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49・総員、クライマックスを駆け抜ける。
03第三陣。
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第三陣。
聖女ジュリアナ・ロックハート、その友人アンジェラ・ステイモス。
三枚目の担当は聖女。
正確にいえば、その爆弾だ。
かつてこの国全域に設置し、国民を人質にした。
この国の歪みが生み出した狂気の沙汰。
聖女制廃止を撤回させる為、国家を相手に行ったテロ行為による恐喝。
教会の中で生まれ育ち、外の世界を知らず。
女神に祈りを捧げる為の装置として造られた聖女に、一人の男……若き聖職者エリック・バーネットが知識と知恵を与えた。
その結果、自信の置かれた立場を理解してしまった聖女は最も効果的方法でそれを覆すことにした。
エリック・バーネットの協力により国内のあらゆる場所に八百の爆弾を仕掛け、いつでも爆破できる状態にした。
爆弾は遠隔操作での起爆はもちろん、爆発の威力の調整や爆破範囲や爆弾自体の移動操作も可能。
そんな、この国の技術力では製造不可能なサイエンス・フィクションの域にある超高性能爆弾を造ったのはリングストンの街にある、とあるふざけた名前の工房。
エリック・バーネットがどのようにして魔女に辿り着いたのかは、服毒自殺してしまった今となっては不明だが。
聖女の爆弾は、奇しくも女神が本来聖女となるべくして生み出した魔女が造ったもの。世界の理から外れた八百の超高性能爆弾は、女神の作り出した障壁にも干渉可能だ。
「ジュリアナっ! お願い!」
「わかっていますよ、アンジェラ」
竜の女王の背から飛び出し崩れながらも着地をしてアンジェラ・ステイモス侯爵令嬢が聖女にそう言うと、聖女は華麗に着地しながらそう返し。
左腕に装着している、爆弾遠隔操作盤で爆弾を操作し障壁に貼り付けていく。
先の作戦会議中から国中に点在していた爆弾を操作して、城へと集合させていた。
国をも滅ぼすその爆弾を障壁に貼り付けていき、爆破方向や出力を装着した操作盤で調整を行う。
八百の爆弾を一つ一つ、爆風の指向性や起爆タイミングを調整する。
そもそも誰より女神を信仰する聖女が、何故こんな神に背くようなことに協力をしているのか。矛盾しているようにも思ったが。
聖女の役目は、民の安寧と幸福を女神に祈ること。
今、女神は世界の崩壊を厭わずグロリア・クーロフォードを世界の外へと連れ去ろうとしている。
世界の崩壊、それは安寧と幸福からはかけ離れたものだ。
だから、聖女はさらに強く安寧と幸福を祈らなくてはならない。
祈りを女神に届けなくてはならない。
目の前には女神、遮る障壁、聖女がやるべきことは一つだ。
矛盾なし、彼女は聖女としての役目を果たそうとしているだけなのだ。
聖女は目を閉じて、頭の中で複雑な計算を行いながら凄まじい速さで爆弾を調整していく。
その間、アンジェラ・ステイモスは聖女に対して祈りを捧げる。
上手くいくように、失敗しないように、ただひたすらに祈る。
無意味。
この部屋にいるほとんど人間が、彼女の行為に懐疑的だが。
思いと想いの重さが事象に影響を及ぼすという理を持つこの世界において、祈りは凄まじい力になる。
この世界において、信仰は本当に力となる。
もしかするとこの国の民は少なからず聖女の祈りによって安寧や幸福を手にしていた可能性すらある。
故に、アンジェラ・ステイモスは親友に向けて思いと想いの重さを用いて成功率を上げようとしている。
冤罪で糾弾され学園追放からの婚約破棄、そんなよくある絶望を聖女のせいにして直接文句を言いに行くほどに追い詰められていたところを。
聖女に救われた、安寧と幸福に導かれた。
彼女が信じるのは聖女の力、彼女以上に聖女へ真摯に祈りを捧げられる人間はこの場にはいない。
聖女の調整は続く。
頭を使いすぎて、鼻血が垂れてきている。
そして。
「ああ、女神よ。この世界に安寧と幸福を、まだこの世界を見捨てるのは早すぎます。本日のところはお引き取り願います」
聖女は目を開き、そう言って全ての爆弾を起爆した。
とてつもない威力の爆発が散らないように、複数の爆弾で爆風に指向性を持たせるように爆発させてその爆発も威力に加わる。
一点集中した爆発は、障壁を割って貫いた。
それを見て。
「素晴らしい。ジュリアナ・ロックハート、私を楽しませてくれますね――」
女神は割れて崩れる障壁の向こう側で、優しい笑顔で。
「――それでは、これはどうでしょう」
そう言った。
同時。
四枚目の障壁の前に、十体の人影が出現する。
勇者の剣を持った、真っ白な魔王。
いうなれば、擬似魔王が十人並んでいた。
そんな更なる脅威に対して。
聖女たちを飛び越えるように、砕けた障壁から人々が飛び出してく。
聖女ジュリアナ・ロックハート、その友人アンジェラ・ステイモス。
三枚目の担当は聖女。
正確にいえば、その爆弾だ。
かつてこの国全域に設置し、国民を人質にした。
この国の歪みが生み出した狂気の沙汰。
聖女制廃止を撤回させる為、国家を相手に行ったテロ行為による恐喝。
教会の中で生まれ育ち、外の世界を知らず。
女神に祈りを捧げる為の装置として造られた聖女に、一人の男……若き聖職者エリック・バーネットが知識と知恵を与えた。
その結果、自信の置かれた立場を理解してしまった聖女は最も効果的方法でそれを覆すことにした。
エリック・バーネットの協力により国内のあらゆる場所に八百の爆弾を仕掛け、いつでも爆破できる状態にした。
爆弾は遠隔操作での起爆はもちろん、爆発の威力の調整や爆破範囲や爆弾自体の移動操作も可能。
そんな、この国の技術力では製造不可能なサイエンス・フィクションの域にある超高性能爆弾を造ったのはリングストンの街にある、とあるふざけた名前の工房。
エリック・バーネットがどのようにして魔女に辿り着いたのかは、服毒自殺してしまった今となっては不明だが。
聖女の爆弾は、奇しくも女神が本来聖女となるべくして生み出した魔女が造ったもの。世界の理から外れた八百の超高性能爆弾は、女神の作り出した障壁にも干渉可能だ。
「ジュリアナっ! お願い!」
「わかっていますよ、アンジェラ」
竜の女王の背から飛び出し崩れながらも着地をしてアンジェラ・ステイモス侯爵令嬢が聖女にそう言うと、聖女は華麗に着地しながらそう返し。
左腕に装着している、爆弾遠隔操作盤で爆弾を操作し障壁に貼り付けていく。
先の作戦会議中から国中に点在していた爆弾を操作して、城へと集合させていた。
国をも滅ぼすその爆弾を障壁に貼り付けていき、爆破方向や出力を装着した操作盤で調整を行う。
八百の爆弾を一つ一つ、爆風の指向性や起爆タイミングを調整する。
そもそも誰より女神を信仰する聖女が、何故こんな神に背くようなことに協力をしているのか。矛盾しているようにも思ったが。
聖女の役目は、民の安寧と幸福を女神に祈ること。
今、女神は世界の崩壊を厭わずグロリア・クーロフォードを世界の外へと連れ去ろうとしている。
世界の崩壊、それは安寧と幸福からはかけ離れたものだ。
だから、聖女はさらに強く安寧と幸福を祈らなくてはならない。
祈りを女神に届けなくてはならない。
目の前には女神、遮る障壁、聖女がやるべきことは一つだ。
矛盾なし、彼女は聖女としての役目を果たそうとしているだけなのだ。
聖女は目を閉じて、頭の中で複雑な計算を行いながら凄まじい速さで爆弾を調整していく。
その間、アンジェラ・ステイモスは聖女に対して祈りを捧げる。
上手くいくように、失敗しないように、ただひたすらに祈る。
無意味。
この部屋にいるほとんど人間が、彼女の行為に懐疑的だが。
思いと想いの重さが事象に影響を及ぼすという理を持つこの世界において、祈りは凄まじい力になる。
この世界において、信仰は本当に力となる。
もしかするとこの国の民は少なからず聖女の祈りによって安寧や幸福を手にしていた可能性すらある。
故に、アンジェラ・ステイモスは親友に向けて思いと想いの重さを用いて成功率を上げようとしている。
冤罪で糾弾され学園追放からの婚約破棄、そんなよくある絶望を聖女のせいにして直接文句を言いに行くほどに追い詰められていたところを。
聖女に救われた、安寧と幸福に導かれた。
彼女が信じるのは聖女の力、彼女以上に聖女へ真摯に祈りを捧げられる人間はこの場にはいない。
聖女の調整は続く。
頭を使いすぎて、鼻血が垂れてきている。
そして。
「ああ、女神よ。この世界に安寧と幸福を、まだこの世界を見捨てるのは早すぎます。本日のところはお引き取り願います」
聖女は目を開き、そう言って全ての爆弾を起爆した。
とてつもない威力の爆発が散らないように、複数の爆弾で爆風に指向性を持たせるように爆発させてその爆発も威力に加わる。
一点集中した爆発は、障壁を割って貫いた。
それを見て。
「素晴らしい。ジュリアナ・ロックハート、私を楽しませてくれますね――」
女神は割れて崩れる障壁の向こう側で、優しい笑顔で。
「――それでは、これはどうでしょう」
そう言った。
同時。
四枚目の障壁の前に、十体の人影が出現する。
勇者の剣を持った、真っ白な魔王。
いうなれば、擬似魔王が十人並んでいた。
そんな更なる脅威に対して。
聖女たちを飛び越えるように、砕けた障壁から人々が飛び出してく。
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