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告白と深夜のブドウ

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王妃様のサロンに通されて昼食をいただいている。

王妃「まあ、酷いわね」

父が全部話してしまった。
リュシアン様の顔が怖い。

王妃「それでも結婚してくれって?
いくら公爵家で美男子でも、冷めるわよね」

父「ララは嫌々公爵家へ行きました。
少しくらい遅らせて調査を入れるべきでした」

ラ「あの時は私が縁談を受けると返事をしてしまったから。お父様のせいではありませんわ」

リュ「ララが?……公爵夫人になりたかったのか」

ラ「違います。気の迷いです。
出発当日、迷いから覚めました」

リュ「何で帰らなかったんだ?」

ラ「一度返事をした以上、指定された期間を全うするように両親に嗜められたからですわ。こちらにもご迷惑をお掛けしましたが、直ぐに領地に帰りますのでご安心ください。

お父様、今からでも出発しましょう。
早く帰りたいわ」

父「……そうか。分かった。帰ろう。
帰る前にディオスの顔を見てから帰ろう。
王妃様、国王陛下に感謝の気持ちを述べていたとお伝え願えますか。王妃様、ありがとうございました。

リュシアン殿下、ありがとうございました。王太子夫妻にも感謝の意を伝えてください。

では、急ぎますので」

リュ「そんなに急がなくても」

父「ララが帰りたいというならそうします」

私「これ以上お世話になる理由はございません。兄をよろしくお願いいたします」

リュ「ララ……」

王妃「はぁ。

ララちゃん、ごめんなさいね。リュシアンは貴女を責めたというよりは、嫉妬したの。
他の男のお嫁さんになりたかったのかと妬いて腹が立って悔しくて胸が痛くて泣きたいの」

私「ええ!?」

リュ「っ! 母上っ!」

王妃「本当のことでしょう?
全く、困っちゃうわね。私は貴方を産んではいないしまだ王妃になって然程経ってないけど、母として見てきたつもりよ。

素直にならないと確実に後悔するわ。
どうして欲しいのかちゃんと言葉になさい」

リュ「っ! ……私はララが好きで……他の男の名前なんて呼んで欲しくないし……買い物も公園へも行って欲しくない。

他の男に嫁ごうと一瞬でも思ったと想像するだけで胸がジリジリ痛む。

鯉が好きなら池を作る、馬が欲しいなら買ってあげる。犬でも猫でも好きなだけ飼っていい。普段ドレスなんて着なくていい。ブドウの皮も剥いて食べさせる。

私の前なら酔っ払ってもいい。王子妃なんて考えなくていい。私の宮で自由にしていていい。散歩にも連れて行く。外食にも連れて行く。

他の男を見ないで、私の側にいて欲しい。
できれば好きになって欲しい。

ララ、大好きだ!」

私「っ!」

リュ「どうしても帰るなら、その前に正式に申し込みをさせて欲しい。
私の婚約者として領地に帰って、時が来たらここに……ララ?聞いてる?」

父「ララ?」

王妃「ララちゃん?」

「ララ!」「ララ!」「誰か医師を呼んで!」

意識が遠のく中で皆の声がして……




目覚めたら夜中でした。

「ララ、起きた?」

「!! 王太子殿下!?」

「起き上がらないで。過労と心労だってさ。
倒れちゃったの覚えてる?
代わる代わる様子を見に来てるんだ。
さっきまで陛下がいたよ」

「申し訳ございません」

「お腹空いたなら持って来させるし、そうでないなら寝なさい。暫くは安静だ」

「ブドウ食べる?」

「え? はい」

「口開けて」

「むぐっ」

「……こういう気持ちになるのか」

「?? むぐっ」

王太子殿下は皮を剥いて食べさせてくれた。
断れない雰囲気だったので受け入れた。

「食事は?」

「大丈夫です」

「じゃあ寝ようね」

頭を撫でられた。

「寝れない?」

「いつも優しい笑顔だなと思いまして」

「笑顔?」

「お食事の時も今も」

「……」

そこで小さくノックの音がした。

「ララ、起きたのか」

「兄様」

「気分はどうだ」

「大丈夫です」

「では、兄君と交代しよう。寝てなくては駄目だぞ」

「ありがとうございました」

「剥いてもらったのか」

「はい。

もう深夜ですか?
兄様はお仕事でお疲れでしょう。
お休みください」

「倒れた子が気にすることではない」



兄様にお腹をトントンされているうちに寝てしまったが、カーラの叫び声によって起こされた。


「ギャアアアアッ!! ララ様が!!」

慌てて飛び起きたら朝だった。

「あれ? ララ様……生きてる」

そこに外にいた警備兵が駆け込んできた。
笛を鳴らしあってる。

ああ、また気を失いそう。




医師「……これは血でも毒でもなく、ブドウの果汁ですな」

全員「………」

カ「も、申し訳ございませんっ」

私「ごめんなさい」

サ「ごめん、薄暗かったから気が付かなかった。私がブドウを食べさせたから」

リュ「兄上が?」

兄「私も薄暗くて気が付かなかった」

深夜のブドウの果汁が口の端から垂れていたのを気付かなかった私はそのまま寝て、明るい朝にカーラが口から血か毒を垂らしてると思ったようだ。

兄様達が座った場所には月明かりが届いていたが、私の枕元には届いておらず暗かった。
だから王太子殿下も兄も、私が垂らしているのを気が付かなかった。

医師「さあさあ、無事が分かったのですから退室してください。人がいては休めませんよ」



3日間、ベッドから出してもらえなかった。
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