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第2章〜不死編〜
かわいそうな子2
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「‥‥‥」
藁のベットから目が覚めた少女は、ぼーっとしつつ周囲を見渡していた。眠りから覚めて、まだ意識が安定していないのだろう。浮き沈みを繰り返すようにまばたきをする。
そして目の前に座っている私を見ると、眠そうにしながらも頭を下げた。
「おはようございます」
「‥‥‥おはよう」
ドラゴン相手に開幕から挨拶するとは、どういう思考回路をしてるのかが謎だ。私はとりあえず返事を返しておくことにした。
「ここどこ、ですか?」
挨拶を済ませた少女は辺りをキョロキョロ見渡して、ここが見覚えのある場所ではないということが分かったらしい。なんなら目の前にいる私すら見覚えがないようだ。
「ここは竜王の巣。私の住処だ」
「りゅーおーのす?」
「‥‥‥自分の足でここに来たのだぞ?」
「そう、です?」
少女は戸惑うばかりで、初めて会った時のように殺しにかかってくることはない。
ふむ、念のため隷属の魔法陣を破壊したのは間違った選択ではなかったらしい。記憶がないということは誰かに命令されてやって来たということだろうからな。
「お前は勇者だろう?なにもわからないのか」
「ゆうしゃ?‥‥‥ゆうしゃ、勇者」
「?」
何度か勇者という単語を繰り返す。だんだんと言葉が流暢になっていき、雰囲気も変わっていく。
魔力が洗練された宝石のように煌めいていく。目から生気がなくなり、人形のような表情を作ると少女は我に向かって飛びかかって来た。
「ぬ」
無論喰らうはずもない。魔法で少女の体を固定し、攻撃が私に届く寸前で動きを止めることができた。
隷属の魔法は解除したハズだが‥‥‥急に人が変わったな。雰囲気は初対面の時と似ている。
治癒魔法で怪我を治してやったせいか、動きが比べ物にならなかった。だが急激に変化しすぎだ。まるで中身が変わったような‥‥‥。
「おい、やめろ」
「‥‥‥殺す」
言葉に感情がなく、ハリボテのように教え込まれた言葉をなぞっているだけ。だが魔法によって誰かに制御されてるわけではなさそうだ。別の原因がこの少女を動かしている。
そういえば、一度に二つのことを同時に考えられる《並列思考》という能力を聞いたことがある。人格が二つあり、脳が一人で二人分の働きをするという。
もしや、それによって擬似的な多重人格を形成しているのか。
人間たちが私を殺すためにプログラミングした、戦闘用の人格。と解釈して良いだろう。
隷属魔法が破壊された時の保険か、小賢しい。
「貴様は眠っているがいい」
手のひらを少女の顔に向け、呪文を飛ばす。すると魔法の鎖が彼女の心を縛り、剥き出しにしていた殺意を奥底に封じ込めた。
少女はまた意識を失い、バタリとその場に崩れ落ちる。とりあえず、今は表に出てきてもらうと色々ややこしくなりそうだ。
ここで人格を消し去っても良いが、やめておこう。また下手に暴走されても困る。
「ふむ」
私は少女を一暼し、これからどうするかを決めるために考えた。
この者に止めを刺さなかったのは単なる気まぐれだ。一瞬、ほんの一瞬だけ、この少女がかわいそうだと思った。
なら、どうするのか。このまま殺してやったほうが、面倒も少ないし少女にとっても良いのではないか?
今は記憶が飛んでるし、体も治癒してやったから覚えていないだろうが、そこら中にあった虐待の跡がいつこの子の心を蝕んでもおかしくはない。
それを思い出せば、この世のすべてに絶望するだろう。私のように。
「‥‥‥」
私は無言で爪に魔力を込める。そして鋭利な刃を少女の首元に押し当てる‥‥‥が、その時頭の中である言葉が反復した。
「たすけて‥‥‥か」
ふむ。
気まぐれで少女を拾ってから数ヶ月が過ぎた。人間とはいえ勇者なので、放置しとけば勝手に育つと思っていた。が、そうでもなかった。何度かは拾ったことを後悔した。
まず大変だったのは名前で、本人が知らなかったので適当にルファと名付けた。
隷属の魔法陣に「アルファ」とあったからそこから取ったが、勇者の候補の番号のことだろうか?
次に苦労したのは生活環境だ。野生の環境下で生活するには人間の体は脆すぎた。
すぐには病気になるし、腹も壊すし不潔になる。服もあっという間にボロボロになってしまう。
なので山で売れそうな物を手に入れ、人里で売って金を作り、それを元手に住処に人間が生きるのに必要な道具を集めた。
だが一番苦労したのは、ルファの私に対しての恐怖だ。記憶はないが本能的に他者を警戒するようになっていたのか、寝るときは洞窟の隅だったり、私が話しかけなければ常に無言だったり。
別に人間が私をどう思うかなどどうでも良かったが、同居するのにいちいち怖がられるのは鬱陶しいし、気分も悪い。
仕方がないからこちらから歩み寄る努力をしたのだ。
夜泣きした時は毛布をかけて慰めてやったし、病気になったら急いで薬も用意した。腹が減ったら食い物を渡したし、怪我をしたら魔法だが治療もしてやった。
その努力もあってか、徐々にルファは私に対しての警戒を解き、いつしか心の距離が縮まっていた。
「りゅーおーさま!」
「む?」
背後から声をかけられ、振り返るとルファが石を持ってニコニコしていた。
鈍器代わりに私を殴る、ということはないだろう。多分あれは岩塩だ。
「しょっぱい石、みっけた」
「おー、偉いぞ。今度街に下りた時に売るとしよう」
「うん」
重いので私が岩塩を受け取り、かわりに尾を伸ばして尻尾でルファの頭を撫でてやる。彼女は嬉しそうに微笑んだ。犬の尾があればすごい速さで振ってそうだ。
帝国の塩は基本海に近い聖王国からの輸入品に頼っている。高級品なのだ。岩塩は不純物が多くそこまで値は張らないが、それでも結構な稼ぎになる。
こういった品を売りに出す時、頼りとなるのはルファだ。人間は人間とでないと取引してくれない。いつもルファが旅人を装って売りに出し、私は従魔としてお供してる。
最初こそ勇者とバレる心配もあったが、今のルファは前の姿とは似ても似つかない。ストレスで抜けていた髪の色はきれいな黒になり、骨が浮き出ていた頬は丸々と膨らんでいる。
手足も肉付きが良くなり、健康的な少女そのものだ。それに、中身も変わった。
「!?」
私の不意を突くように、手刀が振り下ろされた。とっさに受け取り握り締め、ルファの顔をジロリと見上げると人形のような顔が私を見下ろしていた。
「あそぼ」
「また今度な」
「‥‥‥」
人形じみた顔はけれども残念そうに拗ねる表情を浮かべる。ルファのもう一つの人格だ。
予想外だったが、まさかこのカタワレにも懐かれるとは‥‥‥時々私の精神封印を破ってこうして表に出てくるのだ。
ちなみにルファはこのことを知ってる。が、片方が出ると片方は意識がなくなるので会って会話するようなことはできない。
ぶっそうな性格をしてるので会わせなくて良いかも知れんが。
しかし、随分と私も落ち着いたものだ。知り合いの魔王は私を「腑抜け」と呼び、獣王は「丸くなった」と言う。否定はできんな。
最初はどうでもよかったルファが、今では大切に思える。もう人間に対しての復讐など敵意など、どうでも良くなってしまった。
できることなら、このままずっと‥‥‥ずっと平和に。
藁のベットから目が覚めた少女は、ぼーっとしつつ周囲を見渡していた。眠りから覚めて、まだ意識が安定していないのだろう。浮き沈みを繰り返すようにまばたきをする。
そして目の前に座っている私を見ると、眠そうにしながらも頭を下げた。
「おはようございます」
「‥‥‥おはよう」
ドラゴン相手に開幕から挨拶するとは、どういう思考回路をしてるのかが謎だ。私はとりあえず返事を返しておくことにした。
「ここどこ、ですか?」
挨拶を済ませた少女は辺りをキョロキョロ見渡して、ここが見覚えのある場所ではないということが分かったらしい。なんなら目の前にいる私すら見覚えがないようだ。
「ここは竜王の巣。私の住処だ」
「りゅーおーのす?」
「‥‥‥自分の足でここに来たのだぞ?」
「そう、です?」
少女は戸惑うばかりで、初めて会った時のように殺しにかかってくることはない。
ふむ、念のため隷属の魔法陣を破壊したのは間違った選択ではなかったらしい。記憶がないということは誰かに命令されてやって来たということだろうからな。
「お前は勇者だろう?なにもわからないのか」
「ゆうしゃ?‥‥‥ゆうしゃ、勇者」
「?」
何度か勇者という単語を繰り返す。だんだんと言葉が流暢になっていき、雰囲気も変わっていく。
魔力が洗練された宝石のように煌めいていく。目から生気がなくなり、人形のような表情を作ると少女は我に向かって飛びかかって来た。
「ぬ」
無論喰らうはずもない。魔法で少女の体を固定し、攻撃が私に届く寸前で動きを止めることができた。
隷属の魔法は解除したハズだが‥‥‥急に人が変わったな。雰囲気は初対面の時と似ている。
治癒魔法で怪我を治してやったせいか、動きが比べ物にならなかった。だが急激に変化しすぎだ。まるで中身が変わったような‥‥‥。
「おい、やめろ」
「‥‥‥殺す」
言葉に感情がなく、ハリボテのように教え込まれた言葉をなぞっているだけ。だが魔法によって誰かに制御されてるわけではなさそうだ。別の原因がこの少女を動かしている。
そういえば、一度に二つのことを同時に考えられる《並列思考》という能力を聞いたことがある。人格が二つあり、脳が一人で二人分の働きをするという。
もしや、それによって擬似的な多重人格を形成しているのか。
人間たちが私を殺すためにプログラミングした、戦闘用の人格。と解釈して良いだろう。
隷属魔法が破壊された時の保険か、小賢しい。
「貴様は眠っているがいい」
手のひらを少女の顔に向け、呪文を飛ばす。すると魔法の鎖が彼女の心を縛り、剥き出しにしていた殺意を奥底に封じ込めた。
少女はまた意識を失い、バタリとその場に崩れ落ちる。とりあえず、今は表に出てきてもらうと色々ややこしくなりそうだ。
ここで人格を消し去っても良いが、やめておこう。また下手に暴走されても困る。
「ふむ」
私は少女を一暼し、これからどうするかを決めるために考えた。
この者に止めを刺さなかったのは単なる気まぐれだ。一瞬、ほんの一瞬だけ、この少女がかわいそうだと思った。
なら、どうするのか。このまま殺してやったほうが、面倒も少ないし少女にとっても良いのではないか?
今は記憶が飛んでるし、体も治癒してやったから覚えていないだろうが、そこら中にあった虐待の跡がいつこの子の心を蝕んでもおかしくはない。
それを思い出せば、この世のすべてに絶望するだろう。私のように。
「‥‥‥」
私は無言で爪に魔力を込める。そして鋭利な刃を少女の首元に押し当てる‥‥‥が、その時頭の中である言葉が反復した。
「たすけて‥‥‥か」
ふむ。
気まぐれで少女を拾ってから数ヶ月が過ぎた。人間とはいえ勇者なので、放置しとけば勝手に育つと思っていた。が、そうでもなかった。何度かは拾ったことを後悔した。
まず大変だったのは名前で、本人が知らなかったので適当にルファと名付けた。
隷属の魔法陣に「アルファ」とあったからそこから取ったが、勇者の候補の番号のことだろうか?
次に苦労したのは生活環境だ。野生の環境下で生活するには人間の体は脆すぎた。
すぐには病気になるし、腹も壊すし不潔になる。服もあっという間にボロボロになってしまう。
なので山で売れそうな物を手に入れ、人里で売って金を作り、それを元手に住処に人間が生きるのに必要な道具を集めた。
だが一番苦労したのは、ルファの私に対しての恐怖だ。記憶はないが本能的に他者を警戒するようになっていたのか、寝るときは洞窟の隅だったり、私が話しかけなければ常に無言だったり。
別に人間が私をどう思うかなどどうでも良かったが、同居するのにいちいち怖がられるのは鬱陶しいし、気分も悪い。
仕方がないからこちらから歩み寄る努力をしたのだ。
夜泣きした時は毛布をかけて慰めてやったし、病気になったら急いで薬も用意した。腹が減ったら食い物を渡したし、怪我をしたら魔法だが治療もしてやった。
その努力もあってか、徐々にルファは私に対しての警戒を解き、いつしか心の距離が縮まっていた。
「りゅーおーさま!」
「む?」
背後から声をかけられ、振り返るとルファが石を持ってニコニコしていた。
鈍器代わりに私を殴る、ということはないだろう。多分あれは岩塩だ。
「しょっぱい石、みっけた」
「おー、偉いぞ。今度街に下りた時に売るとしよう」
「うん」
重いので私が岩塩を受け取り、かわりに尾を伸ばして尻尾でルファの頭を撫でてやる。彼女は嬉しそうに微笑んだ。犬の尾があればすごい速さで振ってそうだ。
帝国の塩は基本海に近い聖王国からの輸入品に頼っている。高級品なのだ。岩塩は不純物が多くそこまで値は張らないが、それでも結構な稼ぎになる。
こういった品を売りに出す時、頼りとなるのはルファだ。人間は人間とでないと取引してくれない。いつもルファが旅人を装って売りに出し、私は従魔としてお供してる。
最初こそ勇者とバレる心配もあったが、今のルファは前の姿とは似ても似つかない。ストレスで抜けていた髪の色はきれいな黒になり、骨が浮き出ていた頬は丸々と膨らんでいる。
手足も肉付きが良くなり、健康的な少女そのものだ。それに、中身も変わった。
「!?」
私の不意を突くように、手刀が振り下ろされた。とっさに受け取り握り締め、ルファの顔をジロリと見上げると人形のような顔が私を見下ろしていた。
「あそぼ」
「また今度な」
「‥‥‥」
人形じみた顔はけれども残念そうに拗ねる表情を浮かべる。ルファのもう一つの人格だ。
予想外だったが、まさかこのカタワレにも懐かれるとは‥‥‥時々私の精神封印を破ってこうして表に出てくるのだ。
ちなみにルファはこのことを知ってる。が、片方が出ると片方は意識がなくなるので会って会話するようなことはできない。
ぶっそうな性格をしてるので会わせなくて良いかも知れんが。
しかし、随分と私も落ち着いたものだ。知り合いの魔王は私を「腑抜け」と呼び、獣王は「丸くなった」と言う。否定はできんな。
最初はどうでもよかったルファが、今では大切に思える。もう人間に対しての復讐など敵意など、どうでも良くなってしまった。
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