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周知
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「ひっ」
侍女が失禁してしまった。
「そんな格好をしてるから、」
「関係ない。誰だろうと許される行為じゃないわ。
すみません、片付けたいのでバケツと雑巾を数枚持ってきてもらえますか。
あと騎士を二人呼んでください」
「かしこまりました。着替えのドレスをお持ちします」
「気にしないでください。囚人服でもガウンでも何でもいいから見苦しいものを隠すものが欲しいのです。忙しいのに申し訳ないのですが誰かに頼んでいただけますか。
私は見張らないとならないので」
「すぐにお持ちします」
「見苦しいものって、」
「騎士様も離していいですよ。汚れちゃいますから。どちらかが動いたら刺してください」
「は!? 貴女ねぇ!!」
「騒ぐと観衆を呼び寄せますよ」
「くっ!」
少し待つとバケツ二つと雑巾を複数枚持ったメイドが戻ってきた。片方には水が入っている。
騎士も二人到着した。
「なんで近衛騎士が…」
「貴女が近衛騎士団所属の私を殴ったからよ」
「「 は!? 」」
騎士達が笛を吹いた。第一を呼んだのは分かったが、その後は分からない。
メイドが跪いて拭こうとした瞬間に制した。
「ごめんなさい。貴女の仕事じゃないわ。
ありがとうございます。戻ってください」
「失礼します」
「貴女が後始末をなさい」
「は!?」
「発端は貴女で貴女が連れた者がやらかしたことでしょう。主人として後始末をなさい」
「できるわけないでしょう!!」
「なら、貴女の保護者を呼んでやってもらう?それまで二人ともこのままだけど。近くにいるといいわね」
「貴女に何の権利があるのよ!」
「貴女の方が無いと思うけど」
「王女に気に入られているからって!」
「はぁ…可哀想に。貴女のために私を蹴ろうとした侍女が一目に晒されながら体が冷えていくのね」
「着替えをお持ちしました」
「ありがとうございます」
「それは…」
「着古した囚人服ね。どうぞ」
「いい加減に、」
「貴女、ここで着替えて」
「できるわけないでしょう!!」
「できるわよ。貴女の服は一人で脱ぎ着できるものだもの。その尿で慣れた服で城内を歩き回ろうっていうの?
歩いた後をそこのお嬢様が這いつくばって拭いていくことになるけど構わないならどうぞ、好きなところへ移動して」
「私の騎士様、もう持ち場に戻ってください。彼らがいれば大丈夫ですから」
アールはさっと消えた。
そこにバトラーズ副隊長が駆けつけた。
「アネット!」
「バトラーズ様!聞いてください!」
令嬢が縋ろうとする前に二人の騎士が報告をした。
「お前がアネットを殴って、そっちの女が蹴ろうとしたのか」
「ですが、彼女が無礼を」
「どんな無礼だ」
「バトラーズ様の元へ案内してと言ったら、仕事で来たのではないなら案内図を見て自分で行けと」
「副隊長、私はこの書類を至急宰相室へ届けるよう団長から命じられ向かっている最中でした」
「なるほど。任務中の近衛騎士団の者を邪魔して殴ったのだな」
「そんな!彼女は騎士ではありません!」
「あの、ますます遅れそうなので届けに行ってもよろしいでしょうか。すぐ戻りますから」
「他の者に行かせる」
「私の仕事ですから」
「分かった」
アネットはウィッグと眼鏡をつけて立ち去った。
アネットが立ち去るとバトラーズは恐ろしい形相で令嬢を叩いた。
「ギャッ!」
ドサッ
「ほら、早く拭け。お前も着替えろ」
「私を殴るなんて」
「この程度で済まそうとしている温情を無にするのか?
女だから殴られないで済むと思うなよ。
騎士団は皆剣を振るうわけじゃない。書類仕事をする文官や武器の手入れなど身の回りのサポートをしてくれる職員もいるんだ。
それに彼女は次期バトラーズ公爵夫人だ。
意味がわかるな?」
「バトラーズ夫人!?」
「婚約をしたからな。私の婚約者を殴ってそのまま城を出られると思ったのか?」
「バトラーズ様!私はずっと縁談のお手紙を送っていたではありませんか!
うちは名門侯爵家ですのよ!」
「中身が駄犬では意味がない。早く拭け」
侍女は泣きながら服を脱ぎ始めた。
「全部脱げ。廊下が汚れる。体を吹いてから囚人服を着ろよ。服はバケツに入れろ」
「そんな…」
「お前の体など見ても何の足しにもならないから安心して着替えろ。早くしないと早番の昼休憩になって大勢に見られるぞ」
「ううっ…」
女は全部脱ぐと体を拭いて囚人服を着た。
そして床を拭こうとしたが、
「それはそっちの女の仕事だ。お前は手を出すな。
拭かなければ牢に入れるぞ」
「っ!!」
そこにアネットが戻ってきた。
「アネット、顔を見せて」
「大丈夫です」
「引っ掻き傷があるじゃないか!」
「後で私の騎士様に塗ってもらいます」
「私の騎士様!? アネットの騎士は私だろう」
「違いますよ。三人の騎士様達です」
「「「………」」」
「次は水拭きよ。しっかり絞らないと滑って怪我人が出るからしっかりね」
「覚えてなさいよ!」
「お前はまだそんなことを言っているのか」
「大丈夫、忘れるわけがないわ。殴られたのに忘れたら打ちどころが悪かったってことじゃない。そこまで痛くないから大丈夫よ」
「「 プッ 」」
「アネット、ここは任せてくれ。
君達、アネットを医務室へ。一人は団長に報告してくれないか」
「はっ!」
「大丈夫です。お仕事中の騎士様達の手を煩わせたくないです」
「アネット様、どうかエスコートさせてください」
「お、お願いします」
その後、勤務を終えたレヴィン様が迎えに来てバトラーズ家で騒ぎになった。
「またレヴィン絡みで申し訳ない。アネット嬢、痛むか?」
「少し違和感が有る程度ですわ。それにしてもレヴィン様のお相手は過激な方が多いのですね」
「相手ではない。言い寄ってくる他人だ。応じたことなど一度もない」
「アネット嬢、やはり婚約パーティを開かないか」
「では、明日の夜会でレヴィン様と婚約しましたって言いふらして来ます」
「夜会!?」
「 はい 」
「聞いてない」
「え、はい」
「誰と行くんだ」
「両親と行きます」
「パートナーは」
「従兄の家の夜会はいつもいません。必要ありませんから」
「私も行く」
「明日夜勤じゃないですか」
「代わってもらう」
「お連れしませんよ」
「アネット!」
「たかが夜会の参加で他の隊員に迷惑をかけるなどあってはなりません。
レヴィン様もご友人の夜会で触れ回っていただければ済みます。
私より噂が広がりやすい夜会に出席できるのでは?」
「私との婚約パーティはそんなに嫌か」
そう言うとレヴィン様は席を立って出て行ってしまった。
「公爵様、やはり婚約を考え直した方がいいと思います。レヴィン様は人気があるようですから直ぐ新しい婚約者が見つかりますわ」
「アネット嬢、何故嫌がる」
「体力も気力もそれ程ありません。
ほとんど屋敷から出ませんでしたので、今の勤務で精一杯なのです。顔には出しませんが帰ればベッドに直行します。
メイドに怒られて着替えたりしますが。
今は座学も加わって、団長室の担当も掛け持ちです。呑気に仕事をしているように見えて気を遣っているのです」
「辞めるということはできないのか」
「辞めません。数ヶ月もすれば体が慣れるでしょう。それにやりがいがあるのです。
婚約解消の件、前向きに考えてみてください。私はバトラーズ公爵夫人に相応しくありません。現にレヴィン様が憤っていらっしゃいます。
レヴィン様を支える淑女をお迎えください。
そろそろ失礼します。ごちそうさまでした」
「………」
侍女が失禁してしまった。
「そんな格好をしてるから、」
「関係ない。誰だろうと許される行為じゃないわ。
すみません、片付けたいのでバケツと雑巾を数枚持ってきてもらえますか。
あと騎士を二人呼んでください」
「かしこまりました。着替えのドレスをお持ちします」
「気にしないでください。囚人服でもガウンでも何でもいいから見苦しいものを隠すものが欲しいのです。忙しいのに申し訳ないのですが誰かに頼んでいただけますか。
私は見張らないとならないので」
「すぐにお持ちします」
「見苦しいものって、」
「騎士様も離していいですよ。汚れちゃいますから。どちらかが動いたら刺してください」
「は!? 貴女ねぇ!!」
「騒ぐと観衆を呼び寄せますよ」
「くっ!」
少し待つとバケツ二つと雑巾を複数枚持ったメイドが戻ってきた。片方には水が入っている。
騎士も二人到着した。
「なんで近衛騎士が…」
「貴女が近衛騎士団所属の私を殴ったからよ」
「「 は!? 」」
騎士達が笛を吹いた。第一を呼んだのは分かったが、その後は分からない。
メイドが跪いて拭こうとした瞬間に制した。
「ごめんなさい。貴女の仕事じゃないわ。
ありがとうございます。戻ってください」
「失礼します」
「貴女が後始末をなさい」
「は!?」
「発端は貴女で貴女が連れた者がやらかしたことでしょう。主人として後始末をなさい」
「できるわけないでしょう!!」
「なら、貴女の保護者を呼んでやってもらう?それまで二人ともこのままだけど。近くにいるといいわね」
「貴女に何の権利があるのよ!」
「貴女の方が無いと思うけど」
「王女に気に入られているからって!」
「はぁ…可哀想に。貴女のために私を蹴ろうとした侍女が一目に晒されながら体が冷えていくのね」
「着替えをお持ちしました」
「ありがとうございます」
「それは…」
「着古した囚人服ね。どうぞ」
「いい加減に、」
「貴女、ここで着替えて」
「できるわけないでしょう!!」
「できるわよ。貴女の服は一人で脱ぎ着できるものだもの。その尿で慣れた服で城内を歩き回ろうっていうの?
歩いた後をそこのお嬢様が這いつくばって拭いていくことになるけど構わないならどうぞ、好きなところへ移動して」
「私の騎士様、もう持ち場に戻ってください。彼らがいれば大丈夫ですから」
アールはさっと消えた。
そこにバトラーズ副隊長が駆けつけた。
「アネット!」
「バトラーズ様!聞いてください!」
令嬢が縋ろうとする前に二人の騎士が報告をした。
「お前がアネットを殴って、そっちの女が蹴ろうとしたのか」
「ですが、彼女が無礼を」
「どんな無礼だ」
「バトラーズ様の元へ案内してと言ったら、仕事で来たのではないなら案内図を見て自分で行けと」
「副隊長、私はこの書類を至急宰相室へ届けるよう団長から命じられ向かっている最中でした」
「なるほど。任務中の近衛騎士団の者を邪魔して殴ったのだな」
「そんな!彼女は騎士ではありません!」
「あの、ますます遅れそうなので届けに行ってもよろしいでしょうか。すぐ戻りますから」
「他の者に行かせる」
「私の仕事ですから」
「分かった」
アネットはウィッグと眼鏡をつけて立ち去った。
アネットが立ち去るとバトラーズは恐ろしい形相で令嬢を叩いた。
「ギャッ!」
ドサッ
「ほら、早く拭け。お前も着替えろ」
「私を殴るなんて」
「この程度で済まそうとしている温情を無にするのか?
女だから殴られないで済むと思うなよ。
騎士団は皆剣を振るうわけじゃない。書類仕事をする文官や武器の手入れなど身の回りのサポートをしてくれる職員もいるんだ。
それに彼女は次期バトラーズ公爵夫人だ。
意味がわかるな?」
「バトラーズ夫人!?」
「婚約をしたからな。私の婚約者を殴ってそのまま城を出られると思ったのか?」
「バトラーズ様!私はずっと縁談のお手紙を送っていたではありませんか!
うちは名門侯爵家ですのよ!」
「中身が駄犬では意味がない。早く拭け」
侍女は泣きながら服を脱ぎ始めた。
「全部脱げ。廊下が汚れる。体を吹いてから囚人服を着ろよ。服はバケツに入れろ」
「そんな…」
「お前の体など見ても何の足しにもならないから安心して着替えろ。早くしないと早番の昼休憩になって大勢に見られるぞ」
「ううっ…」
女は全部脱ぐと体を拭いて囚人服を着た。
そして床を拭こうとしたが、
「それはそっちの女の仕事だ。お前は手を出すな。
拭かなければ牢に入れるぞ」
「っ!!」
そこにアネットが戻ってきた。
「アネット、顔を見せて」
「大丈夫です」
「引っ掻き傷があるじゃないか!」
「後で私の騎士様に塗ってもらいます」
「私の騎士様!? アネットの騎士は私だろう」
「違いますよ。三人の騎士様達です」
「「「………」」」
「次は水拭きよ。しっかり絞らないと滑って怪我人が出るからしっかりね」
「覚えてなさいよ!」
「お前はまだそんなことを言っているのか」
「大丈夫、忘れるわけがないわ。殴られたのに忘れたら打ちどころが悪かったってことじゃない。そこまで痛くないから大丈夫よ」
「「 プッ 」」
「アネット、ここは任せてくれ。
君達、アネットを医務室へ。一人は団長に報告してくれないか」
「はっ!」
「大丈夫です。お仕事中の騎士様達の手を煩わせたくないです」
「アネット様、どうかエスコートさせてください」
「お、お願いします」
その後、勤務を終えたレヴィン様が迎えに来てバトラーズ家で騒ぎになった。
「またレヴィン絡みで申し訳ない。アネット嬢、痛むか?」
「少し違和感が有る程度ですわ。それにしてもレヴィン様のお相手は過激な方が多いのですね」
「相手ではない。言い寄ってくる他人だ。応じたことなど一度もない」
「アネット嬢、やはり婚約パーティを開かないか」
「では、明日の夜会でレヴィン様と婚約しましたって言いふらして来ます」
「夜会!?」
「 はい 」
「聞いてない」
「え、はい」
「誰と行くんだ」
「両親と行きます」
「パートナーは」
「従兄の家の夜会はいつもいません。必要ありませんから」
「私も行く」
「明日夜勤じゃないですか」
「代わってもらう」
「お連れしませんよ」
「アネット!」
「たかが夜会の参加で他の隊員に迷惑をかけるなどあってはなりません。
レヴィン様もご友人の夜会で触れ回っていただければ済みます。
私より噂が広がりやすい夜会に出席できるのでは?」
「私との婚約パーティはそんなに嫌か」
そう言うとレヴィン様は席を立って出て行ってしまった。
「公爵様、やはり婚約を考え直した方がいいと思います。レヴィン様は人気があるようですから直ぐ新しい婚約者が見つかりますわ」
「アネット嬢、何故嫌がる」
「体力も気力もそれ程ありません。
ほとんど屋敷から出ませんでしたので、今の勤務で精一杯なのです。顔には出しませんが帰ればベッドに直行します。
メイドに怒られて着替えたりしますが。
今は座学も加わって、団長室の担当も掛け持ちです。呑気に仕事をしているように見えて気を遣っているのです」
「辞めるということはできないのか」
「辞めません。数ヶ月もすれば体が慣れるでしょう。それにやりがいがあるのです。
婚約解消の件、前向きに考えてみてください。私はバトラーズ公爵夫人に相応しくありません。現にレヴィン様が憤っていらっしゃいます。
レヴィン様を支える淑女をお迎えください。
そろそろ失礼します。ごちそうさまでした」
「………」
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