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2部 二刀流の魔剣士編

永遠の魔剣士3

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 家系としても間違いなく友人の家系だ。北に渡っていたことはさすがに知らなかった。

(シオンとイリティスは知っていただろうが…)

 そこまでの情報共有はしていない。知りたい情報は自分達で得るようにしていたからだ。

 四人でリオンを待つと決めた。しばらくは自由気ままな日々を過ごしていたのだが、住処をセレンの天空城へ変えた辺りで決まりを作ったのだ。

 全員ですべてを見守るのではなく、役割分担をしようと。

(推測通り北に生まれてくるとはな…)

 北の大陸にリオンは生まれ変わる。確証はないが、四人ともが思ったことだった。

「これ、正確じゃないな」

 データを見ながら言えば、ウドルもよくわかったなというように頷く。これは正確なデータではないと。

「基本的すぎる。そう見せてるんだろうさ」

「あんた、いい目だな。頭の回転がいいのか…」

「無駄に長生きしてるだけだ」

 笑いながら言えば、ウドルは年上だったのかと呟く。同族であろうが年齢は見ただけでわかるものではない。

 年上なのは間違いないことで、曖昧に笑ってやり過ごすグレン。

 とりあえずこれを教えてくれと視線で問いかければ、ウドルも本来の仕事へ戻る。

「曲者みたいでな。イクティス・シュトラウスとは違った意味で情報が得られない相手だ」

 情報屋にたいしてというよりは、騎士団の中でも彼のことを知っている者はほとんどいないと言う。

 知っていることとは、女王と幼馴染みだということや、騎士団最強の男だと言われていること。女王の妹と付き合っていることも確定だと話す。

「その辺りはわかるのに、実力はわからないのか」

「本気でやれない、というのがひとつの理由だろうが」

「機会があればやってみたいものだ」

 ウドルが言うのも理解できる。本気でやれる相手がいなければ実力はわからない。

 自分で確かめるのが一番だと思うが、さすがに北へは行けないというのが本音。勘がいいのは気付いてしまうからだ。

 バレるのは構わないが、騒ぎになるのは面倒だと思った。

 いつか機会が訪れたら、騎士団最強の男と手合わせでもしよう。実力はそのとき確かめればいいのだ。

「強いと言えば、女王も強いみたいだった。魔剣を扱うそうだ」

「珍しいな」

 女王が戦うことは別段気にしていないが、女性が魔剣を使うことは珍しい。

 グレンが生まれ育った時代では男性が使うのも珍しいものだったが、今の時代では使える者が増えている。

 それでも男性にだ。女性はほとんど扱えていない。

「幼馴染みがあの騎士だからな。一緒に鍛えていたのだろう、というのが調査員の考えだ」

 ありえなくはないと思う。息子が自分の影響を受けてしまったように、そのまま強くあることが当たり前になってしまったのだろうと。

「相変わらず乱れのない国さ。最年少騎士団長が就任したのは、さすがに荒れたようだけど…」

「最年少騎士団長?」

 かつて自分に仕えていた騎士。彼らが最年少騎士団長であった。それを越えることは今までなかっただけに気になる情報だ。

 教えてくれと言えば、ウドルはノートを捲り出す。

「一人はソレニムス家の騎士だ。二十歳で騎士団長になった、現在バルスデ王国一番の槍術使い」

(イェルクの影響だな…)

 槍術に長けた家となったのは、間違いなくイェルク・ソレニムスの影響だと言い切れた。

「秀才のようだ」

「秀才、か…」

 最年少騎士団長となるだけある。しかし、一人はという言い方をしていた。

 つまり、もう一人現れたということだ。

「その後、十六で騎士団長になったのがクオン・シリウスだったか。騎士団が荒れたようだった」

 その年齢では仕方ないことだと苦笑いを浮かべる。気に入らないという騎士は出てくるだろう。

 よくも騎士団長へ就任させたものだと思うが、同時にそれも理解できなくはない。

(クオン・メイ・シリウス……スレイの家系。リオンか…)

 彼がそうである、という情報は知っている。シオンから聞かされていたのだから。

 生まれてきたと知ったあとから、リオンがどこに生まれ、どういう状態なのかは調べていた。

(記憶はないし、性格は似ているようだがリオンと言うべきではないだろうな)

 記憶が戻ればまた違うのかもしれないが、シオンは今の生活を壊す真似はしたくないと言っている。

(イリティスもそうだが、記憶が戻るということはそれだけのことが起きるということ)

 ならば、このままであるのが一番なのだろう。

 このままでは済まないということもわかっていた。おそらく彼はリオンとして動く日がやってきてしまうのだと。

「北の情報はこのぐらいだな。変わったこともないし、騎士団で最年少団長がいるぐらいだな」

 参考になったのかと言われれば、グレンはお代だとお金を渡す。

 彼としては十分な情報だったと思っている。特に騎士団最強の男は、久々に楽しい情報だと思ったほどだ。

 家系を知っているだけに、これほど面白いことはない。

 空の色が変わりだしているのを見て、この辺りで傭兵組合へ戻るかとその場をあとにした。

 ついでに変わったことはないかと聞く予定だったが、時間へ遅れてしまう。さすがに待たせるのはあとが面倒だと思ったのだ。

(それにしても、レインの家系が騎士団最強になるとはな……時代は変わったものだ)

 騎士族と呼ばれている家柄があることは知っているが、そこにシーゼルという家系はない。

 なぜなら、イリティスが使っていた偽名からくる名前だからだ。

(手合わせしたいな…)

 どれほど強いのか。気になって仕方ないが、とりあえずは他に気になることがあるだけに後回しだ。

 まずは自分がやらなくてはいけないことをする。彼が留守にしているからこそ、自分がやらなくてはいけないのだ。

(シュレが厄介だが…)

 これからしばらく組むことになる傭兵。それが吉となるか凶となるのか、少しだけ悩ましかったりもした。




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