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1部 転生する月神編

魔物討伐

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 晴天の下、騎士達が魔物を相手に剣を振るう。さほど強くはないが、数だけは多い。

「植物系はすべて燃やしなさい!」

 魔物にはいくつか種類があり、それぞれに警戒するべき点がある。

 植物系の魔物には、種を植え付けて繁殖すると言われていた。死体が対象だが、怪我人であれば生きていても可能となるのだ。

「リーナ様、そろそろ休憩です」

「問題ありません。あなた方は下がりなさい」

 ずっと魔法を使うことはできず、援護として使っている騎士達は交代制で動いている。

 けれど、リーナには問題がない。この程度で疲れるほど、弱くはないとレイピアを握り直す。

「次の部隊、続きなさい」

 休憩を終えた騎士達が戻ってくれば、リーナは魔物の群れへと斬りかかった。

 魔物討伐として、ローランからランダート周辺の探索に入って十日。魔物との戦いは三度目だった。

 これが多いのか少ないのか、判断には迷うところだ。

「それで最後です! 逃さないでください!」

 自分から離れている魔物を見て、リーナが他の騎士へと指示を出す。

 すぐさま一人の騎士が向かい、この討伐は完了した。

「お疲れさまです。交代までもう少し時間があるので、警戒を怠らないようにお願いします」

 日暮れまでは、昼の担当となる。夜を受け持つ仲間へ交代するまで、今日の職務は終わらないのだ。

 月光騎士団の人数なら、部隊を三分割もできる。しかし、小隊長ができる人材がいない。

(仕方ないよね)

 こればかりは、どうしようもないとリーナはため息を吐く。

 隣をちらりと見れば、クオンが鋭い眼差しで周囲を見ている。

 若さなど関係ない。けれど、若すぎる団長に不満を持つ者は多く、彼が団長になると同時に辞めた騎士もいた。

「心配なの?」

「シルヴィア…」

 近寄ってきた女騎士はシルヴィア・ソレニムス。クロエの妹で、リーナよりは三つ年上。現在二十歳の女性だ。

「クオンなら、大丈夫よ」

 一年前ローランから月光騎士団へ配属変更された人物で、二人との交流もある。

 おそらく、意図的に配属されたのだろう。わかっているからこそ、クオンも扱いが慎重だった。彼女がいつまでいるかわからないから。

「親の力で騎士になったわけじゃないし、団長になったのも実力よ。私達がわかっていれば、いいの」

 微笑むシルヴィアに、リーナも頷いて応える。

 多くの騎士を失ったかもしれないが、得たものもたくさんあった。すべてが悪いことではないのだ。

 不満を持つ騎士を抱えるぐらいなら、今ぐらいがちょうどいい。それに、すべてが去ったわけでもないのだから。

 残った者や新しい者。誰もが一年で気付いたことだろう。若いからでも、親の力でもない。彼の実力と先を見据えた結果、団長となったのだと。

「わかってる者は、みんな残っている。クオンは底知れない強さを秘めてるからね」

 笑いながら言うから、リーナはなんのことかと見る。

「そのうちわかるわよ」

 残りの職務をこなしましょうと言われれば、ハッとしたように頷く。まだ職務中なのだから、こんなところで話している場合ではない。

 もう一度だけクオンを見て、リーナは怪我人の確認を行う。





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