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43・執事、仕事をする。
06気休めにもならない程度。
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「おいおいおいおい、そいつは擬似とはいえ勇者だぜ? 俺にも気づかれずに当たり前みてえに殺すって、坊主おまえこの星の歴史上最も優れた暗殺者だぞ。誇れ、この魔王が素直に誉めている」
魔王はわざとらしく軽薄な口調で俺に言うが。
「……そうか、俺は帰るよ」
俺は淡白に最低限の返しをして、勇者の剣を握ったままのマリシュカ・ネビルの右手を取ろうとすると。
「おっと、剣には触るなよ。おまえは下手したら勇者の資格が有るからな、おまえの技量で完成勇者になられたら星ごと消し飛ばさなきゃなら――」
「――その通りだ! 勇者なんてクソみたいなものはダグラスにでも任せておけ‼ そしておまえは封じるうぅぅぅうう――――ッ‼」
魔王の忠告に被せるようにそう言いながら、超高速で魔王に飛び蹴りをして現れたのは。
リングストン公爵拉致の時にも現れたスペアシェリーだった。
「ぐっ、次から次へと……っ、ニィラは何やってんだあのクソトカゲ……! クズ鉄にしてやらあ‼」
魔王はそう言って、二人とも空に消えていった。
俺はそこからマリシュカ・ネビルの死体を抱えて、忠告通り剣には触らず斬り飛ばした右手を回収し。
マリシュカ・ネビルを運んで植物園の姉の隣に並べて置く。
そして祈っておく。
俺は前世で死ぬちょっと前くらいに聖職者だったことがある。
どうやら神ってのは本当にいるらしいし、人が死んだら生まれ変わるということも知っている。
だから、せめて。
せめてこの姉妹が来世で、少しでもマシに生きられたらと。
俺みたいなやつの祈りが通るとは思えない、というか俺が殺しておいて何やってんだとも思うし。
正直この姉妹のこともなんにも知らねえし、それほど興味もない。
気休めにもならない程度。
でも祈っておいた。
なんとなく、悪いことをした気がした。
このまま何事もなくアビィの元に帰りたくなかった。
アビィに嫌われたくなかっただけなのかもしれない。
さて。
ひとしきり祈って、俺はアビィのいる部屋に戻ったが。
そこにはアビィの学友であるグロリア嬢とモーラ嬢とルーシィ。
さらにボロボロの馬鹿怪人アーチ。
キャロライン嬢とやり合っていた大男が意識を失っていて。
それを膝枕しているスペアシェリーと戦っていた金色大美女。
「……なっ、どういう状況なんだ……?」
「私も今、めっちゃ全力で状況把握に努めてる……」
と、アビィと共に混乱状態になるが。
この後死にかけのキャロライン嬢とアンナ夫人と魔王軍の小娘を担いできたバルカード侯爵家の三男坊と。
続けて現れた、リングストンの美人魔女により。
俺は考えるのを止めて、アビィに任せることにした。
魔王はわざとらしく軽薄な口調で俺に言うが。
「……そうか、俺は帰るよ」
俺は淡白に最低限の返しをして、勇者の剣を握ったままのマリシュカ・ネビルの右手を取ろうとすると。
「おっと、剣には触るなよ。おまえは下手したら勇者の資格が有るからな、おまえの技量で完成勇者になられたら星ごと消し飛ばさなきゃなら――」
「――その通りだ! 勇者なんてクソみたいなものはダグラスにでも任せておけ‼ そしておまえは封じるうぅぅぅうう――――ッ‼」
魔王の忠告に被せるようにそう言いながら、超高速で魔王に飛び蹴りをして現れたのは。
リングストン公爵拉致の時にも現れたスペアシェリーだった。
「ぐっ、次から次へと……っ、ニィラは何やってんだあのクソトカゲ……! クズ鉄にしてやらあ‼」
魔王はそう言って、二人とも空に消えていった。
俺はそこからマリシュカ・ネビルの死体を抱えて、忠告通り剣には触らず斬り飛ばした右手を回収し。
マリシュカ・ネビルを運んで植物園の姉の隣に並べて置く。
そして祈っておく。
俺は前世で死ぬちょっと前くらいに聖職者だったことがある。
どうやら神ってのは本当にいるらしいし、人が死んだら生まれ変わるということも知っている。
だから、せめて。
せめてこの姉妹が来世で、少しでもマシに生きられたらと。
俺みたいなやつの祈りが通るとは思えない、というか俺が殺しておいて何やってんだとも思うし。
正直この姉妹のこともなんにも知らねえし、それほど興味もない。
気休めにもならない程度。
でも祈っておいた。
なんとなく、悪いことをした気がした。
このまま何事もなくアビィの元に帰りたくなかった。
アビィに嫌われたくなかっただけなのかもしれない。
さて。
ひとしきり祈って、俺はアビィのいる部屋に戻ったが。
そこにはアビィの学友であるグロリア嬢とモーラ嬢とルーシィ。
さらにボロボロの馬鹿怪人アーチ。
キャロライン嬢とやり合っていた大男が意識を失っていて。
それを膝枕しているスペアシェリーと戦っていた金色大美女。
「……なっ、どういう状況なんだ……?」
「私も今、めっちゃ全力で状況把握に努めてる……」
と、アビィと共に混乱状態になるが。
この後死にかけのキャロライン嬢とアンナ夫人と魔王軍の小娘を担いできたバルカード侯爵家の三男坊と。
続けて現れた、リングストンの美人魔女により。
俺は考えるのを止めて、アビィに任せることにした。
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