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エヴァンのお祝い
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三日目はエヴァンの10歳のお祝い。
側近候補や王子妃候補になりそうな歳の近い子に絞って招待している。
側近候補は貴族で問題の無さそうな家門の子息、王子妃候補は侯爵家以上である程度財力があり問題の無さそうな令嬢を選別している
全員が挨拶を終えると国王陛下が挨拶に訪れた。
「今日は特別に王家の個人的な友人であるサルト家を招いている。失礼の無いように。皆が茶会の意味をよく理解していると願っている」
そのままサルト家の席につき、膝の上にシーナを乗せた。
国王陛下自らの異例の挨拶に早速我が子に忠告をする賢い親、アネットの顔を見て納得する親、アネットの顔を見て嫌悪を示す母親、ただの挨拶だと思いよく聞いていない親と反応は様々だ。
男親だけを見てみると参加は7割ほどでテオドールもレヴィンの姿も無かった。
その内の数人は、あれから10年以上経つが可愛さを持った美貌はキラキラと煌めき、三人も産んだとは思えないほどのプロポーション。寧ろ曲線がさらに際立ち妖艶さも滲んでいた。
視姦をするかのようにねっとりと目でアネットの体をなぞり、脳内でドレスを脱がしてその先まで想像を巡らす者や、隣に座る歳上の見目麗しい男が美女を抱いているのかと羨ましさと妬みの眼差しを向ける。
そうとは気付かないアネットは子供達の動向に目を配り、ハヴィエルは敏感に察知し牽制するようにアネットの手や頬や肩に口付けをし、髪に触れる。
令嬢は四通り。
既に交流のある令息に片思いをしていて探している令嬢。
野心たっぷりに、もしくは親に口煩く言われて王子を狙う令嬢。
サルト家の席に座るライアンから目が離せない令嬢。
何にも興味がないか菓子に興味を示している令嬢。
令息も、
既に片思い相手のいる令息。
ミーシェから目が離せない令息。
シーナに釘付けの令息。
親から煩く言われて王子に取り入ろうとする令息。
主役のエヴァンはチラチラとミーシェを見つめ、ロランはシーナに穴を開ける勢いで見続けていた。
エヴァンが順番にテーブルを回り始めるとロランがサルト家のテーブルにやって来た。
ロランが国王陛下の側に来て、膝の上に乗るシーナをじっと見て手を差し出した。
「ケーキ取りに行こう」
だがシーナは陛下を見上げた。
「ジイジに選んでもらう」
国王陛下をジイジと呼び第二王子の誘いを蹴る幼女に周辺のテーブルは静まり返った。
「そうかそうか。ジイジが選んでやろう。
ロランもおいで」
そういうと陛下はシーナを抱えたままケーキを物色し、ロランの分も選びメイドに皿を持たせた。
席に戻ると陛下は自らシーナにケーキを食べさせ始めた。
「シーナ。ジイジの選んだケーキは美味しいか?」
「おいしい。ジイジ大好き」
「そうかそうか。ジイジもシーナが大好きだ」
「ジイジ、ミーシェのは?」
「! すぐ取ってくるからな」
そう言ってシーナを椅子に下ろしてケーキを取りに行く。
これは夢なのか。混乱する周囲の席の親達は息を潜めて動向を見守っていた。
陛下が席を立っている隙にロランがシーナの側に立ち、そっと頭を撫でた。
シーナは無表情で無視をする。
ロランがシーナの頬に口付けをしようとした瞬間に陛下がシーナを抱き上げた。
「ジイジ」
「待たせたな。さあ、次はどれを食べようか」
ミーシェはライアンにケーキの乗った皿を差し出し、一緒に食べ始めた。
シーナが食べ終わると陛下は退席した。
少し会場の空気が軽くなったことにホッとする親達。
エヴァンが令嬢の席を回り終えるとフリータイムになった。
アネットとハヴィエルがテーブルを離れると早速令息達がミーシェやシーナを散歩に連れ出そうと誘いをかける。
ミ「行きません」
シ「………」
頬を染めながらライアンに話しかける令嬢達に素っ気なく言う。
「王子妃の選定なのだからこちらにくるのは間違いです」
「ライアン様、お話を」
「皆様は侯爵家以上。私は男爵家。ご縁はございません。誤解を招かないよう席に戻るかエヴァン殿下の席へどうぞ。
ご両親が悲しみますよ」
同じ歳頃とは思えないほど落ち着き、立場を理解し、正しい道へと促す様は他の令息達をより子供に見せた。
愛くるしいシーナの頬に触れようと手を伸ばす令息の手を払ったのはロランだった。
「誰が触れていいと言った」
ずっと無口だったロランの凄みにちょっと怯むも、
「ロラン殿下の婚約者でなければ止められる理由はありません。ただ撫でようとしただけです。シーナちゃん、お散歩に行こう」
「シーナに構うな」
「ロラン殿下がなぜ?放っておいてもらえませんか」
5歳も上の令息達がロランを徐々に押し除けた。体格差がありすぎる。
「さあ、シーナちゃん。欲しいものはない?買ってあげるよ」
「ドレスかな?」
「髪飾りかな?」
「子犬はどう?」
「……何でも買ってくれる?」
そう言って瞳をキラキラさせながら令息達を見上げた。
「勿論だよ」
「可愛いな」
「連れて帰りたい」
「ガーランドを丸ごと買ってきて」
令息達は耳を疑った。
「そういうアクセサリーがあるのかな?」
「ガーランドの宝石ってこと?」
「お菓子屋かな?」
「国に決まってるでしょ。隣のガーランド王国を丸ごと買ってプレゼントして」
「そ、それは無理かな~」
「まだ小さいからよく分からないんだね」
「明日うちに遊びにおいで、商人を呼ぶよ」
「何でも買ってくれるって言った」
「それは、」
「買えるようになるまで近付かないで」
そう言うとロランの手を引いて庭園へ去っていった。
ミーシェに群がる令息達は
「デビューのパートナーにしてください」
「僕は次期侯爵だ。可愛がるよ」
「俺は次期伯爵だから婚約できる」
「ミーシェ嬢、何不自由のない暮らしをさせるよ」
富をチラつかせる少年はリーズナード伯爵家
の長男だ。その父親はテーブル席から欲望を巡らせていた。
息子がミーシェを妻の一人として娶ればアネットと縁戚になる。
ことあるごとに招待して富を見せつけ、亭主を始末して妻を捨ててアネットと再婚をと妄想を膨らます。
「私、歳上がいいの。強くて色気のある殿方がいいわ」
お茶を吹き出しそうになるご夫人方のむせる声が聞こえる。
「今は大差なくても数年すれば」
そんなことを言いながらミーシェを誘惑するも全く相手にされないのにリーズナード令息だけはシーナの席に座り口説き続けた。
「愛を誓い合った殿方います」
ミーシェの口からそう告げられるがリーズナード令息は諦める気はなかった。
改めてミーシェを徹底的に調査して男を排除し手に入れるつもりだったから。
父親とよく似た思考だった。
たが、唯一まずい相手がいた。
「ミーシェから離れろ」
エヴァンだった。
「ミーシェに近付く男は誰であろうと許さない」
流石にここは引かないとならず、令息達は退散した。
「浮気者!」
「は?」
「私という者がいながら!」
「何言ってるの?やめてよ。私の全てはエス様のものなの!」
「お前は私のものだ!」
ある意味見合いの席に等しいのにエヴァンは対象外の男爵令嬢に言い寄ってしまった。
側近候補や王子妃候補になりそうな歳の近い子に絞って招待している。
側近候補は貴族で問題の無さそうな家門の子息、王子妃候補は侯爵家以上である程度財力があり問題の無さそうな令嬢を選別している
全員が挨拶を終えると国王陛下が挨拶に訪れた。
「今日は特別に王家の個人的な友人であるサルト家を招いている。失礼の無いように。皆が茶会の意味をよく理解していると願っている」
そのままサルト家の席につき、膝の上にシーナを乗せた。
国王陛下自らの異例の挨拶に早速我が子に忠告をする賢い親、アネットの顔を見て納得する親、アネットの顔を見て嫌悪を示す母親、ただの挨拶だと思いよく聞いていない親と反応は様々だ。
男親だけを見てみると参加は7割ほどでテオドールもレヴィンの姿も無かった。
その内の数人は、あれから10年以上経つが可愛さを持った美貌はキラキラと煌めき、三人も産んだとは思えないほどのプロポーション。寧ろ曲線がさらに際立ち妖艶さも滲んでいた。
視姦をするかのようにねっとりと目でアネットの体をなぞり、脳内でドレスを脱がしてその先まで想像を巡らす者や、隣に座る歳上の見目麗しい男が美女を抱いているのかと羨ましさと妬みの眼差しを向ける。
そうとは気付かないアネットは子供達の動向に目を配り、ハヴィエルは敏感に察知し牽制するようにアネットの手や頬や肩に口付けをし、髪に触れる。
令嬢は四通り。
既に交流のある令息に片思いをしていて探している令嬢。
野心たっぷりに、もしくは親に口煩く言われて王子を狙う令嬢。
サルト家の席に座るライアンから目が離せない令嬢。
何にも興味がないか菓子に興味を示している令嬢。
令息も、
既に片思い相手のいる令息。
ミーシェから目が離せない令息。
シーナに釘付けの令息。
親から煩く言われて王子に取り入ろうとする令息。
主役のエヴァンはチラチラとミーシェを見つめ、ロランはシーナに穴を開ける勢いで見続けていた。
エヴァンが順番にテーブルを回り始めるとロランがサルト家のテーブルにやって来た。
ロランが国王陛下の側に来て、膝の上に乗るシーナをじっと見て手を差し出した。
「ケーキ取りに行こう」
だがシーナは陛下を見上げた。
「ジイジに選んでもらう」
国王陛下をジイジと呼び第二王子の誘いを蹴る幼女に周辺のテーブルは静まり返った。
「そうかそうか。ジイジが選んでやろう。
ロランもおいで」
そういうと陛下はシーナを抱えたままケーキを物色し、ロランの分も選びメイドに皿を持たせた。
席に戻ると陛下は自らシーナにケーキを食べさせ始めた。
「シーナ。ジイジの選んだケーキは美味しいか?」
「おいしい。ジイジ大好き」
「そうかそうか。ジイジもシーナが大好きだ」
「ジイジ、ミーシェのは?」
「! すぐ取ってくるからな」
そう言ってシーナを椅子に下ろしてケーキを取りに行く。
これは夢なのか。混乱する周囲の席の親達は息を潜めて動向を見守っていた。
陛下が席を立っている隙にロランがシーナの側に立ち、そっと頭を撫でた。
シーナは無表情で無視をする。
ロランがシーナの頬に口付けをしようとした瞬間に陛下がシーナを抱き上げた。
「ジイジ」
「待たせたな。さあ、次はどれを食べようか」
ミーシェはライアンにケーキの乗った皿を差し出し、一緒に食べ始めた。
シーナが食べ終わると陛下は退席した。
少し会場の空気が軽くなったことにホッとする親達。
エヴァンが令嬢の席を回り終えるとフリータイムになった。
アネットとハヴィエルがテーブルを離れると早速令息達がミーシェやシーナを散歩に連れ出そうと誘いをかける。
ミ「行きません」
シ「………」
頬を染めながらライアンに話しかける令嬢達に素っ気なく言う。
「王子妃の選定なのだからこちらにくるのは間違いです」
「ライアン様、お話を」
「皆様は侯爵家以上。私は男爵家。ご縁はございません。誤解を招かないよう席に戻るかエヴァン殿下の席へどうぞ。
ご両親が悲しみますよ」
同じ歳頃とは思えないほど落ち着き、立場を理解し、正しい道へと促す様は他の令息達をより子供に見せた。
愛くるしいシーナの頬に触れようと手を伸ばす令息の手を払ったのはロランだった。
「誰が触れていいと言った」
ずっと無口だったロランの凄みにちょっと怯むも、
「ロラン殿下の婚約者でなければ止められる理由はありません。ただ撫でようとしただけです。シーナちゃん、お散歩に行こう」
「シーナに構うな」
「ロラン殿下がなぜ?放っておいてもらえませんか」
5歳も上の令息達がロランを徐々に押し除けた。体格差がありすぎる。
「さあ、シーナちゃん。欲しいものはない?買ってあげるよ」
「ドレスかな?」
「髪飾りかな?」
「子犬はどう?」
「……何でも買ってくれる?」
そう言って瞳をキラキラさせながら令息達を見上げた。
「勿論だよ」
「可愛いな」
「連れて帰りたい」
「ガーランドを丸ごと買ってきて」
令息達は耳を疑った。
「そういうアクセサリーがあるのかな?」
「ガーランドの宝石ってこと?」
「お菓子屋かな?」
「国に決まってるでしょ。隣のガーランド王国を丸ごと買ってプレゼントして」
「そ、それは無理かな~」
「まだ小さいからよく分からないんだね」
「明日うちに遊びにおいで、商人を呼ぶよ」
「何でも買ってくれるって言った」
「それは、」
「買えるようになるまで近付かないで」
そう言うとロランの手を引いて庭園へ去っていった。
ミーシェに群がる令息達は
「デビューのパートナーにしてください」
「僕は次期侯爵だ。可愛がるよ」
「俺は次期伯爵だから婚約できる」
「ミーシェ嬢、何不自由のない暮らしをさせるよ」
富をチラつかせる少年はリーズナード伯爵家
の長男だ。その父親はテーブル席から欲望を巡らせていた。
息子がミーシェを妻の一人として娶ればアネットと縁戚になる。
ことあるごとに招待して富を見せつけ、亭主を始末して妻を捨ててアネットと再婚をと妄想を膨らます。
「私、歳上がいいの。強くて色気のある殿方がいいわ」
お茶を吹き出しそうになるご夫人方のむせる声が聞こえる。
「今は大差なくても数年すれば」
そんなことを言いながらミーシェを誘惑するも全く相手にされないのにリーズナード令息だけはシーナの席に座り口説き続けた。
「愛を誓い合った殿方います」
ミーシェの口からそう告げられるがリーズナード令息は諦める気はなかった。
改めてミーシェを徹底的に調査して男を排除し手に入れるつもりだったから。
父親とよく似た思考だった。
たが、唯一まずい相手がいた。
「ミーシェから離れろ」
エヴァンだった。
「ミーシェに近付く男は誰であろうと許さない」
流石にここは引かないとならず、令息達は退散した。
「浮気者!」
「は?」
「私という者がいながら!」
「何言ってるの?やめてよ。私の全てはエス様のものなの!」
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