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第2章〜不死編〜
第105話「三馬鹿、家を買う2」
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「リメットが過去、戦争で前線基地であったことは知ってるかな」
コウロは我らを案内しながら口を開いた。もちろん知っている。だから家の建物のほとんどが石造りで、要塞のような見た目をしているのだろ?
全員が知ってることなので、うんと頷く。
「だから戦争が終わって都市として発達した時は、既存の兵舎を解体して民間人も住めるようにしたんだ」
「へぇ、そうだったのか」
元の建物を破壊して、それを材料に家を建てたのか。だからリメットの住人の住む家は何百年経っても石造りが多く残っているのだろう。
それに石造りは長持ちするしの。レッテル村の家なんて老朽化が進んだモノばかりだった。
「戦争後、この街は全ての大国の中心に位置する都市になった。物資の行き来が楽になるように、リメットは中立都市として栄えた。様々な文化や技術が行き交って、今では大陸屈指と言われるまで発展したんだ」
たしかに、リメットは結構豊かな街だとは思っていた。広大な土地に肥沃な大地。ダンジョンから取れるエネルギーや資源。外部からの輸入や輸出。さらには冒険者などの魔物に対抗できる戦力。
そして都市を完全に囲ってある巨大で堅固な外壁。
いっそ国として独立できるのではないかと思うくらい、恵まれた環境である。
「だからこの都市は交易を中心に栄えているから、自分の土地を持って家を買って永住する人も多いし、なんならリメット出身の人間もいる。僕もそうだしね。けど‥‥‥」
「けど?」
「冒険者のほとんどは、住居を持たないんだ」
は?家を持たない?それは今の我らのような宿暮らしばかりということなのか。
たしかに家を買うのは大金がいる。だがコウロの言い方だとお金があっても家を持たないような言い方をしている気がする。
家を持つことに、何かしらのデメリットがあるのか。
「どうしてですか?」
「冒険者の多くは流れ者。この街出身じゃない人が多い。むしろこの街で育った住人は、冒険者を志望することが少ないからね」
「‥‥‥そうなの?」
冒険者に憧れていたサエラが首を傾げる。我てっきり、子供達のなりたい職業ランキング!でどどん!冒険者!的なことをイメージしてたのだが。
「なぜなら、僕たちは安全な街の中で暮らしてるからさ。小さい頃から戦う訓練でもしてる人じゃないと、戦闘の技術なんてもってないからね」
あぁそうか。村とかで生きてる人間なら、狩りをするためにある程度の戦闘技術を学んだり、自衛のために武器を持つ機会も多い。
が、都市暮らしならその心配もない。戦うことができなければ、冒険者になろうとは思わないかもしれない。シオンもそうだったし。
「だからリメットの冒険者の多くは他所から来た人ばっかり。大抵は貯蓄の余裕がないことが多いから家を持つことは少ないんだ」
なぁるほど。デメリットメリットではなく、単純にお金がないのか。たしかに武器の維持に必要なメンテナンスや修理にも金はかかるしの。
村から都会に出たばかりなら、家が買えるくらいの貯金があるなど普通はない。
ここで冒険者として稼いでも、結局は 金貨単位の金額が必要となる。と、なれば冒険者が自宅を持つのはかなり後半で、大抵が宿暮らしになるもの納得がいく。
「つまり僕が何を言いたいのかというと」
「言うと?」
「ギルドにも近くて、従魔も飼える良い物件を紹介できるということさ」
コウロはそう言って振り返り、演技するかのように手を出して我らの前にレンガの壁で囲まれた一軒家を見せてきた。
コウロは我らを案内しながら口を開いた。もちろん知っている。だから家の建物のほとんどが石造りで、要塞のような見た目をしているのだろ?
全員が知ってることなので、うんと頷く。
「だから戦争が終わって都市として発達した時は、既存の兵舎を解体して民間人も住めるようにしたんだ」
「へぇ、そうだったのか」
元の建物を破壊して、それを材料に家を建てたのか。だからリメットの住人の住む家は何百年経っても石造りが多く残っているのだろう。
それに石造りは長持ちするしの。レッテル村の家なんて老朽化が進んだモノばかりだった。
「戦争後、この街は全ての大国の中心に位置する都市になった。物資の行き来が楽になるように、リメットは中立都市として栄えた。様々な文化や技術が行き交って、今では大陸屈指と言われるまで発展したんだ」
たしかに、リメットは結構豊かな街だとは思っていた。広大な土地に肥沃な大地。ダンジョンから取れるエネルギーや資源。外部からの輸入や輸出。さらには冒険者などの魔物に対抗できる戦力。
そして都市を完全に囲ってある巨大で堅固な外壁。
いっそ国として独立できるのではないかと思うくらい、恵まれた環境である。
「だからこの都市は交易を中心に栄えているから、自分の土地を持って家を買って永住する人も多いし、なんならリメット出身の人間もいる。僕もそうだしね。けど‥‥‥」
「けど?」
「冒険者のほとんどは、住居を持たないんだ」
は?家を持たない?それは今の我らのような宿暮らしばかりということなのか。
たしかに家を買うのは大金がいる。だがコウロの言い方だとお金があっても家を持たないような言い方をしている気がする。
家を持つことに、何かしらのデメリットがあるのか。
「どうしてですか?」
「冒険者の多くは流れ者。この街出身じゃない人が多い。むしろこの街で育った住人は、冒険者を志望することが少ないからね」
「‥‥‥そうなの?」
冒険者に憧れていたサエラが首を傾げる。我てっきり、子供達のなりたい職業ランキング!でどどん!冒険者!的なことをイメージしてたのだが。
「なぜなら、僕たちは安全な街の中で暮らしてるからさ。小さい頃から戦う訓練でもしてる人じゃないと、戦闘の技術なんてもってないからね」
あぁそうか。村とかで生きてる人間なら、狩りをするためにある程度の戦闘技術を学んだり、自衛のために武器を持つ機会も多い。
が、都市暮らしならその心配もない。戦うことができなければ、冒険者になろうとは思わないかもしれない。シオンもそうだったし。
「だからリメットの冒険者の多くは他所から来た人ばっかり。大抵は貯蓄の余裕がないことが多いから家を持つことは少ないんだ」
なぁるほど。デメリットメリットではなく、単純にお金がないのか。たしかに武器の維持に必要なメンテナンスや修理にも金はかかるしの。
村から都会に出たばかりなら、家が買えるくらいの貯金があるなど普通はない。
ここで冒険者として稼いでも、結局は 金貨単位の金額が必要となる。と、なれば冒険者が自宅を持つのはかなり後半で、大抵が宿暮らしになるもの納得がいく。
「つまり僕が何を言いたいのかというと」
「言うと?」
「ギルドにも近くて、従魔も飼える良い物件を紹介できるということさ」
コウロはそう言って振り返り、演技するかのように手を出して我らの前にレンガの壁で囲まれた一軒家を見せてきた。
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