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エストフラムへの復讐

王宮パーティの招待

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「ノエリア!」

名前を呼ばれて振り向くと教室の入り口に手招きするセヴランと余計な二人が立っていた。

仕方なく席を立つとカインもついて来た。

「(念のため付き添うよ)」

「(ありがとう)」



セヴランの元へ行くと封筒を渡された。
裏を見ると王家の蝋印があった。

ノエリアは心の中で最大な溜息をついた。

「これ、建国記念のパーティの招待状。
もう皆には3ヶ月くらい前に届いているけど、ノエリアは来たの最近だろう。

2週間後だけどこれは出席して欲しい」

「分かりました。では」

「待ってノエリア!エスコートは誰か頼む人いるのか」

「失礼ですが、どなたですか?
面識がないし許してもいないのにノエリアと呼ばないでください。

学校ではロネさんと。外では伯爵令嬢とお呼びください」

「いいだろう。俺はビクトル・カスタ。ビクトルと呼んでくれよノエリア」

「カスタさん、初対面ですけど」

「関係ない。ビクトルと呼んでくれ」

「初対面でも貴方のことはビクトルと呼ぶべきなのですね?」

「そうだ」

「呼ばれても怒りませんね?」

「むしろ嬉しい」


ノエリアは振り返り教室の皆に呼びかけた。

「みなさ~ん!注目!

カスタさんは初対面でもビクトルと呼ばれることを希望なさってます!是非今日からビクトルと呼んであげてください!
呼ばれると嬉しいそうですよー!」

「なっ!!」

「では、授業の準備がありますので。
パルテオさん、セヴラン、ビクトル、失礼しますわね」

「ちょっと待て!」

手を伸ばすビクトルの前にカインが立ち塞がった。

「ノエリアに触るな」

「俺は公爵家の者だぞ!」

「そうだな。ビクトルは公爵家の子息だ。
本人が初対面でもビクトルと呼ぶべきなのかという問いに、そうだと答えたんだ」

「そんなの…」

「“ロネさん”と敬意を払うべきだったな。
不躾過ぎて教室中の生徒が驚いているよ。
カスタ家の教育方針だと思われるぞ」

「カイン!幼馴染だろう!」

「だからこそ言わなきゃいけない。
敬意を払え」

「っ!」

「カイン、ありがとう。私は素敵なお友達をもてたのね。すごく嬉しいわ」

「ビクトル!」

王太子殿下が低い声でビクトルと呼ぶとバツが悪そうに謝罪をした。

「申し訳ない。ロネさん」

「カスタさん。貴方は友人に恵まれていますわ。大事になさってくださいね」

「ロネさん。出席ということでいいか?」

「はい、パルテオさん。態々ありがとうございます」

「ルールを知りたければ、」

「カインやベアトリスに教わります」

「友人ができていて良かった。困ったことがあれば言ってくれ。カインだと不安だ」

「ふふっ。大丈夫ですわ。多分当日は多少の粗相は許されそうですから」

「どういう意味だ?」

「当日のお楽しみです」

予鈴が鳴り、三人は特別クラスに戻って行った。



「ノエリア、びっくりしたわ!」

「ごめんなさい。あまりにも図々しいからついね」

「カスタ公爵令息に図々しいと言えるノエリアが怖いわ」

「ふふっ」

「それにしても、カイン格好良かった!」

「本当、素敵だったわ!」

「サッとノエリアを背に隠して対峙するんだもの。惚れるところだったわよ」

「ありがとう、カイン」

「は、恥ずかしいだろう!そんなに褒めるな!」

「あははっ!照れるカインはいつ見ても可愛い!」

四人でうんうんと頷くと、カインは席に座り顔を隠してしまった。

ニヤニヤが止まらない四人も席に着いた。





実は昨日、ファヴール王国のミシェル国王から手紙が届いていた。

“愛しのノア

元気にしているか?

其方に手紙を出したらエストフラムの学校へ通っていると知らせが届いた。
 
今はノエリア・ロネだと聞いた。
留学するならファヴールにして欲しかった。  

実は建国記念のパーティに呼ばれていてパーティの数日前に王宮に着く予定だ。

同じホテルに泊まりたかったが泊まる部屋がないらしい。
ノエリアと同じ部屋でいいんだけどな。

是非愛しいノエリアをエスコートしたい。
パートナー枠を空けておいてくれ。

他の男をパートナーにしていたら許さないからな。

宝飾品を用意する。

ミシェル”


支配欲が強そうな子だなぁと思っていたが、招待状をもらってパートナーは決まってしまったなと覚悟を決めた。


どうやらベアトリスは参加できないらしい。
子爵家や男爵家は当主夫妻のみ。
子爵男爵の子が出席するには伯爵家以上の婚約者のパートナーと一緒でないと駄目らしい。

ベアトリスと婚約者は男爵令息だった。


放課後にカフェでカインにルールを教わることになった。

「パートナーはいるのか」

「いるみたい」

「みたいってなんだ。婚約者じゃないんだよな」

「知り合い?友人?そんな感じ。
カインは婚約者と参加するんでしょう」

「そうなるな」

「挨拶できるようなら紹介してね」

「……そうだな」

「もし、パートナーが頼りなさそうなら僕を探し出してくれ。側にいれば守るから」

「ありがとう、カイン。
でも大丈夫よ。強気な子だから」

「歳下か?」

「そうなの。可愛いけど偉そうなのよ。
当日、他国の人ってどのくらい来るの?」

「中央は駄目だし、西は微妙だから呼んでないみたいだ。南からは新国王陛下、フロワからは第二王子殿下が来るらしい」

王太子妃はご懐妊だったから第二王子に任せたのだが…

「大丈夫かなぁ」

「何が?」

「いや、婚約者と来るのかなって」

「親しいのか?」

「何度か話したくらいかな。王子殿下の方は。

カインと婚約者はどんな感じなの?」

「気になる?」

「それによって会話が変わるから」

「政略でもないし恋愛でもない。遠縁で幼馴染だな。タウンハウスが隣なんだ」

「それもいいわね」

「そうかな。流されて結んだ婚約なだけだ」

「カイン?」

「ダンス申し込むから」

「あ~!!」

「どうした!?」

「私、ダンスダメだわ」

「は?伯爵令嬢だろう」

「ちょっと忙しくて暫く踊ってないの」

「土日、うちに来い。講師呼んでやるから」

「でも…悪いよ」

「遠慮してる場合じゃないだろう!
特訓だ、特訓!着替えも持ってこい」

「…お願いします」










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