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3部 永久の歌姫編
転生者2
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すべてを話す代わりに、二人を退室させてくれとフィフィリスは言う。今から話すことは、現状としてアクアにしか話せないと。
言われれば、二人は外で待っていると出て行った。アクアに頼まれるまでもなく、聞いてはいけない話がされると察していたのだ。
「二人は聞いちゃダメなの?」
『それは、すべてを知ったあなたが判断してください』
自分には判断できないと言われてしまえば、アクアはわかったと頷く。これは、聞いた話をグレンと相談する必要があると思えたのだ。
それほどの話がされるのだとわかれば、いつもはお気楽に笑っていたアクアが真面目な表情を浮かべる。
『私は、かつて月神の子供達を保護していたルフ・ぺドランの家系に連なる者です。今現在も北の大国で暮らしています』
このまままでは終わらない。そう思った三千年前の関係者達は、それぞれに話し合ったわけでもなく、己の考えで後のために動いていた。
どんな形でもいいから、必ず動くであろう仲間のために。太陽神と英雄王を手助けするためだけに備えてきたのだ。
いつか現れる英雄王のために。そう言われながら育ってきたフィフィリス。聞かされた物語は、学校で習うものとはまったく違うもの。
『転生前の記憶が戻る前は、英雄王に憧れておりました。父が時計に残された英雄王を見せてくださり、あのようになりたいと思ったものです』
だから騎士を目指そうと騎士学校へ入学したのだと、懐かしそうに言う。
「きっかけは?」
記憶が戻ったきっかけがあったはずだ。そうでなければ、転生前の記憶が戻ることなどない。
『この時計を継いだときです。ここには色々な風景が記録されています』
記録されていた風景の中に、今はセレンに飾られている絵の数々があったのだ。英雄王だけではなく、遥か昔の七英雄の絵から、今は光の英雄と呼ばれる者達の絵まですべてが。
彼女の奥底に眠る、転生前の自分を刺激するには十分すぎた。なにせ、そこにはかつての自分が含まれていたのだから。
『アクア様、私は……ティア・マリヤーナです。かつて月神の力を授かり、最後のときにいられなかった……愚かな女でした』
悲しげな表情を浮かべるフィフィリスは、誰よりもティア・マリヤーナの後悔を知っている。
『ティア・マリヤーナはずっと後悔しておりました。自分が最後の戦いへ行けていれば、もっと違った未来が待っていたのではないかと』
少なくとも、イリティスを犠牲にするような終わり方はしなくても済んだ。魔王は倒せなかったかもしれないが、なにかしらの手を考えることもできたはずだと思っていた。
幸せな日常を過ごせば過ごしただけ、後悔という闇が深くなっていく。
このままでいいのかと思い、なにもできないことに気付かされる日々。幸せで苦しい、それがティア・マリヤーナの気持ちだった。
『この記憶とルフ・ぺドランが伝え残したもの。それとは別に、私自身の気持ちで英雄王を手助けしたいとお待ちしておりました』
「これ、あたしに話していいの? グレン君がよかったんじゃない」
彼女がティア・マリヤーナの転生者だというなら、自分ではなくグレンの方がいいのではないか。問いかけには苦笑いで応える。
それだけで、なんとなくだが意味はわかった。彼女は接触しようとしていたのだと。
情報だけではなく、記憶まで持っていたなら行動を想像することは可能だろう。
彼女の家でどれほど伝えられているのかはわからないが、グレンの性格を把握することができれば想像することは容易い。
傭兵をするために時折現れるだろうことぐらいは、簡単にわかることだ。
『一度だけ、傭兵組合に所属していたのですけどね。お会いすることはできませんでした』
こればかりはタイミングだとわかっているだけに、仕方ないことだと割り切っていた。
もう少し所属するつもりでいたのだが、組合長の候補に名が挙がってしまったことから抜けることにしたのも、すべて自分で決めたことだ。
どうにかして会えないかと思っていたところ、シャルから連絡がきた。アクアが北の情報を求めていると。
『次に連絡を取りたかったのはあなたでしたので、これを断る理由はどこにもありません』
西にアクアが出入りしていることを知っていたことから、機会があれば連絡が取れるかもしれないと思っていたフィフィリス。
彼女と連絡が取れれば、自然とグレンにも情報がいく。
聞いていたアクアは、間違いないと笑う。自分に話せばすべてがグレンに筒抜けだ。
『それで、今回のお話は北の情報を求めてとのことでしたね。私のことは、いずれ直接お会いしたときにしましょうか』
他に聞きたいことがあるならいくらでも話すが、本題はこちらではない。
「そうだね……星の女神候補を探してるんだ。シャルから聞いた話で推測はできてるんだけど」
もう少し詳しい情報が欲しいのだと伝えれば、お任せくださいと頷く。
現在、フィフィリスは北に戻っているため、知っている限りであれば話すと言ってくれたのだ。
「リーナ・ノヴァ・オーヴァチュアについて、知っていたら教えて」
『リーナ……ですか。なるほど……あの団長殿が月神というわけね。納得したわ』
考え込む姿に、聞いた相手は正しかったと思う。彼女は間違いなくリーナを知っている。それどころか、月神かもしれないクオンのことも知っているようだ。
星視ができない理由ぐらいはわかるかもしれない。
「とりあえず、話し方それでいいよ。かしこまった話し方好きじゃないし」
随分丁寧にしているなと思ったが、一人でぶつぶつと喋るこちらが、本来の話し方なのだろう。シャルにたいしてもこんな感じだったし、自分もそれぐらいがいいなと思った。
聞いてくれるかはわからないが、とりあえず言ってみる。
『あら、そうなの? それならそうと言ってくれたらいいのに。私もあれ、嫌なのよ』
あっさりと口調を崩すフィフィリスに、グレンが好きそうだと思ったのは言うまでもない。
(会わせたら気に入るかもね)
北へは行くだろうから、そのときにでも会えるだろうと思えば、後にしようと振り払う。
『まず、リーナだったわね。あの子は今、私の弟子なのである程度はわかるわ。オーヴァチュア家の子で、魔力がとても強いわね。オーヴァチュア家でも、あそこまでの魔力は聞いたことがないわ』
元々、オーヴァチュア家は魔力の強いことで有名だった。だからこそ、魔法学校へいってから騎士学校へいくのだ。
その中でも格段に魔力が強いのがリーナだと言う。
・
言われれば、二人は外で待っていると出て行った。アクアに頼まれるまでもなく、聞いてはいけない話がされると察していたのだ。
「二人は聞いちゃダメなの?」
『それは、すべてを知ったあなたが判断してください』
自分には判断できないと言われてしまえば、アクアはわかったと頷く。これは、聞いた話をグレンと相談する必要があると思えたのだ。
それほどの話がされるのだとわかれば、いつもはお気楽に笑っていたアクアが真面目な表情を浮かべる。
『私は、かつて月神の子供達を保護していたルフ・ぺドランの家系に連なる者です。今現在も北の大国で暮らしています』
このまままでは終わらない。そう思った三千年前の関係者達は、それぞれに話し合ったわけでもなく、己の考えで後のために動いていた。
どんな形でもいいから、必ず動くであろう仲間のために。太陽神と英雄王を手助けするためだけに備えてきたのだ。
いつか現れる英雄王のために。そう言われながら育ってきたフィフィリス。聞かされた物語は、学校で習うものとはまったく違うもの。
『転生前の記憶が戻る前は、英雄王に憧れておりました。父が時計に残された英雄王を見せてくださり、あのようになりたいと思ったものです』
だから騎士を目指そうと騎士学校へ入学したのだと、懐かしそうに言う。
「きっかけは?」
記憶が戻ったきっかけがあったはずだ。そうでなければ、転生前の記憶が戻ることなどない。
『この時計を継いだときです。ここには色々な風景が記録されています』
記録されていた風景の中に、今はセレンに飾られている絵の数々があったのだ。英雄王だけではなく、遥か昔の七英雄の絵から、今は光の英雄と呼ばれる者達の絵まですべてが。
彼女の奥底に眠る、転生前の自分を刺激するには十分すぎた。なにせ、そこにはかつての自分が含まれていたのだから。
『アクア様、私は……ティア・マリヤーナです。かつて月神の力を授かり、最後のときにいられなかった……愚かな女でした』
悲しげな表情を浮かべるフィフィリスは、誰よりもティア・マリヤーナの後悔を知っている。
『ティア・マリヤーナはずっと後悔しておりました。自分が最後の戦いへ行けていれば、もっと違った未来が待っていたのではないかと』
少なくとも、イリティスを犠牲にするような終わり方はしなくても済んだ。魔王は倒せなかったかもしれないが、なにかしらの手を考えることもできたはずだと思っていた。
幸せな日常を過ごせば過ごしただけ、後悔という闇が深くなっていく。
このままでいいのかと思い、なにもできないことに気付かされる日々。幸せで苦しい、それがティア・マリヤーナの気持ちだった。
『この記憶とルフ・ぺドランが伝え残したもの。それとは別に、私自身の気持ちで英雄王を手助けしたいとお待ちしておりました』
「これ、あたしに話していいの? グレン君がよかったんじゃない」
彼女がティア・マリヤーナの転生者だというなら、自分ではなくグレンの方がいいのではないか。問いかけには苦笑いで応える。
それだけで、なんとなくだが意味はわかった。彼女は接触しようとしていたのだと。
情報だけではなく、記憶まで持っていたなら行動を想像することは可能だろう。
彼女の家でどれほど伝えられているのかはわからないが、グレンの性格を把握することができれば想像することは容易い。
傭兵をするために時折現れるだろうことぐらいは、簡単にわかることだ。
『一度だけ、傭兵組合に所属していたのですけどね。お会いすることはできませんでした』
こればかりはタイミングだとわかっているだけに、仕方ないことだと割り切っていた。
もう少し所属するつもりでいたのだが、組合長の候補に名が挙がってしまったことから抜けることにしたのも、すべて自分で決めたことだ。
どうにかして会えないかと思っていたところ、シャルから連絡がきた。アクアが北の情報を求めていると。
『次に連絡を取りたかったのはあなたでしたので、これを断る理由はどこにもありません』
西にアクアが出入りしていることを知っていたことから、機会があれば連絡が取れるかもしれないと思っていたフィフィリス。
彼女と連絡が取れれば、自然とグレンにも情報がいく。
聞いていたアクアは、間違いないと笑う。自分に話せばすべてがグレンに筒抜けだ。
『それで、今回のお話は北の情報を求めてとのことでしたね。私のことは、いずれ直接お会いしたときにしましょうか』
他に聞きたいことがあるならいくらでも話すが、本題はこちらではない。
「そうだね……星の女神候補を探してるんだ。シャルから聞いた話で推測はできてるんだけど」
もう少し詳しい情報が欲しいのだと伝えれば、お任せくださいと頷く。
現在、フィフィリスは北に戻っているため、知っている限りであれば話すと言ってくれたのだ。
「リーナ・ノヴァ・オーヴァチュアについて、知っていたら教えて」
『リーナ……ですか。なるほど……あの団長殿が月神というわけね。納得したわ』
考え込む姿に、聞いた相手は正しかったと思う。彼女は間違いなくリーナを知っている。それどころか、月神かもしれないクオンのことも知っているようだ。
星視ができない理由ぐらいはわかるかもしれない。
「とりあえず、話し方それでいいよ。かしこまった話し方好きじゃないし」
随分丁寧にしているなと思ったが、一人でぶつぶつと喋るこちらが、本来の話し方なのだろう。シャルにたいしてもこんな感じだったし、自分もそれぐらいがいいなと思った。
聞いてくれるかはわからないが、とりあえず言ってみる。
『あら、そうなの? それならそうと言ってくれたらいいのに。私もあれ、嫌なのよ』
あっさりと口調を崩すフィフィリスに、グレンが好きそうだと思ったのは言うまでもない。
(会わせたら気に入るかもね)
北へは行くだろうから、そのときにでも会えるだろうと思えば、後にしようと振り払う。
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元々、オーヴァチュア家は魔力の強いことで有名だった。だからこそ、魔法学校へいってから騎士学校へいくのだ。
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