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完・お嬢様、怒りを覚えてる。
05失礼いたします。
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「……はい、わかりました。失礼します」
半グレの男はそう言って通話を切ると。
「状況が変わった。あいつ死んだらしい、どうにも他にも厄介な奴を怒らせてたみたいだ」
低い声で淡々と状況を語り。
「だが金の回収はマストだ。おまえらから絞ることにした」
そう言ったと同時に、私とみどりは男たちに組み伏せられる。
「――――なっ⁉」
「俺らからしたら、どこから金を取ろうが全く関係ないからな。当然、捕まらなきゃなにやってもいいと思ってるからこんな感じなんだから」
驚いて声を漏らすが、すぐに手で口を塞がれ男は全く動じることなく淡々と語りを続ける。
「適当に剥いて回して撮って、おまえらを揺する。五百八十七万稼いだら自由にしてやる」
男がそんなことを言ったところで、脚を触られたので。
反射的に大暴れする。
無茶苦茶に、足をバタバタさせて仰け反って頭を振って逆立ち状態でぐるりと回る。
高校時代にダンスも齧っていたから、ウィンドミルくらいははギリできる。
「ごぁ……っ」
すると、みどりを拘束しようとしていた男の金的を蹴り上げることに成功し。みどりの拘束が解ける。
「逃げて‼ 何とかする‼ とにかく逃げて‼ 早く‼」
「…………っ‼」
私が怒鳴るように言うと、みどりは一目散に走り抜けてドアから逃げていった。
みどりは元陸上部、お金が無くて合宿や大きな大会には出られなかったけど高校の頃は部内での短距離レコードを塗り替えたこともある。
きっと逃げきって、助けを呼んでくれる。
「ちっ、追え。それと、ここは引き払う。適当な掃除業者を呼べ、痕跡を残すな」
男がそう言うと、何人かの男たちがみどりを追って走り出す。
さらに指示を受けた男がスマホを開く、万が一みどりを逃がして人が来ても問題ないようにハウスクリーニングを呼ぶのだろう。
「折らねえ程度に関節極めて弱らせろ、壊すと商品価値が下がる」
煙草に火をつけながら男がそう言うと。
私を組み伏せていた男が私に猿轡をはめて、手首を強く捻りあげる。
「ん――――――~~~~っ⁉」
痛みで声を出すが、全然力を緩めてはくれない。
痛い痛い痛い、ジタバタと暴れようとするが押さえつけられて足首や肘も捻り上げられる。
そして、最後に首を絞められて気を失った。
気がつくと椅子に縛られていた。
場所が違う……いや隣の部屋に移されただけだ。
窓の隙間から見えた景色は変わらない。
動けない、手足は結束バンドで繋がれている。
完全に捕まった。
最悪だぁ……、なんなのこれ、悲しくなってきた。
想像以上に悪人だ。
何となく半グレ集団というとチンピラというか、不良の人たちの集まりだと思っていたけれど。ちゃんと犯罪組織だ。
指定暴力団として指定されていないだけで、がっつりと倫理観や道徳の欠落した反社会勢力。
こいつらからしたらヤバパパの指を切り落として保険金をせしめるのも、私たちみたいな若い女を脅して身体を売らせることも、同じようなものなんだ。
お金さえ手に入れば何でもいい、どうでもいい。
本当にとんでもない奴らに目をつけられた……最悪。
確かにお金は大事。団地の子として育った私は、それを何度も痛感したことがある。これは間違いない、経済学部なんてとこに進学する程度には私はお金を大事に思っている。でも、お金が本質じゃないでしょ……。
人生の本質は幸福度だ。
お金があったら大抵のことは上手くいくかもしれない、でもそれは全て幸せを目指すための通過点でしかない。
人を虐げて傷つけて恨まれて憎んで、他者を下げることで相対的に自分を上げるなんてやり方は本質的な向上じゃないでしょう……。
結局そうやって擬似的な幸せを感じても、誰かの相対評価の為に虐げられて、その人もまた誰かに虐げられる。
そんなのは全員で不幸になりにいっているだけだ、馬鹿馬鹿しい。
私はただ、自分の中の幸せのために友達を大切にして勉強してそれなりに稼いで生きていきたいだけなのに…………。
なんて泣きそうになっていると。
「どうする、一旦やっとく?」
「いや思ってるよりめんどくせえぞ……、殴っていいならともかく本気で抵抗する女とやるのは疲れるし時間かかるからなぁ」
「やるんなら場所移してからだな、ここだと暴れた痕跡からハウスクリーニング業者が事件性ありって通報するかもしんねーしな」
「くっそ、じゃあまだダメだな」
襖越しに、そんな下品な会話が聞こえてくる。
まだ特に何もされてないんだ。
良かった……。けど、この後なんかされるってこと?
全然嫌なんだけど、私別にモテないわけでもないし彼氏もいたことあるけど全然処女なのよね。
なんか別に私はそんなに貞操観念が強い方とは思わないけど、今まで付き合った男の子とか好いてくれた男の子にはそこまでの熱が起こらなかった。
だからこんなわけのわからない奴らに、好き勝手されるなんてのはもっての外だ。最悪、気持ち悪い。
なんとかしなきゃ、なんとか――――。
「お話中、失礼いたします。コンセプトハウスキーパー【ロイヤルノワール】から参りました」
襖の向こうから、そんな新しい声が聞こえた。
半グレの男はそう言って通話を切ると。
「状況が変わった。あいつ死んだらしい、どうにも他にも厄介な奴を怒らせてたみたいだ」
低い声で淡々と状況を語り。
「だが金の回収はマストだ。おまえらから絞ることにした」
そう言ったと同時に、私とみどりは男たちに組み伏せられる。
「――――なっ⁉」
「俺らからしたら、どこから金を取ろうが全く関係ないからな。当然、捕まらなきゃなにやってもいいと思ってるからこんな感じなんだから」
驚いて声を漏らすが、すぐに手で口を塞がれ男は全く動じることなく淡々と語りを続ける。
「適当に剥いて回して撮って、おまえらを揺する。五百八十七万稼いだら自由にしてやる」
男がそんなことを言ったところで、脚を触られたので。
反射的に大暴れする。
無茶苦茶に、足をバタバタさせて仰け反って頭を振って逆立ち状態でぐるりと回る。
高校時代にダンスも齧っていたから、ウィンドミルくらいははギリできる。
「ごぁ……っ」
すると、みどりを拘束しようとしていた男の金的を蹴り上げることに成功し。みどりの拘束が解ける。
「逃げて‼ 何とかする‼ とにかく逃げて‼ 早く‼」
「…………っ‼」
私が怒鳴るように言うと、みどりは一目散に走り抜けてドアから逃げていった。
みどりは元陸上部、お金が無くて合宿や大きな大会には出られなかったけど高校の頃は部内での短距離レコードを塗り替えたこともある。
きっと逃げきって、助けを呼んでくれる。
「ちっ、追え。それと、ここは引き払う。適当な掃除業者を呼べ、痕跡を残すな」
男がそう言うと、何人かの男たちがみどりを追って走り出す。
さらに指示を受けた男がスマホを開く、万が一みどりを逃がして人が来ても問題ないようにハウスクリーニングを呼ぶのだろう。
「折らねえ程度に関節極めて弱らせろ、壊すと商品価値が下がる」
煙草に火をつけながら男がそう言うと。
私を組み伏せていた男が私に猿轡をはめて、手首を強く捻りあげる。
「ん――――――~~~~っ⁉」
痛みで声を出すが、全然力を緩めてはくれない。
痛い痛い痛い、ジタバタと暴れようとするが押さえつけられて足首や肘も捻り上げられる。
そして、最後に首を絞められて気を失った。
気がつくと椅子に縛られていた。
場所が違う……いや隣の部屋に移されただけだ。
窓の隙間から見えた景色は変わらない。
動けない、手足は結束バンドで繋がれている。
完全に捕まった。
最悪だぁ……、なんなのこれ、悲しくなってきた。
想像以上に悪人だ。
何となく半グレ集団というとチンピラというか、不良の人たちの集まりだと思っていたけれど。ちゃんと犯罪組織だ。
指定暴力団として指定されていないだけで、がっつりと倫理観や道徳の欠落した反社会勢力。
こいつらからしたらヤバパパの指を切り落として保険金をせしめるのも、私たちみたいな若い女を脅して身体を売らせることも、同じようなものなんだ。
お金さえ手に入れば何でもいい、どうでもいい。
本当にとんでもない奴らに目をつけられた……最悪。
確かにお金は大事。団地の子として育った私は、それを何度も痛感したことがある。これは間違いない、経済学部なんてとこに進学する程度には私はお金を大事に思っている。でも、お金が本質じゃないでしょ……。
人生の本質は幸福度だ。
お金があったら大抵のことは上手くいくかもしれない、でもそれは全て幸せを目指すための通過点でしかない。
人を虐げて傷つけて恨まれて憎んで、他者を下げることで相対的に自分を上げるなんてやり方は本質的な向上じゃないでしょう……。
結局そうやって擬似的な幸せを感じても、誰かの相対評価の為に虐げられて、その人もまた誰かに虐げられる。
そんなのは全員で不幸になりにいっているだけだ、馬鹿馬鹿しい。
私はただ、自分の中の幸せのために友達を大切にして勉強してそれなりに稼いで生きていきたいだけなのに…………。
なんて泣きそうになっていると。
「どうする、一旦やっとく?」
「いや思ってるよりめんどくせえぞ……、殴っていいならともかく本気で抵抗する女とやるのは疲れるし時間かかるからなぁ」
「やるんなら場所移してからだな、ここだと暴れた痕跡からハウスクリーニング業者が事件性ありって通報するかもしんねーしな」
「くっそ、じゃあまだダメだな」
襖越しに、そんな下品な会話が聞こえてくる。
まだ特に何もされてないんだ。
良かった……。けど、この後なんかされるってこと?
全然嫌なんだけど、私別にモテないわけでもないし彼氏もいたことあるけど全然処女なのよね。
なんか別に私はそんなに貞操観念が強い方とは思わないけど、今まで付き合った男の子とか好いてくれた男の子にはそこまでの熱が起こらなかった。
だからこんなわけのわからない奴らに、好き勝手されるなんてのはもっての外だ。最悪、気持ち悪い。
なんとかしなきゃ、なんとか――――。
「お話中、失礼いたします。コンセプトハウスキーパー【ロイヤルノワール】から参りました」
襖の向こうから、そんな新しい声が聞こえた。
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