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消えてあげる

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その夜、執事とメイド長と私の専属メイドを集めた。

「明日の朝、ケヴィンとお義母様を連れて王都の屋敷に向かいます。

その後、2人が王都で暮らすのか、領地に戻ってきて暮らすのかは分かりません。それは当主で血縁のフィリップが決めます。

明日の昼以降の食事は使用人の皆さんの分だけになります」

「奥様は、」

「2人だけで行かせられないから私も同行するわ」

「かしこまりました」



翌朝、執務室に行き、戦友と言ってもいい2人に告げた。

「私はここを去ります」

「「え!?」」

「フィリップ達は私が不要だと言うの。
これ以上は無理だわ。どうでもよくなっちゃった。

ただ、2人のことが心配で」

2人にそれぞれ封筒2枚を渡した。

「紹介状と書いてある方は開けないで。
転職の時に使ってね。それともう一つの封筒には小切手が入っているわ。ボーナスよ。私の個人資産から捻出してるから安心して」

「奥様…」

「奥様が居なければ子爵家は、」

「だけど、当主が要らないと言ったのだから仕方ないわ。
息子には嫌悪され、義母は……。
メイド達も必死になって子爵家を維持してきた私を下に見るんだもの。自分を犠牲にする意味がないの。
ネグルワ子爵家はその血筋のもので、私は他人なのよ。

もう私の物件も売って 預金もその小切手の額だけ残したから後は去るだけよ。
離縁になるからもう戻らないわ」

「奥様はどちらに、」

「地味で萎れた花は平民と混じっても違和感なく暮らせるわ。そろそろ出発しないと」


外に出るとうるさい義母の隣にケヴィンがいない。

「担いででも引き摺ってでも連れてきてちょうだい」

そして直ぐ私兵がケヴィンを担いできた。

「何だよ!!」

「幼児のような態度を取るのは止めなさい。恥ずかしいし見苦しいわ」

「あんたの言うことなんか聞くか!!」

「どっちでもいいわ。今日明日以外は。
馬車に乗らないなら、貴方だけこの屋敷で過ごしなさい。貴方の父親は帰ってくるか分からないけど」

「え?」

「乗れば王都の屋敷で貴方の父親と暮らせるわ。
私は送り届けるだけなの。
道中言うことを聞かなければ置き去りにするわよ」

「母親だろう!」

「不思議なことを言うのね。私のことが嫌いで母親だと思っていないからそんな態度をとっているのよね?」

「っ!」

「安心して。目障りだったんでしょう?消えてあげるわ。
貴方を産んだ母がいたことは忘れていいわ。
貴方の父親が若くて綺麗な継母を連れてきてくれるから。

乗らないと出発するわよ」

戸惑うケヴィンは義母が先に乗る馬車に乗った。

バタン

ドアを閉めると驚くケヴィンを無視してもう一台の馬車に乗った。

そして一泊2日をかけて王都の屋敷に向かった。

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