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第19話 因果応報
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「くっ……そ……!」
うつぶせに倒して瞬時に背中側で腕を拘束し、動きを封じると、七海はくやしそうに上気した顔をしかめて呻く。多少、痛みもあるのかもしれない。すぐに掴んでいた腕を放して彼女の体の上からどいた。
「教えたことが全然できてなかったよ」
「うん、いまのは完全に失敗だった」
七海は体を起こしつつ、反省しきりといった面持ちでそう応じた。遥が手を差し伸べると、ためらいなくその手を取って立ち上がり、両手を腰に当てて疲れたように溜息をつく。
「予想外の動きをされるとほんとダメだなぁ」
「落ち着いてさえいれば対処はわかるよね?」
「でも頭がまっしろになるんだ」
その表情がどうすればいいかわからないと訴えている。何日も失敗が続いているせいか彼女にしてはめずらしく弱気だ。しかし、そう簡単にできるようになるなら誰も苦労はしない。
「こういう訓練やイメージトレーニングを続けていくしかないね。その積み重ねで応用力がついてくるし、そうしたら落ち着いて対処できるようになってくるはずだよ」
「わかった」
七海は神妙に表情を引きしめて頷いた。
武蔵がこの屋敷に来てから三週間が過ぎた。
七海とは別れたままだ。それでも保護者としてはいままでどおり接しているし、家族としても変わりなく過ごしている。違いといえば、互いの身体に触れなくなったことくらいだろうか。
ただトレーニング中は別である。指導のときにはどうしても触れざるを得ないのだ。あくまで指導なので互いに意識する素振りはない。だが、すくなくとも遥は何も感じていないわけではなかった。
こんな形でも触れられるだけありがたいのだろうが、こんな形でしか触れられないことがせつない。早く恋人関係に戻りたいと気は急いているものの、いまだ何の行動も起こせずにいた。
勝負は七海がふられてから——そう考えているが、二人がどうなっているか現状が掴めないのである。だからといって尋ねるのも憚られる。もどかしいが様子を窺いながら待つしかなかった。
「今日はここまでにしよう」
掛け時計を見上げると、もうすぐ終了時間になろうとしていた。
七海は素直に頷き、いつものように棚に積んである白いタオルを手に取った。けれどもいつもと違ってなかなかジムを出ようとしない。汗を拭いながら、チラチラと物言いたげなまなざしを遥に向けてくる。
「どうかした?」
「うん……」
そう言いながら、口元に白いタオルを押し当ててうつむき加減になった。しばらくすると観念したかのようにそっと顔を上げる。緊張しているのか思いつめているのか、その表情は硬い。
「僕、武蔵と付き合うことになったから」
「……えっ?」
一瞬、彼女が何を言っているのか理解できなかった。
思考が追いつくにつれて鼓動が速く強くなっていく。心臓だけでなく体中が脈動しているかのようにうるさい。付き合うって、まさか——カラカラに乾いた喉からどうにか声を絞り出す。
「恋人として?」
「うん……武蔵と再会した翌日に気持ちを伝えたんだ。最初は断られたけど、あきらめないで何度もお願いしてたら、きのう付き合おうって言ってくれて。一応、遥には言っておこうと思ってさ」
こころなしか浮き立った語調。
その話がまぎれもない事実なのだと否応なく思い知らされる。信じたくないのに信じざるを得ない。冷たい手で心臓を鷲掴みにされたように感じながらも、うっすらと微笑んでみせる。
「そう、よかったね」
「ありがとう」
七海もつられるように安堵の笑みを浮かべた。
息は荒く、顔からは汗が滴り落ちる。
遥はひとりジムに残っていた。朝食もとらず、汗だくになりながらひたすらエアロバイクを漕ぎ続けている。休憩すらしていない。何かしら体を動かしていないと気がおかしくなりそうだった。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。二人が付き合うなんて思いもしなかった。武蔵が断るものと当然のように考えていた。まだ澪のことを想い続けているのではなかったのか。
息がうまくできないし、心臓が苦しいし、膝にも痛みが出てきた。いつまで漕ぎ続けるつもりなのか自分でもわからない。いっそのこといますぐ意識を失えたらいいのに。そう思っていると——。
「おっ、遥、まだいたのか」
ジムに入ってきたのは、遥がいま世界でいちばん会いたくない男だった。護衛係という名目の監視役も二人同行している。気付けば、エアロバイクに跨がったまま呆然と凍りついていた。
「汗だくだな。頑張りすぎじゃないのか?」
「…………」
その男——武蔵が親しげに近づいてきて、遥の顔はこわばる。
彼が空き時間にこのジムを使っていることは聞いていた。ただ、遥たちが使っている早朝の時間帯を避けていたのか、これまで一度も鉢合わせたことがなかったため、その可能性を失念していた。
よりによってこんなタイミングで来なくてもいいのに。遥がいることに気付いたのなら遠慮してくれてもいいのに。身勝手に苛立ちながら、黒の長袖ジャージを着ている彼をじとりと横目で睨む。
「なんだ、言いたいことがあるなら言えよ」
「……七海と恋人として付き合うって聞いた」
「ああ」
武蔵は隣のエアロバイクに跨がり、ハンドルを掴んでゆっくりと静かに漕ぎ始めた。鮮やかな金髪が動きに合わせてさらりと揺れる。その横顔には何の表情も浮かんでいなかった。
「澪に未練があると思ってたけど」
「まあな」
遥の追及にも動じず、変わらない速度で漕ぎつづけながら平然と答える。だがその真意が判然としない。いたずらに人を傷つける男ではないはずなのに、どうして——。
「いいかげんな気持ちなら手を引いて」
「真面目に考えてるぜ」
武蔵は足を止め、ハンドルから手を放して上体を起こした。誰もいない真正面を向いたまま遠い目になる。
「七海のことは好きだけど、さすがに恋愛感情ではなかったし最初は断った。望みはないが忘れられないひとがいるってことも話した。それでも七海はあきらめなくてな。そのひとのことを忘れられるかどうか僕で試せばいい、なんて……そんなセリフどこで覚えてくるんだろうな」
そう言い、おかしそうにハハッと笑う。
僕で試せばいい——それはかつて遥が七海に投げかけた言葉だ。可能性のない相手を想い続けるつらさにつけ込んで、自分のものにするために。まさか七海がその言葉を利用していたなんて。
だが、武蔵はそれを知っていたわけではないのだろう。さきほどの言葉に揶揄するような気配はなかった。ただ浮かべた笑みをおぼろげに残したまま、物思いに耽るような顔になる。
「おまえの言うように、七海はもう小さな子供じゃなかった。結婚もできる年齢だっていうし、いまの七海なら恋人として付き合うのも問題ない。俺自身いつまでも澪に未練を残すのはどうかと思ってるしな。いい機会かもしれない」
それって——。
遥はじわじわと頭に血がのぼっていくのを感じた。太腿の上にのせていた左手をグッと握りしめて、暴走しそうになる自分を必死に抑えると、横目で武蔵を睨みながら唸るように言う。
「つまり七海を利用するってこと?」
「お互い納得のうえだ」
「保護者の僕が納得していない!」
思わずエアロバイクから飛び降り、武蔵の胸ぐらを掴んでこちらに向かせた。
彼はサドルからずり落ちかけたもののハンドルを掴んでこらえた。壁際で待機していた護衛係の二人があわてて駆け出すが、それを片手で制し、蔑むような冷ややかな目を遥に向ける。
「おまえ、七海と付き合ってたんだってな」
背筋がゾクリとした。
すでに知られているのかもしれない。保護者の立場でありながら恋心を向けたことも、心の隙に付け込んで口説き落としたことも、当時まだ中学一年生だった彼女を抱いたことも——そんなおまえが保護者面をする資格はないと、その目が語っている。
遥としては間違ったことはしていないつもりだ。それでも七海を任せられると信頼して託してくれた武蔵の心情を思えば、多少のうしろめたさは感じる。すくなくとも恋愛ごとに関してはあまり保護者面をするわけにはいかない。
もちろん七海が騙されているのならそうも言っていられないが、すべて承知のうえで武蔵との交際を望んでいるというのだから、反対する理由はない。彼の胸ぐらを掴んでいた手から力が抜けていく。
「……もう終わったことだ」
「そうはいっても未練タラタラに見えるぜ」
「いまさらどうこうしようって気はない」
「じゃあ七海と付き合ってもいいんだな?」
「僕の許可なんて何の意味もないだろう」
「おまえの立ち位置を明確にしたいだけだ」
「邪魔はしない」
恋人でなくなっても七海の味方でいようと決めている。自分の感情だけで二人の仲を裂くようなことはしない。でも——彼の胸ぐらをグッと力をこめて掴み直し、その目を見据える。
「でも、七海を悲しませるようなことをしたら許さないから」
「恩人の娘なんだ。言われなくても大事にするさ」
武蔵は煩わしげにそう言うと、胸ぐらの手を払いのけてエアロバイクに座り直し、再び表情を消してゆっくりと漕ぎ始めた。もうこちらを見ようともしない。だが、遥はその横顔をじっと眉を寄せて睨んでいた。
武蔵はかつて七海の父親に命を賭して助けられている。恩を感じるのはわかるが、それに報いるために七海を大事にするというのだろうか。もしかしたら七海と付き合うことを決めたのも——。
たとえそうだとしても交際を反対する理由にはならない。非難もできない。振り切るように勢いよく背を向けると、棚から白いタオルを引っ掴み、壁際の護衛係に目礼してジムをあとにした。
うつぶせに倒して瞬時に背中側で腕を拘束し、動きを封じると、七海はくやしそうに上気した顔をしかめて呻く。多少、痛みもあるのかもしれない。すぐに掴んでいた腕を放して彼女の体の上からどいた。
「教えたことが全然できてなかったよ」
「うん、いまのは完全に失敗だった」
七海は体を起こしつつ、反省しきりといった面持ちでそう応じた。遥が手を差し伸べると、ためらいなくその手を取って立ち上がり、両手を腰に当てて疲れたように溜息をつく。
「予想外の動きをされるとほんとダメだなぁ」
「落ち着いてさえいれば対処はわかるよね?」
「でも頭がまっしろになるんだ」
その表情がどうすればいいかわからないと訴えている。何日も失敗が続いているせいか彼女にしてはめずらしく弱気だ。しかし、そう簡単にできるようになるなら誰も苦労はしない。
「こういう訓練やイメージトレーニングを続けていくしかないね。その積み重ねで応用力がついてくるし、そうしたら落ち着いて対処できるようになってくるはずだよ」
「わかった」
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ただトレーニング中は別である。指導のときにはどうしても触れざるを得ないのだ。あくまで指導なので互いに意識する素振りはない。だが、すくなくとも遥は何も感じていないわけではなかった。
こんな形でも触れられるだけありがたいのだろうが、こんな形でしか触れられないことがせつない。早く恋人関係に戻りたいと気は急いているものの、いまだ何の行動も起こせずにいた。
勝負は七海がふられてから——そう考えているが、二人がどうなっているか現状が掴めないのである。だからといって尋ねるのも憚られる。もどかしいが様子を窺いながら待つしかなかった。
「今日はここまでにしよう」
掛け時計を見上げると、もうすぐ終了時間になろうとしていた。
七海は素直に頷き、いつものように棚に積んである白いタオルを手に取った。けれどもいつもと違ってなかなかジムを出ようとしない。汗を拭いながら、チラチラと物言いたげなまなざしを遥に向けてくる。
「どうかした?」
「うん……」
そう言いながら、口元に白いタオルを押し当ててうつむき加減になった。しばらくすると観念したかのようにそっと顔を上げる。緊張しているのか思いつめているのか、その表情は硬い。
「僕、武蔵と付き合うことになったから」
「……えっ?」
一瞬、彼女が何を言っているのか理解できなかった。
思考が追いつくにつれて鼓動が速く強くなっていく。心臓だけでなく体中が脈動しているかのようにうるさい。付き合うって、まさか——カラカラに乾いた喉からどうにか声を絞り出す。
「恋人として?」
「うん……武蔵と再会した翌日に気持ちを伝えたんだ。最初は断られたけど、あきらめないで何度もお願いしてたら、きのう付き合おうって言ってくれて。一応、遥には言っておこうと思ってさ」
こころなしか浮き立った語調。
その話がまぎれもない事実なのだと否応なく思い知らされる。信じたくないのに信じざるを得ない。冷たい手で心臓を鷲掴みにされたように感じながらも、うっすらと微笑んでみせる。
「そう、よかったね」
「ありがとう」
七海もつられるように安堵の笑みを浮かべた。
息は荒く、顔からは汗が滴り落ちる。
遥はひとりジムに残っていた。朝食もとらず、汗だくになりながらひたすらエアロバイクを漕ぎ続けている。休憩すらしていない。何かしら体を動かしていないと気がおかしくなりそうだった。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。二人が付き合うなんて思いもしなかった。武蔵が断るものと当然のように考えていた。まだ澪のことを想い続けているのではなかったのか。
息がうまくできないし、心臓が苦しいし、膝にも痛みが出てきた。いつまで漕ぎ続けるつもりなのか自分でもわからない。いっそのこといますぐ意識を失えたらいいのに。そう思っていると——。
「おっ、遥、まだいたのか」
ジムに入ってきたのは、遥がいま世界でいちばん会いたくない男だった。護衛係という名目の監視役も二人同行している。気付けば、エアロバイクに跨がったまま呆然と凍りついていた。
「汗だくだな。頑張りすぎじゃないのか?」
「…………」
その男——武蔵が親しげに近づいてきて、遥の顔はこわばる。
彼が空き時間にこのジムを使っていることは聞いていた。ただ、遥たちが使っている早朝の時間帯を避けていたのか、これまで一度も鉢合わせたことがなかったため、その可能性を失念していた。
よりによってこんなタイミングで来なくてもいいのに。遥がいることに気付いたのなら遠慮してくれてもいいのに。身勝手に苛立ちながら、黒の長袖ジャージを着ている彼をじとりと横目で睨む。
「なんだ、言いたいことがあるなら言えよ」
「……七海と恋人として付き合うって聞いた」
「ああ」
武蔵は隣のエアロバイクに跨がり、ハンドルを掴んでゆっくりと静かに漕ぎ始めた。鮮やかな金髪が動きに合わせてさらりと揺れる。その横顔には何の表情も浮かんでいなかった。
「澪に未練があると思ってたけど」
「まあな」
遥の追及にも動じず、変わらない速度で漕ぎつづけながら平然と答える。だがその真意が判然としない。いたずらに人を傷つける男ではないはずなのに、どうして——。
「いいかげんな気持ちなら手を引いて」
「真面目に考えてるぜ」
武蔵は足を止め、ハンドルから手を放して上体を起こした。誰もいない真正面を向いたまま遠い目になる。
「七海のことは好きだけど、さすがに恋愛感情ではなかったし最初は断った。望みはないが忘れられないひとがいるってことも話した。それでも七海はあきらめなくてな。そのひとのことを忘れられるかどうか僕で試せばいい、なんて……そんなセリフどこで覚えてくるんだろうな」
そう言い、おかしそうにハハッと笑う。
僕で試せばいい——それはかつて遥が七海に投げかけた言葉だ。可能性のない相手を想い続けるつらさにつけ込んで、自分のものにするために。まさか七海がその言葉を利用していたなんて。
だが、武蔵はそれを知っていたわけではないのだろう。さきほどの言葉に揶揄するような気配はなかった。ただ浮かべた笑みをおぼろげに残したまま、物思いに耽るような顔になる。
「おまえの言うように、七海はもう小さな子供じゃなかった。結婚もできる年齢だっていうし、いまの七海なら恋人として付き合うのも問題ない。俺自身いつまでも澪に未練を残すのはどうかと思ってるしな。いい機会かもしれない」
それって——。
遥はじわじわと頭に血がのぼっていくのを感じた。太腿の上にのせていた左手をグッと握りしめて、暴走しそうになる自分を必死に抑えると、横目で武蔵を睨みながら唸るように言う。
「つまり七海を利用するってこと?」
「お互い納得のうえだ」
「保護者の僕が納得していない!」
思わずエアロバイクから飛び降り、武蔵の胸ぐらを掴んでこちらに向かせた。
彼はサドルからずり落ちかけたもののハンドルを掴んでこらえた。壁際で待機していた護衛係の二人があわてて駆け出すが、それを片手で制し、蔑むような冷ややかな目を遥に向ける。
「おまえ、七海と付き合ってたんだってな」
背筋がゾクリとした。
すでに知られているのかもしれない。保護者の立場でありながら恋心を向けたことも、心の隙に付け込んで口説き落としたことも、当時まだ中学一年生だった彼女を抱いたことも——そんなおまえが保護者面をする資格はないと、その目が語っている。
遥としては間違ったことはしていないつもりだ。それでも七海を任せられると信頼して託してくれた武蔵の心情を思えば、多少のうしろめたさは感じる。すくなくとも恋愛ごとに関してはあまり保護者面をするわけにはいかない。
もちろん七海が騙されているのならそうも言っていられないが、すべて承知のうえで武蔵との交際を望んでいるというのだから、反対する理由はない。彼の胸ぐらを掴んでいた手から力が抜けていく。
「……もう終わったことだ」
「そうはいっても未練タラタラに見えるぜ」
「いまさらどうこうしようって気はない」
「じゃあ七海と付き合ってもいいんだな?」
「僕の許可なんて何の意味もないだろう」
「おまえの立ち位置を明確にしたいだけだ」
「邪魔はしない」
恋人でなくなっても七海の味方でいようと決めている。自分の感情だけで二人の仲を裂くようなことはしない。でも——彼の胸ぐらをグッと力をこめて掴み直し、その目を見据える。
「でも、七海を悲しませるようなことをしたら許さないから」
「恩人の娘なんだ。言われなくても大事にするさ」
武蔵は煩わしげにそう言うと、胸ぐらの手を払いのけてエアロバイクに座り直し、再び表情を消してゆっくりと漕ぎ始めた。もうこちらを見ようともしない。だが、遥はその横顔をじっと眉を寄せて睨んでいた。
武蔵はかつて七海の父親に命を賭して助けられている。恩を感じるのはわかるが、それに報いるために七海を大事にするというのだろうか。もしかしたら七海と付き合うことを決めたのも——。
たとえそうだとしても交際を反対する理由にはならない。非難もできない。振り切るように勢いよく背を向けると、棚から白いタオルを引っ掴み、壁際の護衛係に目礼してジムをあとにした。
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