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王太子殿下の危機

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目覚めた後、5日療養という名の休息をした。まぁ、打身で痛かったからね。

痣はまだまだ消えていないが、綺麗に治るだろう。傷は軽い擦り傷程度しかなかった。

途中、ロバートがまた見舞いという名の偵察に来たが追い返してもらった。
わざとではなくてもロバートが押して転落したから私の証言が気になるのだろう。

花なんか持ってきて気持ち悪い。
だが、花に罪はない。私の部屋以外に飾ってもらった。





療養最終日、ケイン兄様から事情を聞いたクロエ様がお見舞いに来てくださった。
意識の無い間に二度来てくれていたらしい。

「聞いたわ!レイノルズ公爵家は立場がわかっていないようね。こちらから圧力をかけてもいいのよ」

「クロエ様、大丈夫ですわ。ロバート様にはパトリシア様と結ばれて欲しいのです。それがロバート様の破滅へと繋がりますから」

「ニーナは何か知っているのだな?」

「はい!兄様。とっておきの秘密が暴かれますわ」

「そうか。後は王太子殿下が回復なさればな」

「青熱病の薬は投与してるのに治るどころか少しずつ悪化していて…」

!!

そうだ!王太子殿下の葬儀もイベントのひとつだった!葬儀は…1ヶ月切ってる!!

「クロエ様!王太子殿下は白目が青っぽくなって高熱が出ているから青熱病と診断されたのですよね」

「ニーナちゃん、よく知っていたわね」

「先月、2つ先の国から訪問がありませんでしたか!その国特有の熱病を発症していた方がいるかもしれません…というより居ます!
確認と共に特効薬を貰ってきてください!」

「ニーナ、何を言っているんだ」

「確かにいらしたわ。でも具合の悪そうな人は…」

「潜伏期間が長いのです!母国でかかり、王太子殿下と会った頃には少しずつ発症し、帰路で本格的に症状が顕著に出ているはずです!

一番早い馬と騎士で向かってください!貰って帰ってくる頃にはもう効くかどうかギリギリかもしれません!」

「ケイン様、急いで王宮に戻ります!」

「でも、違ったら…」

「ニーナちゃんの推測が合っていたら、お兄様が命を落とすと言うことです!」

そう。症状が酷似しているが、医師が青熱病の治療しかしていないのは、持ち込まれた病がその国でしか感染しないものだったから。

多分、土産で食した物と菌との組み合わせなのだろう。

そしてその具合の悪くなった人は、怖くて言い出せないまま、帰路の途中で崖から転落して死んでしまった。一行も崖下まで確認をせず国へ帰ってしまった。

帰って、他にもうつされた人が出て、事態を把握し、訪問先の事に気が付き医者や薬師の一行を送り込んだ時は手遅れで、王太子殿下は亡くなった。

殿下の他にはひとり発病者がいただけだったが、王宮は一時閉鎖して、王太子や一行と直接会った者には薬を飲ませた。

この出来事で、両国は断絶をすることとなる。

イベントは葬儀にロバートがパトリシアを伴って参列した時に第二王子殿下と出会い、落ち込む殿下に声を掛けて目にとまり恋仲となる。

ロバートは嫉妬に狂い、殿下に毒を飲ませて殺害し処刑されるバッドエンド。

なんとか間に合うといいけど。

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