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3部 永久の歌姫編
歌姫の訪問2
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急いで向かった先、メリシル国の城は街並みと同じく真っ白で、白亜の宮殿と言う方が正しいかもしれない。
三千年経っても変わらない城は、アクアにとっては第二の家と変わらないほどの場所でもあった。慣れたように城内を進んでいく。
「陛下―!」
そして、本来ならありえないことだが、平然と女王の執務室へ突撃した。これも彼女だからできるのだと、ソニアは内心苦笑いしている。
このようなことをすれば、下手したら首が飛ぶとすら思っていた。
「アクア様、ようこそいらっしゃいました」
次の瞬間、わかりやすく表情が歪むアクア。女王にアクア様と呼ばれるのが、あまり好きではないのだ。
「慣れてくださいな。もう百年の付き合いですよ」
わかっているから、女王も苦笑いを浮かべながらアクアを見ている。
「昔はお姉ちゃんって呼んでくれて可愛かったのに」
「いつの話をしているのですか」
王女の頃を言われれば、早く忘れてくれと思わなくもない。あの頃は、なにも知らない小娘だったのだと。
幼い頃はなにも知らないからこそ、歌が上手なお姉さんとしか思っていなかった。エトワール神殿の神官だったのだろうと。
幼いながらにわかるのは、彼女が神官ではないということだけだった。
神官にしては騒がしすぎる、という理由で判断したのだ。こんなに騒がしい神官を見たことがないと。
「すぐにでもお話したいところなのですが、このあとは外せない所用がありまして」
少しばかり待ってくれないかと言われれば、こればかりは仕方ないと頷く。
目の前にいる女性は、メリシル国の女王なのだから。政務を優先するべきと、アクアでも思う。
「じゃあ、街をぶらぶらしてるよ」
「わかりました。ソニアはそのままアクア様についていてください」
その視線が、なにをしでかすかわからないから、と語り掛けているのは間違いではないだろう。
わかっているからこそ、ソニアは頷いて応える。アクアを相手に、自分で止められるかはわからないが、誰もいないよりはマシだろう。
再び街中へ出れば、どこへ行こうかと悩む。彼女は普段から遊びに来ているだけに、懐かしいなと見て回る場所もない。
どこもかしこも知っている場所。何度も行ったことがあるだけに、いまさら行くようなところでもない。
「どうしようかなぁ」
「カフェなどいかがでしょうか。おそらく、アクア様が最後に行ったときには、あれはなかったかと」
どうやって時間を潰すか悩む姿に、こっそりと女王から聞いた話を伝える。
最近、西の大陸で流行っているカフェ。アクアが遊びに来ていた頃、まだ店は開いていなかったと聞いていたのだ。
「カフェ? 新しいお店出来てたんだ」
それは行ってみたいと言う。
カフェ自体は珍しいものではないが、行ったことがないお店となると興味はあるというもの。
今回はどのようなお店が出来たのだろうか。楽しみだなと言うアクアを見ながら、ソニアは笑みを浮かべる。
「ご案内します」
「お願いねー!」
自分よりも年上なのに、彼女はどうしても妹のように見えてくるから不思議だ。つい甘やかしてしまうと思えば、みんな同じだったかと考え直して向かった。
白い街並みは、どこも同じに見えて同じではない。けれど、それはここで暮らす彼女達だからわかることなのだ。
翼を持つセイレーン族が暮らす西の大陸。女神メルレールの影響とも言われる文化のひとつが、真っ白な街並みだった。
これが当たり前だったからこそ、なぜなのかと考えた者はいない。三千年前、バルスデ王国との国交が始まり、女神メルレールの影響だと知ったぐらいだった。
外から人が流れてくるようになれば、街中で迷子になる者が多発。一時的に道案内まで作られたときには、誰もが不思議に思ったほどだ。
そうもわかりづらい街並みだろうか。
慣れとは恐ろしいものだ、と思ったのは外から来た者達。どうやればこの街で暮らしていけるのか、不思議でたまらなかったのだ。
「これ、目印?」
「そうです」
さりげなく植えられた花々。それが迷わないための目印となったのは、三千年前の王女が提案したから。
白い街並みが迷わすなら、目印となるものを作ればいい。夫の提案に、それならばと提案したのが花だったというだけのこと。
元々、真っ白な街並みに花々は植えられていた。だから、完全に真っ白な街並みだったわけではないのだが、それらは特に意味があって植えられていたわけではない。
なんとなく植えられていたものから、自然と咲いてしまったものまであって、誰も気にしてはいなかった。
(あのルピナス様がねぇ)
当時の第二王女を思いだし、これを提案したのは正解だったなと思う。
第二王女であったルピナス・リア・ゼフィラントは、花を育てるのが趣味だった。中庭に彼女のためと作られたお花畑があったほどで、水まきをしていたのはアクアだ。
「また思いだしているのですか。ルピナス様はどのようなお方でしたか?」
花を見ているときのアクアは、どことなく懐かしげにしていることが多い。思いだしているのだろうと、誰が見てもわかるほどだ。
触れていいものなのか、悩むところではあった。けれど彼女はそこを気にしてはいない。
踏み込んではいけない部分がほとんどないのが、アクア・フォーランという女性なのだ。
「ルピナス様はね、天真爛漫な姫様だったよ。第一王女が、ちょっとね……て感じだったから、どうしてこうも違うのか気になるほどだったかな」
濁した部分に関しては、おそらく性格に問題があったのだろうと思うことにする。
いくら彼女でも、王族の性格が悪かったなど言えないと思ったのか、今の時代でそれを言うわけにはいかないと思ったのか。
(後者でしょうね)
歴史に残されている部分を考えると、昔は性格に問題があった女王とは言えない。
「とにかくお花が好きな姫様だったなぁ。中庭にお花畑があったぐらい」
今はないけど、と笑いながら言うが、それがどことなく寂しそうにも見える。
大切な姫様のお花畑がなくなってしまったのだから、悲しいと思ったのかもしれない。
「あっ、お花畑を壊した女王がいたとかじゃないよ。姫様が自分で移動させたんだ。自分は王家から離れるのだからって」
「そうでしたか」
壊した女王がいたのかも、と思っていただけに、ソニアは少しだけ安心した。
もしもそのような女王がいたら、アクアの思い出を奪ったようで悲しかったから。
・
三千年経っても変わらない城は、アクアにとっては第二の家と変わらないほどの場所でもあった。慣れたように城内を進んでいく。
「陛下―!」
そして、本来ならありえないことだが、平然と女王の執務室へ突撃した。これも彼女だからできるのだと、ソニアは内心苦笑いしている。
このようなことをすれば、下手したら首が飛ぶとすら思っていた。
「アクア様、ようこそいらっしゃいました」
次の瞬間、わかりやすく表情が歪むアクア。女王にアクア様と呼ばれるのが、あまり好きではないのだ。
「慣れてくださいな。もう百年の付き合いですよ」
わかっているから、女王も苦笑いを浮かべながらアクアを見ている。
「昔はお姉ちゃんって呼んでくれて可愛かったのに」
「いつの話をしているのですか」
王女の頃を言われれば、早く忘れてくれと思わなくもない。あの頃は、なにも知らない小娘だったのだと。
幼い頃はなにも知らないからこそ、歌が上手なお姉さんとしか思っていなかった。エトワール神殿の神官だったのだろうと。
幼いながらにわかるのは、彼女が神官ではないということだけだった。
神官にしては騒がしすぎる、という理由で判断したのだ。こんなに騒がしい神官を見たことがないと。
「すぐにでもお話したいところなのですが、このあとは外せない所用がありまして」
少しばかり待ってくれないかと言われれば、こればかりは仕方ないと頷く。
目の前にいる女性は、メリシル国の女王なのだから。政務を優先するべきと、アクアでも思う。
「じゃあ、街をぶらぶらしてるよ」
「わかりました。ソニアはそのままアクア様についていてください」
その視線が、なにをしでかすかわからないから、と語り掛けているのは間違いではないだろう。
わかっているからこそ、ソニアは頷いて応える。アクアを相手に、自分で止められるかはわからないが、誰もいないよりはマシだろう。
再び街中へ出れば、どこへ行こうかと悩む。彼女は普段から遊びに来ているだけに、懐かしいなと見て回る場所もない。
どこもかしこも知っている場所。何度も行ったことがあるだけに、いまさら行くようなところでもない。
「どうしようかなぁ」
「カフェなどいかがでしょうか。おそらく、アクア様が最後に行ったときには、あれはなかったかと」
どうやって時間を潰すか悩む姿に、こっそりと女王から聞いた話を伝える。
最近、西の大陸で流行っているカフェ。アクアが遊びに来ていた頃、まだ店は開いていなかったと聞いていたのだ。
「カフェ? 新しいお店出来てたんだ」
それは行ってみたいと言う。
カフェ自体は珍しいものではないが、行ったことがないお店となると興味はあるというもの。
今回はどのようなお店が出来たのだろうか。楽しみだなと言うアクアを見ながら、ソニアは笑みを浮かべる。
「ご案内します」
「お願いねー!」
自分よりも年上なのに、彼女はどうしても妹のように見えてくるから不思議だ。つい甘やかしてしまうと思えば、みんな同じだったかと考え直して向かった。
白い街並みは、どこも同じに見えて同じではない。けれど、それはここで暮らす彼女達だからわかることなのだ。
翼を持つセイレーン族が暮らす西の大陸。女神メルレールの影響とも言われる文化のひとつが、真っ白な街並みだった。
これが当たり前だったからこそ、なぜなのかと考えた者はいない。三千年前、バルスデ王国との国交が始まり、女神メルレールの影響だと知ったぐらいだった。
外から人が流れてくるようになれば、街中で迷子になる者が多発。一時的に道案内まで作られたときには、誰もが不思議に思ったほどだ。
そうもわかりづらい街並みだろうか。
慣れとは恐ろしいものだ、と思ったのは外から来た者達。どうやればこの街で暮らしていけるのか、不思議でたまらなかったのだ。
「これ、目印?」
「そうです」
さりげなく植えられた花々。それが迷わないための目印となったのは、三千年前の王女が提案したから。
白い街並みが迷わすなら、目印となるものを作ればいい。夫の提案に、それならばと提案したのが花だったというだけのこと。
元々、真っ白な街並みに花々は植えられていた。だから、完全に真っ白な街並みだったわけではないのだが、それらは特に意味があって植えられていたわけではない。
なんとなく植えられていたものから、自然と咲いてしまったものまであって、誰も気にしてはいなかった。
(あのルピナス様がねぇ)
当時の第二王女を思いだし、これを提案したのは正解だったなと思う。
第二王女であったルピナス・リア・ゼフィラントは、花を育てるのが趣味だった。中庭に彼女のためと作られたお花畑があったほどで、水まきをしていたのはアクアだ。
「また思いだしているのですか。ルピナス様はどのようなお方でしたか?」
花を見ているときのアクアは、どことなく懐かしげにしていることが多い。思いだしているのだろうと、誰が見てもわかるほどだ。
触れていいものなのか、悩むところではあった。けれど彼女はそこを気にしてはいない。
踏み込んではいけない部分がほとんどないのが、アクア・フォーランという女性なのだ。
「ルピナス様はね、天真爛漫な姫様だったよ。第一王女が、ちょっとね……て感じだったから、どうしてこうも違うのか気になるほどだったかな」
濁した部分に関しては、おそらく性格に問題があったのだろうと思うことにする。
いくら彼女でも、王族の性格が悪かったなど言えないと思ったのか、今の時代でそれを言うわけにはいかないと思ったのか。
(後者でしょうね)
歴史に残されている部分を考えると、昔は性格に問題があった女王とは言えない。
「とにかくお花が好きな姫様だったなぁ。中庭にお花畑があったぐらい」
今はないけど、と笑いながら言うが、それがどことなく寂しそうにも見える。
大切な姫様のお花畑がなくなってしまったのだから、悲しいと思ったのかもしれない。
「あっ、お花畑を壊した女王がいたとかじゃないよ。姫様が自分で移動させたんだ。自分は王家から離れるのだからって」
「そうでしたか」
壊した女王がいたのかも、と思っていただけに、ソニアは少しだけ安心した。
もしもそのような女王がいたら、アクアの思い出を奪ったようで悲しかったから。
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