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三度の衝撃
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夜、湯浴みをしてから秘匿夜会に出席した。
黒いハーフマスクを着けて入場して果実酒を手に取った。今夜は杏の果実酒のようだ。
壁際の椅子に座れば声を掛けないルールだ。座って待っていると彼女が現れた。
元処女という呼び名ではなく仮の名を付けないといけないな。
慌てているのか入口側の壁にいる俺が見えていないらしい。少し肩が揺れている。走った?
「ゴホン」
咳払いをすると振り向いた。黒いアイマスクのあの子だ。笑顔になったのが分かる。だけど…
俺は立ち上がり止まれと合図を送った。彼女が駆け寄るのを阻止してゆっくり歩いて目の前に立った。
「今夜のお相手をお願いしてもいいですか」
「喜んでお願いします」
彼女と一緒に会場を出て階段を登り部屋に入った。
触れると肌が冷たい。
ここに来る前に湯浴みをする決まりがある。きっと彼女には時間が無くて、湯浴みをしてから直ぐに来たのだろう。髪が生乾きだ。これでは風邪を引いてしまう。
部屋の案内をしたメイドにお茶を注文した。
ドレスを脱がせガウンを着せると暖炉の前に毛布を敷いて彼女を座らせた。髪をほどき、髪に空気を入れながら乾かし始めた。
「女性は髪が長いから乾くのに時間がかかるからな」
「……はい」
「お茶をご用意しました」
「ここに置いてくれないか」
「トレイに乗せたまま置かせていただきます」
「ありがとう」
「それではごゆっくりどうぞ」
メイドが退室したので注意事項を伝えた。
「此処は一夜限りの出会いを提供しているから、待ち合わせの雰囲気を出してはいけないよ」
「あ、すみません」
「もし次を約束したとしても、初めて誘うようなフリをしてくれ」
「はい」
「君のことは何で呼べばいい?」
「え?」
「流石に三回目だからね。本名じゃなくていい。呼ばれたい名を言ってくれたらいい」
「ノアと呼んでください」
「俺はリックだ。俺達は歳が近そうだ。部屋の中では敬語は使わない」
「分かったわ」
「その仮面…ハーフマスクじゃないんだな」
「……リックにキスをしてもらえるかなって」
髪を乾かしているから彼女は背を向けているのに後頭部で恥ずかしがっているのが分かるだなんて。
「だが積極的と見られて他の男を寄せてしまう。赤いマスクの男達の中には 赤いマスクの女の他に黒いアイマスクの女も誘う者もいるんだ」
「私に声を掛けてきた赤いマスクの男も?」
「多分屈服させるのが好きなんだろう。だから赤いマスクよりキスもできる黒いアイマスクの女性に声を掛け、ベッドで、」
「聞きたくない」
「……」
「気持ち悪いわ」
「そんなんで よくこんな出会いを選んだね」
「正体を知られないから」
「公に恋人を作れないのか…家が厳しいのかな?」
「…はい」
「お茶を飲んで」
30分ほどで髪はしっかりと乾いた。
「ありがとうございます」
「ノア。俺はキスの経験がない。だから君が望むようなキスはできない」
「それって、リックの初めてを私に捧げてもらえるということ?」
「良く言えばそうだな」
「リック…貴方の初めてが欲しい」
彼女の頬に手を添えて唇を重ねた。
ゆっくり唇を離すと彼女の瞳は煌めいていた。
これではまるで恋人だと思った。
黒いハーフマスクを着けて入場して果実酒を手に取った。今夜は杏の果実酒のようだ。
壁際の椅子に座れば声を掛けないルールだ。座って待っていると彼女が現れた。
元処女という呼び名ではなく仮の名を付けないといけないな。
慌てているのか入口側の壁にいる俺が見えていないらしい。少し肩が揺れている。走った?
「ゴホン」
咳払いをすると振り向いた。黒いアイマスクのあの子だ。笑顔になったのが分かる。だけど…
俺は立ち上がり止まれと合図を送った。彼女が駆け寄るのを阻止してゆっくり歩いて目の前に立った。
「今夜のお相手をお願いしてもいいですか」
「喜んでお願いします」
彼女と一緒に会場を出て階段を登り部屋に入った。
触れると肌が冷たい。
ここに来る前に湯浴みをする決まりがある。きっと彼女には時間が無くて、湯浴みをしてから直ぐに来たのだろう。髪が生乾きだ。これでは風邪を引いてしまう。
部屋の案内をしたメイドにお茶を注文した。
ドレスを脱がせガウンを着せると暖炉の前に毛布を敷いて彼女を座らせた。髪をほどき、髪に空気を入れながら乾かし始めた。
「女性は髪が長いから乾くのに時間がかかるからな」
「……はい」
「お茶をご用意しました」
「ここに置いてくれないか」
「トレイに乗せたまま置かせていただきます」
「ありがとう」
「それではごゆっくりどうぞ」
メイドが退室したので注意事項を伝えた。
「此処は一夜限りの出会いを提供しているから、待ち合わせの雰囲気を出してはいけないよ」
「あ、すみません」
「もし次を約束したとしても、初めて誘うようなフリをしてくれ」
「はい」
「君のことは何で呼べばいい?」
「え?」
「流石に三回目だからね。本名じゃなくていい。呼ばれたい名を言ってくれたらいい」
「ノアと呼んでください」
「俺はリックだ。俺達は歳が近そうだ。部屋の中では敬語は使わない」
「分かったわ」
「その仮面…ハーフマスクじゃないんだな」
「……リックにキスをしてもらえるかなって」
髪を乾かしているから彼女は背を向けているのに後頭部で恥ずかしがっているのが分かるだなんて。
「だが積極的と見られて他の男を寄せてしまう。赤いマスクの男達の中には 赤いマスクの女の他に黒いアイマスクの女も誘う者もいるんだ」
「私に声を掛けてきた赤いマスクの男も?」
「多分屈服させるのが好きなんだろう。だから赤いマスクよりキスもできる黒いアイマスクの女性に声を掛け、ベッドで、」
「聞きたくない」
「……」
「気持ち悪いわ」
「そんなんで よくこんな出会いを選んだね」
「正体を知られないから」
「公に恋人を作れないのか…家が厳しいのかな?」
「…はい」
「お茶を飲んで」
30分ほどで髪はしっかりと乾いた。
「ありがとうございます」
「ノア。俺はキスの経験がない。だから君が望むようなキスはできない」
「それって、リックの初めてを私に捧げてもらえるということ?」
「良く言えばそうだな」
「リック…貴方の初めてが欲しい」
彼女の頬に手を添えて唇を重ねた。
ゆっくり唇を離すと彼女の瞳は煌めいていた。
これではまるで恋人だと思った。
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