【完結】夫とは閨を共にいたしません!

ユユ

文字の大きさ
上 下
12 / 15

今更?

しおりを挟む
翌日、アルナに侯爵に時間を指定するように伝えてもらうと昼食を一緒にと言われたようだ。

はぁ。愛人を追い出した次は昼食?どういうつもりだろう。




昼食の時間になると何故か侯爵が迎えに来た。

余命宣告でも受けたのかしら。

席に着き、誕生日は楽しかったかとか、欲しい物はないのかとか、行きたい所はないのかなど意味のない話ししかしない。

どれも初めて聞かれたけどね。

「毎年愛する家族と過ごせております」

「自分で手に入れています」

「ありません」


チラチラみて、何なのよ。
食事が終わりお茶が運ばれたので聞いてみた。

「お話とは何でしょう」

「……私はメリンダの嘘を間に受けて君に良くない印象を抱えていた。申し訳なかった」

「はあ」

「メリンダは実家に帰した。もう迎え入れる事はない」

「新しい愛人にはルールを説明してくださいね」

「……君と向き合いたいんだ、アリエル」

は?

「フォント嬢と付き合う以前より私に対して嫌悪感を示していらしたわ」

「あれも私が悪かった。劣等感と商科に行ったことが気に入らなかった」

「ここまで来たら無理ですわ。フェリング家と婚姻しましたが他人として距離を保って参りました。愛し合う夫婦にも、シーファ夫妻のようにも、前フェリング侯爵夫妻のようにもなれませんわ」

「試してもいないのにか」

「試す必要が私にはないからです。

私が何も感じずに貴方と結婚に至ったと思いますか?

何度も断った相手と婚約をしたのに待っていたのは冷遇ですよ?」

「償わせてくれないか」

「令嬢にとって大事な時期でしたのよ。
償えるものではありませんわ。
私は貴方を受け入れる気はありません」

「アリエルが初めて恋人を作った時にようやく気が付いたんだ。私はアリエルが好きなのだと」

「その好きな相手を妻にしておいて、愛人を住まわせ子作りをしていたのですよね」

「あの時はメリンダに裏の顔があるとは気付いてなくて、両家で新たな約束事をして、手遅れだと思ったんだ。

だけど今はメリンダに騙されてきたことを知って、このままではいたくないと思ったんだ」

「新しい愛人を迎えてください」

「アリエル!」

「結婚前なら考えたかも知れないけど、どの道、貴方が友人達に話していた会話を耳にした後では無理だわ」

「考え直してくれ」

「不満なら離縁なさって」

「離縁などしない!」

「婚前契約は守ってもらいます。ひとつでも破れば離縁が可能になりますわよ」

「アリエルだって子を持ちたいだろう!」

「フォント嬢が孕まなかったから私の体を使うと?
最低ね。どうしても産みたければ貴方以外の男性の子を産むわ」

「アリエル!」




引き止める侯爵を振り払い、間に執事を入れて別棟に帰ってきた。

「アルナ、戸締りは厳重にお願い」

「かしこまりました」




嫌なことは忘れようと3週間、子爵領に滞在した。

道中を含めると1ヶ月不在にしていた。

実家へ寄って土産を渡して報告をしてから フェリング邸の門をくぐる。

侯爵が走って飛び出してきた。
馬車が止まると手を差し伸べられた。

仕方なく手を取ると

「良かった…無事に帰ってきた…」

「大袈裟ですわ。長旅で疲れていますの。失礼しますわね」

そう言って別棟に入った。


領地から戻った事を知らせる手紙を出すとサシャ様から返信がもらえなかった。

1週間が経ち、心配にはなったが伯爵夫人と子供のいる屋敷に訪ねるわけにはいかない。
2週間が経過する前にやっと手紙が来た。

“他国にでかけていた。返事が遅くなってすまない。来週末に会おう”

安心して約束の日を待った。
その間にも侯爵は花を持ってきたりお菓子を買ってきたりしていた。

ドレスや宝石を贈ってくれるなと牽制しておいて良かった。




サシャ様との約束の日は泊まり予定を出しておいた。
馬車に乗る私を窓から悲しそうに見つめている。

早く愛人を迎えればいいのに。


待ち合わせの劇場に着くとサシャ様が待っていた。馬車を帰して劇場に入った。
少し雰囲気が違う気がするが気のせいだろうか。

その後食事をしてホテルに向かった。

今日は特別室を予約していたようだ。
シャンパンまで用意してある。何かのお祝い?

身体を清めて部屋に戻るとサシャ様に手を引かれソファに座らされた。
シャンパンを注ぎ乾杯をする。

シャンパンは得意じゃない。段々とふわふわしてきた。

サシャ様は私の側に来て跪き、手の甲に口付けた。

そして両手で握りしめる。

「アリエル、愛してる」

「私も愛してるわ」

「今日、避妊具を用意した」



「君が子爵領に行っている間に 子ができるよう再手術をしてきた」

「………」

「君との子が欲しい。嫌なら避妊具をつける」

「互いに契約で縛られているのに?
子が可哀想だわ」

「子爵夫妻となって再出発しよう」

「伯爵家は?」

「血筋は繋いである。妻の弟が喜んで息子が大きくなるまで伯爵代理をするだろう」

「でも…」

「アリエル、子を成せる期間は短い。
後悔しないか?」

「それは……」

「愛している女性との子が欲しい。
アリエル、君だけを愛してる」



その後、サシャ様は避妊具を装着せずに私を大事に抱き、子種を注いだ。
繰り返し勃たなくなるまで。

ギュッと抱きしめられ愛を囁くサシャ様を放置して眠りについてしまった。

起きたのは昼前だった。
嬉しそうにサシャ様が私のお腹を撫でている。

「アリエルに似た子がいいな」

「湯浴みをしないと」

「まだ駄目だ。夜まで延長したからゆっくり寝ていてくれ。流れ出たらまた注がないといけないしな」

「もう無理です」

「夜までには後2回できると思う」

「とにかく湯浴みを」

そう言って起きて立ちあがろうとしたらドロッと注がれたものが大量に零れ落ちた。

「ひゃっ」

「零したの?」

分かりきっているはずなのに口角を上げるとまた私の中に入り掻き回す。

「新鮮な子種を注ぐからね」

中に溜まっていた子種を掻き出すとそのまま高めて深く差し込み放出した。


「名前を考えなくちゃ」

そう言い、深く差し入れたまま私にキスをした。

萎えてくるとそっと抜いた。

「食事が運ばれるまでそのまま動かないで」

呼び鈴を鳴らし食事を頼むとサシャ様がジュースを持ってきてくれた。起き上がれないので口移しで飲まされた。




夜、送ってもらい別れ際に離れたくないと抱きしめられた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】王太子殿下が幼馴染を溺愛するので、あえて応援することにしました。

かとるり
恋愛
王太子のオースティンが愛するのは婚約者のティファニーではなく、幼馴染のリアンだった。 ティファニーは何度も傷つき、一つの結論に達する。 二人が結ばれるよう、あえて応援する、と。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

寡黙な貴方は今も彼女を想う

MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。 ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。 シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。 言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。 ※設定はゆるいです。 ※溺愛タグ追加しました。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。 「君の為の時間は取れない」と。 それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。 そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。 旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。 あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。 そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。 ※35〜37話くらいで終わります。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

処理中です...