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【リリー】罰
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【リリーの視点】
数ヶ月前のパーティの あの夜、
『ロジェ様』
『思う存分抱きたい』
『抱いてください』
深い口付け、熱い愛撫、そして
『我慢できない…性急だけど』
『っ!!』
一気に貫かれて裂けるような痛みが走った。
『…いつもと違うな』
『え?』
『いつも溶けそうに気持ちいいのに…』
『っ!』
もしかして……
『急ぎ過ぎて準備が足りなかったか?』
『ロジェ様?』
『ユリナ、今日は思うがままにさせて欲しい』
『っ!!』
やっぱり、私とあの女を間違えてる!
しかも何度も交わっている口ぶりだわ!
願望を曝け出させる幻覚剤…本気であの女を愛しているの!?
『ユリナ、愛してる』
そう言いなが脚を更に広げた。
怖い!!
『いっ!!』
容赦なく、深く強く乱暴に腰を突き立てられ痛くて仕方ない。
早く終わって!ナカに注いで!
『ごめん、今日はおかしい。興奮しているのに…時間かかるかも』
『……』
つまり、あの女の体ならすぐに達して、私のナカは具合が良くないから時間がかかるということだ。
屈辱と痛みの中、体位を変えつつ揺さぶられ続けてやっと、ロジェ様はナカから抜くと お腹の上に吐精してサッと拭いた。
その後 ロジェ様は挿入無しで性器同士を擦り合わせて吐精し、また都度サッと拭いた。
外に出した精液を指で掬ってナカに入れようにも しっかり拭き取られて使えない。
だとしたら、行為中の僅かな漏れで妊娠することを祈るしかない。
ロジェ様が眠ると、メイドに強めの痛み止めを持って来させた。
下腹部には強めの鈍痛が、ナカや入口には別の痛みが襲い我慢できない。
飲んでしばらくすると痛みが和らいできた。
ベッドに戻り目を閉じた。
翌朝、目覚めたロジェ様は唖然としていた。
『おはよう、ロジェ様。昨夜は素敵な夜でしたわ』
『何でお前が』
『此処はフォンヌ邸です。居て当然ですわ。朝食を食べたら私達の今後について話し合いましょう?』
『帰る』
『ロジェ様っ』
『俺がお前など抱くわけがない』
『よく見て!』
シーツの赤い証を見せた。
『……俺はユリナしか愛していない』
引き留めることはできず、涙が溢れた。
そして結局月のモノは来てしまった。
そんなことを思い出していると、王宮メイドが私の身支度を始めた。
そういえば、何故 王女はあんなに積極的に介入なさったのだろう。
身支度を終えて兵士に連れて来られた場所は、初めて入る謁見の間だった。
「こ、国王陛下にご挨拶を申し上げます。フォンヌ公爵家、」
「よい。黙って父親の側に立ち、質問されたことにのみ答えなさい」
「かしこまりました」
険しい顔のお父様の側に立つと直ぐにエンヴェル侯爵とロジェ様は入室して挨拶をした。
他にも何人か入室し終わると陛下の横に立つ人が口を開いた。
「これより、リリー・フォンヌ公爵令嬢による薬物使用疑惑と偽証による2つの家門への損害について裁きを行います」
え? 裁き!?
「リリー・フォンヌは長い間、ロジェ・エンヴェル殿に懸想をし 執着し続けました。令息が他のご令嬢と婚約するとリリー・フォンヌは、諦めるためだと令息を呼び出し、パーティの最中に酔ったフリをして部屋に連れて行かせました。令息は幻覚剤を盛られ自身の婚約者だと勘違いをしてリリー・フォンヌと交わりました。
その後、リリー・フォンヌは社交に出ては 令息と交わったと言いふらし、ついには婚約者ユリナ・リシュー嬢に令息の子を孕んだと言って別れるよう迫りました。
結果、ロジェ・エンヴェル殿は婚約を破棄され、エンヴェル家はエンヴェルカットの使用権を失い、受注のキャンセルをした後、カットしてある宝石を以前の古いカットに研磨しなおすことになりました。
宝石の価値の減少による損失、キャンセルにかかる違約金、婚約者への慰謝料も合わせるとかなりの損害を被ることになります。
特にエンヴェルカットは商品登録がなされているため、将来得られる利益損失も莫大なものとなります。
ちなみに、王女殿下が結婚式につけるために依頼していたエンヴェルカットの宝石を使用したティアラやネックレス、イヤリングなどもキャンセルとなりました。
リリー・フォンヌの当時の専属メイドに聴取後、リリー・フォンヌの部屋から捜索しました。
結果、金庫の中から幻覚剤が出てきました。瓶の中の幻覚剤は明らかに減っておりました。
そして専属メイドが命じられて購入した先の医師の助手の部屋を捜索しました。帳簿と大金と幻覚剤が見つかりました。
明らかにリリー・フォンヌの企てによるものだと裏付けが取れましたので、貴族へ無断で幻覚剤を飲ませたこと、それによる婚約破棄と慰謝料と事業への大損失の罪に問います」
罪…
「リリー、お前はなんて事をしてくれたのだ!」
「お父様」
「しつこく諦めないお前が、パーティに呼んでくれたら最後の想い出にして諦めるというから招待したのに幻覚剤を盛った?」
「……」
「何のために厳しい教育をさせたと思っているんだ。そんなことはしてはいけないと習ったろう」
「ロジェ様に相応しいのは私ですわ!あの女ではありません!私は美しい公爵令嬢なのに対し、あの女は平凡な容姿のパッとしない子爵家の令嬢ではありませんか!デザインを提供したというのなら、対価をお金で払うだけでいいのです!何故婚約なんか!
有り得ませんわ!!」
「リリー!」
「何年も“ロジェと呼ぶな”と言っても改めないし、しつこく誘ってくるし、何なんだよ。
美しい? あんたの腐った性根が滲み出ていて、とても美人だなんて思えないんだよ。
あんたに大した価値は無いぞ?美しさだけで勝負するなら数年間の愛人止まりが普通だろう。
確かにフォンヌ公爵令嬢だが、こんなことを許す家門と縁を繋ごうだなんて思うわけがない。
いいか、よく聞け。
俺がユリナを好きになったのは、ユリナが宝石の新たなカットを考案したからでも、それをエンヴェルに提供してくれたからでもない。その才能を知る前から俺はユリナが好きだった。ユリナが俺に言い寄らず、学友として接してくれたことや、賢いところや身分で差別しないところを好きになったんだ。彼女との会話が楽しくて、彼女の作り出す空気が心を穏やかにさせて、彼女の笑顔が俺の胸を弾ませる。
ユリナは身分差を理由に俺の求婚を何度も断った。そのユリナをやっと手に入れたのに、あんたのせいで逃げられた。ユリナは傷付き国を出た。
俺は絶対に許さないぞ。俺の体を汚したことも、ユリナを失わせたことも。
一度でもあんたのナカに入ったと思うと気持ち悪くて仕方ない!切り落としたい気分になる!」
「ううっ…」
「ふざけるな!泣きたいのはこっちだ!」
「うちの娘が申し訳ございません」
「取り返しがつかないんですよ、公爵。
あんな良い子を嫁に迎えられると喜んでいたのに」
「フォンヌ公爵家でできる限りの償いをします」
「では、沙汰を言い渡す。
フォンヌ公爵家はエンヴェル侯爵家が支払う慰謝料全額、キャンセルの損害全額、カット済みの宝石の再加工費用とそのために小さくなった宝石の価格差全額、そしてキャンセル分とエンヴェルカットの売り上げ分を足して その総額の半分を100年間 毎年エンヴェル家に支払うよう命じる。
リリー・フォンヌは貴族籍から抜いて貴族社会からの永久追放を言い渡す」
え!?
「仰せの通りにいたします」
お父様が承諾してしまった。
「ただ、侯爵家の子を孕んでいるとなれば放置することはできまい。両家で話し合うように」
陛下と王女達は退室した。
数ヶ月前のパーティの あの夜、
『ロジェ様』
『思う存分抱きたい』
『抱いてください』
深い口付け、熱い愛撫、そして
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『っ!!』
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『え?』
『いつも溶けそうに気持ちいいのに…』
『っ!』
もしかして……
『急ぎ過ぎて準備が足りなかったか?』
『ロジェ様?』
『ユリナ、今日は思うがままにさせて欲しい』
『っ!!』
やっぱり、私とあの女を間違えてる!
しかも何度も交わっている口ぶりだわ!
願望を曝け出させる幻覚剤…本気であの女を愛しているの!?
『ユリナ、愛してる』
そう言いなが脚を更に広げた。
怖い!!
『いっ!!』
容赦なく、深く強く乱暴に腰を突き立てられ痛くて仕方ない。
早く終わって!ナカに注いで!
『ごめん、今日はおかしい。興奮しているのに…時間かかるかも』
『……』
つまり、あの女の体ならすぐに達して、私のナカは具合が良くないから時間がかかるということだ。
屈辱と痛みの中、体位を変えつつ揺さぶられ続けてやっと、ロジェ様はナカから抜くと お腹の上に吐精してサッと拭いた。
その後 ロジェ様は挿入無しで性器同士を擦り合わせて吐精し、また都度サッと拭いた。
外に出した精液を指で掬ってナカに入れようにも しっかり拭き取られて使えない。
だとしたら、行為中の僅かな漏れで妊娠することを祈るしかない。
ロジェ様が眠ると、メイドに強めの痛み止めを持って来させた。
下腹部には強めの鈍痛が、ナカや入口には別の痛みが襲い我慢できない。
飲んでしばらくすると痛みが和らいできた。
ベッドに戻り目を閉じた。
翌朝、目覚めたロジェ様は唖然としていた。
『おはよう、ロジェ様。昨夜は素敵な夜でしたわ』
『何でお前が』
『此処はフォンヌ邸です。居て当然ですわ。朝食を食べたら私達の今後について話し合いましょう?』
『帰る』
『ロジェ様っ』
『俺がお前など抱くわけがない』
『よく見て!』
シーツの赤い証を見せた。
『……俺はユリナしか愛していない』
引き留めることはできず、涙が溢れた。
そして結局月のモノは来てしまった。
そんなことを思い出していると、王宮メイドが私の身支度を始めた。
そういえば、何故 王女はあんなに積極的に介入なさったのだろう。
身支度を終えて兵士に連れて来られた場所は、初めて入る謁見の間だった。
「こ、国王陛下にご挨拶を申し上げます。フォンヌ公爵家、」
「よい。黙って父親の側に立ち、質問されたことにのみ答えなさい」
「かしこまりました」
険しい顔のお父様の側に立つと直ぐにエンヴェル侯爵とロジェ様は入室して挨拶をした。
他にも何人か入室し終わると陛下の横に立つ人が口を開いた。
「これより、リリー・フォンヌ公爵令嬢による薬物使用疑惑と偽証による2つの家門への損害について裁きを行います」
え? 裁き!?
「リリー・フォンヌは長い間、ロジェ・エンヴェル殿に懸想をし 執着し続けました。令息が他のご令嬢と婚約するとリリー・フォンヌは、諦めるためだと令息を呼び出し、パーティの最中に酔ったフリをして部屋に連れて行かせました。令息は幻覚剤を盛られ自身の婚約者だと勘違いをしてリリー・フォンヌと交わりました。
その後、リリー・フォンヌは社交に出ては 令息と交わったと言いふらし、ついには婚約者ユリナ・リシュー嬢に令息の子を孕んだと言って別れるよう迫りました。
結果、ロジェ・エンヴェル殿は婚約を破棄され、エンヴェル家はエンヴェルカットの使用権を失い、受注のキャンセルをした後、カットしてある宝石を以前の古いカットに研磨しなおすことになりました。
宝石の価値の減少による損失、キャンセルにかかる違約金、婚約者への慰謝料も合わせるとかなりの損害を被ることになります。
特にエンヴェルカットは商品登録がなされているため、将来得られる利益損失も莫大なものとなります。
ちなみに、王女殿下が結婚式につけるために依頼していたエンヴェルカットの宝石を使用したティアラやネックレス、イヤリングなどもキャンセルとなりました。
リリー・フォンヌの当時の専属メイドに聴取後、リリー・フォンヌの部屋から捜索しました。
結果、金庫の中から幻覚剤が出てきました。瓶の中の幻覚剤は明らかに減っておりました。
そして専属メイドが命じられて購入した先の医師の助手の部屋を捜索しました。帳簿と大金と幻覚剤が見つかりました。
明らかにリリー・フォンヌの企てによるものだと裏付けが取れましたので、貴族へ無断で幻覚剤を飲ませたこと、それによる婚約破棄と慰謝料と事業への大損失の罪に問います」
罪…
「リリー、お前はなんて事をしてくれたのだ!」
「お父様」
「しつこく諦めないお前が、パーティに呼んでくれたら最後の想い出にして諦めるというから招待したのに幻覚剤を盛った?」
「……」
「何のために厳しい教育をさせたと思っているんだ。そんなことはしてはいけないと習ったろう」
「ロジェ様に相応しいのは私ですわ!あの女ではありません!私は美しい公爵令嬢なのに対し、あの女は平凡な容姿のパッとしない子爵家の令嬢ではありませんか!デザインを提供したというのなら、対価をお金で払うだけでいいのです!何故婚約なんか!
有り得ませんわ!!」
「リリー!」
「何年も“ロジェと呼ぶな”と言っても改めないし、しつこく誘ってくるし、何なんだよ。
美しい? あんたの腐った性根が滲み出ていて、とても美人だなんて思えないんだよ。
あんたに大した価値は無いぞ?美しさだけで勝負するなら数年間の愛人止まりが普通だろう。
確かにフォンヌ公爵令嬢だが、こんなことを許す家門と縁を繋ごうだなんて思うわけがない。
いいか、よく聞け。
俺がユリナを好きになったのは、ユリナが宝石の新たなカットを考案したからでも、それをエンヴェルに提供してくれたからでもない。その才能を知る前から俺はユリナが好きだった。ユリナが俺に言い寄らず、学友として接してくれたことや、賢いところや身分で差別しないところを好きになったんだ。彼女との会話が楽しくて、彼女の作り出す空気が心を穏やかにさせて、彼女の笑顔が俺の胸を弾ませる。
ユリナは身分差を理由に俺の求婚を何度も断った。そのユリナをやっと手に入れたのに、あんたのせいで逃げられた。ユリナは傷付き国を出た。
俺は絶対に許さないぞ。俺の体を汚したことも、ユリナを失わせたことも。
一度でもあんたのナカに入ったと思うと気持ち悪くて仕方ない!切り落としたい気分になる!」
「ううっ…」
「ふざけるな!泣きたいのはこっちだ!」
「うちの娘が申し訳ございません」
「取り返しがつかないんですよ、公爵。
あんな良い子を嫁に迎えられると喜んでいたのに」
「フォンヌ公爵家でできる限りの償いをします」
「では、沙汰を言い渡す。
フォンヌ公爵家はエンヴェル侯爵家が支払う慰謝料全額、キャンセルの損害全額、カット済みの宝石の再加工費用とそのために小さくなった宝石の価格差全額、そしてキャンセル分とエンヴェルカットの売り上げ分を足して その総額の半分を100年間 毎年エンヴェル家に支払うよう命じる。
リリー・フォンヌは貴族籍から抜いて貴族社会からの永久追放を言い渡す」
え!?
「仰せの通りにいたします」
お父様が承諾してしまった。
「ただ、侯爵家の子を孕んでいるとなれば放置することはできまい。両家で話し合うように」
陛下と王女達は退室した。
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