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エヴァンとミーシェ(酔っ払い)
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【 エヴァンの視点 】
ミーシェが顔を真っ赤にして出てきた。
よしよし、ガウンを厚手と言っておいて良かった。
「さあ、食べよう」
「帰る」
「もったいないだろう」
ミーシェは渋々席についた。
「ミーシェ、婚約者選定などしていない。
令嬢に言い寄られても騎士が追い返しているし、王女は廊下で追い返している。
誰とも二人っきりになっていないし相手にもしたくない」
ミーシェが頷くメイドや騎士を見て、目が泳ぎ出した。
「ミーシェの勘違いだと分かったか?」
「でも、学園で聞いたから」
「何処でもいろいろな噂が立つ。
ミーシェなんか人間じゃないという噂があるぞ」
「本当!?」
「本当だ。
次に耳にしたら、鼻水垂らしてるから人間だと教えてやる」
「それはいい……です」
「まだ何かあるのか」
「……お手付き」
「は?」
「お手付きとか閨係とか……」
「この城に閨係はいないし、お手付きなどしない」
「ムラムラして我慢できなくなるんだって」
「人による」
「エヴァンは?」
「無いな」
「何で?」
「ミーシェを思い浮かべて自分で処理してるから」
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!」
「水を飲め」
「ゲホッ、」
「いいかミーシェ。当日王宮に来て支度をして、私のパートナーとして卒業パーティに出る。
そして私はダンスが終わったら跪いてミーシェにプロポーズするから、お前は嬉しそうに“はい”とか、“私も愛してます”とか言って承諾しろ。
その後は流れに任せればいい」
「えっ!?」
「ミーシェ、これ美味いぞ」
ミーシェの口に入れて黙らせた。
「そこでミーシェに頼みがある。
王女がしつこく夜這いをかけにくる。
追い返してはいるが、帰国後にまた縁談を申し込まれたくない。
もうそんな気が起きることのないように叩きのめしたい」
「えっ、私に王女様をボコボコにしろって言うの? 私、処刑されちゃうじゃない」
「そうじゃない。肉体的にではなく精神的にだ。
ミーシェとイチャついている姿を見せて追い払いたい」
「え~」
「頼む!助けてくれ!心底困ってるんだ!」
「分かった」
「多分、一時間もしないうちにやってくる。
ミーシェ、恥ずかしがったり嫌がったりされたら嘘がバレる。積極的に受け入れて演技してくれ」
「……分かった。
あれ?これジュース?」
「果実酒だ。飲んだことないのか?」
「ない。なんか喉が変」
「飲み干す前に気がつくだろう」
「帰ろうかな」
「ジュースに似てて分かり辛かったな。
私が悪かった。違う味もあるぞ。こっちは苺味だ」
グラスに注ぐとグイッと飲み干した。
顔や首が薄くピンクに染まりミーシェがニコニコと機嫌がいい。
「大丈夫か?役割を忘れるなよ」
ニコニコと揺れながら敬礼をするミーシェに不安を覚えたが今更どうしようもない。
こういうの、いいな。
並んで歯を磨いていると、微かな笛の音が聞こえた。
「ミーシェ、王女が部屋を出た!」
口を濯がせ手を引き急いでベッドルームのダブルドアを全開にし、灯りを少し減らさせてメイドを退がらせた。
「えヘヘ~」
「ミーシェ!しっかりしてくれ!頼むよ!
恋人のように振る舞ってくれ」
「ひふぅ~」
「ガウン!ガウンを脱ごう」
ミーシェのガウンを脱がせ、自分の服を脱ぎ下着だけになると薄いガウンを羽織って腰紐は使わなかった。
「ミーシェ、もうすぐ王女が来る」
「おうじょ~きゃはっ」
「何で果実酒なんか飲ませたんだろう」
ミーシェの緊張を解す為だったのに、酔っ払いを作り上げてしまった。
「ああ、神様」
「あそこに顔が見えるぅ~」
ミーシェは天井の角を指さして笑った。
「怖いこと言うな!毎日この部屋で寝るのは私なんだぞ!」
「ん~」
隣の部屋に駆け出し、強めの酒を口に含み、寝室に戻ってミーシェに口移しで飲ませた。
もう、静かにしてもらおうと思った。
「焼けるぅ」
「ミーシェ、王女と結婚は嫌だ!
お前から私を横取りしようとする悪女に見せつけよう。
ほら、膝の上に座って」
また笛の音が僅かに聞こえる。階段を登っている合図だ。
「ミーシェ、膝の上に座って。
今から愛する恋人同士だよ」
「………」
手を少し引くと、ベッドに腰をかけている私に跨り向かい合い、首に腕を回し額と額をくっつけた。
ミーシェの体と私の体はシルク一枚しか隔てるものがなく、胸の柔らかさも体温もしっかり感じ取れた。
膝の上に座るだけが、跨って密着という刺激にすっかりガチガチになった陰茎が下着とミーシェに押さえ付けられて窮屈で少し痛い。
背中に手を回し傾けて体を少し離し、陰茎の向きを整えて、ミーシェの腰を引き戻したが勢いが付き、私の胸に柔らかなミーシェの胸を押し潰す感じになった。
「エヴァン…」
耳の直ぐ近くで甘えるように名前を囁かれ
「いい匂い」
頬や首筋の匂いを嗅ぎながら息が掛かるし唇や頬が当たる。
グイッグイッと胸が押しつけられ、腹に付いた陰茎を押し擦られた。
「ミーシェ、駄目だ。止められなくなる」
匂いを嗅ぐのを止めたミーシェの顔が近過ぎて目を逸らさない。
「エヴァン……んっ」
甘い声に誘われて口付けをした。
唇を離しボーッとするミーシェを見たが感情が読み取れなかった。
「暑い~」
自分から胸元のリボンを解き肩紐をずらした。
「ミーシェ、それは駄目だ」
キィ……
廊下へ繋がる扉が開く音がして目線を向け、再度ミーシェに戻すと腰から上には何も纏っていなかった。
「エヴァン様?」
王女の声が聞こえるがミーシェから目が離せなかった。
ミーシェが顔を真っ赤にして出てきた。
よしよし、ガウンを厚手と言っておいて良かった。
「さあ、食べよう」
「帰る」
「もったいないだろう」
ミーシェは渋々席についた。
「ミーシェ、婚約者選定などしていない。
令嬢に言い寄られても騎士が追い返しているし、王女は廊下で追い返している。
誰とも二人っきりになっていないし相手にもしたくない」
ミーシェが頷くメイドや騎士を見て、目が泳ぎ出した。
「ミーシェの勘違いだと分かったか?」
「でも、学園で聞いたから」
「何処でもいろいろな噂が立つ。
ミーシェなんか人間じゃないという噂があるぞ」
「本当!?」
「本当だ。
次に耳にしたら、鼻水垂らしてるから人間だと教えてやる」
「それはいい……です」
「まだ何かあるのか」
「……お手付き」
「は?」
「お手付きとか閨係とか……」
「この城に閨係はいないし、お手付きなどしない」
「ムラムラして我慢できなくなるんだって」
「人による」
「エヴァンは?」
「無いな」
「何で?」
「ミーシェを思い浮かべて自分で処理してるから」
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!」
「水を飲め」
「ゲホッ、」
「いいかミーシェ。当日王宮に来て支度をして、私のパートナーとして卒業パーティに出る。
そして私はダンスが終わったら跪いてミーシェにプロポーズするから、お前は嬉しそうに“はい”とか、“私も愛してます”とか言って承諾しろ。
その後は流れに任せればいい」
「えっ!?」
「ミーシェ、これ美味いぞ」
ミーシェの口に入れて黙らせた。
「そこでミーシェに頼みがある。
王女がしつこく夜這いをかけにくる。
追い返してはいるが、帰国後にまた縁談を申し込まれたくない。
もうそんな気が起きることのないように叩きのめしたい」
「えっ、私に王女様をボコボコにしろって言うの? 私、処刑されちゃうじゃない」
「そうじゃない。肉体的にではなく精神的にだ。
ミーシェとイチャついている姿を見せて追い払いたい」
「え~」
「頼む!助けてくれ!心底困ってるんだ!」
「分かった」
「多分、一時間もしないうちにやってくる。
ミーシェ、恥ずかしがったり嫌がったりされたら嘘がバレる。積極的に受け入れて演技してくれ」
「……分かった。
あれ?これジュース?」
「果実酒だ。飲んだことないのか?」
「ない。なんか喉が変」
「飲み干す前に気がつくだろう」
「帰ろうかな」
「ジュースに似てて分かり辛かったな。
私が悪かった。違う味もあるぞ。こっちは苺味だ」
グラスに注ぐとグイッと飲み干した。
顔や首が薄くピンクに染まりミーシェがニコニコと機嫌がいい。
「大丈夫か?役割を忘れるなよ」
ニコニコと揺れながら敬礼をするミーシェに不安を覚えたが今更どうしようもない。
こういうの、いいな。
並んで歯を磨いていると、微かな笛の音が聞こえた。
「ミーシェ、王女が部屋を出た!」
口を濯がせ手を引き急いでベッドルームのダブルドアを全開にし、灯りを少し減らさせてメイドを退がらせた。
「えヘヘ~」
「ミーシェ!しっかりしてくれ!頼むよ!
恋人のように振る舞ってくれ」
「ひふぅ~」
「ガウン!ガウンを脱ごう」
ミーシェのガウンを脱がせ、自分の服を脱ぎ下着だけになると薄いガウンを羽織って腰紐は使わなかった。
「ミーシェ、もうすぐ王女が来る」
「おうじょ~きゃはっ」
「何で果実酒なんか飲ませたんだろう」
ミーシェの緊張を解す為だったのに、酔っ払いを作り上げてしまった。
「ああ、神様」
「あそこに顔が見えるぅ~」
ミーシェは天井の角を指さして笑った。
「怖いこと言うな!毎日この部屋で寝るのは私なんだぞ!」
「ん~」
隣の部屋に駆け出し、強めの酒を口に含み、寝室に戻ってミーシェに口移しで飲ませた。
もう、静かにしてもらおうと思った。
「焼けるぅ」
「ミーシェ、王女と結婚は嫌だ!
お前から私を横取りしようとする悪女に見せつけよう。
ほら、膝の上に座って」
また笛の音が僅かに聞こえる。階段を登っている合図だ。
「ミーシェ、膝の上に座って。
今から愛する恋人同士だよ」
「………」
手を少し引くと、ベッドに腰をかけている私に跨り向かい合い、首に腕を回し額と額をくっつけた。
ミーシェの体と私の体はシルク一枚しか隔てるものがなく、胸の柔らかさも体温もしっかり感じ取れた。
膝の上に座るだけが、跨って密着という刺激にすっかりガチガチになった陰茎が下着とミーシェに押さえ付けられて窮屈で少し痛い。
背中に手を回し傾けて体を少し離し、陰茎の向きを整えて、ミーシェの腰を引き戻したが勢いが付き、私の胸に柔らかなミーシェの胸を押し潰す感じになった。
「エヴァン…」
耳の直ぐ近くで甘えるように名前を囁かれ
「いい匂い」
頬や首筋の匂いを嗅ぎながら息が掛かるし唇や頬が当たる。
グイッグイッと胸が押しつけられ、腹に付いた陰茎を押し擦られた。
「ミーシェ、駄目だ。止められなくなる」
匂いを嗅ぐのを止めたミーシェの顔が近過ぎて目を逸らさない。
「エヴァン……んっ」
甘い声に誘われて口付けをした。
唇を離しボーッとするミーシェを見たが感情が読み取れなかった。
「暑い~」
自分から胸元のリボンを解き肩紐をずらした。
「ミーシェ、それは駄目だ」
キィ……
廊下へ繋がる扉が開く音がして目線を向け、再度ミーシェに戻すと腰から上には何も纏っていなかった。
「エヴァン様?」
王女の声が聞こえるがミーシェから目が離せなかった。
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