探検の書

ぶちゃ丸/火取閃光

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間章 修業と交流

幼少期の修業・魔法編2-1

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 父と祖父と一緒に行った内容の濃い魔法の授業の次の日の昼前の鐘が鳴る頃。昨日と同じ王都を出た第二門の近くで俺と母と祖父が集まった。

「よしっ。リオ君、それでは昨日の続きをするね。アーシャ、今日は私と一緒によろしくね。」

 昼前の鐘がなった事に祖父は頷き、俺と目線を合わせてから、娘である母にも挨拶をした。

「ええ、父さん。今日はよろしくね。」

 母は右手を母の近くに上げて祖父の挨拶に返事を返した。

「ははは。アーシャ、前みたいに私を師匠って呼んではくれないのかい?」

 祖父はそんな母を見て懐かしそうと同時に母の修業時代での師匠呼び方をされなかった事に寂しさの様な表情で笑った。

「父さん…。アタシはもう一人前よ。息子の前だし呼ばなくて良いなら呼ばないわよ。」

 母はそんな祖父に呆れ返っていた。

「全くつれないな。」

 反対に祖父は両手をあげて両肩をすくめて、首を左右に振る。

「はい!それじゃあ、俺が爺ちゃんを師匠って呼んでも良い?」

 俺はこの会話が祖父と母だけの間で行うコミュニケーションと言うかノリかどうか分からない。しかし、寂しそうな祖父に喜んで欲しく祖父への師匠呼びの許可を聞いた。

「うん、勿論さ。」

 祖父はにんまりと笑い俺の師匠呼びを許可する。

「う"っ。ね、ねぇリオ…。アタシの事も、その、父さんみたいにこの時だけは"師匠"って呼ばない?」

 対する母は何故か両手で胸を押さえて呻き、背後によろけた。そして、少し動揺しながら同時に恥ずかしそうに自身を師匠呼びしないか提案してきた。

「はははっ。なんだ、アーシャも羨ましいんじゃ無いか?」

 そんな母に師匠は声にだして笑い、母を揶揄う。

「うっさいっ!師匠は黙っていて!」

 母は顔を真っ赤にして照れながら祖父に怒鳴る。そして母も祖父を師匠呼びしていた。

「ハイハイ。師匠は黙りますよ。でもそうだね…。師匠呼びが2人ではリオ君が困惑するだろうから私の事は大師匠とでも呼んでね。リオ君。」

 祖父は母の行動に"ヤレヤレまだまだ子供なんだから"と言わんばかりに肩をすくめる。そして右手を顎に置き一考すると自身を大師匠と母を師匠と分けて呼ぶ事を決めた。

「分かったよ!よろしくね、師匠、大師匠!」

 俺も祖父の意見には特に異論がなく、俺自身も困惑しないで呼べるので賛成し実際に呼んだみた。

「息子にし、師匠呼び…良い…!」

 母は師匠呼びされて最早キャラ崩壊していた。普段の勝ち気な態度で吊り上がった目をトロンとし、左手で口元を隠し酷く興奮し自分の世界に意識を移していた。

(ああ、父ちゃんが母ちゃんを可愛いって言っていたのがよく分かるなぁ。実際に見ると何というか、ギャップ萌え?って言うのかな。)

「リオ君、彼女は放っておいて、では早速座学を始めていくよ。」

「よろしくお願いします!師匠!大師匠!」

「ハッ!う"うん。よろしくね、リオ。」

 俺の大声の挨拶にようやく現実世界に戻ってきた母は俺たちを見て、さっきとは違った意味で顔を真っ赤にした。そして気を取り直す様に右拳で口元を隠しながら咳払いをする。

「ではまずは魔法の復習から始めるね。リオ君魔法の属性には何があったっけ?」

「はい、火、水、土、風の基本4属性と属性魔力を抜いた無属性、基本4属性を組み合わせて作る融合属性です!」

「うん、よく覚えていなね。正解だよ。次は融合魔法には具体的には何があるかな?」

「はい!光属性と闇属性があります。」

 俺は祖父の質問にテンポよく答えていく。

「そうだね。でもリオ君、融合魔法はその2つだけだと思う?」

「えっ?えーっと…。分からないです!」

 俺は予想の段階で光と闇以外の融合魔法が存在するとは思っていた。しかし、いきなり習っていない事に驚き右手を顎の下に置いて一考し分からない事と答えた。

「うん、そうだね、ではアーシャ。リオ君に融合魔法の種類を教えてあげて。」

「分かったわ。リオ、融合魔法には光と闇の他に9個"あるとされている"わ。」

「9っ!?ってえっ?"あるとされている"ってまだ分かっていないの?」

 俺の予想では精々3,4個で光と闇を含めても5,6個くらいだと思ってた。しかし、光と闇を含めた11個の融合魔法の多さに驚愕し同時に師匠の言葉に突っ掛かりを覚えて質問した。

「うん、そうだね。最後の一つが未だ分かっていないんだ。ただ、あるってことだけは確かな確信があるんだよ。」

「大師匠、確信ってなんなの?」

(大師匠の言い方からするに残りの1個以外は習得しているそうだ。しかし、分かっていなくて確信があるってどういう事だろう?)

 俺は祖父の言葉を理解出来ず困惑し首を傾げだ。

「そうだね、それじゃまずは順を追って説明するね。融合魔法に必要な属性魔法とは何なのかだけどね。それは魔法を発動する時に無属性魔力を属性魔力に無意識的に変質させて発動しているんだ。」

「無属性魔力と属性魔力を無意識的に…。」

「そうだよ。属性変質って言ったけど、言うなれば無属性魔法に属性魔力を融合させて作った魔法を基本4属性魔法というだよ。」

「じゃあ、魔法の最初の属性は無属性魔法って事になるんだね。」

「その通りだよ誰しも無意識的に行っているからこそ、基本4属性魔法は魔力操作が出来ていれば誰でもできる様にはなるのだよ。」

 祖父はこの世界で魔法が誰でも使える原理について説明した。

「なるほど。だから自分の魔力から属性魔法を分離させて無属性魔力にするのが難しいんだね。無意識にやっている事を意識的にやめさせるって大変な事なんだね。」

 俺は昨日の復習も兼ねて無属性魔法の難しさを改めて理解する為に言葉に発した。

「うん、その通りだよ。それじゃあ次の融合魔法については、アーシャ。君にお願いするよ。」

 祖父は俺の知識の整理が合っていると肯定して融合魔法の説明を師匠に任せた。
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