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パッケージそっくりのユーグ殿下

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起きたのは夜中だった。

動こうにもルシアン様が抱きしめていて身動きが取れない。

動くと毛布の中から精液の匂いがした。
まだ慣れない。

体を清めたいが、この時間に湯浴みの用意をさせるのは可哀想なのでじっとしていることにした。


やっと日が登り始めた。

「アナベル…起きてたの?」

「はい」

「体は?」

「怠いです」

「湯浴みの後はマッサージをさせよう」

「ルシアン様がしてください」

「多分、上手くないけど」

「ルシアン様のせいなんですから、ルシアン様がやるんです」

「そうだな。私のせいだ」



お湯の準備をしてもらうと、自分の役目だと言って一緒にお風呂に入った。

ルシアン様は終始ご満悦で、丁寧に私の体を洗い、後処理もしてくれた。

「まさかコレも?」

「無い。これはさっきメアリーに教えてもらったんだ!」

他の女にもやったのかと言う追求に、きっぱりと言い切った。


その後は、メアリーの指導を受けながら、私の体をマッサージしてくれた。

カリンはその間に爪のお手入れをしてくれた。


ルシアン様が自室に戻ると、メアリーとカリンは髪を乾かしながら話し始めた。

「私、いいと思います」

「私もいいと思います」

「何が?」

「ルシアン様です。
一緒懸命マッサージして…プッ」

「嬉しそうでしたね」

「そう?」

「彼にしましょう」

「もし浮気したら、私が首を掻き切って差し上げますから」

「早くない?」

「「勘です」」

「う~ん」

「何がお気に召さないのですか?」

「だって、元々ビジューを好きだった人なのよ?
しかもセイリアンに言われて私を子を産ませるだけの妾にしたんだもの。

ちょっと引っかかるわ」

「アナベル様語で言う“黒歴史”では?」

「言われて迎えたかもしれませんけど、虐められたりしませんでしたよね?
寧ろ日に日に優しくなるじゃないですか」

「でもまだ早すぎるわ」



午前中にバシュレ公爵邸に帰った。
パーティーに使う物を取りに行くだけだから先触れはしなかった。


屋敷に入ると慌てて使用人が出てきた。

「お嬢様!」

「ただいま。お父様は?」

「来客中です」

「私は挨拶をした方がいい?」

「判断しかねますので聞いて参ります」

珍しい。誰だろう。


お父様が出てきて部屋に行っていなさいと言いかけた時、応接間から男性が顔を出した。

「ユーグ殿下!?」

ゲームのパッケージと同じ顔だった。

「公爵。紹介してください」

「…殿下。娘のアナベルです」

「君がアナベル…美しいレディだ」

「アナベルと申します」

私はある人の姿を探していた。

「誰を探しているんだ?」

「モリーン様は」

「本当に何でも知っているのだな。
モリーンは、俺が留学から帰ったら、他の男の子種で孕んでいたよ。

待っているなんて言葉を真に受けて、誰とも付き合わなかったのに…馬鹿だろう?」

「ユーグ殿下。胸を張りましょう。
貴方はこの国の未来の光。モリーン様は貴方に相応しくなかっただけです。神が篩にかけたのでしょう。

断じて馬鹿ではありません。
女など、山のようにいるのですから、さっさと次に行きましょう」

「男前なレディだな。 

……そうだな。いい女を見つけるか」

「そうです。その調子でいきましょう!」

「立ち話もなんですから、部屋へ戻りましょう」


その後は、ユーグ殿下は留学中の話を。
私はセイリアンと婚約してた時の話をした。

「俺の異母弟、クソだな」

「そうなんですよ。下げ渡しておいて、やり直そうとか言いに来たんですよ?あり得ます?」

「ないな」

「ですよね」

「……で、何故まだ侯爵家にいるんだ?」

「え?」

「もうクソは失脚したのだから公爵家に戻ればいいだろう」

「当初は三年経つか、子を産んだら、自由に生きようと思ったのです。
そんな経歴をもったら誰も望まなくなって気が楽ですから」

「公爵はコレでいいのか?」

「アナベル1人くらい不自由なく面倒見れますから。

友人を作って楽しみたい時期にあれだけ苦労したのですから十分でしょう」

「そうそう。老後のようなものです」

「で?戻らない理由は?」

「まだ越して1ヶ月程度しか経っていませんし、彼からは正式に求婚されたので」

「受けたのか?」

「保留にしています。刺客から身を挺して守ってくださるくらい、いい人だったので」

「ふ~ん」


「お話中、失礼いたします。

アナベル様。そろそろお時間です」

「今日は小物を取りに参りましたの。
ユーグ殿下、お父様。失礼いたします」

「気を付けて帰りなさい」

「またな」



部屋により、アクセサリーを手に、侯爵邸に戻った。

「遅かったな」

「話し込んでしまって」

「侯爵は変わりなかったか」

「元気でした」

「そうか。

夕食だから、ダイニングにおいで」

「はい」






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