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本編
悪魔のレッスン1
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「じゃあ、始めるか。……俺がリードする方がいいか?それとも、リードしたいのか……?」
誘うような笑みを浮かべながらそう訊いてくる悪魔。
俺の意志をわざわざ訊いてくれるコイツは、きっと悪魔の中でもかなり優しい方なんだろう、と思う。
人間の俺よりも恐らくはかなり強いであろう彼がその気になれば、俺なんてあっという間に喰われて(性的な意味で)しまうだろうに、彼はそうしなかったから。
「……その、じゃあ、リードしたい。下手かもしれないけど、やっぱり初めてでも為すがままとか嫌だから」
俺がそう言うと、悪魔は愉しげに笑う。
「そうか。じゃあ、任せようか。……服は、脱ごうか?お前、こういった服の脱がせ方分かんねぇだろ?」
「そう、だね。じゃあ、脱いで貰っても?えっと、悪魔さん」
名前が分からないのでそう言えば、悪魔はほんの少し不満そうに眉を顰めていた。……山羊に眉があるかどうか謎だけど。何と言うか、そんな表情をしていた。
「なぁ、これから抱き合うのに、それってどーなんだよ?」
「え?」
「名前。教えろよ」
そう言われて、気付く。お互いまだ名前すら名乗っていなかった事に。
「えーと。悪魔に名前教えるのってヤバイのでは?」
「馬ァ鹿。本名じゃなくてもいいんだよ。セックスの最中に呼ばれたい名前で構わねぇから、教えろって。
……味気ねぇだろ、悪魔とか呼ばれんの。俺だって、お前の事人間、って呼ぶの嫌だし」
ほんの少し拗ねたようにそう言う悪魔が、可愛く見えてしまった、だなんて。俺の酔いは随分と激しくなってしまったに違いない。
(全部、酔ってるせいだ……)
「……鈴木、だよ。スズキ。そう呼んで。悪魔さんは?」
本名だけど、フルネームじゃない。そんな微妙なラインで名前を教えると、悪魔は嬉しそうに笑った。
「そうか、スズキか!俺はレンだ。よろしくな、スズキ!」
偉そうなのに、妙に無邪気で可愛くて。何だか、ドキドキした。
(レン……。レンも、偽名なのかな。悪魔も本名知られたらヤバいみたいだし)
俺がそんなことを考えているうちに、レンはそのまま自分のローブに手を伸ばす。俺はジッとその様子を見ている。
まるでおもちゃのように馬鹿デカイルビーが留め具になっていたようで、その一箇所を外すとローブは簡単に脱げて。その下には、仕立ての良いスリーピース。こちらも漆黒で、縁飾りと釦は金だ。
「普段は配下にやって貰ってるから早く脱ぐのは苦手なんだ、ちょっと待ってくれ。この服釦が多くて外すの時間掛かるんだよ」
ほんの少しはにかんだような笑み。山羊がこんなに表情豊かで可愛いだなんて、今まで知らなかった。
(……いや。レンの場合は悪魔だから、か……?何かちょっと偉そうな癖に可愛いとか、反則だろ!)
ローブを脱ぐと、レンの身体が思ったよりも細いことに気付く。細身の体に添うようにピッタリとしたスリーピースも、ローブ同様上質な生地で出来ているのが見て取れる。
(そういえば、魔法陣から出て来た時の手も細くて綺麗だったな……)
抜けるように白い手に、漆黒の爪。爪には何かが金色で描かれていて、夜空で輝く星のようにも見える。その手は、今はシャツのボタンに掛かっていた。
「何だよ、じっと見て。俺様の魅力にやられたか?」
と、レンは俺を揶揄うように言ってくる。既に上半身は裸で。白い肌に、淡い色合いをした胸元。慎ましやかな乳首は、既にツンと立っていた。……男の物だと分かっているのに、思わず喉が鳴った。
「かも、しれない……。何か、ちょっと変な気分に……」
そう答えると、レンは笑う。
「まぁ、確かに上半身は人間と変わらねぇからな。……下は、ちょっと変わってるが、それでも出来るんならたっぷり可愛がってやるよ、スズキ」
まるで抱く側みたいな台詞を口にしながら、レンはズボンに手を掛ける。すると、ぴょこん、と尻尾が現れる。……悪魔の尻尾、だ。伝承通りの、牛のような長い尻尾。それが、フリフリと左右に揺れている。
「……レンの尻尾、何か可愛い」
思った事が、スルリと声になった。
「は!?馬鹿、違ぇよ、俺は格好いいんだ!そこんとこ間違えんなよスズキ!!」
レンはそう言うけど、その尻尾は嬉しそうに揺れていて。本当は嬉しいんじゃないか?と内心思う。
「まぁ、確かにレンの服は格好良かったよ」
そう褒めると、尻尾はより嬉しげに揺れる。
「だろう?アレは俺の偉大さを表せるように、って仕立てた品だからな」
「……偉大な悪魔にしては、言葉使いが庶民っぽいけどね」
「仕方ねぇだろ。お前の供物の酒がショボかったんだから、それなりに対応してるだけだ。それ以前に、この俺が喚ばれて来てやっただけでもありがたいと思え。通常はあり得ねぇんだぞ?悪魔の頂点たるこの俺がたかが人間の庶民に召喚されるなんざ」
レンの言葉に、一瞬固まった。
「はァ!?何、レンってそんな大物だったの!?そりゃ、上位の悪魔だろうなーとは思ってたけどさぁ……!!頂点、って……王様とか、そんなん?」
え、大丈夫なの、俺。そんな大物を抱くとか……後でレンの配下に八つ裂きにされたりしない!?と、不安なままそう訊けば。レンは笑いながら俺を抱き締める。俺よりもほんの少しだけ細い身体。
「んな事気にすんなよ。合意の上なんだから。これが無理矢理とかだったら、そりゃヤバイだろうけど……この俺を無理矢理抱けるのなんて、人間の中には居ねぇから安心しろよ、スズキ」
耳元でそう囁かれて、ゾクリ、とした。さっきから漂ってくるレンの甘い香りと、身体の芯まで熱くさせるような甘い声。それだけで、恥ずかしいくらい興奮してしまって。気付いたら俺はレンをその場に押し倒していた。
誘うような笑みを浮かべながらそう訊いてくる悪魔。
俺の意志をわざわざ訊いてくれるコイツは、きっと悪魔の中でもかなり優しい方なんだろう、と思う。
人間の俺よりも恐らくはかなり強いであろう彼がその気になれば、俺なんてあっという間に喰われて(性的な意味で)しまうだろうに、彼はそうしなかったから。
「……その、じゃあ、リードしたい。下手かもしれないけど、やっぱり初めてでも為すがままとか嫌だから」
俺がそう言うと、悪魔は愉しげに笑う。
「そうか。じゃあ、任せようか。……服は、脱ごうか?お前、こういった服の脱がせ方分かんねぇだろ?」
「そう、だね。じゃあ、脱いで貰っても?えっと、悪魔さん」
名前が分からないのでそう言えば、悪魔はほんの少し不満そうに眉を顰めていた。……山羊に眉があるかどうか謎だけど。何と言うか、そんな表情をしていた。
「なぁ、これから抱き合うのに、それってどーなんだよ?」
「え?」
「名前。教えろよ」
そう言われて、気付く。お互いまだ名前すら名乗っていなかった事に。
「えーと。悪魔に名前教えるのってヤバイのでは?」
「馬ァ鹿。本名じゃなくてもいいんだよ。セックスの最中に呼ばれたい名前で構わねぇから、教えろって。
……味気ねぇだろ、悪魔とか呼ばれんの。俺だって、お前の事人間、って呼ぶの嫌だし」
ほんの少し拗ねたようにそう言う悪魔が、可愛く見えてしまった、だなんて。俺の酔いは随分と激しくなってしまったに違いない。
(全部、酔ってるせいだ……)
「……鈴木、だよ。スズキ。そう呼んで。悪魔さんは?」
本名だけど、フルネームじゃない。そんな微妙なラインで名前を教えると、悪魔は嬉しそうに笑った。
「そうか、スズキか!俺はレンだ。よろしくな、スズキ!」
偉そうなのに、妙に無邪気で可愛くて。何だか、ドキドキした。
(レン……。レンも、偽名なのかな。悪魔も本名知られたらヤバいみたいだし)
俺がそんなことを考えているうちに、レンはそのまま自分のローブに手を伸ばす。俺はジッとその様子を見ている。
まるでおもちゃのように馬鹿デカイルビーが留め具になっていたようで、その一箇所を外すとローブは簡単に脱げて。その下には、仕立ての良いスリーピース。こちらも漆黒で、縁飾りと釦は金だ。
「普段は配下にやって貰ってるから早く脱ぐのは苦手なんだ、ちょっと待ってくれ。この服釦が多くて外すの時間掛かるんだよ」
ほんの少しはにかんだような笑み。山羊がこんなに表情豊かで可愛いだなんて、今まで知らなかった。
(……いや。レンの場合は悪魔だから、か……?何かちょっと偉そうな癖に可愛いとか、反則だろ!)
ローブを脱ぐと、レンの身体が思ったよりも細いことに気付く。細身の体に添うようにピッタリとしたスリーピースも、ローブ同様上質な生地で出来ているのが見て取れる。
(そういえば、魔法陣から出て来た時の手も細くて綺麗だったな……)
抜けるように白い手に、漆黒の爪。爪には何かが金色で描かれていて、夜空で輝く星のようにも見える。その手は、今はシャツのボタンに掛かっていた。
「何だよ、じっと見て。俺様の魅力にやられたか?」
と、レンは俺を揶揄うように言ってくる。既に上半身は裸で。白い肌に、淡い色合いをした胸元。慎ましやかな乳首は、既にツンと立っていた。……男の物だと分かっているのに、思わず喉が鳴った。
「かも、しれない……。何か、ちょっと変な気分に……」
そう答えると、レンは笑う。
「まぁ、確かに上半身は人間と変わらねぇからな。……下は、ちょっと変わってるが、それでも出来るんならたっぷり可愛がってやるよ、スズキ」
まるで抱く側みたいな台詞を口にしながら、レンはズボンに手を掛ける。すると、ぴょこん、と尻尾が現れる。……悪魔の尻尾、だ。伝承通りの、牛のような長い尻尾。それが、フリフリと左右に揺れている。
「……レンの尻尾、何か可愛い」
思った事が、スルリと声になった。
「は!?馬鹿、違ぇよ、俺は格好いいんだ!そこんとこ間違えんなよスズキ!!」
レンはそう言うけど、その尻尾は嬉しそうに揺れていて。本当は嬉しいんじゃないか?と内心思う。
「まぁ、確かにレンの服は格好良かったよ」
そう褒めると、尻尾はより嬉しげに揺れる。
「だろう?アレは俺の偉大さを表せるように、って仕立てた品だからな」
「……偉大な悪魔にしては、言葉使いが庶民っぽいけどね」
「仕方ねぇだろ。お前の供物の酒がショボかったんだから、それなりに対応してるだけだ。それ以前に、この俺が喚ばれて来てやっただけでもありがたいと思え。通常はあり得ねぇんだぞ?悪魔の頂点たるこの俺がたかが人間の庶民に召喚されるなんざ」
レンの言葉に、一瞬固まった。
「はァ!?何、レンってそんな大物だったの!?そりゃ、上位の悪魔だろうなーとは思ってたけどさぁ……!!頂点、って……王様とか、そんなん?」
え、大丈夫なの、俺。そんな大物を抱くとか……後でレンの配下に八つ裂きにされたりしない!?と、不安なままそう訊けば。レンは笑いながら俺を抱き締める。俺よりもほんの少しだけ細い身体。
「んな事気にすんなよ。合意の上なんだから。これが無理矢理とかだったら、そりゃヤバイだろうけど……この俺を無理矢理抱けるのなんて、人間の中には居ねぇから安心しろよ、スズキ」
耳元でそう囁かれて、ゾクリ、とした。さっきから漂ってくるレンの甘い香りと、身体の芯まで熱くさせるような甘い声。それだけで、恥ずかしいくらい興奮してしまって。気付いたら俺はレンをその場に押し倒していた。
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