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雪解け

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ローズ様の言葉を別棟で考えていた。

翌日、私は実家に行き、サシャ様の日記を読んだ。

“アリエルを愛している。アリエルとの子が欲しいがそんなことを口にして振られたら困る”

“アリエルと気持ちの温度差があるのは分かっている。だけど彼女以上に愛せる女に出会うことは無いだろう”

“アリエルに告げてみた。振られることはなかった”

“明日、思い切ろう。受け入れてもらえなければ諦めよう。アリエルに嫌われたくない”

“こんなに幸せな時を過ごせるとは思ってもいなかった。受け入れてもらえて良かった”

“できるまでどのくらいかかるのだろうか。
デリケートな問題だから触れてはいけない。
私はただアリエルを愛するだけ”

“子は2人は欲しいな。産んでくれるかな”

“今度近場の旅行に誘ってみよう”


まだまだ涙は出てくるけど決意は固まった。





フェリング邸に帰ると、泣いたあとが分かる私を心配してカイゼルがソワソワしていた。

「カイゼル、座って。大事な話があるの」

「……別れないよ。絶対別れない。付き纏うから」

「別棟を出ようと思うの」

「敷地から出さないからな」

「本邸に移ろうと思う」

「えっ」

「あそこは仕事と子供の遊び場にして、本邸に移ろうと思う」

「本邸で寝泊まりするってこと?」

「そうなるわね」

「旧別棟を改装しましょう」

「愛人は作らない」

「来客が泊まる場所にするのよ」

「いいの?」

「うん」

「あと、今夜は初夜よ」

「アリエル!?」

「嫌?」

「後悔しないか?」

「後悔させるつもりなの?」

「まずい!鍛えてない!身体が緩んでる!」

「馬鹿ね」

「今夜!?」

「今夜」

「シルビア!! シルビア!!」

「大声でメイド長を呼ばないで!」

「旦那様、お呼びでしょうか」

「夫婦の寝室と続き部屋を今すぐに掃除させて整えてくれ。今夜から移り住む」

「奥様! ううっ」

「メイド長、泣かないで!」

「やっとこの日が…この馬鹿な旦那様にチャンスをくださるのですね」

「シルビア、もっと違う言い回しはできないのか」

「ああ、急がねば!」

そう言って早歩きで去っていった。


夕食後、入念に2人とも磨かれた。

「メモに書きましたが、呼び鈴を2回ずつ鳴らせば湯浴み、3回ずつは食事、連続で鳴らせば走ってきます」

「わ、分かった」

「旦那様、くれぐれも優しく丁寧に。事が済んでも奥様が眠りにつくまで寝てはなりません」

「そうか。分かった」

「昼まで出てこなくていいです。
ちゃんと愛を囁くのですよ」

「分かってるよ」

「旦那様は抜けてるところがありますから、浮かれて忘れるかもしれません。
奥様、旦那様に粗相がございましたら私が責任を持って対応させていただきますので遠慮なくお申し付けください」

「ありがとう」

「では、おやすみなさいませ」



メイド長が扉を閉めるとカイゼルはジュースを一気飲みした。

「アリエル」

カイゼルに近寄ると抱きしめられた。

「長い間、すまなかった。
私はアリエルが大好きだ!愛してる」

「カイゼル…シャーロットを可愛がってくれてありがとう」

「あんなにアリエルの恋人達に嫉妬していたのに不思議だ」

カイゼルは私のナイトドレスを脱がせると抱き上げてベッドに寝かせた。

カイゼルが服を脱ぎ、私にキスをした。

「カイゼル、ペット飼いたい」

「選びに行こう」




信じられなかった。私の身体は欠陥品だと思っていたのに解されカイゼルが性器を挿入した途端、今までとは全然違う快楽があった。

優しく気遣うカイゼルはすぐに果ててしまった。

「すまない。あれ以来無かったから出てしまった。もう一度いい?」

「ちょっとだけ待って」

数分待って再び挿入された瞬間、とんでもない刺激が走った。

「ああっ!!」

訳が分からず強い快楽に身体が仰け反り痙攣する。カイゼルは覆い被さり私を抑え込むように抱きしめ、呻き声を上げた。

「くっ……締まる……」



落ち着くと再開しようとするカイゼルの腕を掴み涙を流しながら言った。

「怖い……」

「何が?」

「なんなのあれ…」

「イったこと無いのか?」

「あれがそうなの?」

「はぁ~、アリエル」

「何!?」

「怖くない。気持ちよくなるだけだ。
何も考えずに受け入れればいい」

カイゼルはちょっと待ってといい棚からタオルを数枚出して私の下に敷いた。

そして再開した。

何度か達し、いつの間にか寝ていたようだ。

目を覚ますと外は明るく、カイゼルは眠っていた。

そっと起きようとすると抱きしめる腕に力が込められ引き寄せられた。

トイレに行きたくてなんとか解いてガウンを羽織り用を足す。
同時に沢山ドロッと出てきた。

途中から記憶がないけど、しっかり注がれたようだ。

戻るとカイゼルが目を覚ましていて手を広げて待っている。

側に行くと抱き寄せられた。そしてまた抱かれた。

快楽を与えられ脳が溶けそうだ。
注ぎ終わり 少し休むと私の頭に口付け、呼び鈴を鳴らした。食事の合図だった。


食事をしている間に湯の準備をしてもらい、食後にカイゼルが私を抱き上げて湯に一緒に浸かった。

「湯から上がったらまた抱きたい」

「私はちょっと…」

「不満だった?」

「気持ち良過ぎて何も考えられなくなっちゃう」

「それでいいんだ」


湯から上がるとまた抱かれた。今度は待ってと言っても待ってもらえず強制的に快楽を与えられ、いつの間にか気を失っていた。

後から聞くと、“ああ、最初も今朝も失神したな”と嬉しそうに言い、“悩んだけど失神したアリエルにちゃんと注いだから”と私の頬を撫でながら言った。



すぐに妊娠した。産まれたのは男の子だった。

カイゼル似の元気な赤ちゃんだった。

3年後に避妊具の使用を止めたらまたすぐ妊娠した。また男の子だった。

カイゼルは次男の妊娠が分かった後に手術を受けた。

“安心して気持ちよくなって”と手術痕を見せた。




シーファ夫妻もカイゼルの変わりように驚いていた。シャーロットが一歳未満の時に会いにきてくれていた。

「カイゼルは乳母に職替えしたのか?」

キャシリーはちょっと引いていた。

長男を妊娠したと知った時にはレオンスが

「カイゼルにアリエルを盗られた!」

とカイゼルを揶揄っていた。

フェリング家、ラクロワ家、バルトン家、シーファ家で仲良く交流するようになりすっかり貴族界で有名になった。


シャーロットが10歳の時にカイゼルが実の父ではないと告げた。だいぶ前から気付いていたようだ。

不安がないか聞くと、“コレで?” と苦笑いをした。

カイゼルの執拗な溺愛を得ていたらどうでもいいらしい。
シャーロットは思う存分甘えている。

婚約者を決めようとすると、カイゼルとシャーロットは結託した。

「嫁になど行かなくていい!アリエルの資産で遊んで暮らせ!」

「私はお父様から離れない!」

学園を卒業しても同じ調子だった。

長男は呆れていた。

しかし、その日はやってきた。
結婚したい人がいると恋人を連れてきたのだ。

拗ねたカイゼルは私を連れて別棟に4日引き篭もった。その間、蜜月の再来となったのを長男に気付かれて恥ずかしかった。


カイゼルはシャーロットの婚約者に婚前契約書を突き付けている。

「署名しなければ結婚は許さない」

相手は署名した。



長男が継ぐ時に引っ越そうと思ったが義父達が健在なので、王都の屋敷を買おうかと思っていた。

だが お嫁さんから別棟に住んではどうかと提案された。

私達はその代わり、敷地内別居にしてプライバシーを確保することを条件にした。
揉めたくないからね。

子爵はシャーロットが継いだ。継がせる前の莫大な個人資産は私が確保し、継いだ後は全てシャーロットのものだ。

王都の物件や宝石類は渡さなかった。宝石は長男と次男のお嫁さんにあげるつもりだ。
シャーロットは子爵領から希少石が採れるのだから構わないだろう。



引退後、まだまだ若い私達は時折旅を楽しんでいる。

「アリエル」

相変わらず、カイゼルは私から離れない。
そして結婚記念日は贖罪の日。
毎年カイゼルは謝罪をして感謝と愛を囁く。


そろそろ謝罪は要らないと言うつもりだ。


















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