子供の姿のエルフに年を尋ねると「あなたのおじいちゃんと同じくらいよ」と言われた話もあるようだ。
「わたしは16歳です」
「私は15」
「え、嘘、年下?」
二人のまさかの返答に、マーシーは驚いた表情を隠さずに言った。鬼人族のマーシーは18歳という、なんと見た目的にも年齢的にも二人のお姉さんであったのだ。ということは、我はおじいちゃんである。
「へぇそうだったんだ・・・っと、そろそろ真面目にスプリガンを探しましょうか」
「おー!」
「おー・・・」
「がおー」
「・・・個性豊かね」
ボソッとマーシーが呟いたが、このメンツでは言われても仕方がないと思う。
とりあえず捜索組は我とサエラのコンビとなった。我が嗅覚でスプリガンの匂いを発見し、サエラが追跡者としての能力を使い、その痕跡を追うという作戦だ。
スプリガンの匂いは嗅いだことがないが、とりあえず植物、そして人間以外の匂いを辿ってみるとしよう。我はパタパタと羽を動かし、農園を適当に飛び回る。
その後ろを、三人が付いてくるという感じである。
「それにしても、大きな農場ですよね」
スプリガンの残した証拠を探しつつ、シオンが感想を漏らす。サエラも、シオンの感想に同意見のようだ。こんなことを言ってくる。
「私たちの村のより大きい」
「それはそうかもね。この農園は、リメットの食料自給率の内二割を生産してるって話よ」
マーシーの言葉に、二人は驚いた様子であった。
「こ、こんなに大きくても足らないんですか!?」
「え、えぇ・・・」
「あぁ、二人はまだリメットを全部見てないのね。広いわよこの都市は」
リメットってどんだけ広いのだ・・・?
「まぁ、そんなわけだからここで農作物に被害が出るのはリメットとしても痛手なわけね。いくら交易が盛んと言ってももう直ぐ冬だし、そうなれば行商人も来れなくなるわ。今の内に食料をできるだけ溜め込みたいらしいのよ」
人口が多ければ消費する食料も多くなる。しかし冬となれば生産は難しいだろう。野生動物と同じように、今は食料を貯蔵する大事な時期ということなのだな。
そしてそこに、スプリガンか。リメットの領主が賞金首をつける理由も頷ける。
「な、なら早く見つけないとですよ!お腹がベコベコになってしまいます!」
食糧難で飢える姿を想像したのか、シオンはあえて「ベコベコ」という表現を使って言う。そんなシオンに呆れたように、サエラが口を挟んだ。
「姉さん・・・ダンジョンならいくらでも採れるから」
「・・・あ、そうでした」
二人の漫才のような会話を聞き、マーシーは腹に手を当てて愉快に笑っていた。見てるこっちが恥ずかしいわい。
そんでもってスプリガンの捜索だが、実際に見つけるとなるとなかなか現れない。賞金首のスプリガンを討伐するのに農園は一般人も入れるようになっているので、我ら以外にも捜索している冒険者が何人かいたが、見つけている様子はなかった。
おそらく隠れやすいリンゴの木などが密集しているところに隠れていると思っていたが、そうでもないらしい。一時間ほど経っても、我らは何の手がかりも見つけられなかった。
「・・・何だか、私たちリメットに来てから探し物ばっかりしてる気がする」
サエラがそう言うが、否定できなかった。
「でも頑張る」
うむうむ、諦めたらそこで何とやらだぞ。しかし、我も匂いを嗅いで植物以外のものを探しているがなかなか見つからない。スプリガンは匂いを残さないのか、それとも果実の匂いが強くて埋まってしまっているのか。
どちらにせよ、ドラゴンの嗅覚でも察知できんとはなかなかやり手であるぞ。
索敵組の我の状態を見て、シオンはマーシーと次なる作戦のために話し合いを始めた。なんだかんだ言ってシオンは作戦立てがうまいからな。
「ウーロちゃんでも見つけられないみたいですね」
「うーん、サエラさんも無理な感じ?」
マーシーの問いかけに、サエラは苦虫を噛み砕いたような苦い表情を浮かべ、首を左右に振った。
「手がかりを見つければ追跡できる。・・・けど、現状だと難しい」
「だよね」
「むむ、となるとスプリガンはここにはいない可能性がありますね」
「どうして?」
「だって、壁をよじ登って入れるなら、同じように外にも出られると思うんですよ」
「あーなるほど、お腹が空いた時だけ侵入してるのね」
シオンの予想にマーシーは納得したのか「ポン」と片手に拳を置いた。シオンの予想は当たっているかもしれん。理由としては、何度も衛兵に追われているのと、農園に多数の冒険者が入り浸っているから警戒したという可能性だ。
一箇所に留まらず、作物だけ盗ってすぐに農園から出て行ってるのなら、農園の中をどれだけ探しても見つかるはずがない。
となると主に匂いの痕跡を探す対象は外壁になるな。我らは塀まで移動し、そこから沿うようにスプリガンの捜索を始めることにした。
鼻を鳴らして必要な匂いを嗅ぎ分ける。
「クンクン、クンクン」
「ウーロちゃん、どうですか?」
残念ながらまだ発見には至ってないな。我はシオンに首を振ることで返事を返す。
「ま、とりあえず農園一周してみましょうよ。何か見つかるかもしれないわ」
マーシーの励ましの一言を皮切りに、壁に残っているであろうスプリガンの匂いを探す。農園中を歩き回るほど労力はないが、それでも広い農園を囲う塀を飛び回るのは一苦労である。
・・・むぅ下手したら今日中には見つからんかもしれんのう。なるべく早くサエラに強化した武器を持たせてやりたいのだが・・・。
我はチラリとサエラの方へ目を向けてみた。彼女は壁を見ながら目を細め、手掛かりの痕跡を探っていた。感覚を研ぎ澄ませ、チェイサーとしての能力を最大限に活用している。
そんな彼女の持っているのは、狩猟用のごく普通なショートボウだ。活用している能力の高さとは対照的である。
サエラの戦闘能力は高いほうだと我は思っている。高い身体能力と常人より鋭い五感。接近戦はまだ苦手な印象があるが、中、後衛からの矢の支援は中々のものだ。
それに「影操作」とゆう奇妙奇天烈なスキルも持っている。万が一接近戦をすることになっても十分戦えるだろう。
だというのに使っているのが獣狩りの弓。明らかにサエラ自身の能力の足かせをしているように見えて仕方がない。
「実力があるならレベルの低い武器でも強くなるべき」と言っていた人間を何人か見たことがあるが、我はそうは思わん。実力があるなら、それに見合った武器を使って欲しいのである。
サエラは強いが、我が今まで戦ってきた勇者と比べると見劣りする。まぁいわゆるSランカーなのだから当たり前なのだが。
しかし、きっとサエラは強くなる。いつかは勇者に匹敵する実力の持ち主になるやもしれん。
なぜかは知らんが、サエラの戦闘を見ているとかつて戦った勇者の面影を感じることがあるのだ。きっと優秀な指導者に訓練してもらったのだろう。
だからこそ、サエラには実力相応の武器を持ってもらいたい。それを使って、己の実力を高めてもらいたいと思うのだ。
そこは農園としての役割を果たし、広大な土地を利用して多種多様な農作物を生産しているらしい。
土で作った壁と言ってもただの土ではなく、動物の糞と藁などを混ぜた日干しレンガで、さらに石でコーティングされていることもあり最低限の防御力は備えているとのこと。
しかし中には塀を登って農園に侵入し、作物を盗む魔物が出ることもあるという。
今回、その問題を引き起こしているのはスプリガンであった。幻惑魔法と身軽な身体を使い、衛兵たちの追跡をことごとく躱した強敵である。
「スプリガンは基本的におとなしい魔物なんです。近づかなければ攻撃してきませんし、中にはドワーフに使役されて採掘の護衛をしたりと、人との関わりも強いんです」
実りに実った・・・とは言い難い、あまり作物の育っていない農園を眺めながら、シオンがスプリガンについての解説をしてくれる。
スプリガンか。我も見たことがない。おそらくベヒモスウォールには生息しない魔物なのだろう。
シオンの解説を聞いていたマーシーは、背中に重そうな機材を背負いつつも、その重さを感じさせないような涼しい顔でシオンの説明に補足を入れた。
「良くも悪くもね。人に協力的な印象とは反対に、中には物を盗んだり、風魔法を使って作物をダメにしたりっていう悪戯者の一面もあるわ」
なんというか・・・随分と善悪が極端な魔物だのぅ。
「ということは、今この農園の作物の育ちが悪いのも・・・・スプリガンのせい?」
風魔法を使って土地を合わすと聞き、サエラが普通より半分くらいしか大きさのない野菜を指差して尋ねるが、マーシーはそれを首を振って否定した。
「それはないと思うわ。風魔法だから、枯らすっていうよりいうより破壊する感じだから。今作物の育ちが悪いのとは関係ないわ」
「・・・破壊の方が嫌」
台風が通った後のような悲惨な状態を想像したのか、サエラは眉毛を八の字に曲げ、不快そうに呟く。サエラの言葉に同調したのか、シオンもプンプンと怒りを露わした。
「そうですよ!美味しいご飯が食べられなくなっちゃうじゃないですか!」
飯のことしか考えてないのかこやつは。
無邪気なシオンの言い方に、マーシーが笑いながら肯定した。
「あははっ!そうね、そうなったら困るわね」
完全に子供を相手にしてるお姉ちゃんみたいな言い方である。シオンよ、これが年上というものだぞ?サエラという妹がいるのだから見習え。
するとシオンの子供っぽい発想にマーシーが一つ疑問を浮かべたのか、二人にこんなことを尋ねてきた。
「そういえば、二人とも年はいくつなの?エルフだからわかんないのよね」
エルフは長寿であると同時に、その外見も長い間変わることがない。子供の姿のエルフに年を尋ねると「あなたのおじいちゃんと同じくらいよ」と言われた話もあるようだ。
「わたしは16歳です」
「私は15」
「え、嘘、年下?」
二人のまさかの返答に、マーシーは驚いた表情を隠さずに言った。鬼人族のマーシーは18歳という、なんと見た目的にも年齢的にも二人のお姉さんであったのだ。ということは、我はおじいちゃんである。
「へぇそうだったんだ・・・っと、そろそろ真面目にスプリガンを探しましょうか」
「おー!」
「おー・・・」
「がおー」
「・・・個性豊かね」
ボソッとマーシーが呟いたが、このメンツでは言われても仕方がないと思う。
とりあえず捜索組は我とサエラのコンビとなった。我が嗅覚でスプリガンの匂いを発見し、サエラが追跡者としての能力を使い、その痕跡を追うという作戦だ。
スプリガンの匂いは嗅いだことがないが、とりあえず植物、そして人間以外の匂いを辿ってみるとしよう。我はパタパタと羽を動かし、農園を適当に飛び回る。
その後ろを、三人が付いてくるという感じである。
「それにしても、大きな農場ですよね」
スプリガンの残した証拠を探しつつ、シオンが感想を漏らす。サエラも、シオンの感想に同意見のようだ。こんなことを言ってくる。
「私たちの村のより大きい」
「それはそうかもね。この農園は、リメットの食料自給率の内二割を生産してるって話よ」
マーシーの言葉に、二人は驚いた様子であった。
「こ、こんなに大きくても足らないんですか!?」
「え、えぇ・・・」
「あぁ、二人はまだリメットを全部見てないのね。広いわよこの都市は」
リメットってどんだけ広いのだ・・・?
「まぁ、そんなわけだからここで農作物に被害が出るのはリメットとしても痛手なわけね。いくら交易が盛んと言ってももう直ぐ冬だし、そうなれば行商人も来れなくなるわ。今の内に食料をできるだけ溜め込みたいらしいのよ」
人口が多ければ消費する食料も多くなる。しかし冬となれば生産は難しいだろう。野生動物と同じように、今は食料を貯蔵する大事な時期ということなのだな。
そしてそこに、スプリガンか。リメットの領主が賞金首をつける理由も頷ける。
「な、なら早く見つけないとですよ!お腹がベコベコになってしまいます!」
食糧難で飢える姿を想像したのか、シオンはあえて「ベコベコ」という表現を使って言う。そんなシオンに呆れたように、サエラが口を挟んだ。
「姉さん・・・ダンジョンならいくらでも採れるから」
「・・・あ、そうでした」
二人の漫才のような会話を聞き、マーシーは腹に手を当てて愉快に笑っていた。見てるこっちが恥ずかしいわい。
そんでもってスプリガンの捜索だが、実際に見つけるとなるとなかなか現れない。賞金首のスプリガンを討伐するのに農園は一般人も入れるようになっているので、我ら以外にも捜索している冒険者が何人かいたが、見つけている様子はなかった。
おそらく隠れやすいリンゴの木などが密集しているところに隠れていると思っていたが、そうでもないらしい。一時間ほど経っても、我らは何の手がかりも見つけられなかった。
「・・・何だか、私たちリメットに来てから探し物ばっかりしてる気がする」
サエラがそう言うが、否定できなかった。
「でも頑張る」
うむうむ、諦めたらそこで何とやらだぞ。しかし、我も匂いを嗅いで植物以外のものを探しているがなかなか見つからない。スプリガンは匂いを残さないのか、それとも果実の匂いが強くて埋まってしまっているのか。
どちらにせよ、ドラゴンの嗅覚でも察知できんとはなかなかやり手であるぞ。
索敵組の我の状態を見て、シオンはマーシーと次なる作戦のために話し合いを始めた。なんだかんだ言ってシオンは作戦立てがうまいからな。
「ウーロちゃんでも見つけられないみたいですね」
「うーん、サエラさんも無理な感じ?」
マーシーの問いかけに、サエラは苦虫を噛み砕いたような苦い表情を浮かべ、首を左右に振った。
「手がかりを見つければ追跡できる。・・・けど、現状だと難しい」
「だよね」
「むむ、となるとスプリガンはここにはいない可能性がありますね」
「どうして?」
「だって、壁をよじ登って入れるなら、同じように外にも出られると思うんですよ」
「あーなるほど、お腹が空いた時だけ侵入してるのね」
シオンの予想にマーシーは納得したのか「ポン」と片手に拳を置いた。シオンの予想は当たっているかもしれん。理由としては、何度も衛兵に追われているのと、農園に多数の冒険者が入り浸っているから警戒したという可能性だ。
一箇所に留まらず、作物だけ盗ってすぐに農園から出て行ってるのなら、農園の中をどれだけ探しても見つかるはずがない。
となると主に匂いの痕跡を探す対象は外壁になるな。我らは塀まで移動し、そこから沿うようにスプリガンの捜索を始めることにした。
鼻を鳴らして必要な匂いを嗅ぎ分ける。
「クンクン、クンクン」
「ウーロちゃん、どうですか?」
残念ながらまだ発見には至ってないな。我はシオンに首を振ることで返事を返す。
「ま、とりあえず農園一周してみましょうよ。何か見つかるかもしれないわ」
マーシーの励ましの一言を皮切りに、壁に残っているであろうスプリガンの匂いを探す。農園中を歩き回るほど労力はないが、それでも広い農園を囲う塀を飛び回るのは一苦労である。
・・・むぅ下手したら今日中には見つからんかもしれんのう。なるべく早くサエラに強化した武器を持たせてやりたいのだが・・・。
我はチラリとサエラの方へ目を向けてみた。彼女は壁を見ながら目を細め、手掛かりの痕跡を探っていた。感覚を研ぎ澄ませ、チェイサーとしての能力を最大限に活用している。
そんな彼女の持っているのは、狩猟用のごく普通なショートボウだ。活用している能力の高さとは対照的である。
サエラの戦闘能力は高いほうだと我は思っている。高い身体能力と常人より鋭い五感。接近戦はまだ苦手な印象があるが、中、後衛からの矢の支援は中々のものだ。
それに「影操作」とゆう奇妙奇天烈なスキルも持っている。万が一接近戦をすることになっても十分戦えるだろう。
だというのに使っているのが獣狩りの弓。明らかにサエラ自身の能力の足かせをしているように見えて仕方がない。
「実力があるならレベルの低い武器でも強くなるべき」と言っていた人間を何人か見たことがあるが、我はそうは思わん。実力があるなら、それに見合った武器を使って欲しいのである。
サエラは強いが、我が今まで戦ってきた勇者と比べると見劣りする。まぁいわゆるSランカーなのだから当たり前なのだが。
しかし、きっとサエラは強くなる。いつかは勇者に匹敵する実力の持ち主になるやもしれん。
なぜかは知らんが、サエラの戦闘を見ているとかつて戦った勇者の面影を感じることがあるのだ。きっと優秀な指導者に訓練してもらったのだろう。
だからこそ、サエラには実力相応の武器を持ってもらいたい。それを使って、己の実力を高めてもらいたいと思うのだ。
0
お気に入りに追加
911
あなたにおすすめの小説
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……
勇者の帰りを待つだけだった私は居ても居なくても同じですか? ~負けヒロインの筈なのに歪んだ執着をされています~
砂礫レキ
ファンタジー
勇者ライルが魔王を倒してから3年。
彼の幼馴染である村娘アデリーンは28歳にして5歳年下の彼に粗雑に扱われながら依存されていた。
まるで母親代わりのようだと自己嫌悪に陥りながらも昔した結婚の約束を忘れられなかったアデリーン。
しかしライルは彼女の心を嘲笑うかのようにアデリーンよりも若く美しい村娘リンナと密会するのだった。
そのことで現実を受け入れ村を出ようとしたアデリーン。
そんな彼女に病んだ勇者の依存と悪女の屈折した執着、勇者の命を狙う魔物の策略が次々と襲い掛かってきて……?
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
異世界で捨て子を育てたら王女だった話
せいめ
ファンタジー
数年前に没落してしまった元貴族令嬢のエリーゼは、市井で逞しく生きていた。
元貴族令嬢なのに、どうして市井で逞しく生きれるのか…?それは、私には前世の記憶があるからだ。
毒親に殴られたショックで、日本人の庶民の記憶を思い出した私は、毒親を捨てて一人で生きていくことに決めたのだ。
そんな私は15歳の時、仕事終わりに赤ちゃんを見つける。
「えぇー!この赤ちゃんかわいい。天使だわ!」
こんな場所に置いておけないから、とりあえず町の孤児院に連れて行くが…
「拾ったって言っておきながら、本当はアンタが産んで育てられないからって連れてきたんだろう?
若いから育てられないなんて言うな!責任を持ちな!」
孤児院の職員からは引き取りを拒否される私…
はあ?ムカつくー!
だったら私が育ててやるわ!
しかし私は知らなかった。この赤ちゃんが、この後の私の人生に波乱を呼ぶことに…。
誤字脱字、いつも申し訳ありません。
ご都合主義です。
第15回ファンタジー小説大賞で成り上がり令嬢賞を頂きました。
ありがとうございました。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる