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結婚と出産
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やっとパーティが終わった…というか1時間で退席した。食べ悪阻で良かった。だけどずっとトマトを食べている新婦は異様だったかもしれない。ジーンくんも私が妊娠したと知った日から禁酒している。パーティの最中でもジーンくんはトマトジュースを飲んでいた。
私室でドレスを脱がしてもらっていた。
でも、侍女の様子がおかしい。
「どうしたの?」
「……」
「いいのよ。言ってちょうだい」
「ユリナ様は今 悪阻はいかがですか」
「トマトがあるから大丈夫よ」
「実は、ジーン殿下ですが、ユリナ様のお力で人気がございます。ユリナ様が身重の今、殿下を狙う令嬢が複数おります」
「つまり、パーティで席を外すのは危険だと言いたいのね?」
「ジーン殿下がユリナ様を愛していらっしゃることは承知しておりますが、閨事をお休みしていますので間違いがあってはと…」
「アナリスは殿下が欲に負けると思う?」
「私はただ、ユリナ様を失いたくないのです。1%の危険を排除したいのです」
「メイド服を持ってきて」
「ユリナ様?」
「潜入よ」
「はい!」
メイド服は締め付けがなく楽だった。ポケットに小さなトマトを入れた袋を忍ばせた。
アナリスもメイド服を着てついてきてくれた。
警備の兵士は不審な私達をいち早く見つけたけど、ユリナとアナリスだと分かると合図を送り合い、見逃してくれた。
「ジーン子爵様、うちの娘は17歳で器量良しです」
「うちの娘は18歳で刺繍が得意ですのよ」
「うちの娘は18歳ですが殿下を満足させられます」
親が娘を差し出すようにジーンくんに勧めていた。
一人目は顔がとても可愛い。二人目は確か侯爵令嬢。三人目は男爵令嬢だけど胸がとても大きくてお尻も…。
「グスン」
「ユ、ユリナ様!?」
「ジーンくんが浮気してるぅ」
私が泣き出したのでジーンくんが振り向いた。
え!?って顔をしながら駆け寄った。
「ユリナ!?何でメイド服なんか」
「ジーンくんの浮気調査に来たら…本当に浮気してたぁ~」
「ち、違うよ、ユリナっ」
「実家に帰るぅ~」
「違う!絶対に違う!」
「痛っ!」
「ユリナ様!」
「ユリナ!!」
「お腹が痛いっ」
そこからさらに騒ぎになり、ジーンくんは私を抱き上げて急いでお医者様の元に運んだ。
「ううっ…」
「ユリナ様、泣き止んでください。お腹の子が悲しんでいますよ」
「でもジーンくんが顔の可愛い女の子と身分の高い女の子とお乳の大きな女の子に囲まれてっ」
お医者様はジロっとジーンくんを睨んだ。
「ち、違う!」
「しかもみんな私より若いしっ」
「ユリナ以外興味は無い」
「殿下、ユリナ様は大事な時期なのですよ」
「だから違うんだ!」
「我々はユリナ様の味方ですからね」
「分かってる。それで、どうなんだ」
「負担がかかったのでしょう。流産の気配がございます。今から安静にしていただきます。ユリナ様はこちらでお預かりいたします」
「ユリナ…」
「ふん!」
その日からジーンくんはアナリスに自分の監視をさせて私に報告させた。
あの三家には“お前達のせいでユリナが流産し掛けた、どう責任を取るつもりだ”と抗議文を送り、王太子夫妻からも“夫婦となった二人を祝うパーティで新郎に女を充てるとは!”と3年間の王都への立ち入りを令嬢にだけ禁じた。
ジーンくんは徹底して私の不安を取り除き、ついに私は出産した。
ジーンくんにそっくりの男の子だった。
息子レイが一歳になる頃に、閨事を再開した。
もっと早くても良かったのだけど、ジーンくんが産後一年と決めたのだ。
「ジーンくんっ」
「久しぶりだから止められそうにない」
ジーンくんの抱き方はいつも私を気持ち良くするためという感じ。だけど今夜は 私との初めての時より余裕が無さそうだ。
ん?つまりあの時は久しぶりじゃなかった?
「ユリナ?」
「ジーンくんがぁ~」
「待って!待ってユリナ!俺浮気してない!」
「ばかぁ~」
泣きながら抓る私を止めもせずジーンくんは抱き続けた。
「ユリナは嫉妬深いな」
「ふん!」
「やましい事など微塵も無い。いつでも抜き打ち検査をしてくれて構わない」
「……」
「今ではユリナの嫉妬は俺への愛情の表れだと分かってるから嬉しいけど、俺から離れるのは許さないからな」
翌朝、抓った痕が残っていて、王太子殿下に笑われた。
「激しいキスマークだな、ジーン」
「違います。これはユリナが抓った痕です」
「………ユリナ?」
「兄上、ユリナは嫉妬していたのです。抓られるくらい可愛いものです」
「そうですわ。抓るだけで済むなら可愛いではありませんか。私ならペーパーナイフで貫くかもしれませんけど」
「それなら安心だ。貫かれるような事はしていないからな」
「ふ~ん。そうかしら」
政略結婚のはずの王太子夫妻も案外仲の良いカップルだと思う。
私室でドレスを脱がしてもらっていた。
でも、侍女の様子がおかしい。
「どうしたの?」
「……」
「いいのよ。言ってちょうだい」
「ユリナ様は今 悪阻はいかがですか」
「トマトがあるから大丈夫よ」
「実は、ジーン殿下ですが、ユリナ様のお力で人気がございます。ユリナ様が身重の今、殿下を狙う令嬢が複数おります」
「つまり、パーティで席を外すのは危険だと言いたいのね?」
「ジーン殿下がユリナ様を愛していらっしゃることは承知しておりますが、閨事をお休みしていますので間違いがあってはと…」
「アナリスは殿下が欲に負けると思う?」
「私はただ、ユリナ様を失いたくないのです。1%の危険を排除したいのです」
「メイド服を持ってきて」
「ユリナ様?」
「潜入よ」
「はい!」
メイド服は締め付けがなく楽だった。ポケットに小さなトマトを入れた袋を忍ばせた。
アナリスもメイド服を着てついてきてくれた。
警備の兵士は不審な私達をいち早く見つけたけど、ユリナとアナリスだと分かると合図を送り合い、見逃してくれた。
「ジーン子爵様、うちの娘は17歳で器量良しです」
「うちの娘は18歳で刺繍が得意ですのよ」
「うちの娘は18歳ですが殿下を満足させられます」
親が娘を差し出すようにジーンくんに勧めていた。
一人目は顔がとても可愛い。二人目は確か侯爵令嬢。三人目は男爵令嬢だけど胸がとても大きくてお尻も…。
「グスン」
「ユ、ユリナ様!?」
「ジーンくんが浮気してるぅ」
私が泣き出したのでジーンくんが振り向いた。
え!?って顔をしながら駆け寄った。
「ユリナ!?何でメイド服なんか」
「ジーンくんの浮気調査に来たら…本当に浮気してたぁ~」
「ち、違うよ、ユリナっ」
「実家に帰るぅ~」
「違う!絶対に違う!」
「痛っ!」
「ユリナ様!」
「ユリナ!!」
「お腹が痛いっ」
そこからさらに騒ぎになり、ジーンくんは私を抱き上げて急いでお医者様の元に運んだ。
「ううっ…」
「ユリナ様、泣き止んでください。お腹の子が悲しんでいますよ」
「でもジーンくんが顔の可愛い女の子と身分の高い女の子とお乳の大きな女の子に囲まれてっ」
お医者様はジロっとジーンくんを睨んだ。
「ち、違う!」
「しかもみんな私より若いしっ」
「ユリナ以外興味は無い」
「殿下、ユリナ様は大事な時期なのですよ」
「だから違うんだ!」
「我々はユリナ様の味方ですからね」
「分かってる。それで、どうなんだ」
「負担がかかったのでしょう。流産の気配がございます。今から安静にしていただきます。ユリナ様はこちらでお預かりいたします」
「ユリナ…」
「ふん!」
その日からジーンくんはアナリスに自分の監視をさせて私に報告させた。
あの三家には“お前達のせいでユリナが流産し掛けた、どう責任を取るつもりだ”と抗議文を送り、王太子夫妻からも“夫婦となった二人を祝うパーティで新郎に女を充てるとは!”と3年間の王都への立ち入りを令嬢にだけ禁じた。
ジーンくんは徹底して私の不安を取り除き、ついに私は出産した。
ジーンくんにそっくりの男の子だった。
息子レイが一歳になる頃に、閨事を再開した。
もっと早くても良かったのだけど、ジーンくんが産後一年と決めたのだ。
「ジーンくんっ」
「久しぶりだから止められそうにない」
ジーンくんの抱き方はいつも私を気持ち良くするためという感じ。だけど今夜は 私との初めての時より余裕が無さそうだ。
ん?つまりあの時は久しぶりじゃなかった?
「ユリナ?」
「ジーンくんがぁ~」
「待って!待ってユリナ!俺浮気してない!」
「ばかぁ~」
泣きながら抓る私を止めもせずジーンくんは抱き続けた。
「ユリナは嫉妬深いな」
「ふん!」
「やましい事など微塵も無い。いつでも抜き打ち検査をしてくれて構わない」
「……」
「今ではユリナの嫉妬は俺への愛情の表れだと分かってるから嬉しいけど、俺から離れるのは許さないからな」
翌朝、抓った痕が残っていて、王太子殿下に笑われた。
「激しいキスマークだな、ジーン」
「違います。これはユリナが抓った痕です」
「………ユリナ?」
「兄上、ユリナは嫉妬していたのです。抓られるくらい可愛いものです」
「そうですわ。抓るだけで済むなら可愛いではありませんか。私ならペーパーナイフで貫くかもしれませんけど」
「それなら安心だ。貫かれるような事はしていないからな」
「ふ~ん。そうかしら」
政略結婚のはずの王太子夫妻も案外仲の良いカップルだと思う。
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