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葛藤のロラン
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【 ロランの視点 】
僕はシャルロットを愛している。
家族として、女の子として。
だが、我が家のキングである父アレクサンドル・キャロンは僕と兄上にシャルロットを妻や恋人にすることを禁じた。“似過ぎている”せいだ。
我が国では従姉弟の婚姻を禁じてはいないが容姿が似ていると社会的に差別を受けがちだ。特に兄上、僕、シャルロットは双子と言ってもおかしくない程似ている。
兄上はシャルを溺愛する妹か娘のように扱う。
僕はどうしても異性として意識してしまい それができない。
シャルがキャロン邸に移り住んだ。益々女に成長していく。すっかり身長差がついたので 僕を見上げる目は自然と上目遣いになるし、昔のように抱き付かれるとドクンと鼓動が大きくなる。こんな音を悟られまいと 離れろと言うが、反抗期とか思春期くらいにしか思われていない。
育った柔らかい胸を押し付けられるたびに、彼女の香りに、柔らかい髪に、笑顔にどれだけ揺さぶられるか。
同じ顔だというが同じと思ったことはない。
こんなに可愛くて輝いているシャルと僕では釣り合わないのではと思うほどだ。
発散とシャルを守るために武術を習ってきた。正直父上を見ても兄上を見ても細身だから僕も期待はできない。それでも、体格のいい相手に負けないように元近衛騎士を師匠と呼び教えを乞うた。
いつまでもシャルを諦めない男 セドリック。
王族でなければとっくに始末していた。
「あ、殿下が2年生とあたったわ。ジャン•スロワ…男爵家?
スロワ様ぁ~!頑張って~!!」
「バカ!違う虫が付く!」
セドリックの相手の男はシャルを見た。ここからでも顔が赤いのが分かる。
「ロラン!シャルロットに余計なことをさせるな!」
セドリックは かまえていた剣を降ろして僕を指差した。
そこは同意見だよ。
「シャル。僕が怒られるから止めてくれ」
「分かったわ。私のロランを怒るなんて。後で抓ってやらないと」
「ご褒美だと勘違いするからそれも止めて」
「やっぱり変態なのね」
怒った顔も可愛い。
強い…
〈勝者 セドリック殿下!〉
正直少し侮っていた。
勿論 師匠であるルフレ先生ほどではないが体格差を考えると負けるかもしれない。
準々決勝になったとき、後ろから声をかけられた。
「ロラン」
「ルフレ先生」
「殿下と模擬戦をするんだって?」
「……シャル。そこの通路で先生と話をするから席を立たないで」
「分かったわ」
通路に移動してルフレ先生から剣とグローブを受け取った。
「ん~どうしてもやるのか?」
「手遅れですよ」
「殿下も近衛に稽古をつけてもらっているかもしれないとは思ってはいたが武者修行みたいなことをやってるな。
殿下は当然戦士を目指しているわけではないから、そこまでやるとは思わなかった。
余程負けたくない相手がいるのか、守りたい人がいるのか……両方か?」
先生はチラッとシャルロットを見た。
「僕も侮っていました」
「体格差はあるが、殿下は何戦かしているから疲れていることを祈ろう。
対策をしている時間などないから3つだけ。
両者怪我は厳禁。卑怯な真似と怯むことはするな。負けても守れるものがある。それと勝てる見込みがあるとしたら最初の一撃だろう。フェイントを使うとか低く早く攻めるか。
2度目は通じないだろう。目線や踏み込む足先で悟られるなよ」
「僕が戦っている間、シャルロットの側にいてくれませんか」
「ひとりにはできないからな。任せておけ」
ついに決勝になり、セドリックが優勝した。
「ロラン!降りてこい!」
「チッ 私のロランに怪我をさせたら呪い倒してやるわ」
「ハハッ」
シャルの頬にキスをしてから降りた。
「おい、ロラン。あれは必要無いだろう」
「あれは僕らの日常ですよ。シャルが殿下を呪い倒してくれるそうです」
「シャルロットが俺を思ってくれるなら呪いでも構わないさ」
「ロラン~!勝っても負けても膝枕してあげるからね~!」
「バ、バカ!」
「違う意味で負けた気分だよ。引き分けなら膝枕は無しか?」
「さあ、どうでしょう。添い寝かもしれませんね」
〈只今より、セドリック殿下の希望により、ロラン・キャロンとの模擬戦を行います!〉
「怪我でもしたら、シャルは僕の側にいてくれるでしょうね」
「卑怯だぞ」
「冗談ですが、お互い気をつけましょう。
防具で守られた場所以外は攻撃しないと」
「約束だ」
〈両者かまえ! 始め!〉
バツン!!
〈相打ち!〉
仕切り直しを待ちながら次をどうするか必死に考えた。防具を付けているとはいえ、打たれた肩が痛い。早々に決着のつく別の手を考えなければ。
〈待て!〉
そこに待ったをかけたのは騎士団長だった。
降りてくると審判に耳打ちをした。
〈引き分け!!模擬戦は終了!!〉
「……」
団長に助けられた。
「膝枕はお預けだよな?」
「お預けです」
「俺はまだ鍛錬が不足していたようだ」
「これ以上強くなるのは止めてください」
「驚いたぞ、ロラン」
「こちらこそ」
「ロラン~!」
「さて、姫様のご要望にお応えしようか」
「え?」
「シャルロット!!愛してる!!結婚してくれ!!」
「嫌です!!」
「ハハッ。まだ足りないらしい」
……どういうことだ?
いつも大勢の前で断られているのに怒りもしない。
キャロン家が知らない何かがある?
僕はシャルロットを愛している。
家族として、女の子として。
だが、我が家のキングである父アレクサンドル・キャロンは僕と兄上にシャルロットを妻や恋人にすることを禁じた。“似過ぎている”せいだ。
我が国では従姉弟の婚姻を禁じてはいないが容姿が似ていると社会的に差別を受けがちだ。特に兄上、僕、シャルロットは双子と言ってもおかしくない程似ている。
兄上はシャルを溺愛する妹か娘のように扱う。
僕はどうしても異性として意識してしまい それができない。
シャルがキャロン邸に移り住んだ。益々女に成長していく。すっかり身長差がついたので 僕を見上げる目は自然と上目遣いになるし、昔のように抱き付かれるとドクンと鼓動が大きくなる。こんな音を悟られまいと 離れろと言うが、反抗期とか思春期くらいにしか思われていない。
育った柔らかい胸を押し付けられるたびに、彼女の香りに、柔らかい髪に、笑顔にどれだけ揺さぶられるか。
同じ顔だというが同じと思ったことはない。
こんなに可愛くて輝いているシャルと僕では釣り合わないのではと思うほどだ。
発散とシャルを守るために武術を習ってきた。正直父上を見ても兄上を見ても細身だから僕も期待はできない。それでも、体格のいい相手に負けないように元近衛騎士を師匠と呼び教えを乞うた。
いつまでもシャルを諦めない男 セドリック。
王族でなければとっくに始末していた。
「あ、殿下が2年生とあたったわ。ジャン•スロワ…男爵家?
スロワ様ぁ~!頑張って~!!」
「バカ!違う虫が付く!」
セドリックの相手の男はシャルを見た。ここからでも顔が赤いのが分かる。
「ロラン!シャルロットに余計なことをさせるな!」
セドリックは かまえていた剣を降ろして僕を指差した。
そこは同意見だよ。
「シャル。僕が怒られるから止めてくれ」
「分かったわ。私のロランを怒るなんて。後で抓ってやらないと」
「ご褒美だと勘違いするからそれも止めて」
「やっぱり変態なのね」
怒った顔も可愛い。
強い…
〈勝者 セドリック殿下!〉
正直少し侮っていた。
勿論 師匠であるルフレ先生ほどではないが体格差を考えると負けるかもしれない。
準々決勝になったとき、後ろから声をかけられた。
「ロラン」
「ルフレ先生」
「殿下と模擬戦をするんだって?」
「……シャル。そこの通路で先生と話をするから席を立たないで」
「分かったわ」
通路に移動してルフレ先生から剣とグローブを受け取った。
「ん~どうしてもやるのか?」
「手遅れですよ」
「殿下も近衛に稽古をつけてもらっているかもしれないとは思ってはいたが武者修行みたいなことをやってるな。
殿下は当然戦士を目指しているわけではないから、そこまでやるとは思わなかった。
余程負けたくない相手がいるのか、守りたい人がいるのか……両方か?」
先生はチラッとシャルロットを見た。
「僕も侮っていました」
「体格差はあるが、殿下は何戦かしているから疲れていることを祈ろう。
対策をしている時間などないから3つだけ。
両者怪我は厳禁。卑怯な真似と怯むことはするな。負けても守れるものがある。それと勝てる見込みがあるとしたら最初の一撃だろう。フェイントを使うとか低く早く攻めるか。
2度目は通じないだろう。目線や踏み込む足先で悟られるなよ」
「僕が戦っている間、シャルロットの側にいてくれませんか」
「ひとりにはできないからな。任せておけ」
ついに決勝になり、セドリックが優勝した。
「ロラン!降りてこい!」
「チッ 私のロランに怪我をさせたら呪い倒してやるわ」
「ハハッ」
シャルの頬にキスをしてから降りた。
「おい、ロラン。あれは必要無いだろう」
「あれは僕らの日常ですよ。シャルが殿下を呪い倒してくれるそうです」
「シャルロットが俺を思ってくれるなら呪いでも構わないさ」
「ロラン~!勝っても負けても膝枕してあげるからね~!」
「バ、バカ!」
「違う意味で負けた気分だよ。引き分けなら膝枕は無しか?」
「さあ、どうでしょう。添い寝かもしれませんね」
〈只今より、セドリック殿下の希望により、ロラン・キャロンとの模擬戦を行います!〉
「怪我でもしたら、シャルは僕の側にいてくれるでしょうね」
「卑怯だぞ」
「冗談ですが、お互い気をつけましょう。
防具で守られた場所以外は攻撃しないと」
「約束だ」
〈両者かまえ! 始め!〉
バツン!!
〈相打ち!〉
仕切り直しを待ちながら次をどうするか必死に考えた。防具を付けているとはいえ、打たれた肩が痛い。早々に決着のつく別の手を考えなければ。
〈待て!〉
そこに待ったをかけたのは騎士団長だった。
降りてくると審判に耳打ちをした。
〈引き分け!!模擬戦は終了!!〉
「……」
団長に助けられた。
「膝枕はお預けだよな?」
「お預けです」
「俺はまだ鍛錬が不足していたようだ」
「これ以上強くなるのは止めてください」
「驚いたぞ、ロラン」
「こちらこそ」
「ロラン~!」
「さて、姫様のご要望にお応えしようか」
「え?」
「シャルロット!!愛してる!!結婚してくれ!!」
「嫌です!!」
「ハハッ。まだ足りないらしい」
……どういうことだ?
いつも大勢の前で断られているのに怒りもしない。
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