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第47話 宮池島親睦旅行、「別荘での楽しいひと時」編

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 憧れのリゾートアイランド、宮池島に上陸を果たした山楽部御一行は如月家が所有する別荘へと移動して、暫しの休息をとる。
 そして、休息を終えた皆んなはバーベキューが開催されるバルコニーへと集結して、乾杯の声を高々に上げて如月夫妻も交えた本日の食の一大イベントが幕を開けたのであった。山楽部のメンバーにとっては、山の上でバーベキューを執り行なって来ているので、手際の良さはお手のものである。
 岸本と高坂は、バーベキューの支度の手際の良さでは山楽部の面々に見劣りしてしまう。だが、そこは山楽部のメンバー達だ。岸本と高坂に声を掛けて一緒にバーベキューの食材のカットから焼き上げるまでを速やかにこなして行く。

「わたし、まさかその場で野菜のカットをするとは思わなかったわ。これってもしかして、山の上でバーベキューを行う時も、その場でカットしているのかしら?」

「そうよ山頂で、わざわざ野菜のカットをしているのよ。カットして持って来ると野菜の鮮度が落ちてしまうのよ。これは先生から教えて貰った事なのよ」

「やはり、そうなのね。直前でカットした方が、鮮度が良いと言う事なんだ。流石は山楽部だわね。名前の通り山を登るだけではなく、食べる事も楽しんでいると言う訳ね!」

「食べる事は、山登りをする上で体力を回復する意味でも大事な事なんですって。ねえ先生、そう言う事なんですよね~?」

「そうさ山登りにおいて、登山で消費したカロリーを補う為には、食べる事は大事なんだよ。食べる事により、次の山登りの体力を回復出来るからね!」

 鮮度にこだわる為に、野菜を食べる直前でカットすると言う、こだわりを見せる山楽部の食の楽しみ方に感心した表情を見せる高坂恵であった。

「そうか~登山で消費したカロリーを回復する為には、やはり食べる事は大事なんだ! ……でも今日は、山登りをしていないよね。
 それなのに、こんなにも豪勢なバーベキューを食して良いのかな。カロリーを消費している運動はしてないのに、大丈夫かなあ~?」

「岸本さんは、見かけによらず細かいところを気にするんだね。確かに君の言う通り、今日は何も運動らしき事はしてないから、食べ物の過剰摂取と言う事に成りそうだけどね。まあ、そう言う事は気にせずに無礼講でバーベキューを満喫しようではないか!」

「だそうですよ、和也! 無礼講だそうなので、山行きの時みたいに皆さん呼び捨てで言い合いましょう。それでは隊長、炭の火加減も整って来た様ですから、肉の投入を始めましょう~!」

「あっ! そうなんだ、ざっくばらんにして良いんだね。俺も細かい事を気にしないで思う存分食べて、皆んなと宮池島の夜をエンジョイする様にします。さあ、俺達が温めた炭の火加減もバッチリだよ。隼人! 肉の投入開始をしようぜ~」

 岸本和也は見かけによらず細かい事を気にする。それを見た先生から、気にせずに今を楽しむ様にと諭された岸本。すると手のひらを返した様にして、馴れ馴れしい言葉使いになりながら、良い火加減となった炭にお肉を投入して行く。

「さあ、あたし達のカットした野菜もコンロに投入しましょう。肉だけ焼いていたら良くないから、バランス良く野菜も食べる様にしなきゃね!」

「そうね、お野菜もしっかりと食べた方が良いですわ。ただ鬼ヶ岳の時の様に、せっかく野菜を投入したのに、丸焦げ状態にして廃棄なんて事にならない様に、気を付けましょうね~」

 女子達も負けじと、カットした野菜をコンロに投入して行く。かくして、如月家別荘でのバーベキュー大会の火蓋が切って落とされた。山楽部一同は投入した肉と野菜が焼上がると、おのおのが箸を伸ばして口に運び舌鼓を打つ。その顔には、美味しさで幸せそうな表情が満ち溢れていたのだった。

「ちょっとこのお肉、物凄く柔らかくて口あたりが良いわよ。もしかして、用意されたお肉は国産のものなのかしら?」

「ちょっと友香里! もしかしてじゃないわよ。如月夫妻が用意してくれた食材なのよ。勿論、国産品の良い物を使ってくださっているに決まってるじゃない。このお肉の食感を感じ取れば分かるわ!」

「ざっくばらんに接しようと言う事だから、わたしも下の名で呼び捨てにさせて貰うわね。華菜さん、そんなに馴れ馴れしく如月さん夫妻に言ったりして。失礼にならないかしら。確かに普段、わたし達が食べているお肉とは格が違うと思うけど、嬉しい悩みですね」

「ハハハハ! 良いじゃないですか。華菜さんの様に、私達にも軽い感じで接して頂ければ良いですよ。お肉の方は牛肉は松阪牛、豚肉は鹿児島豚を取り寄せてあり、高級国産のものですから美味しいお肉だと思いますよ!」

 バーベキューで用意されたお肉は、高級国産肉の様で皆んなが舌を唸らせるのも頷けるのである。

「お肉もさることながら、この野菜達も負けじと美味しいですよ。焼いたにも関わらず食感が凄く柔らかくて食べやすいですよ」

「そうなんだよな野菜は焼くと固くなるから、パリパリになってしまい不味くなってしまうんだよ。なのにこの用意された野菜は、妬いても柔らかい食感で水々しさが残っていて美味しく食べれるよね」

「星野や岸本の言う通り、焼いても固くならず柔らかい食感のまま食する事が出来るね。……如月さん、この野菜は通常のスーパーで売っているものでは無いですね。一体、何処で取れた野菜なんでしょうか?」

「いやいや、この野菜の水々しさに気付くとはお目が高いてすね。教えましょう、この野菜はですね山梨県の八ヶ岳山麓で取れた物なんですよ。私が契約している農家が有りましてね、いつも野菜はその契約農家から送って貰った物を食卓で食しているんですよ!」

「そうなんですか! わざわざ山梨県の契約農家から野菜を直送して貰っているとは。……そうするともしかして、この野菜もその契約農家さんからこの島へ直送されたものなんですね!」

「流石は先生、お察しの通りです。この野菜は、採れたての野菜を契約農家から直接、この島の別荘に送らせた物なんですよ。新鮮な野菜を食して貰おうと思いましてね。どうやら皆さんのお口に合った様で良かったです」

「お口に合うどころか、焼いても柔らかさが残る野菜の食感で、僕の口の中がトロケそうですよ!」

「俺達の為に、わざわざ遠い場所から送らせているなんて驚きました。如月さん夫妻の心使いに感謝しますよ。その心使いに応える為にも、この美味しいお肉と野菜を、皆さんで焼いて食べて、焼いて食べて、食べ尽くしましょう!」

 用意された野菜も、その水々しさの訳が山梨県の契約農家から直送された採れたての新鮮野菜と分かり、納得の表情を見せる先生と星野、岸本。その如月夫妻の心遣いに感謝しつつ、皆んなはお肉と野菜を味わって食べて行く。
 そして、焼いては食べてを繰り返す事、僅か40分で用意されたお肉と野菜を食べ尽くしてしまう山楽部の面々。   
 まあ、普段は食べる事の出来ない美味しい高級食材を口にしたのだから、バーベキューの箸が進むのは無理もないのだが、それにしても見事な食いっぷりである。

「いや~皆さん、見事な食いっぷりでしたね。あれだけの食材を1時間も掛からずに食べてしまったのには驚きの一言ですよ。そんなに美味しく食べて貰って、用意した私達も嬉しい限りですよ!」

「無言で必死に食べている皆さんを見ていて、美味しく食べてくださっているのが伝わって来ましたよ。そんな皆さんを見ていたら凄く嬉しいかったです。わたしも用意した甲斐がありましたよ」

「とても美味しいバーベキューでしたよ。これも場所の提供と食材の準備をしてくださった、如月さん夫妻のお陰ですよ。本当に有難うございました。では君達も交えて、お礼の言葉と頂きましたを言おうではないか。こちらに一例に並びたまえ!」

 先生から、お礼と頂きますの言葉を述べようと号令が掛かり、如月夫妻の前に一列に並ぶ山楽部の面々。

「よし、皆さん整列しましたね。では、言葉を述べましょう。用意してくださって有難うございました。今日は美味しいバーベキューを食べる事が出来ました。頂きました!」

〚バーベキューの用意を有難うございました。とても美味しかったです。ご馳走さまでした~!〛

 山楽部一同のお礼と頂きましたの言葉が響き渡る。その元気の良い感謝の念を聞いた如月夫妻はご満悦の表情を浮かべる。 

「いやいや、どう致しまして。皆さんが、満足して食べる事が出来た様で良かったです。片付けが終わった後は、夜の肝だめし大会の時間まで、部屋で寛ぐなりお風呂に入るなりしていてください!」

「皆さんの満足そうな顔を見ましみて、わたし共も嬉しいですよ。片付ける際は、こちらにゴミ袋を用意しておりますから、分別して入れてくださいそれでは、皆さんで片付けをしましょう~!」

〚はい、分かりました。片付けを始めます~!〛

 如月夫妻の号令の元、皆んなは一斉に片付けに入って行く。女子達は出たゴミを分別しながらゴミ袋へと入れて行き、使った食器類を洗う作業に入って行く。
 男子達は、使ったバーベキューコンロの片付けやテーブルイスの片付けをして行き、もっぱら力仕事がメインである。男子、女子に分かれての役割分担で、快調に片付けをこなして行き、20分の短時間で終えたのだった。

「よ~し、手分けして片付けを行なったから、速やかに終える事が出来たな。皆んな素晴らしいじゃないか!」

「あっと言う間に、片付けを終える事が出来ましたね。とても素早い行動をとる生徒さん達をお持ちで、先生は幸せ者ですね」

「手早く片付けをされていたから、わたしは感心しましたよ。それでは、皆様の手助けを貰い片付けを終えましたから、後は夜の肝だめし大会の時間が来るまで寛いでくださいませ!」

「登山中の行動において鍛え上げた行動の素早さが、功を奏しているのだと思います。それだけ成長していると言う事ですよ。では、片付けが終わったところで部屋に戻り、寛がせて貰います。皆んな、各自の部屋に戻る様にしましょう!」

〚お褒めの言葉、有難うございます。部屋に戻り、寛がせて貰います!〛

 片付けを終えた山楽部の面々は大きな声で挨拶をすると、膨れたお腹を抑えて満足感げな表情を見せながら、バルコニーを後にして部屋へと戻って行くのだった。
 その山楽部一同を見送る如月夫妻も、皆んなのおもてなしが出来た事を嬉しく思っていた。こうして、如月家別荘での盛大なバーベキュー大会は終わりを告げたのであった。



 そして自分達の部屋へと戻った山楽部の面々のその後の様子を見てみましょう。部屋に戻った女子の方はと言うと、次に何の行動をとったのか? 
 それは、やはりお風呂に入る事であった。男子達には何も告げづに口裏を合わせた様に、一斉に入浴の支度を持って大挙してお風呂場に集まったのだった。

「さあ皆んな、終結したわね。何と言ってもお風呂に入る事がまづは先決よね。とにかく湯船に入って疲れを癒しましょう!」

「男子達よりも先に、一番湯のお風呂に入りたいですものね。あたし達、女性陣はこう言う時は一致団結するわよね。今頃、男子達は未だ部屋でゆっくりとしてるんじゃないかしら。お風呂は早い者勝ちよね!」

「友香里と華菜は部屋に戻るなり、お風呂へ行こ~う! ですものね。まあ、男子達に先に入られたくはないから直様、行動に移すのは賛成だけどね」

「お風呂は逃げる訳ではないから、競争して入るものではないと思いますけど。でも~男子達の後に入るのは抵抗がありますわ。……やはり女だけで一番湯に入りたいですわね~」

 女子達はお風呂場の脱衣場に来るやいなや、男子達を出し抜いて一番湯に入れる事が出来るのを、声を大にして喜びを分かち合うのであった。そしてその時、脱衣場の入口ドアの前でコッソリと耳を傾けて盗み聞きをしている、良からぬ男子が居た。

(フムフム、女子達は俺達より先にお風呂に入りたかったんだな。それならそうと言ってくれれば良いのにな。
 ……んん、男子達の後に入るのは嫌だと如月穂乃花は言ってたよな。そうか~俺達、男共はお風呂場で遊んでしまって、長湯をしてしまうんだ。だから次に入る女子達を待たせてしまう事になるからな!)

 コッソリとドア越しで盗み聞きしていたのは岸本和也であった。どうやら、女子達が大挙してお風呂場に移動しているのを感づき後を付けて来た様だ。なにも後を付けて盗み聞きしなくても良いと思うのだが、まるでストーカーの様で困った男である。

(それにしても、これからお風呂に入ると言う事は……服を脱いで入ると言う事だよな。ん~俺の大好きな如月穂乃花がお風呂に入る姿が目に浮かんで来てしまうよ~) 

 ドア越しで女子達がお風呂場に入って居る姿を想像して、特にお気に入りの穂乃花の入浴姿を妄想してしまう和也。元気盛んな年頃の男子である。この様な事を妄想するのも仕方がないのでしょう。と、その時! ドア越しでニヤけながら妄想する和也の後ろに近づく影が!

「ん、んん~! 岸本和也くんと言ったかな! お風呂場のドアの前でニヤけながら一体、何をしているんだね?」 

 突如、和也の背後に現れたのは何を隠そう、この別荘の主である雅也であった。意表を突かれて現れた穂乃花の父の出現に慌てふためく和也。

「あっ! これはこれは穂乃花さんのお父様ではありませんか。こ、これはですね何と言いますか、俺達もお風呂に入りたいと考えてまして、お風呂は空いているのかなあと思い偵察に来た次第です。け、決して覗き見をしようなどと、邪な気持ちでここに居たのではないですので、信じてください!」

 突如、現れた雅也にしどろもどろになりながらも、怪しい事をしていないのを必死に説明する和也。

「何だ、そう言う事なのかね。お風呂の偵察に来ていたと。私にはお風呂場を覗きに来てる様に見えたのでたがね。……それとも、私の娘の入浴姿を見ようとしてたんじゃないかな~?」

「あ~いえいえ、穂乃花さんの入浴姿を覗こうなんて邪な心は持つてないですよ。信じてください! まあ、確かに穂乃花さんの事は気になって、、あっ! 不味い今の話しは聞かなかった事にしてください……」

 雅也から、娘の入浴姿を覗こうと考えてたのか? と、茶化された和也は顔を真っ赤にして否定をしたが、うっかり穂乃花に気がある事を口にしてしまうのだった。

「そうだよな~我が娘の入浴姿を覗こうなどとは考えていないよな。その言葉を聞いて安心したよ。……でも、何か小声でボソボソと言ってなかったかな。穂乃花がどうのこうのと?」

「いやいや、俺の独り言なんですよ。気になさらないでください~」
 照れながら言い訳をする和也。そのハニカム様子を見ていた雅也は、和也に近寄りポンッと肩を叩いて話し出す。

「岸本くん、何を恥ずかしがってるのかね? もしや、穂乃花の事が気になっているのではないかね。好きなら好きと、ここで言ってしまえば良いじゃないか!」

「あ~はい、確かに俺は穂乃花さんの事が気になってますけど。ただ、これ以上のコメントは控えさせてください……」
 雅也に追求された和也は、またまた顔を赤らめて小声で答えるのだった。

「また、顔が赤くなったね。今の君の様子を見て分かったぞ。もう、これ以上は追求する事はしない様にするよ。娘の事を気に掛ける男子が居てホッとしたよ!」

「あ~何と言いますか、照れてしまいますが、その様な事なんですよ……」
「おし、分かった! そうだとしたら娘に想いを伝えられる様に頑張りたまえ!」

 雅也は穂乃花に想いを寄せている事を察知して、和也の方に手をやりながらニッコリと微笑む。和也もそれに答えて微笑み返すのだった。すると突然、階段の上の方から声が掛けられた!

「あ~! 和也ったら、ここに居たのか。部屋を出て行ったきり帰って来ないから心配したよ。……ところで、お風呂場の前で何をしてたんだい。もしや、女子達の入浴を覗こうとしてたんじゃないのかい?」

 声を掛けて来たのは隼人だった。隼人は、和也に覗き見をしようとしてたのでは? と、疑念の目を向けていんた。やはり、お風呂場の前でニヤケタ顔をしている男を見かけたら誰もが思う事は同じだと言う事なのでしょう。

「いや~君もそう思うかね。和也くん、やはり風呂場の前でウロウロしてると、怪しく思われるものなんだよ。今後は、ウロウロしない様に気を付ける様にしなきゃね!」

「あ~何と言うか、若い女性がお風呂に入っている時に、その入り口の前でうろつくのはいけないですよね。怪しい人に思われない様に、今後は気を付けますよ。それでは、ここは人まづ自分の部屋に戻りますね、如月さん!」

 和也は、隼人が現われた事でこの場に居ると更に気まずくなる事を恐れた。すると、その場に居た雅也に部屋に戻る事を告げると、そそくさと階段を登り隼人の元へ駆け寄る。
 そして、隼人の肩に手をやりニコニコ笑顔を見せながら部屋へと戻って行くのだった。そして、その和也の姿を見ていた雅也は、こう思っていたのだった。

(ふう~見かけによらづ、照れやな面を持つ男子だよな。でも、凄く愛嬌の有る子で好印象だったよ。う~ん、それにしても……家の娘と事が気に成っていたとは。
 あの、おしとやかな娘には、かえって威勢の良い男の方が良いのかもしれんが。でも家内の方は、あの出で立ちの男子には少し抵抗を持ってしまうだろうがね)

 どうやら雅也は、おしとやかな娘とは正反対の威勢の良い和也の雰囲気が気に入った様である。和也にしてみれば、思いがけづ好きな女子の父親に好印象を貰った事は良かったのではなかろうか。

「さあ、家内のところに戻るとするか。夜の肝だめし大会の準備もあるから、それまでの間は身体を休めておくようにしよう~」

 雅也は、肝だめし大会の準備が有ると言うと、颯爽とリビングに戻って行く。んん! 準備が有るとの事だが、肝だめしで何を準備するのたろうか? もしかして、雅也は脅かし役をやるのだろうか。まあ、そうだとしても、夜の肝だめし大会がどうなるのか楽しみなところである。




 そして2時間後、女子達の後に男子達も入浴を終えて、肝だめし大会の集合時間となった。皆んなは集合場所となる別荘の玄関前に集まって居た。

「はい! 全員集合しましたね。これから、肝だめし大会を行います。事前に配布してあるプリントを見ながら聞いてください。まず、行程を説明しますと、この別荘から伸びている遊歩道を歩いて行くと丘の上に公園があります。距離にして片道1km位でしょうか。
 公園には東屋が有りますが、そこが折り返し地点になります。東屋には通過した証しとして、スタンプを置いて有りますから、各自持っている行程用紙にスタンプを押してください。その後、この別荘に戻って来て肝だめし大会が修了となります」

 先生から、肝だめし大会の説明が皆んなになされた。その説明を聞いたメンバー達の中で、友香里が手を上げて質問をして来た。

「先生、質問が有ります。肝だめし大会の道中は林間の中の遊歩道を通って行く訳ですが、その移動中は全員で移動するんですか。それとも、2人か3人のグループに別れて移動する様になるのでしょうか?」

「はい、その質問に答えましょう。グループ分けをして移動して貰う様になります。2人のグループが二組、3人のグループが一組の3つのグループに別れて貰います。各グループには、私も含めて1人ずつ男子が入る様にします。グループ分けはクジ引きで行ないます!」

「そうか~クジ引きでグループ分けをするんですね。各グループには、1人ずつ男子が入る事になると男としては、みっともない姿を見せられないですね。どうゆう組み合わせになるか楽しみですよ。そうと分れば早速、クジ引きを行ないましょう~!」

 先生からクジ引きでグループ分けを行う事が皆んなに伝えられた。男子は1人ずつグループに入る事の様だ。その事を聞いたメンバーの中でも、隼人は男らしい姿を女子達に見せようと張り切っているのだった。

「1人、ばかに張り切っている者がいるな。肝だめしが始まったら、その威勢の良さで乗り切ってくれたまえ。 では、グループ分けのクジ引きを行ないましょう。クジに書かれている番号でグループが決まります。男子、女子に別れてクジを引いてください!」

 先生は用意してあったクジ引きの箱を2つ出すと男子と女子、別々にクジを引かせて行く。そして、この様なグループ分けが決定した。
 第一グループ、山岸先生&杉咲華菜
 第ニグループ、星野隼人&沢井友香里
 第三グループ、岸本和也&如月穂乃花、高坂恵
 以上の布陣で3グループに分かれる事となった。何と言うか、普段は接する事の少なそうな男女の組み合わせになったのではなかろうか。

「はい! グループ訳が決まりましたね。なかなか面白い組み合わせになったんじゃないかな。では、いよいよ肝試し大会を始めましょう。まづは第1グループの私と巣杉咲が出発します。  
 その後は、10分の時間を開けて第2、第3グループの方達が順次、出発して欲しいと思います。それでは杉咲、私と一緒に肝試しを始めようではないか!」

「は、はい! 分かりました。先生とコンビを組めるなんて幸せです。あたしは臆病なところがあるから、怖がり過ぎて迷惑を掛けるかも知れませんが、宜しくお願いします!」

「そんな事は気にしなくて良いぞ。怖いものは怖いからね。まあ、私が付いているから安心したまえ。では、出発するぞ杉咲!」

「流石は先生、男らしいですね! 安心して付いて行きますよ。さあ、暗闇の中に突入しましょう~」 
 山岸先生と華菜は、先生と生徒との間柄とは思えないほどに仲良く手を取り合いながら、暗闇の森の中に入って行くのだった。

「見ました、沢井さん。あの2人は手を取り合いながら、森の中に消えて行きましたよ。僕達も、手を握り合いながら一緒に暗闇の中に入って行きませんか?」

 仲の良い先生と華菜を見送った隼人は何か刺激を受けたのか、ニヤケタ顔を見せながら友香里に声を掛けた。その下心見え見えの隼人に嫌気が差したのか、友香里はパシッ! と隼人の肩を叩いて声を上げた。

「ちょっと何よ! 調子に乗って【手を握り合おう!】なんていやらしい事を言うなんて! 私は隼人とは手を握らづに行かせて貰うからね!」

「あっ、、すいません。調子に乗って口に出してしまいました。も、勿論、余りくっつき合わづに歩かさせて貰いますね。でも……もし途中で怖く成ったら僕を頼ってくださいね」

「何を言ってるのよ。私が夜道を通る位で、怖がると思った? 逆に隼人くんが、私に泣き付いて来たりしない様にね!」

「あっ、はい! 逆に泣き付いたりしない様にしなければですね。男らしい姿が見せられる様に、頑張りますよ!」

 馴れ馴れしくして来る隼人を一括して諭す様に話し掛ける友香里。その迫力に押された隼人は、タジタジになっていた。すると、その2人の様子を見ていた岸本和也が口を開く。

「沢井さんに諭されてる隼人を見てたら、俺まで諭されてる感じがしたよ。まあ俺は、女子達に紳士的に接して夜の山道をエスコートして行くよ。
 ……それはそうと第一グループが出発してから、10分が経ちましたよ。そろそろ、出発した方が良いんじゃないですか?」

「あっ! そうだね、もう10分経っているね。教えてくれて有難う、和也。 それでは僕達も出発しましょう、沢井さん!」

「そうね、いつの間にか時間が経っていたわね。それじゃあ私達も出発するとしますか。ライトは私が持つから、後に付いて来て隼人くん!」

「は、はい! 後に付いて行きますよ~」
 どちらが男なのか分からない感じであるが、隼人は友香里にエスコートされる様にして森の中に入って行く。そして残るは、和也と穂乃花、高坂恵である。

「さあ、第2グループが出発したからいよいよ、わたし達の番ね。女子が2人居るんだから、しっかりと守ってくださいな」

「わ、わたくしは暗がりが苦手ですので、もしかしたら大きな声を上げてしまうかもですが、宜しくお願いしますの、岸本さん!」

「いやいや、俺も暗い所は苦手な方ですけど、男として精一杯の力を出して暗闇を克服し、女性陣をエスコートしますから宜しくお願いしますよ!」

「よっしゃ! よく言ったわね。そこまで言って、途中で悲鳴を上げたりしないでよ。それじゃあ、肝だめしに向いましょうか。宜しく頼むね、岸本さん!」

「頼もしい岸本さんが居るから、夜道も心強く歩いて行けそうですの。わたくし、岸本さんの後ろに付いて行くから宜しくお願いします!」

「よし! 俺が先導するから、付いて来てください。それでは、肝だめしに出発するよ~!」

 和也の威勢の良い掛け声と共に、暗闇の森の中に入って行く3人。こうして、3グループが肝だめし大会の夜の遊歩道に入って行くのだった。と言う訳で、暗闇の中に消えて行った皆んなの様子を見てみましょう。
 先ずは一番先に森の中に入って行った第一グループの先生と華菜の様子を見てみましょう。2人は、折り返し地点の近くまで来ていた。

「先生~もうすぐ折り返し地点の東屋の有る所に着くんじゃないかしら?」

 暗闇の中、僅かなライトの光を頼りに歩いて来た華菜は、すっかり震え上がって居て、か細い声で先生の手を掴みながら問い掛ける。

「そうだな、歩き出してかれこれ30 分位は経っているから、もうすぐ東屋の有る公園広場に出ると思うのだが。後少しで照明の有る明るい場所に出られるから、頑張って歩くんだ杉咲!」

「分かりました! 先生から離れずに、しっかりと手を掴んでいれば怖いものは無いわ。公園の所まで、もうひと踏ん張り頑張りますね~」

 暗闇の中を歩き、すっかり弱気になっていた華菜だったが、先生に励まされて元気を取り戻した様である。そして、折り返し地点の公園の街灯が前方にチラッと見えて来た。

「あっ、先生! 前を見てみて。公園の灯りが見えて来たわ。もうすぐ明るい場所に出られるわよ。頑張って歩きましょう!」

 公園の灯りが見えて来て急に元気になり、先生の手を掴み先を急ごうとする華菜。すると、その時!
『ガサガサ! ガサガサガサガサ!!』

 歩道沿いの草むらからガサガサと音がして、長い髪をした白装束の女性が立って居たのだ。その姿を目の当たりにした華菜は数秒間、動きが固まった後に大きな声を上げた!

「ウギャー! お、お化け~! ゆ、幽霊が居るわー!! 急いで、逃げましょう先生ーー!!」

 華菜は白い人影を見た瞬間、血相を変えて悲鳴を上げながら、灯りが有る公園目指して駆け足で逃げて行くのだった。余りの速さで去って行く華菜を唖然とした表情で見ている先生。

「おいおい、一緒に逃げようと言って来た割には、自分だけ一目散に逃げて行ってしまったな。明らかに、白い人影はお約束のモノだと言うのに、杉咲の臆病さには恐れいるよ。公園に灯りが有ると言っても夜だからな。独りにさせておくと、また悲鳴を上げるかも知れないから直ぐに杉咲を追い掛けなければ!」

 怖さの余り、必死の形相で逃げ去る様子を見た先生は、華菜を心配して足速に追い駆けて行く。その時、暗闇の歩道の茂みの中で佇んでいる人物が居た。
「まあ! そんなに、わたしの事が恐かったのかしら? ただ白装束の着物を着て、立って居ただけなのに。夜道で、この様な格好をしていると幽霊に見えてしまうものなのね」

 暗闇の中で佇んでいるいる人物とは穂乃花の母、美紗であった。どうやら肝だめし大会を盛り上げるべく、お化けの格好をして脅かし役を担当していた様だ。

「あんなに驚いてくれるなんて、脅かし役を引き受けた甲斐があると言うものね。よし! 次に来るグループには、もっと驚いて貰える様にリアクションをオーバーにしなくちゃ。さあ、また茂みの中に隠れてスタンバイして居ましょう!」

 美紗は柄にもなく、幽霊役を楽しんでしまっている様だ。上品な感じの女性がこの様な脅かし役を引き受けて、自分の殻を破ってしまったのではなかろうか。そして次のグループである隼人と友香里が、待ち構える美紗の元へと近付いて来た。




「沢井さん、あと少しで折り返し地点の公園に着きますよ。こ、ここまで来るのにチョットだけ、こ、恐かったですが、何とか僕が先導する事が出来ましたよ。明るい場所に出て早く一息入れたいですから、もう人踏ん張り頑張りましょう~!」

(何が、もう人踏ん張り頑張りましょうよ。ここまで来るまでにビビりまくっていたくせに! から元気を見しているわね。以外と隼人くんも臆病なのよね。その辺りは、華菜に似てるところがあるわ。似た者同士と言ったところかしら)

 友香里は、必死に強がりの表情を見せる隼人を見て、怖がりのくせに無理をしているのを読み取るのだった。そんな様子の隼人が友香里を先導する。たが! 強がりを見せるハズだった隼人の前に、待ち受けている人物が脅かしにかかる!

『ガサガサ! ガサガサガサガサ!』
 遊歩道沿いの茂みがガサガサと揺れて、あの白装束の幽霊が出現をする。

「う、ううううう、この森に入って来るとは、、良い度胸をしているな……」
 かすれた声で最大限に恐怖をあおる演技をする美紗。彼女の驚かそうとせる名演技は大したものである。

「ウ、ウギャー! 茂みの中に誰かいるよーー!! 幽霊だ、幽霊!! に、逃げましょう、沢井さん!」

 美紗の迫真の演技に幽霊だと思い込んでしまった隼人は、一目散に駆け足で逃げて行く。

「ちょと、どうゆう事よ~! 連れの女子を置いて、先に逃げ去ってしまうなんて。本当に失礼しちゃうわ。男のくせに怖がりなんだから!」

 女子を置いてスタコラと逃げてしまう隼人に呆れ顔を見せながら、駆け足で後を追って行く友香里であった。

「はあ~わたしの驚かす演技がリアルだったのかしら? 隼人くんは血相を変えて逃げ去ってしまったわ。それにしても、友香里さんは冷静ね。こうゆう時は、女子の方が肝が座っているのかしら~」

 ビビりまくる不甲斐ない隼人に比べ、冷静沈着な友香里に感心した表情を見せる美紗であった。そして最後のグループは和也と高坂恵と穂乃花の3人である。その3人が近付いて来るのを察知した幽霊役の美紗は、再び茂みの中に隠れて待ち構えるのだった。

「もうすぐ、折り返し地点の公園に着く頃じゃないかな。早く、明かりのある所に着きたいものだね」

「和也くん暗がりの中でも、怖がらずにいるんですもの。凄く頼もしいから、心強くて安心出来るわ!」

「高坂さんの言う通り暗闇の中を怖がらずに、わたくし達を先導してくれるから、本当に頼りになりますの」

 最後の第3グループを仕切る和也は、暗闇の森の中を動揺する事なく女子達をエスコート出来ている様だ。その男らしい姿を目の当たりにした高坂恵と穂乃花から、信頼を得られた事で好感度をかなり上げる事に成功した様である。

「あっ! 何だか右側の木の麓の茂みが揺れてるわ。風が吹いているのかなあ?」
 茂みが揺れているのをいち早く察知した高坂恵。その時、幽霊役の美紗が脅かそうと茂みを揺らしに掛かっていたのだ。

(感の良い子ね、異変を察知した様だわ。よし、ここは一気に姿を表して皆んなを驚かせて上げましょう!)

 異変を察知されたのをきっかけに、茂みから素早く姿を表して脅かしに掛かる美紗!

「……うらめしや~うらめしや~! こ、この道を通るのは何処の誰かしら~」
 最大限の幽霊演技を見せて恐怖をあおろうする美紗を見た3人は、一体どんなリアクションをするのやら。

「あっ! 穂乃花さんのお母様じゃないですか? 凄く白装束の衣装が似合っていますよ」

 真っ先にリアクションをしたのは和也だった。だが、幽霊演技をしているのは穂乃花の母だと直ぐに見破り、にこやかに話し掛ける。その和也の様子を見て、怖がっていた高坂恵は安堵の表情を見せてホッと一息付くのだった。

「はあ~本物の幽霊じゃなくて良かったわ。そうよね、よく見れば女性が衣装を着てるだけよね。和也くんが冷静に対処してくれるから、安心して頼る事が出来るわね!」 

「高坂さんの言う通りね。男の方が冷静沈着で居てくれると、この様な時は落ち着いて物事を見る事が出来ますの。……それはそうと、お母様がこの様な格好をして脅かし役をしているなんて驚きましたわ!」

 先行して来た他の2グループは、驚いて逃げ去ってしまう者が出たのに、娘がいるグループは驚く事なく冷静沈着で居る姿を見た美沙は、キョトンとした表情を見せていた。まあ、この3人のグループは、幽霊役を引き受けているのが美沙だと言うのを早急に見破ったのだからなのだが。

「ふう~わたしが幽霊役をしているのを直ぐに見ってしまうなんて、脅かし甲斐がないじゃない。少しは恐がって欲しかったわ。せっかく率先して、幽霊役を引き受けたと言うのに~」 

「ごめんなさい、直ぐに見破ってしまって。俺は直ぐに穂乃花さんのお母様だと分かったんですよ。なにしろ幽霊に扮していても、お綺麗で上品な雰囲気が漂っていましたから、これはお母様に間違いないと思ったんです!」

「岸本くんと言ったかしら。御世辞が上手な様ね。でも、そんなに褒めてくれるなんて、わたしは凄く嬉しいわ!」

「いえいえ、けして御世辞ではありせんよ。お母様が凄くお綺麗な方なので、素直に見たままの事実を言ったまでです」

「まあ! あなたが素直に言葉にしてくれるから、わたしは舞い上がってしまうわ!」

 美沙は綺麗で上品な方だと言われて舞い上がり、和也の肩をポッンっと叩いて嬉しさを表現する。和也は馴れ馴れしく゛お母様゛と言いながら美沙を褒め称えるものだと、関心させられてしまう。夜の森の中で、白装束を着た美沙と和也の奇妙な組み合わせのトークであった。

「お母様ったら、岸本さんに褒められて舞い上がってますね。こんなに嬉しそうなお母様は久しぶりに見ましたわ。でも……そろそろ先を急いで、夜道を歩いて行きましょう」

「そうね、如月さんの言う通りね。お母様の美しい白装束姿を堪能出来たところで、肝だめしを再開して先を急いだ方が良いと思うわ!」

「あっ、皆さんを引き止めてしまいましたね。脅かし役の、わたしが和気あいあいと話してしまい申し訳なかったです。そろそろ、先を急いで肝だめしを再開してくださいね」

 脅かし役の美沙が仲良く話しをしてしまい、肝だめし大会の主旨からそれてしまった様だ。それに気付いた面々は、先を急ごうと相づちを打つ。

「そうだね皆さんの言う通り、ここで長居をしてしまいましたね。そろそろ先に進みましょうか。では、折り返し地点の公園までレッツゴーです!」

「明かりの灯る折り返し地点行けば、一息付けると思うわ。もう少し頑張って歩きましょう!」

「そうしましょう、肝だめしを早く終えられる様に先に進んで行きましょう。お母様、幽霊の姿も素敵でしたわよ。では、わたくし達は出発しますの。脅かし役、お疲れ様でした~」

 最終グループの3人は掛け声と共に、折り返し地点の公園を目指して、歩くのを再開して暗闇の森の中に入って行くのだった。この後、最終の第3グループの3人も折り返し地点である公園に無事に? 辿り着く。
 その後に全グループがゴールとなる出発地点の場所へと向かって歩いていた。そして、最初に出発した第1グループの先生と華菜はゴールにもう一息の所に来ていた。

「さあ! もう時期、ゴールの地点へと到着するよ。お疲れ様だったな。……んん、杉咲は余裕が有りそうな顔をしているじゃないか。もしかして、肝だめしが物足りなかったかな?」

「いえいえ、余裕がある訳ではないですよ。ここま暗闇を歩く怖さで緊張していて、顔が強張っているから、そう見られてしまうのだと思うの。もう時期ゴールだから、気持ちが楽になって来たわ~」

「そうなのか、余裕しゃくしゃくな訳ではなかったか。杉咲は暗闇の恐怖に打勝とうと必死だったんだな。まあ、あと5分も歩けばゴール出来るから頑張ってくれたまえ!」

 暗闇の森の中を恐怖に脅えながらも耐え忍び、何とかここまで来れた華菜。ゴールが間近になり先生から、ねぎらいの言葉を貰って、やっと顔から緊張感が取れて来た様だ。だがその時! 茂みの中からガサガサと音がしたかと思うと、何やら大きな黒い影が現れた!

「ガオー! ガガ、ガオーー!!」

 現れた黒い影は、あの怖い動物の熊であった! 突如として現れた熊に暫くの間、ポカーンと口を開けて固まる先生と華菜。その沈黙の数秒間が流れた後、大声を上げる2人。

「キャ、キャキャー! くまクマ熊が居るわーー!!」
 真っ先に大声を上げた華菜は、驚きの叫び声を上げて凄い速さで走って逃げて行くのだった。

「お、おいおい! 何でこんな所に熊が居るんだ。こりゃたまらん、直ぐ様ここから退散しなければ!」

 先生も、まさかまさかの熊の出現に驚いたのか華菜ほどではないが、足早にその場を立ち去るのだった。登山家の先生だから、山の中に入る事が多く熊を含めて様々な動物に遭遇してる事も有るだろう。
 だが、流石に間近で熊の姿を目の当たりにして、気が動転してしまった様である。走って逃げて行った先生と華菜は、一体どうなったのか? その後に来る残りの2つのグループは、この熊が居るゾーンに来たらどの様なリアクションを取るのか?
 果たしてこの後は、どの様な事態になってしまうのか、皆んなの動向が気になるところである。このまま話しを進めたいところではありますが、この続きは次回のお楽しみと言う事で~!
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