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プロローグ
異世界移住権
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人生なんてどう転ぶかわかったもんじゃない、今がそう実感できている瞬間だと思う。
例えば発売日当日に買いに行ったゲームがギリギリ一個だけ残っていて、なんとか購入できてウキウキ気分だったところにいきなりトラックが突っ込んでくるとか。
そんなことも人生に一度あるかもしれない。え?無い?こまけーことは良いんだよ。
実際にこれを経験した奴がいるかも知れないだろ?誰って?俺だよ馬鹿。
そう、これは俺だ。トラックに正面からぶち当たって、数メートル吹き飛ばされて血まみれになったこの間抜けが、俺だ。
クソ痛えんですけど。なんで即死しないのよ俺。こんな事故に遭ったら死んでて良いじゃん。
なんでギリギリ生きてんのさ。HPが1だけ残ってる状態じゃねーか。
苦行だよ?ある意味。
‥‥‥はっ、これはあれか?神が俺にゲームをプレイしろと囁いているのか。
この状態で生きろというのか!?
この買ったゲームをクリアするまで死ぬことは許さんぞと‥‥‥そういうことなのか?
ふふふ、そこまで言われちゃあ仕方ねぇ‥‥‥俺は生きるぞ、神ィ!
ん?あれ?おかしいな。なんで俺をはねたトラックが俺に向かってきてるんだ?
おいおいおいおいおいやめろやめなさいやめとけって!
次轢かれたら死んじゃうよ?俺死んじゃうよ?神様はチャンスを二度もくれないよ?これ以上罪を重ねるなって!
ほら、周りにいる通行人とか野次馬たちも悲鳴あげてるし、ここで止まったほうがいいって!仏の顔は三度までっていうけど俺のツラは二度までしか許さねぇからな?次やられたら本格的に顔面やばいことになるから!
俺の頭が開いたザクロみたいになっちゃうから!見てる人がみんなザクロ恐怖症になっちまうぞ?それでも良いのかキサマ!
あれ?よく見たら運転席のおっちゃん寝て‥‥‥
ぐちゃっ
という夢を見たんだ。
なんともリアリティのある夢だなぁと思った。いやぁ、こんなの初めて見た。痛みを感じたもん。
このリアルさ、夢をコントロールできるようになれば全人類の求める完全なVRも夢じゃないんじゃないか?夢だけに。
「夢じゃないんだよなー」
いやしかしなんともひどい夢だった。特に最後、あの眠ってる運ちゃん。眠りながら人をひき殺しやがって、教習所で何を学んだんだ奴は。
「度数高いお酒を飲みながら運転してたらしいね。飲酒運転は良くないよね」
っていうか‥‥‥俺の買ったゲームはどうなった?い、いや、夢だから別に良いんだけどさっ!ちょっとリアルな夢だったから気になるっていうかぁ?
「お兄さんの頭と同じ運命を辿ったよ。木っ端微塵」
うっせぇなさっきからぁ!人が喋ってるでしょ!
露骨に俺の思考に野次を入れてくる謎の声に文句を言うため、俺は寝転んでいた体を起き上がらせようと‥‥‥起き、あが、ぁあれ?
『う、動かんっ!?』
どういうわけか、体が起き上がらない。というか体そのものが動かない。
金縛りとは違う。まるで俺の肉体そのものがなくなってしまったかのように、感覚が無くなっていた。
どういうことだってばよ!もしかして身体ロストした?
というか俺の声もなんか変じゃない?なんか声が機械的になってんだけど、カーナビみたいな声だ。
「当たり前じゃん。お兄さんの肉体が”R-18G”状態になっちゃったんだもの。しかも頭がないし」
声のする方へ目を‥‥‥というか視界を向けてみる。
そこには幼いからか、どちらかというと中性的な顔立ちをした少女が俺を見下していた。
めっちゃ美形だなおい。男のしかいない島に送ったら即座に襲われそうだ。いやもう襲われろ、美形は俺の敵だ。あ、でも女の子だから許す。
しかし、そいつは普通の人間ではなかった。背中から白鳥のような白い翼を生やして、頭には謎の半透明な輪っかが浮遊している。
服は白いワンピースで、見えそうで見えない際どい感じが堪らんで‥‥‥てかもう完全に天使のコスプレじゃないですか。
『お前‥‥‥そんな格好して恥ずかしくないの?』
「初対面でいきなり罵倒されたのは初めてだなー」
天使(仮)はニッコリと微笑みながら額に青筋を浮かべる。
笑ってるなら拳を収めよ?その今すぐ俺に物理的干渉をしようとする武力を止めるんだ。
とりあえず、いきなりあのセリフを吐いた俺が悪かったな。謝っとこ、怖いし。
『すまん。俺はコスプレが苦手でさ、そういうのは二次元に限るのよ』
「今すぐにでもエンジェルからデーモンにクラスチェンジしてあげようか?」
ごめんて。
だからその巨大な槍を置いてよ。どっから取り出したのそれ。
そろそろ本気でぶっ殺されそうな‥‥‥もう死んでるんだっけ?とにかくそんな雰囲気に飲み込まれそうなんで、俺は目の前の天使を落ち着かせることから始めた。
☆☆☆
話を聞いたところによると、ここは死と生の境目。つまり輪廻転生をおこなうための入口なのだという。
なるほど転生か。ライトノベルよろしくのお馴染み展開ではある。
今、俺の声がおかしかったり体が動かなかったりする原因は現在、肉体が消滅して魂だけになってしまっているからだという。
声は思念体として、天使が聞き取ってるだけだそうだ。声自体は出ていない。
『で、お前は神の使いとかそんな感じ?』
「そんなわけないでしょ。第一神なんている訳無いじゃん。そんな非現実的な存在」
おや?自己否定かな?
「ボクはこの”輪廻の入口”で素質のある人間の魂を吟味してるんだ、異世界に送るためのね。」
『異世界?ていうか、素質って‥‥‥なんの?』
もしかしてあれか?俺には実は秘められた力があって、この天使がその力で世界を救ってくれと頼んでくるとかそういうパティーン?英雄的なサムシング?
いやぁ~困っちゃうな~~~
「中二病が抜けきってない事だよ。お兄さんは今まで見た中でも最高だよ!」
このクソガキ、羽根引き抜いて手羽先にしてやろうか?だが俺は寛大だ。仕方ないから許してやろう。大 人 だ か ら な。
俺がギロリ睨む視線を送ると、天使は呆れたように肩を落とし、俺に言い聞かせるような柔らかい声で話しかけてきた。
「あのさー、異世界転生と聞いて何が思い浮かぶ?」
『そりゃぁ剣と魔法のファンタジーだろ?時代背景は中世ヨーロッパとか?』
「まぁそうだね、実際お兄さんを送り込もうとしている世界もそんなんだし。でも‥‥‥」
『ん?』
「今まで話した魂たちのほとんどが、元の世界で産まれ直したいって断られちゃったんだ。なんでかわかる?」
えー、そんなこと言われても・‥‥‥なんでだろう?なにか特別な理由があったとか?あ、もしかしてチート能力が与えなかったから?
そう答えてみたが、天使は首を横に振って否定する。ちなみにチートはもらえるようだ。やったね。
だけどなら、どうしてみんな拒否するんだろう。俺TEEEEE!は苦手なのかな?
と、思っていると、ようやく天使は答えを出した。
「電気もないガスも水道もない。おまけに日本並みに発展した医療技術も存在しない。そんな生活環境の中で、赤ん坊から産まれ直したいと思うかな?」
あっ‥‥‥(察
「夢のない奴らばっかりだったよ。だからボクは考えた。そうだ、中二病だったら快く向かってくれるんじゃない?ってね」
『‥‥‥成果は?』
「志望希望者100%をほこっています」
そりゃそうなるわ。ターゲットロックオンできてるんじゃねぇか。
確かにファンタジー好きの連中なら喜んで異世界に向かいそうではある。実際俺も行ってみたいって素直に思ったし。
「どう?お兄さんもレッツ!異世界GO!しない?」
『別にいいけどさ、何かしら能力がもらえるんだろ?まずはそれ見せてくれない?』
どっちにしろ元の”俺”は生き返れないし、家族もいない天涯孤独だった。
別に暗い過去があるとかじゃないぞ?親が俺を置いて夜逃げしただけやで?近所のおじさんとかが良くしてくれたから生活も平気だったし。
だから異世界に行ってみようって思えるんだよな。友達?あ?いねーよんなもん。
あれ?思い返してみると俺って結構、異世界に向かう主人公の条件満たしてないか?
おい誰だ。「ただのボッチだろ」って思った奴。
「おっけー、じゃあこの中から好きなの選んでね!」
天使は文字通り天使の微笑みを浮かべ、俺に小さなボード的な板を見せてくれる。どうやらこれに俺に与えられるチート能力が書いてあるらしい。
どれどれえーと?
・「全状態異常無効」全ての状態異常を無効化する。
・「召喚/帰還」契約した召喚獣を無条件で召喚/帰還させることができる。帰還の場合、距離に関係なく発動できる。
・「清潔」体の汚れをすべて消す。なお、服は適応されない
・「鑑定LV10」目にしたものを鑑定することができる。情報量が多いとはげしい頭痛がする
『お、おう‥‥‥』
「さ、どれにする?」
地味ぃ。なんていうかジミィ。
い、いや、確かにすごい。すごいことは認める。
だけどさぁ、これどっちかっていうとサブスキルじゃね?主にチート能力がある主人公のサブスキルだよねこれ全部。
お世辞にも、これがメインスキルではないと断言できる。
このラインナップはなぁ‥‥‥まぁ健康とかは保てそうだけど敵を倒すには向いてないスキルだよな。
異世界っていうくらいなんだから身の危険なんていくらでもあるよね?だったら自衛できる戦闘用のスキルの一つや二つほしいんですけど‥‥‥。
「ね!どれにする?好きなのを選んで良いからね!大丈夫、時間は腐るほどあるから!」
天使の笑顔がさっきから怖いんですけど。てか顔近いんですけど。ぜってぇ獲物逃がさないって雰囲気パないんですけど。
うーん‥‥‥俺は1回深呼吸をし、意を決し切り出した。
『あの』
「うん?まだ決まんない?ボクのおすすめはねー」
『いや、また日本人として転生オナシャス』
ピキッと天使の笑顔からなにか割れるような音が聞こえた。
「ごめん、よく聞こえなかったよ。もう一回言ってもらっていいかな?」
『だからまた日本人として』
「ごめん、もう一回」
『にほんじ』
「ごめん、もういっ『聞けやァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
なんだこの馬鹿天使はさっきから!人の話を聞くことができんのか翼だけじゃなく頭も鳥頭かお前は!
なにがなんでも異世界特急線に乗せようとすんなよ!?俺だって二度目の死が魔物に襲われて事故死とか嫌だからな!?
すると天使は思わぬ行動に出た。ぶわっと目元に涙を浮かべ、泣きながら(球体状の)俺に抱きついてきたのだ。
うわ!何しやがる!
「うわあああああああああん!頼むよぉっ!!このスキル全部消費しないとボクずっとここにいるハメになるんだよ~!」
『知らんがな!別のやつに頼めよ!』
「無理だよ!最近はみんなドライな奴ばっかだからお兄さんみたいな生粋の中二病は希少なんだよ!」
なんだとてめぇ。
「それにそっちの世界の魂の量が増えて、異界とのバランスが取りづらくなってるんだよ!だから多くの魂を異界に送らなきゃ均等を保てないんだ!
でもこんなごみチート受け取る人もいなくて異界に魂を送りづらくなってるし頼むよ後生だからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『し、知るかよぉそんなことっ!こんなスキルでどうやって天寿を全うしろっつーんだ!俺は絶対嫌だぞっ!つかお前最後ごみって言ったよな!言ったよな!?』
「お願いだからぁぁぁぁぁぁ!この際特別にスキル全部貰っていっても構わないからぁぁぁっ!!」
『なにその負の売れ残りバーゲンセール!お得だからとか俺は騙されないぞ!人気がないから売れ残るんだ!!なによりも需要が、需要がないんだよ!』
「このスキル貰ってくれたらボクの●●もあげちゃうよ!?卒業させてあげるよ!?お願いなんでもするからぁぁぁぁぁぁっ!」
『ん?今なんでもってその手には乗るかぁ!いい加減離せ!この手を離せ!大人しく俺を現代に転生させろぉぉぉぉぉっ!』
「異世界転生すればいい事づくしだよ!?たとえば、モブとして産まれても不細工になるとか絶対にないから!サブカルチャーのアニメとか漫画とかで肥えた君たち日本人の美的感覚を軽く超えちゃうからぁぁぁ!」
「んなことだどうでもいい‥‥‥って?」
ん?なんだって?”不細工にはならない”?
天使の苦し紛れに言った言葉は深々と俺の心に突き刺さり、まるで波紋のように静かに広がっていく。
『おい、天使』
「‥‥‥ふぇ?」
『不細工にはならないだと?そこんとこ詳しく頼む』
「ぐすん‥‥‥良いよ。えっとね」
嗚咽を漏らしながら説明するもんだから何を言ってるのかさっぱりわからねぇ。とりあえず聞いた話をまとめてみると。
異世界には魔素という万能物質があるらしく、どんな生物にも備わっているという。というか魔素も体を形成する物質の1つらしい。
この魔素は生物の成長に大きく関わってくるのだが、どうやらこれは成長する際に肉体の形を整える効果があるそうだ。
医学的にいうと成長期間に遺伝子が暴走して、奇形にならないようにするのが本来の役割らしい。DNAに補正をかけるんだと。
わけわからん。
とりあえずその結果、保有している魔素量が多ければ多いほど、美形になりやすいという。
例えるなら、ゲームとかでボスキャラはどうしてこんなに強そうな見た目をしてるんだろう?というのは、イコール保有魔力が多いってこった。
そう、魔素を保有しているだけで良いのだ。よほど堕落した生活を送らなければ顔は平均クラスにはなれる。
多ければ多いほどいいが、それはスーパースターやハリウッド俳優のような規格外に必要なことだ。俺はそこまで求めていない。
そしてそれは、自分の顔つきがマシになるだけではなく、もちろん異世界の住人にも適応されている。つまり‥‥‥
『異世界ではフツメンでも、日本人の感覚にとっては美人だらけだと‥‥‥?』
「ひっく、うん」
なんという天国‥‥‥いや、楽園か。それはつまり転生すれば類を見ない美少女たちを見放題ってことか。
それはもう、行くしかあるめぇよ。というか行きたいですはい。
もう鏡見るたびにバケモノ見なくて済むのか。
『おい、天使。今すぐ転生の準備を進めるのだ。日本ではない、異世界にな』
「え?行ってくれるの?」
天使が涙を目元に蓄えたまま、キョトンとした表情のまま俺を見て言ってくる。なんだ、そんなに俺の決断がおかしいのか?おかしいけど。
はっはっはっ全く、最初から美形が多いって言ってくれれば即答したのに。ねぇ?
そんな俺の思惑は露知らず、天使はパァァと破顔すると、一度は手放した俺を再び抱きしめて喜びの声を上げた。
「ありがと!!お兄さん大好き!!」
『ぎゃっちょ、離れろ!!』
なんでそんなに喜んでるのか知らないけど、お前何回俺に抱きつくつもりだ!生前の俺だと股間のキャノン砲がフルバーストしてるところだぞ!だから離れろっての!
あ、もう息子いねぇんだった。
そうしてしばらく揉み合っていると、天使の方は満足したのかふんふんと鼻歌で歌い始めた。無駄に可愛くて腹立つ鼻歌をしながら。
なにやら魔法陣的な何かを作り始めている。
それを見ていると、なんだか暑いような‥‥‥微かに熱風のような暖かい感触が俺の元にやってきた。
たぶんこれが魔力ってやつか。そう勝手に納得していると、天使の方は終わったのかくるりとこちらを向いた。
「準備は終わったよー。今から転生させるからねー」
お、おう結構早い。なんだか緊張するです。
‥‥‥天使が魔法陣を起動させたら、俺は異世界への片道切符を受けとることになる。ドキドキしないわけがない。
『チートは適当に良さげなのを選んでくれや。アッチで役に立ちそうなの』
「あー良いよ良いよ、全部お兄さんに入れとく!チートって言ってもどうせゴミばっかだし。複数ないと割に合わないからね!」
結局全部入れるんかい。いや、別にありがたいから良いんだけどさ‥‥‥。
あれ?視界が霞んでくぞ?見えてたものがどんどんボヤけてハッキリしなくなってく‥‥‥なんか、あったかい。
‥‥‥あったかくて柔らかい‥‥‥包まれてく‥‥‥ね、む‥‥‥
い、いし‥‥‥き‥‥‥が‥‥‥長いなこれ。
「じゃーねお兄さん!向こうで会おうね!」
は?お前今なんつった?
そして俺はあっけなく意識を手放した。
例えば発売日当日に買いに行ったゲームがギリギリ一個だけ残っていて、なんとか購入できてウキウキ気分だったところにいきなりトラックが突っ込んでくるとか。
そんなことも人生に一度あるかもしれない。え?無い?こまけーことは良いんだよ。
実際にこれを経験した奴がいるかも知れないだろ?誰って?俺だよ馬鹿。
そう、これは俺だ。トラックに正面からぶち当たって、数メートル吹き飛ばされて血まみれになったこの間抜けが、俺だ。
クソ痛えんですけど。なんで即死しないのよ俺。こんな事故に遭ったら死んでて良いじゃん。
なんでギリギリ生きてんのさ。HPが1だけ残ってる状態じゃねーか。
苦行だよ?ある意味。
‥‥‥はっ、これはあれか?神が俺にゲームをプレイしろと囁いているのか。
この状態で生きろというのか!?
この買ったゲームをクリアするまで死ぬことは許さんぞと‥‥‥そういうことなのか?
ふふふ、そこまで言われちゃあ仕方ねぇ‥‥‥俺は生きるぞ、神ィ!
ん?あれ?おかしいな。なんで俺をはねたトラックが俺に向かってきてるんだ?
おいおいおいおいおいやめろやめなさいやめとけって!
次轢かれたら死んじゃうよ?俺死んじゃうよ?神様はチャンスを二度もくれないよ?これ以上罪を重ねるなって!
ほら、周りにいる通行人とか野次馬たちも悲鳴あげてるし、ここで止まったほうがいいって!仏の顔は三度までっていうけど俺のツラは二度までしか許さねぇからな?次やられたら本格的に顔面やばいことになるから!
俺の頭が開いたザクロみたいになっちゃうから!見てる人がみんなザクロ恐怖症になっちまうぞ?それでも良いのかキサマ!
あれ?よく見たら運転席のおっちゃん寝て‥‥‥
ぐちゃっ
という夢を見たんだ。
なんともリアリティのある夢だなぁと思った。いやぁ、こんなの初めて見た。痛みを感じたもん。
このリアルさ、夢をコントロールできるようになれば全人類の求める完全なVRも夢じゃないんじゃないか?夢だけに。
「夢じゃないんだよなー」
いやしかしなんともひどい夢だった。特に最後、あの眠ってる運ちゃん。眠りながら人をひき殺しやがって、教習所で何を学んだんだ奴は。
「度数高いお酒を飲みながら運転してたらしいね。飲酒運転は良くないよね」
っていうか‥‥‥俺の買ったゲームはどうなった?い、いや、夢だから別に良いんだけどさっ!ちょっとリアルな夢だったから気になるっていうかぁ?
「お兄さんの頭と同じ運命を辿ったよ。木っ端微塵」
うっせぇなさっきからぁ!人が喋ってるでしょ!
露骨に俺の思考に野次を入れてくる謎の声に文句を言うため、俺は寝転んでいた体を起き上がらせようと‥‥‥起き、あが、ぁあれ?
『う、動かんっ!?』
どういうわけか、体が起き上がらない。というか体そのものが動かない。
金縛りとは違う。まるで俺の肉体そのものがなくなってしまったかのように、感覚が無くなっていた。
どういうことだってばよ!もしかして身体ロストした?
というか俺の声もなんか変じゃない?なんか声が機械的になってんだけど、カーナビみたいな声だ。
「当たり前じゃん。お兄さんの肉体が”R-18G”状態になっちゃったんだもの。しかも頭がないし」
声のする方へ目を‥‥‥というか視界を向けてみる。
そこには幼いからか、どちらかというと中性的な顔立ちをした少女が俺を見下していた。
めっちゃ美形だなおい。男のしかいない島に送ったら即座に襲われそうだ。いやもう襲われろ、美形は俺の敵だ。あ、でも女の子だから許す。
しかし、そいつは普通の人間ではなかった。背中から白鳥のような白い翼を生やして、頭には謎の半透明な輪っかが浮遊している。
服は白いワンピースで、見えそうで見えない際どい感じが堪らんで‥‥‥てかもう完全に天使のコスプレじゃないですか。
『お前‥‥‥そんな格好して恥ずかしくないの?』
「初対面でいきなり罵倒されたのは初めてだなー」
天使(仮)はニッコリと微笑みながら額に青筋を浮かべる。
笑ってるなら拳を収めよ?その今すぐ俺に物理的干渉をしようとする武力を止めるんだ。
とりあえず、いきなりあのセリフを吐いた俺が悪かったな。謝っとこ、怖いし。
『すまん。俺はコスプレが苦手でさ、そういうのは二次元に限るのよ』
「今すぐにでもエンジェルからデーモンにクラスチェンジしてあげようか?」
ごめんて。
だからその巨大な槍を置いてよ。どっから取り出したのそれ。
そろそろ本気でぶっ殺されそうな‥‥‥もう死んでるんだっけ?とにかくそんな雰囲気に飲み込まれそうなんで、俺は目の前の天使を落ち着かせることから始めた。
☆☆☆
話を聞いたところによると、ここは死と生の境目。つまり輪廻転生をおこなうための入口なのだという。
なるほど転生か。ライトノベルよろしくのお馴染み展開ではある。
今、俺の声がおかしかったり体が動かなかったりする原因は現在、肉体が消滅して魂だけになってしまっているからだという。
声は思念体として、天使が聞き取ってるだけだそうだ。声自体は出ていない。
『で、お前は神の使いとかそんな感じ?』
「そんなわけないでしょ。第一神なんている訳無いじゃん。そんな非現実的な存在」
おや?自己否定かな?
「ボクはこの”輪廻の入口”で素質のある人間の魂を吟味してるんだ、異世界に送るためのね。」
『異世界?ていうか、素質って‥‥‥なんの?』
もしかしてあれか?俺には実は秘められた力があって、この天使がその力で世界を救ってくれと頼んでくるとかそういうパティーン?英雄的なサムシング?
いやぁ~困っちゃうな~~~
「中二病が抜けきってない事だよ。お兄さんは今まで見た中でも最高だよ!」
このクソガキ、羽根引き抜いて手羽先にしてやろうか?だが俺は寛大だ。仕方ないから許してやろう。大 人 だ か ら な。
俺がギロリ睨む視線を送ると、天使は呆れたように肩を落とし、俺に言い聞かせるような柔らかい声で話しかけてきた。
「あのさー、異世界転生と聞いて何が思い浮かぶ?」
『そりゃぁ剣と魔法のファンタジーだろ?時代背景は中世ヨーロッパとか?』
「まぁそうだね、実際お兄さんを送り込もうとしている世界もそんなんだし。でも‥‥‥」
『ん?』
「今まで話した魂たちのほとんどが、元の世界で産まれ直したいって断られちゃったんだ。なんでかわかる?」
えー、そんなこと言われても・‥‥‥なんでだろう?なにか特別な理由があったとか?あ、もしかしてチート能力が与えなかったから?
そう答えてみたが、天使は首を横に振って否定する。ちなみにチートはもらえるようだ。やったね。
だけどなら、どうしてみんな拒否するんだろう。俺TEEEEE!は苦手なのかな?
と、思っていると、ようやく天使は答えを出した。
「電気もないガスも水道もない。おまけに日本並みに発展した医療技術も存在しない。そんな生活環境の中で、赤ん坊から産まれ直したいと思うかな?」
あっ‥‥‥(察
「夢のない奴らばっかりだったよ。だからボクは考えた。そうだ、中二病だったら快く向かってくれるんじゃない?ってね」
『‥‥‥成果は?』
「志望希望者100%をほこっています」
そりゃそうなるわ。ターゲットロックオンできてるんじゃねぇか。
確かにファンタジー好きの連中なら喜んで異世界に向かいそうではある。実際俺も行ってみたいって素直に思ったし。
「どう?お兄さんもレッツ!異世界GO!しない?」
『別にいいけどさ、何かしら能力がもらえるんだろ?まずはそれ見せてくれない?』
どっちにしろ元の”俺”は生き返れないし、家族もいない天涯孤独だった。
別に暗い過去があるとかじゃないぞ?親が俺を置いて夜逃げしただけやで?近所のおじさんとかが良くしてくれたから生活も平気だったし。
だから異世界に行ってみようって思えるんだよな。友達?あ?いねーよんなもん。
あれ?思い返してみると俺って結構、異世界に向かう主人公の条件満たしてないか?
おい誰だ。「ただのボッチだろ」って思った奴。
「おっけー、じゃあこの中から好きなの選んでね!」
天使は文字通り天使の微笑みを浮かべ、俺に小さなボード的な板を見せてくれる。どうやらこれに俺に与えられるチート能力が書いてあるらしい。
どれどれえーと?
・「全状態異常無効」全ての状態異常を無効化する。
・「召喚/帰還」契約した召喚獣を無条件で召喚/帰還させることができる。帰還の場合、距離に関係なく発動できる。
・「清潔」体の汚れをすべて消す。なお、服は適応されない
・「鑑定LV10」目にしたものを鑑定することができる。情報量が多いとはげしい頭痛がする
『お、おう‥‥‥』
「さ、どれにする?」
地味ぃ。なんていうかジミィ。
い、いや、確かにすごい。すごいことは認める。
だけどさぁ、これどっちかっていうとサブスキルじゃね?主にチート能力がある主人公のサブスキルだよねこれ全部。
お世辞にも、これがメインスキルではないと断言できる。
このラインナップはなぁ‥‥‥まぁ健康とかは保てそうだけど敵を倒すには向いてないスキルだよな。
異世界っていうくらいなんだから身の危険なんていくらでもあるよね?だったら自衛できる戦闘用のスキルの一つや二つほしいんですけど‥‥‥。
「ね!どれにする?好きなのを選んで良いからね!大丈夫、時間は腐るほどあるから!」
天使の笑顔がさっきから怖いんですけど。てか顔近いんですけど。ぜってぇ獲物逃がさないって雰囲気パないんですけど。
うーん‥‥‥俺は1回深呼吸をし、意を決し切り出した。
『あの』
「うん?まだ決まんない?ボクのおすすめはねー」
『いや、また日本人として転生オナシャス』
ピキッと天使の笑顔からなにか割れるような音が聞こえた。
「ごめん、よく聞こえなかったよ。もう一回言ってもらっていいかな?」
『だからまた日本人として』
「ごめん、もう一回」
『にほんじ』
「ごめん、もういっ『聞けやァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
なんだこの馬鹿天使はさっきから!人の話を聞くことができんのか翼だけじゃなく頭も鳥頭かお前は!
なにがなんでも異世界特急線に乗せようとすんなよ!?俺だって二度目の死が魔物に襲われて事故死とか嫌だからな!?
すると天使は思わぬ行動に出た。ぶわっと目元に涙を浮かべ、泣きながら(球体状の)俺に抱きついてきたのだ。
うわ!何しやがる!
「うわあああああああああん!頼むよぉっ!!このスキル全部消費しないとボクずっとここにいるハメになるんだよ~!」
『知らんがな!別のやつに頼めよ!』
「無理だよ!最近はみんなドライな奴ばっかだからお兄さんみたいな生粋の中二病は希少なんだよ!」
なんだとてめぇ。
「それにそっちの世界の魂の量が増えて、異界とのバランスが取りづらくなってるんだよ!だから多くの魂を異界に送らなきゃ均等を保てないんだ!
でもこんなごみチート受け取る人もいなくて異界に魂を送りづらくなってるし頼むよ後生だからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『し、知るかよぉそんなことっ!こんなスキルでどうやって天寿を全うしろっつーんだ!俺は絶対嫌だぞっ!つかお前最後ごみって言ったよな!言ったよな!?』
「お願いだからぁぁぁぁぁぁ!この際特別にスキル全部貰っていっても構わないからぁぁぁっ!!」
『なにその負の売れ残りバーゲンセール!お得だからとか俺は騙されないぞ!人気がないから売れ残るんだ!!なによりも需要が、需要がないんだよ!』
「このスキル貰ってくれたらボクの●●もあげちゃうよ!?卒業させてあげるよ!?お願いなんでもするからぁぁぁぁぁぁっ!」
『ん?今なんでもってその手には乗るかぁ!いい加減離せ!この手を離せ!大人しく俺を現代に転生させろぉぉぉぉぉっ!』
「異世界転生すればいい事づくしだよ!?たとえば、モブとして産まれても不細工になるとか絶対にないから!サブカルチャーのアニメとか漫画とかで肥えた君たち日本人の美的感覚を軽く超えちゃうからぁぁぁ!」
「んなことだどうでもいい‥‥‥って?」
ん?なんだって?”不細工にはならない”?
天使の苦し紛れに言った言葉は深々と俺の心に突き刺さり、まるで波紋のように静かに広がっていく。
『おい、天使』
「‥‥‥ふぇ?」
『不細工にはならないだと?そこんとこ詳しく頼む』
「ぐすん‥‥‥良いよ。えっとね」
嗚咽を漏らしながら説明するもんだから何を言ってるのかさっぱりわからねぇ。とりあえず聞いた話をまとめてみると。
異世界には魔素という万能物質があるらしく、どんな生物にも備わっているという。というか魔素も体を形成する物質の1つらしい。
この魔素は生物の成長に大きく関わってくるのだが、どうやらこれは成長する際に肉体の形を整える効果があるそうだ。
医学的にいうと成長期間に遺伝子が暴走して、奇形にならないようにするのが本来の役割らしい。DNAに補正をかけるんだと。
わけわからん。
とりあえずその結果、保有している魔素量が多ければ多いほど、美形になりやすいという。
例えるなら、ゲームとかでボスキャラはどうしてこんなに強そうな見た目をしてるんだろう?というのは、イコール保有魔力が多いってこった。
そう、魔素を保有しているだけで良いのだ。よほど堕落した生活を送らなければ顔は平均クラスにはなれる。
多ければ多いほどいいが、それはスーパースターやハリウッド俳優のような規格外に必要なことだ。俺はそこまで求めていない。
そしてそれは、自分の顔つきがマシになるだけではなく、もちろん異世界の住人にも適応されている。つまり‥‥‥
『異世界ではフツメンでも、日本人の感覚にとっては美人だらけだと‥‥‥?』
「ひっく、うん」
なんという天国‥‥‥いや、楽園か。それはつまり転生すれば類を見ない美少女たちを見放題ってことか。
それはもう、行くしかあるめぇよ。というか行きたいですはい。
もう鏡見るたびにバケモノ見なくて済むのか。
『おい、天使。今すぐ転生の準備を進めるのだ。日本ではない、異世界にな』
「え?行ってくれるの?」
天使が涙を目元に蓄えたまま、キョトンとした表情のまま俺を見て言ってくる。なんだ、そんなに俺の決断がおかしいのか?おかしいけど。
はっはっはっ全く、最初から美形が多いって言ってくれれば即答したのに。ねぇ?
そんな俺の思惑は露知らず、天使はパァァと破顔すると、一度は手放した俺を再び抱きしめて喜びの声を上げた。
「ありがと!!お兄さん大好き!!」
『ぎゃっちょ、離れろ!!』
なんでそんなに喜んでるのか知らないけど、お前何回俺に抱きつくつもりだ!生前の俺だと股間のキャノン砲がフルバーストしてるところだぞ!だから離れろっての!
あ、もう息子いねぇんだった。
そうしてしばらく揉み合っていると、天使の方は満足したのかふんふんと鼻歌で歌い始めた。無駄に可愛くて腹立つ鼻歌をしながら。
なにやら魔法陣的な何かを作り始めている。
それを見ていると、なんだか暑いような‥‥‥微かに熱風のような暖かい感触が俺の元にやってきた。
たぶんこれが魔力ってやつか。そう勝手に納得していると、天使の方は終わったのかくるりとこちらを向いた。
「準備は終わったよー。今から転生させるからねー」
お、おう結構早い。なんだか緊張するです。
‥‥‥天使が魔法陣を起動させたら、俺は異世界への片道切符を受けとることになる。ドキドキしないわけがない。
『チートは適当に良さげなのを選んでくれや。アッチで役に立ちそうなの』
「あー良いよ良いよ、全部お兄さんに入れとく!チートって言ってもどうせゴミばっかだし。複数ないと割に合わないからね!」
結局全部入れるんかい。いや、別にありがたいから良いんだけどさ‥‥‥。
あれ?視界が霞んでくぞ?見えてたものがどんどんボヤけてハッキリしなくなってく‥‥‥なんか、あったかい。
‥‥‥あったかくて柔らかい‥‥‥包まれてく‥‥‥ね、む‥‥‥
い、いし‥‥‥き‥‥‥が‥‥‥長いなこれ。
「じゃーねお兄さん!向こうで会おうね!」
は?お前今なんつった?
そして俺はあっけなく意識を手放した。
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