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シスター達

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【 シスター デボラ 】


「どうしたのですかデボラ。最近失言が多いですよ」

「申し訳ございません、神父様」

「明日は領主様の分家の男爵令嬢が祝福を授かりにみえますので くれぐれも失礼の無いようにしてください」

「はい」


だけど翌日。

娘に祝福を授けてもらうために教会にいらした男爵様に言ってしまった。

「ジャン神父、ありがとうございました。寄付金が入っておりますので納めてください。こちらはシスターに渡してください」

「感謝いたします」

「感謝いたします」

「たったこれっぽっちで どうしろっていうのよ。可愛くもないガキに愛想振り撒いてやった礼がこれ?
貴族のくせに出し惜しみやがって」

「ほう?なかなか威勢の良いシスターを飼っているようだ」

「も、申し訳ございませんっ!!
デボラ!教会から出て行け!他所の教会でも働けると思うなよ!」

「ではデボラは私が雇うとしよう」



強制的に男爵家に連れてこられた。屋敷の裏手の井戸の側に立たされた。

「我が男爵家はケチで、私にそっくりの娘は可愛くないそうだ。教会を追放されたからうちで雇うことにした。先ずは隅々までしっかりとしてやってくれ」

「かしこまりました」

そう答えたのは男達だった。
衣服を剥ぎ取られ全裸にさせられ、恥ずかしくて蹲った。

バシャーン バシャーン

次々とバケツで冷たい井戸水を浴びせられ、人間に使う目的で作られていない洗剤を振りかけられて床などを磨くブラシで擦られた。

「痛い!痛い!痛い!!」

全身がヒリヒリと痛む。耳の裏まで擦られた。
見える範囲は皮膚から血が滲んでいた。

「まだ洗っていない場所があるよな」

「キャア!」

2人に脚を持たれて逆さ吊りにされると、もう1人が花瓶などを洗う細いブラシを手にした。

「何!? 止めて!来ないで!!」

「旦那様からは“隅々まで”と命じられたのを聞いていただろう?」

「ギャアアアアッ!!」

ブラシを性器に突っ込まれてゴシゴシと擦られた。

その後は出血が治るまで外の檻の中に入れられた。番犬を入れるための檻だった。
痛みと強烈な寒気に襲われ、意識が混濁したとき、あの子の顔が浮かんだ。

「アンナ…」




【 シスター モリー 】


ドンドンドンドン!

〈モリー!開けなさい!〉

止めて!来ないで!!

〈もうデボラは追放した。モリーが働いてくれなくては困る!〉

「あ、悪魔祓いを…呼んでください」

〈馬鹿なことを言うな!早く仕事をしてくれ!〉

だって…全員の顔が悪魔に見えるのだもの。神父様も赤ちゃんも。
最初は人間だけが悪魔の顔になったのに、今は鳥でさえも。

そして夢にあの子が出てくる。

きっと…きっと……サンドラに脅されてアンナを陥れたから…。

告解したくても怖くて人に会えない。

「キャア!!」

羽虫の顔まで悪魔に見えた。

「もう 無理だわ」

引き出しから便箋を取り出して、神父様と領主様と町長親子宛に遺書てがみを書いた。
そして夜中に教会の鐘塔から飛び降りた。

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