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第四章 魔晶石採掘師シルヴィ
4-7 小さな第二弾
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次なる第二弾を放つための表向きの準備として、研修生全員と食堂で食事をしている会員から任意の献血をお願いしました。
献血と言っても微量ですよ。
針の先で指先を突いて、ぷくっと出て来る血液をプレパラート用のガラス片に擦るだけです。
プレパラート用のガラス片は私がそこらの土塊から成分を抽出して透明なガラス板を作りました。
だって、この世界には無いようですから仕方がないですよね。
終わったら軽いヒールをかけて小さな傷を治します。
珍しいからか、結構多くの人が協力をしてくれました。
まぁ、実際のところは、既に会員全員(およそ350名)の血液を秘密裏に頂いていますので、必要は無いのですが、第二段を放つための説明用に血液を採取したという事実が欲しかったわけです。
協力していただいた人員は研修生以外では48人、研修生が私を入れても10名しかいないので研修生との比較対象としては十分な数でしょう。
欲を言えば公都に行って普通の住民からも採血して比較するのが一番なのですが、流石にそれはできませんでした。
因みに秘密裏に一般市民の方百名以上の方々からもサンプルを頂いていますよ。
勿論、ご本人の同意は得ておりません。テヘッ。
このような社会において、ツアイス症候群の事を秘密にしたまま、周辺住民から血液採取の協力を得ることは非常に難しいのです。 この世界では献血はもちろんのこと血液を採取するなんてことはしないんです。
前世の歴史では、中世ヨーロッパで瀉血という怪しげな医術がある種の病に有効と信じられていましたが、こちらの世界には治癒魔法があるので、そもそもそんな方法は生まれなかったようです。
もちろん輸血もありません。
ラノベでよく出てくる冒険者ギルド等に加盟する際に血を一滴たらすという様な手続きも残念ながら無いようなのです。
詳しいことは秘匿されているので不明ですが、個人特定には個人が持つ魔力を使っているようですね。
因みにギルドは他のギルドに対してこのツアイス症候群の秘密を完全に秘匿しています。
但し、あの大食漢のような異常性から他のギルドでも何らかの異常性には気づいているのじゃないかと私は見ています。
魔晶石ギルドと雖も、完全な閉鎖社会ではありませんから、秘密を守ることは結構難しいのです。
晩秋月30日(緑曜日)、事務部の「私」担当になっているユリアさんをまず動かしてと思っていたのですが、ユリアさんに動いてもらうための説明と説得は、朝食後すぐに始めたのに昼食直前までかかりましたよ。
ユリアさん、結構一途で既成概念に凝り固まっている上に頑固でした。
おまけにおつむもよろしいようで、私の主張の弱点を突いてきました。
私の論法は、飲料水に含まれる不純物であるUTMを取り除くために浄水器の設置をお願いするものです。
でもユリアさん、ツアイス症候群との関連性を持ち出して来て、当該UTMが不老化とかかわりあるものならば除去するのは難しいだろうというのです。
ユリアさんの頭の中では、ツアイス症候群の症状の全てが一つの原因に帰するものと考えているようです。
そうして、私は自らの実験と召喚精霊であるアスールの指摘で、UTMは単に人の健康に害をなすものである(尤も過食でも体形を保てるという点では利点かも?)という判断をしているのですけれど、まぁ、一群の症状としてみた場合、そういう主張も成り立つわけです。
私の方は、それに対してヒラトップの秘密工房での実験結果と、召喚精霊アスールの存在を公表できないという立場にあるので反論が難しいのです。
それでも何とか、飲料水に含まれるUTMについての研究を始めてもらうことを折り合い処として合意がなされました。
結果として、初冬月3日(土曜日)に関係各部の代表を集めてもらい、UTMについての調査研究のための会合を開くことになりました。
会合の結果如何では調査研究が幹部会に上申されることになりますが、会議ではUTMの弊害の有無についてかなり紛糾しました。
やっぱり会員のほとんどに飲料水は安全なものだという既成概念があるのです。
実際のところ、この地に来て不老化が発生したわけですので、過去の治癒班等での調査により他の地域では不老化は発生していないことから、もしかするとこのUTMなるものが不老化の原因ではないかという話も飛び出ました。
但し、飲み続ける限り老化は進まない筈なのに、ツアイス症候群が発症すると一気に老化が進むことの説明がつかないことについては皆さん言葉を濁しました。
一方で公都の住民はUTMが含まれていない飲料水で死亡していないのだから少なくともUTMを取り除いても人が死ぬことはあり得ないことは納得してもらいました。
不老に影響があるかないかを調べるのは別の方法でするしかないのです。
最終的には、今期の研修生にUTMを取り除いた飲料水を与えてその経過を見るのが一番の方法ですが、取り敢えずは、動物実験を施設内で公認してもらうことなのです。
問題は、これまでのデータ分析からみると、顕著な不老化が始まるのには数年かかるようなのです。
治癒班の記録で見る限り、会員のほとんどは十代後半から二十代前半にみえる者が多く、会員になってから凡そ40年程で二十代後半(地球で言うと30代)の風貌になるようなのです。
従って不老化というよりは老化の遅延というのが正しいのでしょう。
あくまで信憑性の低い情報ながら、類魔法師ギルドでは、魔晶石ギルドの不老化について若干の疑念を持ってはいるようなのですが、直接的な探りは行っていないようです。
私たち今期の研修生で言えば、現状の10代そこそこの年齢から5年ほどすれば多少の老化が進展するのですが、そこからは進度が非常に遅くなるという状況のようです。
この辺は図書室のデータでわかっているのです。
二百数十年前にギルド本部建設地をここに決めた際、先人が色々と試行錯誤しながら本部を造ったわけですが、飲料水の確保については死活に関わることとして当時の最高の知恵を持って飲料水の可否を判断したのだとか・・・。
その関連ファイルは確かに図書室にありますが、自画自賛の塊みたいなもので、私の見た限りでは科学的に見て十分なものとは言えないでしょうね。
現実に飲料水に含まれるUTMの存在に全く気付いていないのだし、その後は飲料水に注意を向ける人が誰も居なかったみたい。
「過去の一時点で誰かが検査を行った」というその一事を以て、飲料水は未来永劫安全だとするのは本来おかしいのです。
そうは言いながらも、私自身が飲料水に含まれるUTMがツアイス症候群に関連する重要なファクターであると睨んでいるだけで、それを証明する証拠を提示できません。
ですから、一応浄水器でUTMが除去できることを説明はしましたが、『何故に手間暇をかけて浄水器なるものを設置しなければならんのだ』という現状保全を良しとする保護主義的な方々の意見が多く浄水器の常設は見送られました。
それでも、事務部副部長さんが新たに開発した浄水器が不純物の除去についても有効であり、それだけでも利用価値はあるだろうと指摘した上で、当該浄水器のフィルター自体も白の魔晶石の粉末を使う等経済的にも有利なことから、私が自作した浄水器の有用性について一応は認めてくれた上で、UTMが有害か無害かを判定するための調査研究をすることは意義があると私の提案を強く推してくれたのでした。
先週27日の銀曜日に公都に出向いて市内四か所の水源から飲料水のサンプルを取得して、ギルドで使用されている飲料水との比較材料とした事が有利に働いたようです。
また、私がこのために特別に開発した魔石利用の魔道顕微鏡でUTMの映像を目視できるようにしたことにより、UTMの存在が確認されたこと、一方で、公都で採水された飲料水にはUTMがいずれも発見できなかったことから、ギルド本部で使っている飲料水へ何らかの疑惑があることだけは立証できたからなのです。
そうしてまた、私が作った魔道顕微鏡を提供して、治癒班で会員の血液の解析を行ってもらうことにまで漕ぎつけました。
採血はほんの一滴だけで済む検査方法であり、小さな針で指先を傷つけ、その一滴からプレパラートを造るだけなのです。
私の造った魔道顕微鏡では、大食漢の原因であろうUMAをも確認できるようにしています。
このため、少なくとも今期の研修生にはUMAが見当たらないのに、昨年度の研修生及び現役採掘師等の会員にはUMAが存在することが確認されるはずなのです。
このことはツアイス症候群への研究に向けての大きな一歩ではあるけれど、そこから先への進展はかなり難しいのです。
また私が行っているモルモットを使った実験の成果については、現時点では全く公表できませんので、ツアイス症候群についての原因がもう少し煮詰まるまでは内緒にしておくつもりです。
ほぼ半日以上を費やした会議でしたが、有意義な結果を得ることができたと思います。
関係者の意識を少なくとも次の二つに向けることができたからです。
一つは、飲料水の中のUTMがツアイス症候群と何らかの関連性があるかも知れず、UTMを取り除く方法があること。
今一つは、会員には血液中にUMAが存在すること。
この認識が生じるにあたって、魔導顕微鏡で実際にUTMとUMAを確認してもらったことと、今期の研修生と会員有志の方の指先から血液採取ができたことが一番の決定打だったような気がします。
その後開催された幹部クラスの会議でUTM及びUMAの調査研究を開始することが正式に決まり、提案者の私もその調査研究チームの一員に加えてもらえました。
いずれ、体内に取り込まれたUTMが、UMAに変化する過程が検証されるでしょうし、UTM及びUMAが大食漢に関わるものであり、心臓石化には無関係であることも立証されると思います。
そうなれば、いずれは、UTMを除去するための浄水器を設置することになると思われます。
私の方は、ついでに浄水器のフィルター製造のために必要な素材として、B121区内にあったマーブル状露出鉱床から剥離細片の魔晶石を採掘し、各色混合のまま粉末状にしたものを試験的に納品しています。
これらの剥離細片は非常に小さいので人の音声には反応しませんが、魔法を当てれば変化してしまいますので保管には注意が必要です。
これを使って浄水器のフィルターを製品開発部で製造することができる筈なのです。
使い道のないクズ鉱床にも利用価値が出てきました。
まぁ、これまでクズと判断されていましたし、納品しても値段が安いですからね、採掘師が採掘してくれるかどうかは不明ですが、少なくとも「白」であれ、「バラ」であれ、その切りくずでも粉末状にすれば利用できることになりますからね。
製品開発部でもこの件で刺激を受けて、粉末状にした魔晶石の利用方法について種々の検討を始めているようです。
これまでは「白」や「バラ」の切りくずは殆どが利用価値のないものとして、施設内に掘られた大きな穴の処理場に捨てられていましたから、再利用ができればエコにとっては良いことですよね。
献血と言っても微量ですよ。
針の先で指先を突いて、ぷくっと出て来る血液をプレパラート用のガラス片に擦るだけです。
プレパラート用のガラス片は私がそこらの土塊から成分を抽出して透明なガラス板を作りました。
だって、この世界には無いようですから仕方がないですよね。
終わったら軽いヒールをかけて小さな傷を治します。
珍しいからか、結構多くの人が協力をしてくれました。
まぁ、実際のところは、既に会員全員(およそ350名)の血液を秘密裏に頂いていますので、必要は無いのですが、第二段を放つための説明用に血液を採取したという事実が欲しかったわけです。
協力していただいた人員は研修生以外では48人、研修生が私を入れても10名しかいないので研修生との比較対象としては十分な数でしょう。
欲を言えば公都に行って普通の住民からも採血して比較するのが一番なのですが、流石にそれはできませんでした。
因みに秘密裏に一般市民の方百名以上の方々からもサンプルを頂いていますよ。
勿論、ご本人の同意は得ておりません。テヘッ。
このような社会において、ツアイス症候群の事を秘密にしたまま、周辺住民から血液採取の協力を得ることは非常に難しいのです。 この世界では献血はもちろんのこと血液を採取するなんてことはしないんです。
前世の歴史では、中世ヨーロッパで瀉血という怪しげな医術がある種の病に有効と信じられていましたが、こちらの世界には治癒魔法があるので、そもそもそんな方法は生まれなかったようです。
もちろん輸血もありません。
ラノベでよく出てくる冒険者ギルド等に加盟する際に血を一滴たらすという様な手続きも残念ながら無いようなのです。
詳しいことは秘匿されているので不明ですが、個人特定には個人が持つ魔力を使っているようですね。
因みにギルドは他のギルドに対してこのツアイス症候群の秘密を完全に秘匿しています。
但し、あの大食漢のような異常性から他のギルドでも何らかの異常性には気づいているのじゃないかと私は見ています。
魔晶石ギルドと雖も、完全な閉鎖社会ではありませんから、秘密を守ることは結構難しいのです。
晩秋月30日(緑曜日)、事務部の「私」担当になっているユリアさんをまず動かしてと思っていたのですが、ユリアさんに動いてもらうための説明と説得は、朝食後すぐに始めたのに昼食直前までかかりましたよ。
ユリアさん、結構一途で既成概念に凝り固まっている上に頑固でした。
おまけにおつむもよろしいようで、私の主張の弱点を突いてきました。
私の論法は、飲料水に含まれる不純物であるUTMを取り除くために浄水器の設置をお願いするものです。
でもユリアさん、ツアイス症候群との関連性を持ち出して来て、当該UTMが不老化とかかわりあるものならば除去するのは難しいだろうというのです。
ユリアさんの頭の中では、ツアイス症候群の症状の全てが一つの原因に帰するものと考えているようです。
そうして、私は自らの実験と召喚精霊であるアスールの指摘で、UTMは単に人の健康に害をなすものである(尤も過食でも体形を保てるという点では利点かも?)という判断をしているのですけれど、まぁ、一群の症状としてみた場合、そういう主張も成り立つわけです。
私の方は、それに対してヒラトップの秘密工房での実験結果と、召喚精霊アスールの存在を公表できないという立場にあるので反論が難しいのです。
それでも何とか、飲料水に含まれるUTMについての研究を始めてもらうことを折り合い処として合意がなされました。
結果として、初冬月3日(土曜日)に関係各部の代表を集めてもらい、UTMについての調査研究のための会合を開くことになりました。
会合の結果如何では調査研究が幹部会に上申されることになりますが、会議ではUTMの弊害の有無についてかなり紛糾しました。
やっぱり会員のほとんどに飲料水は安全なものだという既成概念があるのです。
実際のところ、この地に来て不老化が発生したわけですので、過去の治癒班等での調査により他の地域では不老化は発生していないことから、もしかするとこのUTMなるものが不老化の原因ではないかという話も飛び出ました。
但し、飲み続ける限り老化は進まない筈なのに、ツアイス症候群が発症すると一気に老化が進むことの説明がつかないことについては皆さん言葉を濁しました。
一方で公都の住民はUTMが含まれていない飲料水で死亡していないのだから少なくともUTMを取り除いても人が死ぬことはあり得ないことは納得してもらいました。
不老に影響があるかないかを調べるのは別の方法でするしかないのです。
最終的には、今期の研修生にUTMを取り除いた飲料水を与えてその経過を見るのが一番の方法ですが、取り敢えずは、動物実験を施設内で公認してもらうことなのです。
問題は、これまでのデータ分析からみると、顕著な不老化が始まるのには数年かかるようなのです。
治癒班の記録で見る限り、会員のほとんどは十代後半から二十代前半にみえる者が多く、会員になってから凡そ40年程で二十代後半(地球で言うと30代)の風貌になるようなのです。
従って不老化というよりは老化の遅延というのが正しいのでしょう。
あくまで信憑性の低い情報ながら、類魔法師ギルドでは、魔晶石ギルドの不老化について若干の疑念を持ってはいるようなのですが、直接的な探りは行っていないようです。
私たち今期の研修生で言えば、現状の10代そこそこの年齢から5年ほどすれば多少の老化が進展するのですが、そこからは進度が非常に遅くなるという状況のようです。
この辺は図書室のデータでわかっているのです。
二百数十年前にギルド本部建設地をここに決めた際、先人が色々と試行錯誤しながら本部を造ったわけですが、飲料水の確保については死活に関わることとして当時の最高の知恵を持って飲料水の可否を判断したのだとか・・・。
その関連ファイルは確かに図書室にありますが、自画自賛の塊みたいなもので、私の見た限りでは科学的に見て十分なものとは言えないでしょうね。
現実に飲料水に含まれるUTMの存在に全く気付いていないのだし、その後は飲料水に注意を向ける人が誰も居なかったみたい。
「過去の一時点で誰かが検査を行った」というその一事を以て、飲料水は未来永劫安全だとするのは本来おかしいのです。
そうは言いながらも、私自身が飲料水に含まれるUTMがツアイス症候群に関連する重要なファクターであると睨んでいるだけで、それを証明する証拠を提示できません。
ですから、一応浄水器でUTMが除去できることを説明はしましたが、『何故に手間暇をかけて浄水器なるものを設置しなければならんのだ』という現状保全を良しとする保護主義的な方々の意見が多く浄水器の常設は見送られました。
それでも、事務部副部長さんが新たに開発した浄水器が不純物の除去についても有効であり、それだけでも利用価値はあるだろうと指摘した上で、当該浄水器のフィルター自体も白の魔晶石の粉末を使う等経済的にも有利なことから、私が自作した浄水器の有用性について一応は認めてくれた上で、UTMが有害か無害かを判定するための調査研究をすることは意義があると私の提案を強く推してくれたのでした。
先週27日の銀曜日に公都に出向いて市内四か所の水源から飲料水のサンプルを取得して、ギルドで使用されている飲料水との比較材料とした事が有利に働いたようです。
また、私がこのために特別に開発した魔石利用の魔道顕微鏡でUTMの映像を目視できるようにしたことにより、UTMの存在が確認されたこと、一方で、公都で採水された飲料水にはUTMがいずれも発見できなかったことから、ギルド本部で使っている飲料水へ何らかの疑惑があることだけは立証できたからなのです。
そうしてまた、私が作った魔道顕微鏡を提供して、治癒班で会員の血液の解析を行ってもらうことにまで漕ぎつけました。
採血はほんの一滴だけで済む検査方法であり、小さな針で指先を傷つけ、その一滴からプレパラートを造るだけなのです。
私の造った魔道顕微鏡では、大食漢の原因であろうUMAをも確認できるようにしています。
このため、少なくとも今期の研修生にはUMAが見当たらないのに、昨年度の研修生及び現役採掘師等の会員にはUMAが存在することが確認されるはずなのです。
このことはツアイス症候群への研究に向けての大きな一歩ではあるけれど、そこから先への進展はかなり難しいのです。
また私が行っているモルモットを使った実験の成果については、現時点では全く公表できませんので、ツアイス症候群についての原因がもう少し煮詰まるまでは内緒にしておくつもりです。
ほぼ半日以上を費やした会議でしたが、有意義な結果を得ることができたと思います。
関係者の意識を少なくとも次の二つに向けることができたからです。
一つは、飲料水の中のUTMがツアイス症候群と何らかの関連性があるかも知れず、UTMを取り除く方法があること。
今一つは、会員には血液中にUMAが存在すること。
この認識が生じるにあたって、魔導顕微鏡で実際にUTMとUMAを確認してもらったことと、今期の研修生と会員有志の方の指先から血液採取ができたことが一番の決定打だったような気がします。
その後開催された幹部クラスの会議でUTM及びUMAの調査研究を開始することが正式に決まり、提案者の私もその調査研究チームの一員に加えてもらえました。
いずれ、体内に取り込まれたUTMが、UMAに変化する過程が検証されるでしょうし、UTM及びUMAが大食漢に関わるものであり、心臓石化には無関係であることも立証されると思います。
そうなれば、いずれは、UTMを除去するための浄水器を設置することになると思われます。
私の方は、ついでに浄水器のフィルター製造のために必要な素材として、B121区内にあったマーブル状露出鉱床から剥離細片の魔晶石を採掘し、各色混合のまま粉末状にしたものを試験的に納品しています。
これらの剥離細片は非常に小さいので人の音声には反応しませんが、魔法を当てれば変化してしまいますので保管には注意が必要です。
これを使って浄水器のフィルターを製品開発部で製造することができる筈なのです。
使い道のないクズ鉱床にも利用価値が出てきました。
まぁ、これまでクズと判断されていましたし、納品しても値段が安いですからね、採掘師が採掘してくれるかどうかは不明ですが、少なくとも「白」であれ、「バラ」であれ、その切りくずでも粉末状にすれば利用できることになりますからね。
製品開発部でもこの件で刺激を受けて、粉末状にした魔晶石の利用方法について種々の検討を始めているようです。
これまでは「白」や「バラ」の切りくずは殆どが利用価値のないものとして、施設内に掘られた大きな穴の処理場に捨てられていましたから、再利用ができればエコにとっては良いことですよね。
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