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今度こそ(サリオン)
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【 サリオンの視点 】
いつかはとは思っていたけど、エステルは在学中に求婚されて卒業と同時に婚姻したと聞いた。
「恋愛結婚させるって言っていたではありませんか!」
「5回も求婚されて絆されたようだ」
その日の夜、母上が部屋を訪ねてきた。
「ねえ サリオン。 貴方まさかエステルを異性として好きだったの?」
「……」
「言えば良かったじゃないの」
「エステルを恋愛結婚させると言われましたし、私にもそう仰いました」
「もっとよく話し合えば良かったわね。
多分エステルは貴方からの求婚ならすぐに受けたと思うわよ」
「そんなっ」
何で今更そんなことを言うんだ!
「ごめんなさい、サリオン」
涙を流す私を抱きしめて優しく背中を撫でてくれた。
婚姻してもエステルは手紙や誕生日の贈り物は忘れなかったが会いに来てくれなかった。
父上達が一度だけ先方の領地で会ったらしいが、親子水入らずがいいと宿を取っただけで 孫や夫には会えなかったと聞いた。
双子も会う約束ができないと嘆いていた。
そして知らされた離縁。
他家からエステル宛の求婚状が届いて初めて知った。
慌てて調査を入れたらエステルは酷い婚姻生活を送っていたことが分かった。
私の最愛のエステルを娶っておいて!
とても許せる内容ではなかった。
帰ってくるのを待っていたが帰って来ないので、城に行って貴族籍を管理する部署へ行き確認をした。
「エステル様は離縁届を提出しております。既に受理されました」
「帰って来ていないんだ」
「籍について相談はありましたか?
当主が戻さないとエステル様はどちらにも属さないお立場になります」
「ウィストン家に戻して欲しい」
「では書類をお持ちします」
記入し、渡すとこっそり教えてくれた。
「(エステル様はネグルワ家へ多額の貸付をしており、現在返済を待っているところです。
こちらが滞在先です)
確かに、届けを受け取りました」
「感謝します」
急いで宿に向かうとエステルの姿を見つけた。
苦労したのだろう。栄養が行き届いていないし痩せているのがわかる。
エステルを連れて屋敷に戻った後、彼女を苦しめた奴らにどう制裁しようか考えた。
報告書を読み返すと愛人のオルフォード男爵家、それとフィリップ・ネグルワの母の病。先ずはそこから攻めることにした。
恐らくエステルの貸付けた金は簡単には戻らない。
だから別のところから回収をすることにした。
朝、エステルの部屋に行き、寝顔を見つめた。
頭を撫でると嬉しそうな顔をした。
「(愛してるよ)」
エステルが目を開けた。聞こえたか?
昔のように毛布に隠れてしまった。
医師に健診を頼んだ。
「栄養不足と疲れが酷いですね。
栄養不足は長年質素な食事をなさったり抜いたりなさったのでしょう。爪にも現れております。
バランスの良い食事と安眠と安息ですぐに良くなるはずです。
妊娠はなさってないようです。
不順ではありますが、生活が改善すれば安定するはずです。まだ子も望めます。
性病の類も見受けられません。
あまり夫婦の時間がなかったのか、経産婦とは思えない不慣れさがありますので、お気を付けください」
「……ありがとう」
主治医には私の意図がお見通しのようだ。
やっとエステルのドレスを私が買ってやれる。
私の瞳の色を着てくれるだろうか。
エステルに会いに来た双子はエステルのドレスを見ると 私に呆れた顔を向けた。
クリスは私のライバルだ。
だがクリスの場合、初めてエステルと会った時には既に婚約者がいたから エステルに手を伸ばさなかった。さすが侯爵家嫡男。人気があって助かったよ。
就寝時間にはエステルの寝かし付けだ。
本当は一緒に寝たかった。
だが今は彼女は鎧を纏っていて愛を囁けない。
また、虫がつかないよう見張らないと。
だが、婚歴出産歴のあるエステルにいくつも求婚状が届くことになる。
いつかはとは思っていたけど、エステルは在学中に求婚されて卒業と同時に婚姻したと聞いた。
「恋愛結婚させるって言っていたではありませんか!」
「5回も求婚されて絆されたようだ」
その日の夜、母上が部屋を訪ねてきた。
「ねえ サリオン。 貴方まさかエステルを異性として好きだったの?」
「……」
「言えば良かったじゃないの」
「エステルを恋愛結婚させると言われましたし、私にもそう仰いました」
「もっとよく話し合えば良かったわね。
多分エステルは貴方からの求婚ならすぐに受けたと思うわよ」
「そんなっ」
何で今更そんなことを言うんだ!
「ごめんなさい、サリオン」
涙を流す私を抱きしめて優しく背中を撫でてくれた。
婚姻してもエステルは手紙や誕生日の贈り物は忘れなかったが会いに来てくれなかった。
父上達が一度だけ先方の領地で会ったらしいが、親子水入らずがいいと宿を取っただけで 孫や夫には会えなかったと聞いた。
双子も会う約束ができないと嘆いていた。
そして知らされた離縁。
他家からエステル宛の求婚状が届いて初めて知った。
慌てて調査を入れたらエステルは酷い婚姻生活を送っていたことが分かった。
私の最愛のエステルを娶っておいて!
とても許せる内容ではなかった。
帰ってくるのを待っていたが帰って来ないので、城に行って貴族籍を管理する部署へ行き確認をした。
「エステル様は離縁届を提出しております。既に受理されました」
「帰って来ていないんだ」
「籍について相談はありましたか?
当主が戻さないとエステル様はどちらにも属さないお立場になります」
「ウィストン家に戻して欲しい」
「では書類をお持ちします」
記入し、渡すとこっそり教えてくれた。
「(エステル様はネグルワ家へ多額の貸付をしており、現在返済を待っているところです。
こちらが滞在先です)
確かに、届けを受け取りました」
「感謝します」
急いで宿に向かうとエステルの姿を見つけた。
苦労したのだろう。栄養が行き届いていないし痩せているのがわかる。
エステルを連れて屋敷に戻った後、彼女を苦しめた奴らにどう制裁しようか考えた。
報告書を読み返すと愛人のオルフォード男爵家、それとフィリップ・ネグルワの母の病。先ずはそこから攻めることにした。
恐らくエステルの貸付けた金は簡単には戻らない。
だから別のところから回収をすることにした。
朝、エステルの部屋に行き、寝顔を見つめた。
頭を撫でると嬉しそうな顔をした。
「(愛してるよ)」
エステルが目を開けた。聞こえたか?
昔のように毛布に隠れてしまった。
医師に健診を頼んだ。
「栄養不足と疲れが酷いですね。
栄養不足は長年質素な食事をなさったり抜いたりなさったのでしょう。爪にも現れております。
バランスの良い食事と安眠と安息ですぐに良くなるはずです。
妊娠はなさってないようです。
不順ではありますが、生活が改善すれば安定するはずです。まだ子も望めます。
性病の類も見受けられません。
あまり夫婦の時間がなかったのか、経産婦とは思えない不慣れさがありますので、お気を付けください」
「……ありがとう」
主治医には私の意図がお見通しのようだ。
やっとエステルのドレスを私が買ってやれる。
私の瞳の色を着てくれるだろうか。
エステルに会いに来た双子はエステルのドレスを見ると 私に呆れた顔を向けた。
クリスは私のライバルだ。
だがクリスの場合、初めてエステルと会った時には既に婚約者がいたから エステルに手を伸ばさなかった。さすが侯爵家嫡男。人気があって助かったよ。
就寝時間にはエステルの寝かし付けだ。
本当は一緒に寝たかった。
だが今は彼女は鎧を纏っていて愛を囁けない。
また、虫がつかないよう見張らないと。
だが、婚歴出産歴のあるエステルにいくつも求婚状が届くことになる。
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