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信じたくない

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湯浴みをしてマッサージを受けて、健診を受けた。

え?健診ってソレも含めるの!?

「大丈夫ですから」

「いけません。

子爵は女遊びをなさっていたと伺いました。どんな病気を持っているか分かりません」

「月に一度あるかどうかだったし」

「それは関係ございません。うつるときは一度でうつるんです。
それに虐待の有無も調べますし、婦人病の早期発見にも繋がります」

仕方なく内診を受けた。


午後はお兄様と一緒に服選びをした。

「何でこんな高いものばかりなんですか」

「エステル。ウィストン伯爵家が貧乏だと誤解をされるから大人しくドレスを合わせなさい」

「ごめんなさい」



そして夕食前

「「エステル!!」」

「テレサ!クリス!」

ク「……」

テ「嘘つきエステル。悪い子ね。
ほら、クリス」

ク「この馬鹿…何で助けてって言わないんだ!
支援もしたし助け出してやれたのに!」

テ「そうよ!私達の絆はそんなものだったの!?」

私「ごめんね。もう大人だし、心配かけたくなくて」

テ「手紙では元気そうだから疑いもしなかったわ」

ク「バレたら嫌がると思って調査を入れなかったのが間違いだった!」

私「大袈裟よ。私は元気だし、苦労はあったけど資産は増えたからいいの」

ク「ケヴィンくんは?」

私「私のことが大嫌いな義母が産まれたてのケヴィンを取り上げて、私を嫌う息子に育ててしまったの。後取りだし親権を放棄したわ。
そのうち力では敵わなくなるもの」

ク「まさか、息子が暴力を?」

私「彼にとって私は母ではなかったの」

ク「エステル。俺もテレサもエステルが大好きだ。
分かるよな?」

私「……うん」

テ「エステルぅ~!!」

私の涙にテレサがつられて大泣きし始めた。
クリスは私とテレサを抱きしめてくれた。


夕食後、また会う約束をしてお開きにした。


就寝前にお兄様が私の頭を撫でている。

「寝かし付けですか?」

「そうだよ」

「お兄様もお休みください」

「目を離したくないんだ」

「悪戯なんかしませんよ」

「しただろう」

「何をですか」

「留学に行っている間に男に唆されて婚姻などして。父上がいるから大丈夫だと思っていたのに」

「フィリップに愛されてると勘違いしてしまったのです。彼の愛の言葉に中身など無かったのに…愚かでした」

「エステルに対する私の言葉は本物だ。言葉通りに信じて欲しい」

「お兄様のことは大好きですが、今は誰の言葉にも左右されたくありません。
私は子にさえ嫌われました。世界一愛しいはずの子に…もう次は耐えられそうにありません」

その後はお兄様の留学先の話を聞いて眠りについた。
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