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最終章 ボク達のミライ
92.別れ。
しおりを挟む「私、もう一真くんとは会えない」
俺は言葉を失った。なんて返したら正解なのか、うんって素直に言ったらもう会えなくなるのだろう。だからといってここで食い下がるのも違う気がする。だって優衣にも色々あるのだろうから。
「そっか……分かった。」
優衣はさっきよりも涙を流していた。
「ご、ごめんね。このまま理由もなく会わなくなるのも納得出来ないだろうから言うね?」
「うん……」
「私ね結婚するの。」
想定はしていたけれど、やっぱり結構心にくる。
「そうなんだ……お幸せに。」
俺は静かにそう言って、この場を去ろうとした。
冷たいと言われても仕方がない、けど俺にとって優衣は全てだった。だからとやかく言うことなく俺は優衣の幸せを受け入れようと。そう思い多くは語らなかった。
「一真……!!」
もう俺は振り向くつもりは無い。
「ねぇ……最後にこっち向いてよ……」
ダメなんだ、ここで振り向いてしまったら取り返しがつかなくなる気がするんだ。
けれど後ろで泣き崩れてるであろう姿は想像出来た。
けどそれ以上に泣いている自分がいた。
ここで追いかけちゃダメだって、分かってるのに追いかけたい。まだ一真の温もりを感じたい。もう思ってはいけないのに、この気持ちは時が過ぎていくと共に募っていく。
一真の背中はだんだん小さくなっていく。
好きという気持ち、また一緒に笑いたい、ご飯を食べたい、という思いは大きくなっていく。
私は今になって後悔をした、もう一真は目が覚めないんじゃないかってそうなった時に一人になるのが怖かった、そこで自分の気持ちに負けてしまったんだ、一真よりも自分の気持ちが勝ってしまった。
私は小さくなっていく、一真の背中を見続けることしか出来なかった。
この付き合っていた期間は、ボクとセンセイしか知らない秘密……
僕にとってその秘密は青春だった。
私にとってその秘密は最後の恋愛だった。
そう一度しかない人生、後悔してからでは遅いんだ……。
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