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三章-長崎・ベースメント-
23『トネリコの3人』
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サクラ、コマチ、アオイの3人と出会した…テフナと葵は車に揺られている…
その車の運転手はサクラが勤め…助手席にはテフナが座り、後部座席にコマチとアオイに挟まれる形で、葵が座っている。
「それじゃあ…こしあん派?粒あん派?…せぇの!」
アオイが幼い頃にそっくりな葵に対して問い掛ける。
「こしあん派です。」
「本当に?私もこしあん派だよ。」
葵の答えに対して、アオイが驚く…その様をコマチが見ている。
「そうか…では、このこしあんが挟まれたシベリアを上げよう。」
手にしていた菓子シベリアに名残惜しそうな表情を見せた後に、コマチが差し出す。
「いえ、さっき昼食を食べたばかりなので大丈夫です…シベリアを勧めてくれる下りなんか既視感がありますね。」
葵が思わず、微笑む。
「えっと…コマチさんは天丼だと、どの具材がお好きですか?」
バックミラー越しにコマチと視線が合った、テフナが質問する。
「うむ、そうだな…南花が作った天丼で、なおかつアオイの丼に乗った海老だな。」
考える素振りを見せたコマチは、アオイと葵の順番で見ながらにやける。
「コマチ、この日本には、食べ物の恨みは怖いっていう言葉があるんだよ。」
アオイの鋭い語気に、葵も間髪入れずに頷く。
「ふっふふ…本当にそっくりなんだから…」
車のハンドルを握りながら、サクラも微笑む。
「そのサクラさん達は、南花様のご友人なのですか?」
テフナが恐る恐る質問する。
「そうね、10代の頃からの親友で…」
先ず隣の運転席にすわるサクラが答える。
「そうだな、一緒に異邦から日本まで旅をしてきたな。」
コマチがシベリアを食べる合間に応じる。
「うん、南花さんとアリサさんとは何度も背中を預け合って、死線を乗り越えてきた関係だよ。」
アオイが続けざまに補足説明する。
「それなら…藤原博士とも友達なのですか?」
葵が追及する。
「そうだな、ユキノ姉さんとも付き合いは長いぞ。」
コマチが答える。
「さっき、長旅とは言ったけど…南花にとっては、先祖の地への帰国という表現が合うかな…それに…」
サクラが昔を思い出す様に語り出す。
「アリサは、平家へ…ユキノ姉さんは藤原家に嫁ぐ事になったけど…私達は昔のままね…」
どこか悲しげに溢したサクラが首もとのチョーカーに左手を当てる様を、隣で見ていたテフナの視線は自然と胸元にある十字架にも向く。
そして、車は目的地に着いたのか減速し、静止する。
「続きはこの中で話すよ…」
アオイの言葉に促される様に正面を向いた、テフナと葵の眼前には人気がなく古びた教会が佇んでいた…
その車の運転手はサクラが勤め…助手席にはテフナが座り、後部座席にコマチとアオイに挟まれる形で、葵が座っている。
「それじゃあ…こしあん派?粒あん派?…せぇの!」
アオイが幼い頃にそっくりな葵に対して問い掛ける。
「こしあん派です。」
「本当に?私もこしあん派だよ。」
葵の答えに対して、アオイが驚く…その様をコマチが見ている。
「そうか…では、このこしあんが挟まれたシベリアを上げよう。」
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「いえ、さっき昼食を食べたばかりなので大丈夫です…シベリアを勧めてくれる下りなんか既視感がありますね。」
葵が思わず、微笑む。
「えっと…コマチさんは天丼だと、どの具材がお好きですか?」
バックミラー越しにコマチと視線が合った、テフナが質問する。
「うむ、そうだな…南花が作った天丼で、なおかつアオイの丼に乗った海老だな。」
考える素振りを見せたコマチは、アオイと葵の順番で見ながらにやける。
「コマチ、この日本には、食べ物の恨みは怖いっていう言葉があるんだよ。」
アオイの鋭い語気に、葵も間髪入れずに頷く。
「ふっふふ…本当にそっくりなんだから…」
車のハンドルを握りながら、サクラも微笑む。
「そのサクラさん達は、南花様のご友人なのですか?」
テフナが恐る恐る質問する。
「そうね、10代の頃からの親友で…」
先ず隣の運転席にすわるサクラが答える。
「そうだな、一緒に異邦から日本まで旅をしてきたな。」
コマチがシベリアを食べる合間に応じる。
「うん、南花さんとアリサさんとは何度も背中を預け合って、死線を乗り越えてきた関係だよ。」
アオイが続けざまに補足説明する。
「それなら…藤原博士とも友達なのですか?」
葵が追及する。
「そうだな、ユキノ姉さんとも付き合いは長いぞ。」
コマチが答える。
「さっき、長旅とは言ったけど…南花にとっては、先祖の地への帰国という表現が合うかな…それに…」
サクラが昔を思い出す様に語り出す。
「アリサは、平家へ…ユキノ姉さんは藤原家に嫁ぐ事になったけど…私達は昔のままね…」
どこか悲しげに溢したサクラが首もとのチョーカーに左手を当てる様を、隣で見ていたテフナの視線は自然と胸元にある十字架にも向く。
そして、車は目的地に着いたのか減速し、静止する。
「続きはこの中で話すよ…」
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