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やはりご指名

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挨拶が済み、準備が整うと、陛下と王妃様が中央へ。そしてユーグ殿下が私の元へ来た。

「アナベル。俺の大事なファーストダンスのパートナーを君に努めてほしい。踊ってくれないか」

もうルシアン様を見れなかった。

「…喜んで」


ファーストダンスが始まると、ユーグ殿下は力強いリードで私を舞わせた。

「セイリアンはまだ現実が見えていないようだな」

「あ~、アホですから。
先天性の病だと思って適当に鞭でも打てばいいでしょう……鞭は比喩ですからね?」

「残念だ。アナベルが喜ぶなら喜んで打ったのに」

「私を変人にしないでください」

「君には謎が多いな。神が使わされた救世主のような気がしてならない」

「気のせいです」

「俺に望むことは?」

「この国の安定と平和とセイリアンの躾」

「どれも難題だな」

「ユーグ殿下なら成せますわ」

「最後が一番難しそうだ。見てみろ。すごい顔で睨んでるぞ」

「狂犬病は致死率100%ですから。護衛騎士というよりは屈強な躾係をセイリアンに付けてください」

「そうだな」

「拳で躾けていいと権限を与えないと兵士が可哀想ですからね」

「そうするよ」

「特別な腕章を作ってあげてください。
黄色とか?遠目でパッと分かるように。
黄色い腕章の兵士はセイリアンを殴ったり踏みつけたり投げ飛ばしたりして躾けるよう命じられていると、伝達してくださいね。

一応まだ王族ですから、セイリアンだとしても殴ったら物申す者が現れるかもしれません」

「面白そうだな。除籍は保留にして、しばらくセイリアンで遊ぶか」

「爵位を与えるの?」

「まさか」


ダンスを終えるとルシアン様が待っていた。

目を合わせたくないが仕方ない。

ルシアン様を見上げると悲しそうな顔をしていた。

「ルシアン様」

彼の頬に手を添えると、その手を取って手のひらに唇を付けた。

「浮気者」

「違うから」


そのままホールから抜け出しテラスへ出ると抱きしめられた。

「苦しいです」

「苦しくしている」

「……」

「私とアナベルは同い歳だ。様もいらないし、敬語は止めてさっきみたいに話して欲しい」

「……ルシアン」

チュッ

軽く唇を合わせたと思ったら、舌を捩じ込まれた。

「っ!」

おかしい…

チュッ

体が…

「帰るか?」

「帰る?」

「したいんだろう?」

「え?」

「顔が……瞳がそう言ってる。
“私の中に入って気持ち良くして”って」

「っ!」

「嬉しい」

「違うっ」

彼は私を死角に隠すとドレスの裾を捲り、下着の中に指を忍ばせた。

クチュッ

「んっ」

「ヌルヌルだ」

「違っ、」

「私もアナベルを愛したい」

「んあっ」

指が一本、一気に奥まで挿しこまれた。

「今日は…バシュレが後ろ盾を示す日なの」

奥を掻き回されて、膝が震えだす。

「お願い…帰ってから…お願い」

「…なるべく早く帰って愛し合おう」

抜いた指をハンカチで拭き取るルシアンに抱きついた。

「今すぐ?」

「違う」

「甘えてくれて嬉しいよ」

「何でこんな体に…」

「そうなる様に愛したからだよ」


それからはもう上の空だった。意識を人に向けても、ヌルヌルとした感触と、濡れて冷たくなってしまった下着と、指で奥を掻き回されて疼いてしまった体が社交を阻む。

何とか1時間は頑張ったけど。

ルシアンの袖を引っ張って耳元で囁いた。

「我慢できないの」

「分かった。

皆様、妻が体調を崩した様で、失礼したいのですが」

「まあ、大変」

「公爵には伝えておくから早く帰りなさい」

「感謝いたします」




会場を出ると、私を抱き上げて馬車乗り場までやってきた。乗ってきた馬車が来るとルシアンは御者に、“王都を大きく1週してから屋敷に戻ってくれ”と指示をした。

私の下着を下ろし、トラウザーズを解放した。

「慣れてる」

「アナベル?」

「こういうの、やってたのね」

「乗って」

「……」

「跨って」

ドレスの裾を持ち、跨るとルシアンは陰茎を取り出した。

「挿れて」

「……いや」

腰を引き寄せられて、バランスを崩し、馬車の後部に手を付いた。

ルシアンは陰茎の先で手早く膣口を探し当てると掴んだ腰を下に引き寄せた。

「ああっ!!」

一気に根元まで収まると、待ち望んだモノを迎えられて喜ぶ様に膣壁はギュウギュウと収縮した。

「いや!いやっ!!」

強く押さえ込まれて、密着し、奥が押し上げられているのに、馬車の上下の揺れや左右前後の揺れに刺激された。

ルシアンの片手が後頭部の髪を掴み、反対の腕を腰に回し、耳に近付いて囁いた。

「他の女とこんなことヤッてない」

そして耳に舌を差し挿れた。


激しく痙攣を始めたアナベルをルシアンが強く抱き込んだ。

逆にアナベルの蠢く膣壁と中のヒダが陰茎を強く絞り込んだ。


「っ! ……アナベル」


しばらくすると、グッタリしてルシアンに身を預けた。





屋敷に着く頃には、ドレスの裾を直し、髪を少し整え、下着をポケットに入れた。
陰茎は勃ったままだが無理矢理トラウザーズに押し込めた。

馬車を降りたアナベルを抱き上げて、自室に向かう。

メイドに指示を出した。

「夫婦の時間を取るから、誰も近付けないでくれ。
カリン達にこっちにいると伝えてくれないか」

「かしこまりました」


寝室に入りアナベルを降ろすとドレスを脱がせた。
ルシアンも脱ぎながらキスをする。

その後、続きを始めた。

ルシアンはアナベルが朦朧として意識を飛ばすまで、激しく抱き続けた。










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